2008.08.01
言葉の森新聞 2008年8月1週号 通算第1041号
言葉の森新聞2008年8月1週号 通算第1041号
文責 中根克明(森川林)
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■■読書感想文の書き方
■いまの感想文指導には無理がある
感想文が楽に書けるようになるのは、年齢的には小学5年生からです。小学1〜4
年生は、全体の構成を考えて書くという能力がまだ育っていませんから、大人が全体
の方向づけをしなければ自分で本の流れに合わせて感想文の流れを考えていくという
書き方はできません。
また、小学1〜4年生の場合、似た話がうまく見つかる場合と見つからない場合と
では、作品の出来に大きな差が出てきます。大人(親や先生)が近くにいて、「この
次はこんなことを書いたらいいよ」とときどきアドバイスをしてあげなければまとま
った作品を書くことはできません。
なぜ学校のふだんの授業で感想文を指導せずに、夏休みの宿題というかたちで感想
文を書かせるかというと、感想文は(特に低中学年の場合は)、一人ひとり別のアド
バイスをしなければならないからで、30人から40人を相手にした一斉指導ではそ
ういうアドバイスはできないからです。
感想文の宿題を書かせる時間があれば、その時間を読書に充てた方がずっと子供の
ためになります。
■子供まかせでは書けない
「なんでもいいから自分で好きな本を選んで、自分で好きなように書いてごらん」
ということでは、感想文は書けません。小学生の場合は、大人がなんのアドバイスも
せずに感想文を書かせるぐらいなら、感想文を書くことそのものをしない方がいいの
です。単に字数を埋めるだけの感想文は、何の勉強にもなりません。
■じょうずな感想文を書くコツはあるが
書くからには、じょうずな感想文を書いて、コンクールなどに入選したいとはだれ
もが思うことです。作品の出来具合の半分は、似た話などの題材の部分に支えられて
います。また、もう半分は、感想の部分の一般化の深まりに支えられています。です
から、感動のある似た話が連想できるような本を選び、感想の部分で大人の人が一般
化の手助けをしてあげれば、じょうずな感想文が書けます。
しかし、こういうかたちで親や先生がアドバイスをすることは、子供にとってはあ
まりうれしいことではありません。また、親や先生に支えられてじょうずな作文を書
いても、教育的な意義はありません。ですから、感想文の目標はじょうずな作品を書
くことにではなく、ひとまとまりの本を読み、ひとまとまりの文章を書く練習をする
ということに置くべきです。
■書き方の手順「まず本選び」
まず本選びですが、子供が「この本、おもしろいから書きたい」と言うような本が
必ずしも書きやすい本であるとは限りません。子供が自分なりに似た話を見つけるこ
とができたり、想像をふくらませたりできるような本が書きやすい本です。この本選
びは、大人がアドバイスをした方がいいようです。少なくとも、子供には「似た話や
想像した話が書けるような本が、感想文の本としては書きやすいよ」と言ってあげる
といいと思います。
書きたいテーマが決まっているときは、インターネットの書店を利用して関連する
図書を数冊用意すると話題が広がって書きやすくなります。
■書き方の手順「次に字数配分」
感想文の宿題は、原稿用紙3枚程度(400字詰めで1200字)の分量で指定さ
れることが多いようです。これだけの分量を1日で書くというのは大変です。無理の
ない字数配分は、1日1枚(400字)です。感想文の宿題をするために、4日間の
予定を立てて、1日目に400字以上、2日目も400字以上、3日目も400字以
上と書いていって、4日目に全体を通して要らないところを削り、清書するという予
定を立てれば無理なく書くことができます。
■書き方の手順「1日目の400字」
本のはじめの方から一ケ所、似た話や想像した話の書けそうな場所を選び、そこを
引用し、自分の似た話を書き、最後に「たぶん」「きっと」「もしかしたら」などと
いう言葉を利用しながら、自分の感想を書きます。
本の引用(1)→似た話(1)(もし…だったらと想像してもよい)(たとえも入
れる)→感想(1)(たぶん、きっと、もしかしたらなどと考えてみる)
■書き方の手順「2日目の400字」
2日目も同じです。本の中ほどから一ケ所、似た話の書けそうな場所を選び、そこ
を引用し、似た話を書き、感想を書いていきます。
本の引用(2)→似た話(2)→感想(2)
■書き方の手順「3日目の400字」
3日目も同じように、本の終わりのほうから一ケ所選んで書いていきますが、最後
の感想のところがちょっと違います。1日目、2日目は、引用した小さな箇所の感想
でしたが、3日目は本全体についての感想を書いていきます。
小学5・6年生の生徒の場合、この感想は、「○○は(人間にとって)……である
」というような一般化した大きな感想を書いてまとめます。この感想の部分は、お母
さんやお父さんと話し合いをして、子供自身の考えを深めていくといいと思います。
そして、「私はこれから」などという言葉を使い、この本から得たことを自分のこれ
からの生き方にどうつなげていくかを考えてまとめます。中学生の場合は、結びの5
行に「光る表現」を入れていくとよいでしょう。
本の引用(3)→似た話(3)→大きな感想(○○は人間にとって……。私はこれ
から)
■書き方の手順「4日目の清書」
4日目は清書です。お母さんやお父さんが全体を通して読んであげると、要らない
ところが見つかると思います(書いた人自身には、要らない部分というものはなかな
かわかりません。これは大人でも同じです)。この要らない部分を削ります。次に、
書き出しの部分に本の引用として情景描写の部分を入れられれば、書き出しの工夫が
できます。これは無理のない範囲でやっていくといいでしょう。
■書き方の手順「できたらほめる」
書いている途中でも、書き終えたあとでも、親や先生が「これは、おもしろいね」
「それは、いいね」と、子供の書いた内容のいいところやおもしろいところをどんど
ん認めてあげることが大切です。多少おかしいところや変なところがあっても、子供
が書いた内容をできるだけ尊重してあげてください。これと反対に「これは、こうし
た方がいいんじゃない?」「そこは、ちょっとおかしいんじゃない?」などという否
定的なアドバイスをすると、勉強でいちばん大事な子供の意欲をそぐことになります
。大事なことは、いい作品を仕上げることではなく、手順にそってできるだけ自力で
書く力をつけることです。
■■読書感想文の推薦図書
言葉の森の講師がおすすめする読書感想文の推薦図書です。
子供たちの体験に結びつけた感想を書けそうな図書を中心に選んでいます。
夏休みの読書の参考にしてください。
学年は大体の目安です。いずれも絶版でないことを確認しています。
(通学教室の生徒はこれらの本を借りることができます。1人2冊2週間)
■小学校低中学年向き
エルマーと16ぴきのりゅう R・S・ガネット 福音館書店
エルマーのばうけん R・S・ガネット 福音館書店
おかあさんげんきですか 後藤竜二 ポプラ社
教室はまちがうところだ 蒔田晋治 子どもの未来社
だいじょうぶだいじょうぶ いとうひろし 講談社
となりのせきのますだくん 武田美穂 ポプラ社
ないしょ 後藤竜二 新日本出版社
にんきもののひけつ 森絵都 童心社
ホームランを打ったことのない君に 長谷川集平 理論社
ぼくだけのこと 森絵都 理論社
かがくなぜどうして一年生(二年生・三年生) 久道健三 偕成社
ことわざものがたり一年生(二年生・三年生) 西本鶏介 偕成社
■小学校中高学年向き
エーミールと探偵たち ケストナー 岩波少年文庫
ぽけっとにいっぱい 今江祥智 理論社
キャプテンはつらいぜ 後藤竜二 講談社青い鳥文庫
宇宙人のいる教室 さとうまきこ フォア文庫
おじいさんのランプ 新見南吉 フォア文庫
宇宙のみなしご 森絵都 フォア文庫
ドッグ・シェルター 今西乃子 フォア文庫
道は生きている 富山和子 講談社青い鳥文庫
盲導犬不合格物語 沢田俊子 学研
台所のマリアさま ルーマー・ゴッデン 評論社
タイの少女カティ ジェーン・ベヤジバ 講談社
イクバルの闘い フランチェスコ・ダダモ すずき出版
きっと天使だよ ミーノ・ミラーニ すずき出版
ヘブンショップ デボラ・エリス すずき出版
はばたけ! ザーラ コリーネ・ナラニィ すずき出版
■小学校高学年・中・高校生向き
犬に本を読んであげたことある? 今西乃子 講談社
小学五年生 重松清 文藝春秋
きよしこ 重松清 新潮文庫
半パン・デイズ 重松清 講談社文庫
杜子春・トロッコ・魔術 芥川龍之介 講談社青い鳥文庫
モモ ミヒャエル・エンデ 岩波書店
ハートボイス 青木和雄 金の星社
ハードル 青木和雄 金の星社
これからはあるくのだ 角田光代 文春文庫
キッドナップ・ツアー 角田光代 新潮文庫
南の島のティオ 池澤夏樹 文春文庫
夏の庭 湯本香樹実 新潮文庫
ぼくらのサイテーの夏 笹生陽子 講談社文庫
アーモンド入りチョコレートのワルツ 森絵都 角川文庫
少年H(上巻・下巻) 妹尾河童 講談社文庫
プラネタリウムのふたご いしいしんじ 講談社文庫
ハッピー・バースデー 青木和雄 吉富多美 金の星社
出口のない海 横山秀夫 講談社文庫
佐賀のがばいばあちゃん 島田洋七 徳間文庫
盾シールド 村上龍 幻冬社
■中・高校生向き
博士の愛した数式 小川洋子 新潮文庫
まちがったっていいじゃないか 森毅 筑摩書房
まるごと好きです 工藤直子 筑摩書房
君たちの生きる社会 伊東光晴 筑摩書房
氷川清話 勝海舟 角川文庫
福翁自伝 福沢諭吉 岩波文庫
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