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2008.09.02

KIP080901「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学28」


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 2008年09月01日(月)   第2605号
 日刊! 関西インターネットプレス
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■本日のコラム「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学28」
        元カノの娘がやってきた?
 月曜日月イチ担当:フリーライター 鳴川 和代

みなさまこんにちは。鳴川です。ことしももう9月、早いものですね。
今回も前回に続き、光源氏らの子ども世代の登場です。

■夕顔の露のゆかりのその後

光源氏35歳の秋。以前から造営していた六條院が完成しました。六條院は
六条御息所の邸を取り入れて作られた大邸宅です。広大な敷地を春の町、
夏の町、秋の町、冬の町に四等分し、春の町には紫の上、夏の町には花散
里、もと六条御息所の邸の秋の町にはその娘の秋好中宮、冬の町には明石
の君がそれぞれ入居しました。光源氏の栄華を体現した邸です。このあと
源氏物語の舞台の中心は、この六條院に変わります。

さて、六條院へのお引っ越しのしばらく前。都から遠く離れた肥前で、あ
る事件が起こっていました。みなさま、光源氏が17歳の時、熱烈な恋をし
た上、突然世を去ってしまった夕顔という女性を覚えてらっしゃるでしょ
うか。光源氏はいまでも「彼女が生きていれば」と思うことがあったよう
です。

この夕顔には頭中将(現内大臣)との間に生まれた娘がいました。その名
を玉鬘(たまかずら)と呼びましょう。しかし、夕顔の死後、消息不明に
なっていました。実は、夕顔の行方がわからなくなったため、乳母の夫が
太宰府へ赴任するのに伴い、筑紫の国(いまの福岡県)に連れて行かれて
しまったのです。それから10数年、乳母の夫は亡くなり「玉鬘を都へお連
れするように」という遺言だけが生きています。乳母は玉鬘を大切に育て
ましたが、なかなか都へ戻れません。そうする間にも玉鬘は美しく、気高
く成長していきます。血筋のせいか、母・夕顔より上品に見えます。

現在は肥前に住む美しい玉鬘の噂は自然に外へ漏れ、田舎の男たちが聞き
つけてラブレターをよこします。でも、都へ帰って父の内大臣(頭中将)
との再会を目標にしている乳母たちは誰も相手にせず、体に障害があるか
ら結婚はさせず尼にすると言いふらして、男を寄せ付けないようにしてい
ました。

そんな中、一人非常に熱心な求婚者がいました。この男は肥後の国に住む
大夫監(たゆうのげん)という武士。無骨ですが、女好きできれいな女性
をたくさん集めて妻にしようと考えていました。彼が玉鬘の噂を聞きつけ、
少々障害があってもかまわないから妻にしたいといってきたのです。いつ
も通り断る乳母。

しかし、大夫監は乳母の息子たちを抱き込み、説得にかからせました。田
舎なまり丸出しの手紙が来るだけならだけならまだよかったのですが、と
うとう乳母の息子が大夫監を邸まで連れてきてしまいました。

大夫監は背が高く太っていて、血色がよく見苦しくはありません。でも、
どことなく荒々しくて、声もがらがらしているし、やっぱり都人の雅さは
ありません。がらがら声のまま、乳母に「自分と結婚すればお后様のよう
な扱いをする」ともっともらしいことを述べます。体が不自由だといえば
「目が見えなくても、足が折れていても自分が直そう」と大言壮語します。
勝手に結婚の日取りを決めるので、乳母はそれを先延ばしにするのがやっ
とでした。

さらに大夫監は和歌をひねり出して得意気です。乳母は娘たちに何とか返
歌を読ませて切り抜けました。大夫監はご機嫌でもう一首和歌を詠もうと
しましたが、できなかったようで、そのまま帰ってしまいました。

さあ、このままでは大夫監と結婚しなくてはいけません。乳母は大夫監に
抱き込まれなかった長男や娘たちと筑紫を逃げ出すことにしました。長女
は家族が増えすぎて現地にとどまります。次女は夫を捨てることに。一家
離散です。一行は早舟で都へ上りました。到着したのは川尻という淀川の
河口。さらにそこから京へ入りました。

■観音様に願いが通じた!

さて、夕顔が亡くなったとき、そばにいたのは右近という女房。彼女はい
ま、紫の上付きになっています。右近は玉鬘との再会を願い、定期的に奈
良県桜井市にある長谷寺に参詣していました。秋風が心地よいその日も右
近は長谷寺へ詣で、宿坊へ入りました。部屋には間に幕が引かれています
が、どうやら先客があるようです。

徒歩の疲れが出て、ものに寄りかかっていると隣から食事の給仕をしてい
る声が聞こえます。どうやら身分のある人が来ている様子。ちらっと幕の
間から除くと、そこにいる男の顔に見覚えがあります。別の女の顔も見た
ことがあります。

「!」

夕顔に使えていた人たちです。「もしかして姫君がここにいらっしゃるの
かしら」。さっそく右近は名乗りを上げます。はじめは先方も誰か気づき
ませんでしたが、顔を見せてようやくわかった様子。玉鬘一行は石清水八
幡宮や長谷寺の観音様に内大臣に会えるよう祈願していたのでした。一行
は夕顔の消息や玉鬘のその後など、お互いの近況を話し合い、再会を喜ん
だり、涙を流したり、とてもドラマチックな場面です。

玉鬘の乳母は再会した右近に、内大臣に会えるよう計らってほしいと頼み
ます。右近は自分のいまの主人が光源氏の妻であることを話し、光源氏と
夕顔の当時の事情を明かして光源氏の力を借りることを約束しました。そ
れにしても姫君の美しいこと。母・夕顔はなよなよとかわいらしい人でし
たが、この姫君はその血筋ゆえか優雅さを感じます。それに比べて、お付
きの人が田舎くさいのは不思議でした。

六條院に戻り、右近はこっそりと光源氏に玉鬘を発見した話を伝えました。
これを聞いた光源氏は玉鬘を六條院に迎えようと考えて、とりあえずは玉
鬘に手紙を送り、衣類なども細かく気遣います。玉鬘は実父でもない人物
からの贈り物にかえって気を遣っていましたが、右近は光源氏と夕顔の浅
からぬ縁を伝え、まずは返事を書かせました。

実はこれは光源氏のテストです。手紙は書けるか、筆跡はどうか、姫君と
しての基礎教養はどうかといったところが試され、玉鬘はどうやら無事に
合格した様子。かつて末摘花の手紙に幻滅した経験が、こうした行動を起
こさせたのでした。

六條院では花散里の夏の邸に住まわせることにしました。それにさきがけ、
紫の上に夕顔の話をします。夕顔のかわいらしさを聞くにつれ「それでも
明石の君ほどではないでしょう」と、紫の上は明石の君にまた、嫉妬の炎
を燃やすのでした。

今回は特に誰が失敗ということもありません。少しずつ歯車がずれた結果、
夕顔は玉鬘の元に戻らず、玉鬘は筑紫へ向かうことになりました。でも、
ここですべてが収束し、新たな物語が始まります。強いていえば、玉鬘が
六條院に引き取られたことが玉鬘自身にとってよかったのかどうか、とい
う問題がありますがそれはまた、追々お話ししましょう。まあ、和歌を詠
もうとして読めなかった太夫監は、失敗というか道化役ですね。


【プロフィール】
鳴川 和代/なるかわ かずよ
大阪在住のライター。フリーランス。
手がける分野は生活一般から情報通信、医療関係まで多彩ですが、
個人的にテーマにしているのは「個人情報保護」と「源氏物語」。
脈絡なく並んでいますが、いずれもライフワークと考えとります。
来年1月から、フジテレビの深夜枠のアニメ「ノイタミナ」で、
源氏物語を題材にした大和和紀のマンガ「あさきゆめみし」が
放送されることになりました。あさきゆめみしのアニメ化はこれが
初めてだそう。さて、どんな構成になるのか、いまから楽しみです。

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●お知らせ

第2回産学官民コミュニティ全国大会in関西 
KNS第22回定例会「KNS発足5周年記念大会」 & 第8回INS in 関西
http://www.kns.gr.jp/schedule/358.html

 岩手ネットワークシステム(INS)に端を発した、人と人とのコミュニ
ケーションを重視した異分野コミュニティ創設の動きは、今や北海道から
九州に至るまで、全国に拡がりつつあります。
 関西でも2003年6月に産学官民の有志が立ち上がり、関西ネットワーク
システム(KNS)を立ち上げました。この間、「産学官民連携はコミュニ
ケーションからはじまる」をテーマに、約400日以上の会合を持ち、人と
人とがリアルに出会い、双方向のコミュニケーションを深め合う活動を活
発に行ってきています。
 その結果、産・学・官・民、様々なレベルで協働や連携の動きが多数生
じてきていますし、参加者相互に刺激を受け合い、切磋琢磨しながらモチ
ベーションを高めて、日々の活動の中で様々な成果を出してきています。
 今回の「産学官民コミュニティ全国大会in関西」は、昨年9月に盛岡
(岩手大学)で開催した第1回目に引き続き、KNSが主体となって大阪(大
阪大学)で開催するもので、全国で活動する同じ思いを持った同志が一同
に会し、業種や分野、所属や肩書き、年齢、性別、国・地域を超えて、ひ
とりの人間としてフラットな関係で、双方向のコミュニケーションを深め
ることにより、より一層、知の創発やイノベーション創出に結びつければ
と考えています。
 どなたでも参加できますので、産学官民コミュニティや連携活動にご関
心ある方のご参加をお待ちしています。

・岩手ネットワークシステム(INS) http://www.ins.ccrd.iwate-u.ac.jp/
・関西ネットワークシステム(KNS) http://www.kns.gr.jp/

■日時
 2008年9月13日(土)12:00〜17:00 終了後交流会開催(受付開始11:20)
■場所
 大阪大学大学教育実践センター(大阪大学豊中キャンパス)
  http://www.cep.osaka-u.ac.jp/modules/campus/index.php?content_id=1  
■参加費
  参加費1,000円 交流会費3,000円
■参加申込:
   参加ご希望の方は、「9/13全国大会参加」と明記の上、
  下記サイトよりお申し込み下さい。
        http://www.kns.gr.jp/entry.html

◎当日はラフな格好でお越し下さい。男性はなるべくノーネクタイでお願
 いします。
◎KNSは「飲んで、騒いで」が基本ですので、必ず電車やバスなど公共
 交通機関でお越し下さい。車でのご来場は、駐車場がないこともあり、
 なるべくお控え下さい。
◎名刺は大量にご用意下さい。20〜30枚程度ではすぐになくなってしまい
 ます。>>目安100枚以上。


【KIPカレンダーはこちらのURLからもご覧いただけます。】
http://www.google.com/calendar/embed?src=immqifkol7qr07e67gil1l0iso%40group.calendar.google.com&ctz=Asia/Tokyo

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 発 行  関西デジタルプレス http://www.digipre.com
 発行人  野々下裕子 kip@digipre.com

 配信協力 まぐまぐ http://www.mag2.com/
      bloguru.com http://www.bloguru.com/kip
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