2008.07.24
F1 HYPER NEWS - 第10戦ドイツGP観戦記号
F1ハイパーニュース [コラム号 - F1 第10戦 ドイツGP 観戦記号]
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■ F1 第10戦 ドイツGP 観戦記号 - ハミルトンの逆襲
仙太郎 : sentaroh@passion55.com
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マクラーレンの最近の戦闘能力の向上には、目を見張るモノがある。
特に今回、彼らが持ち込んだ左右非対称のサイドポッド吸気口 は注目を集めた。
この吸気口は、大きな抵抗になるので、小さくした右側のサイドポッドは、彼らの
トップスピードを高めるのに、貢献した。
ホッケンハイムのように、直線部分が長いサーキットでは特に有効である。
このサイドポッドが、ホッケンハイムの気温が低いから使用できたのか、暑くても使
用できたのかは興味がある。
このようにマクラーレンの競争力が増しているのは事実であるがそれでも、ハミルト
ンでなければ、できない走りだったと思う。
あまりにも、鮮やかなハミルトンのドライビングだった。
ポール・ポジションからスタートして独走態勢を築き、楽勝ペースだったハミルト
ン。
そこにSC導入。
カナダの悪夢がよみがえる。
ここで、マクラーレンは何を思ったかハミルトンをピットに入れないという選択をす
る。
普通は、トップを走るドライバーに保守的な作戦を用いて、後ろを走るドライバーは
積極的な作戦を取るというのが常識だが、彼らはそれを選択しなかった。
ハミルトン以外の上位陣は、続々ピットイン。
この時、マクラーレンのピットでは、次のように考えたと思う。
1.グロックのマシンは、コース上から外れており、コース上の部品を掃除するだけ
なら、時間はかからないのでSCは2〜3周すれば、引っ込む。
2.ハミルトンのピットインは50周目で、ハミルトンは1周約2秒早かったので、後3
周SCが入るのが早ければ、トップで戻れた可能性もあった。
3.カナダでハミルトンがピットアウトの時にクラッシュしたので、混乱する中で、
ピットに入れたくなかった
実際、SCは36〜41周まで6周にわたり出動したので、ハミルトンは最後のピット終え
て、コバライネンの後ろの5位でコースに復帰した。
だが、そこからがハミルトンのワンマンショーの始まり。
コバライネンこそ、抜くのに時間がかかった(それでもたったの1周だが)がその後
は、ヘアピンで続々と抜いていく。
まるでクラスの違うマシンが一台だけ走っているようだった。
テレビ解説では、ハミルトンがトップで戻れないことを嘆いていたが、私は見ていて
ハミルトンはトップでも戻れなくても大丈夫だと思っていた。
理由は以下の通り。
1.燃料が軽い状況で、ハミルトンは1周2秒早く、燃料を搭載しても1秒近くのアドバ
ンテージあるはず
2.ホッケンハイムは長い直線の後の、ヘアピンで抜くことができる
3.ラバーがのった状態であれば、ソフトタイヤを履いてもグレイニングがおきにく
いのでハイペースを続けることができる
最大の問題は、マッサのリアタイヤが残っているかどうかだった。
マッサのマシンに、トラクションがあれば直線で追いつくことは難しく、ヘアピンの
入り口で抜くのは難しい。
だが、マッサのペースは速くはなかったので、これも特に問題とはならなかった。
このように思ってはいたが、それでもあれだけ鮮やかな走りを見せつけられたら、言
葉はない。
チームの作戦ミスさえ、覆してしまうハミルトンはさすがである。
▽不振の続くフェラーリ
フェラーリの不振は深刻だ。
負けているから深刻なのではなくて、この状況で彼らの抱えている根本的な問題が見
えてきたからだ。
恐らく彼らは、フランス、イギリス、ドイツは三連勝を考えていたと思うし、それだ
けの実力はあったと思う。
だが勝てたのは、フランスだけ。
イギリスは雨という特殊事情があったとはいえ、ドイツでここまでマクラーレンに差
をつけられては、言い訳はできない。
ライコネンはここでも、マシンのバランスが悪いと言い、予選でも6位に沈んだ。
それでも、マッサは予選二位なのだから、戦闘能力がないわけでもない。
ライコネンも重い状態でバランスが悪いと言ってはいるが、1回目のストップ後の
ペースは1分17秒前半で、安定しており、ハミルトンと比べても、特別に遅いわけで
はない。
レース終盤には、16秒台前半のタイムも記録している。
じつに不思議な状態なのである。
レースの1週間前には、ホッケンハイムでテストをしている。
ここで、彼らは特に大きな問題もなく、悪くないタイムを出している。
今週末の気温が低いことは、フェラーリに不利だったことは事実であるが、それにし
てももう少し何とかならないものだろうか。
フェラーリはトップチームなのだから。
最近は、コンピュータシミュレーションにより、基本的なセットアップは済ませてか
ら、サーキットにマシンを持ち込む。。
トップチームであれば、過去の経験もあり、それが大きく外れることはほとんどな
い。
多少の調整をするだけで、レースに臨むのが普通である。
セットアップを現場で、大きく変えるとなると、難易度の高い仕事になる。
ドライバーがそれをするには、マシンや技術面での深い理解がなければできない。
エンジニアがするには、データを読む力と、ドライバーとのコミュニケーションが必
要となる。
そして、セットアップの方向性を変えるには、誰かがそれを決断する必要がある。
セットアップを変えると、今より悪くなる可能性もある。
それには、大きなリスクを伴う。
そして、セットアップを変えて悪化すると、元に戻すのも大変な作業になる。
そう考えると、今年フェラーリが最速のマシンを持ちながら、良いときと悪いときの
差が激しいのは、ここに問題がありそうだ。
つまりフェラーリの不振の背景には、リーダーシップの欠如という問題があるので
は、ないだろうか。
ミハエルのいた頃の、フェラーリは今とは全く違っていた。
リーダーシップを取れる人は、ドライバーであるミハエル以外にもトッド、ブラウン
などがいたが、セットアップの最後の決断はミハエル本人が下していた。
もちろんミハエルも納得しなければ、セットアップを大幅に変えるなどということは
しない。
その為、ミハエルとエンジニアは、マシンが遅いと夜遅くまで原因を突き止めるため
に、議論を戦わせていた。
そういう執念があったからこそ、5年連続チャンピオンという偉業が成し遂げられ
た。
才能のあるミハエルが、そこまで速く走ることにこだわっていたから、勝ち続けるこ
とができたのだ。
今のフェラーリには、その当時の勝ちにこだわる執念も見えてこないし、優れたリー
ダーシップも見えてこない。
それが、彼らが優れたマシンを持ちながら、独走できていない大きな原因であると思
う。
▽ピケJr、驚きの二位
ピケJrが二位になることを予想できた人はいないだろう。
グロックのクラッシュを見て、即座にSC出動を予測して、ピットインの指示を出した
ピットの大手柄。
失うものがないとはいえ、すばらしい判断とそれを実行に移したピットワークの勝利
だ。
だが、この二位は決して偶然ではない。
ピケのラップタイムを見ると、レース後半は1分17秒前半で安定しており、終盤には
16秒台も三回記録している。
これは他の上位陣と比べても遜色のないタイムであり、その走りは称えられてもい
い。
ただ、これで彼の来年のシートが保証されるかというと、それはまた別の問題である
ところが、F1の厳しいところ。
彼は、これからもいい走りを見せ続けなければならない。
それにしても、二位という結果はすごい。
三位でないところがいい。
もし、ハミルトンのスーパードライビングがなければ、勝っていた可能性すらあるの
だから。
▽不振の日本勢
ツゥルーリが予選で4位に入り、フランスGPに続き期待を持たせたが、ソフトタイヤ
に交換してからバランスがおかしくなった。
それでも入賞圏内を走っていたが、最後にベッテルにかわされて9位。
チームメイトのグロックは最終コーナーで、スピンしてクラッシュ。
リプレーを見ると、彼の右側リアのサスペンションが壊れており、スピンしているの
がわかる。
あのコーナーは、右のリアに負荷がかかるところではないので、それ以前にストレス
がかかり部品に破損が生じていた可能性が高い。
それが、ドライバーのミスによるモノか、部品の品質によるものかは、今のところ不
明だ。
コースの特性を考えると、部品の品質の可能性が高いだろう。
ホンダは、イギリスGPの三位という結果を、繰り返すことはできなかった。
基本的にスピードが不足しており、空力の効率も改善されているが、トップチームと
の差は広がっているかのように見える。
中嶋一貴はこちらも見せ場がなく、15位に終わった。
ウィリアムズも空力の効率が良くないので、ホッケンハイムでは競争力がなかった。
【編集後記】
今年のドイツGPは空席が目立ちました。
ミハエルがいる時の、あの熱狂振りが嘘のようです。
ドイツ人ドライバーは、5人もいたのにです。
SAと琢磨のいない日本GPは、どうなるのでしょうか。
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仙太郎
70年代からF-1を見続けているF1フリーク。
F-1以外にもWRC、サッカー、野球、NFLにも詳しい。
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