2008.01.31
サキさんのチェンマイ日記
■ 507■ 1月31日 2008
「ガイヤーン」
2003年のSARS騒動以来、我が家ではチェンマイ名物「ガイヤーン」を食べな
くなりました。
鶏を炭火で焼いた「ガイヤーン」。SARS騒動以前はチェンマイのあちこちに、店
や屋台があり繁盛していました。それが世界的なSRSA騒動で一斉に 姿を消したの
には、いささか異常反応ではないかと思うほど素早い行動でしたので、普段はの
んびりしており、世界の出来事の蚊帳の外にいたチェンマイと様変 わりがしてい
たことを思い出します。
僕の家の近くのチェンマイ大学農学部の鶏舎も、SARSの発生源の一つだと報道さ
れたのが異常反応を起こしたのかも知れませんが、普段はのんびりとしてい るチ
ェンマイ人にとっては珍しいほどのリアクションでした。
その後、チェンマイ空港で何人ものお客を迎えましたが、係員が厳重にチェック
態勢をしいていたこと、全員マスクを着用しており、香港から来た長女も「本場
香港より警戒が厳重なのに驚いた」という感想を聞くに及んで、これはタイ政府
がただならぬ大流行を予測して厳戒態勢をしいているのではないかと、のんびり
構えていた僕たち夫婦の危機管理能力の甘さに愕然としたものです。
それから4年、SARS騒動は新しい段階を迎えており、鳥インフルエンザは人から
人への感染が懸念されて、そうなると大流行は止められなく世界で1億人く らい
の死者が出るのではないかと推測されており、世界恐慌の態を出現させるのでは
ないかと恐れられています。最近もタイ北部のピサヌロークでH5N1型イ ンフル
エンザが原因の死亡者が出たという新聞報道がありました。タイのワクチン備蓄
状態はどうなっているのか、ちょっと心配事ではあります。
そんな状況ですが、いつしか騒動も忘れさられ、危機が差し迫ってはいないとい
う判断に甘んじたのか、チェンマイではいつの間にか「ガイヤーン」が復活して
います。
おいしいガイヤーンを食べさせると噂の、東北(イサーン)タイ料理の店に遅れ
ばせながら出かけました。場所はカッツンケウに近いお堀端のセブンイレブンの
近くです。店の名前は「ルムジャイ・ガイヤーン・ソムタム」。
店構えは屋台を大きくした感じですが、店の敷地の中にあった大木をそのまま生
かして屋根を取り付けてあるところなどは、やたらに大木を切り倒してしまう チ
ェンマイにあっては好感が持てます。お昼時だということで店の中は満席に近い
状態です。
日本人も多く訪れるようで、日本語のメニューも用意されているところは親切で
す。タイ料理は種類が多く、しかも客の好みのよって如何様にも料理してくれく
れるので、日本語メニューは重宝します。これがないとなかなか新しい料理に挑
戦できない悲しさが僕のタイ語のレベルです。
名物ガイヤーン、ソムタン(青パパイヤのサラダ)、コムヤー(豚ののど肉焼き)
、ご存知トムヤングン(大振りのエビとココナツが入っていて一押し)、それ に
カオニュオー(餅米)を注文し、ビア・ハイネッケンがそろえば豪華な昼食にな
ります。
ここでタイのビール事情のウンチク。今では低価格の発泡酒に近いビアチャン
(ゾウビール)のシェアーの大半を占めていますが(70%以上)、その昔はビ
ア シン(シンハービール)がリーディングブランドでした。ビアクロスターとい
う幾分アルコール度の低いビールもあり(僕はこれが好きでよく飲んでいました)
ましたが、いつの間にかシェァーを落とし、今ではスーパーマーケットでもたま
にしかいお目にかかれません。
タイのビールが低価格化する頃から、高級ビールとして売り出されたのがハイネ
ッケンです。オランダ産のこのビールは、アルコール度5度で、それほど強くな
いのがお気に入りでゴルフのあとなどによく飲んでいます。水代わりにちょうど
良く、さわやかです。先日香港の旧友夫婦がゴルフ旅行に来ましたが、ご夫人が
このハイネッケンをいたくお気に入りで、チェンマイのゴルフ場と、ハイネッケ
ンの良き思い出をお土産にお帰りになりました。
ガイヤーンは、炭火の遠火で丁寧にいぶり焼きされています。豚肉も焼き網に乗
っかっていますが、なんと言ってもこの店を有名にしているのがガイヤーンの
「たれ」です。僕の観測によれば、名物ナンプラーにピッキヌーイ(鷹の爪)、
それにハーブをすりつぶしたものを混ぜ合わせて独特のたれを作っています。こ
れに、いささかこげ気味の焼き鳥のぶつ切りをつけて、ビアハイネケンを飲んで
いるとこの世の天国が出現します。
客を観察していると、向のテーブルにヨーロピ アンの肥満体と、タイ人の女性
2人づれが座っています。テーブルには、アイスバケツ、ソーダー水、ペットボ
トル、タイ産ウイスキー「メコン」のポケット瓶 がそろっています。これはタイ
人男性の宴会の定番ですが、昼間からウイスキーとは、と観察していますと、女
性が面倒くさそうにメコンソーダーを作っていま す。
見つめている僕と目線が合いました。いかにも面倒だと言わんばかりに改めて顔
をしかめてみせます。作り終えたメコンソーダーを隣のヨーロピアンに面倒くさ
そうな顔で渡します。この光景はタイの女性の心理を良く表しています。昼間か
らメコンソーダーを飲んでいるのはいかにも世間体が悪い。しかし、自分の連れ
合いはこれが無上の好物、ま、仕方がないか、ちょっと外見は悪いが好きなもの
を無理に止めても仕方がないことだからと、諦念の感情が顔に出ています。
この辺りが、僕がタイ人女性の好きな部分です。これが日本人だったら「昼間か
らウイスキーなどを飲んで・・・・」と強く諌められること必定です。その点タ
イ女性は、結構男性をたてるすべを知っています。と、言っても芯は強いものを
持っていますので、それを顔に出さない工夫があります。面と向かって顔をしか
めることはありませんが、横を向いて実に嫌な顔をした女性を今までに何回も目
撃しています。
微笑みの国、タイランドとは言いますが、時代が変わって、女性の感情も変化を
きたしています。今では、女学生の微笑みなど1、2秒のもので、その後見事に
普通の顔に戻るのを見ていると、新世代の到来を痛感します。なんだか形状記憶
合金でできている笑顔で、サイボーグのように感じてしまいうのは僕だけでしょ
うか。
それに比べると、中年の女性は実に親切で、満面の微笑みがあったり、やたら親
切だったり、世話焼きだったり、日本では既になくしてしまった人情味はまだ沢
山のこっています。そんなチェンマイが僕は無類に好きです。
僕が移住して住みだしてから、チェンマイの食事事情も大変化を遂げました。山
国ですので新鮮な魚の入手が非常に困難です。そんな中、知人に紹介されたサン
サイにある魚卸は我が家の貴重な魚の仕入れ先でした。僕がバンコクに単身赴任
している間は、自動車の関係で家人はこの魚卸から足が遠のいていました。
それが先日3年半ぶりに出かけると、魚の価格がかなり高騰していました。なん
だか簡単には手が出ない感じまで値段が上がっています。原因は、最近増えた日
本人在住者が大挙してソンテウで押し掛けているからだと言います。この辺りが
ちょっと困った我が同胞の性癖で、噂が噂を呼んで多人数が押し寄せた結果、卸
の方もこれはいい商機が訪れたと値段をあげたようです。
移住当座はタイの物価水準が分からないため、すべてを日本円に換算して、
「安い、安い」と買いあさるのを見て、売り手も日本人には通常価格よりかなり
割高 で売るケースが沢山あるようです。それでも新住人の日本人には安く感じる
ようです。チェンマイ生活をしばらく続けると、物価の水準がわかってきます。
その とき、自分がいかに高い買い物をしていたかが分かっても後の祭りです。
この弊害は、日本人の顔を見ると「日本人価格」で売ろうとする商売人が多くな
り影響 は大です。新しい土地に住む知恵は、はじめのうちは周りを良く観察して、
決して日本の水準と比較して物事を判断しない知恵が必要だと考えます。
需要と供給の関係が崩れたしまった結果、チェンマイの魚は高価なものになって
しまいました。これは我が家の台所の危機とばかり、精力的に新しい仕入れ先 を
探しました。幸い、チェンマイで長い歴史を誇る日本料理屋の「山水」が魚の販
売を始めたとのニュースを知り出かけました。この店は移住当時一度来たこと が
あるのですが、そのときはタイ人のE君同伴だったので、生ものが食べられないE
君を慮ってすき焼きを食べたことが思いだされます。
その後、寿司屋などがエアーポーとプラザにでき、タイ人向けの日本料理屋「富
士」のチェンマイ支店ができたりして、日本料理もどき(日本人経営ではない日
本料理屋)には不満はなくなったので、山水の存在が影薄くなっていました。今
回訪れて仕入れたものは、あじ、蛤、さより、イワシなどです。あじは板前さん
がちゃんとたたきにしてくれ、さよりも、鱗を落としてくれる親切さですので、
サンサイの卸よりこちらの方が便利です。それに値段も手頃で、いい魚の仕入れ
先ができてご機嫌な今日この頃です。
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