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サキさんのチェンマイ日記


2008.03.08

サキさんのチェンマイ日記


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■512■ 3月8日

「メーオーゴルフクラブ」

そこは巨大な穴の底というべきか、人工的なグランドキャニオンというか、とに
かく焼けただれた巨大なフライパンの底にいる感じです。

ゴルフ仲間と出かけたランパンのメーモーゴルフコース。ここはタイで一番大き
な火力発電所があるところです。豊富に産出する褐炭(リグナート)を露天掘り
にしてそれを燃やして燃料としています。到着時には10本ほどある火力発電所
の煙突から、盛んに白い煙を吐いていましたので、これは多大なる公害の発生源
だと考えられます。ゴルフ場はそんな環境の中にあります。

チェンマイを朝の暗いうちに(午前6時)に出発、そのときはこの時期としては
珍しい激しい雨が降っていました。この時期に珍しいと書きましたが、今年は例
年と違って2月の終わりから3月にかけて、時ならぬ雨が降ります。

世界的に異常気象がいわれていますが、ここチェンマイでも、昨年の煙害以来ど
うも気象が一定しません。3月にしては珍しくすがすがしい朝を迎えることがで
きる日が多く、おおいに助かります。

タイの乾期の太陽の照り返しは、我慢のならないレベルまで達することが多く、
それに湿気が混じると、蒸し暑さもプラスして不快指数が上昇します。しかし、
今年は(というかこの時期は)湿気が少なく、空気が乾燥していますので、室内
にいると肌寒さを感じるくらい快適で、ここが南国だということをしばし忘れ去
ってしまいます。

といっても、日中外の暑さは尋常ではなく、絵を描きに毎日カッツンケウまで徒
歩で通っている家人は、家に帰り着くと常套句のように「今日は暑いね」といい
ますが、「今日は」ではなく「今日も」でしょうが、どうしたわけか「今日は暑
いね」といって玄関の鍵をがちゃがちゃと開けて帰って来ます。どうも彼女は、
最近の早朝の快適さを毎日味わっていると、毎日続く日中の強烈な暑さを忘れ去
ってしまって「今日は暑いね」の繰り返しとなるようです。それだけ早朝のすが
すがしさにリフレッシュされているのかも知れません。

そんな毎日ですので、この時期雨が降れば、これは異常なことで、何かよからぬ
ことが起こるのではないかと、余計な不安を募らせたりします。今回のランパン
へのゴルフ行はそんな朝でした。

ランパンまでのドライブは1時間あまり、そこからゴルフ場のあるメーモーまで
は1時間足らず、合計2時間のドライライブです。今回は、ゴルフ仲間のフアラ
ン(外国人)の二人が車を出してくれたので、僕の車はグリーンバレーの駐車場
に止めて、ボブのホンダのSUVに同乗することにしました。ボブとそのタイ人
の奥さん、それに途中で、長らくバンコクバンクに勤めていて、最近リタイアー
したタイ人のカンさんです。

カンさんを途中で拾うことにしてスタートしました。カンさんが待っているのは、
スーパーハイウエー沿いのカールフールの前とのことです。そこまでは、早朝の
空いた道路を突っ走り(全くボブの運転は韋駄天走りです。車も新しく買った様
子で真新しく、奥さんの話ではこの車を非常に気に入っており、運転も好きだと
いうことです)ましたが、待ち合わせ場所にカンさんの姿はありません。

確かここだったはずだといいますが、車を止めて待つという風でもなく、そのま
ま突っ走ります。僕はきっとカンさんは参加をあきらめたと思っていたら、スー
パーハイウエーをかなり走ってUタウンしてまた元の場所に戻ります。途中先行
したノックさん(別のタイ人婦人)から僕の携帯に、カンさんを無事拾えたかど
うかの確認の電話が入ります。僕は事情を説明して、同乗のボブの奥方に電話を
回しましたが、かなり長い間「カールフールでなかったかしら」とか、「彼はイ
ンデックスの前だといっていたから、インデックスはカールフールの隣だから、
そのあたりにいるはずだけど」となんだか不確かなタイ語の会話をしています。
ここで国民性の違いがはっきりして来ました。

日本人であれば(僕であれば)、迷わずカールフールの前で車を止めて、カンさ
んの到着を待つことにします。待ち合わせ場所もはっきりとカールフール前と確
認し、そのように記憶します。カールフールはインデックスの隣だから、などと
曖昧には記憶しません。もし、その場所が不案内なら確認を怠りません。なんだ
かフアラン(外国人)とタイ人と、日本人の僕とでは、ものの記憶の仕方、待ち
合わせの仕方、などに微妙間違いがあるようです。

今回のゴルフ行にはそれ以外に、韓国人のパックさん夫婦も参加しているので、
なんだかちょっとややこしいコミュニケーションになっています。待ち人のカン
さんは結局あたりを3回くらい回った時間に、息子に送られて登場しました。完
全なる遅刻です。別段遅参を謝る風でもなく彼は車に乗り込んで来ました。これ
もいかにもタイ的だと思え、日本人だったら待ち合わせの5分前にはその場所で
待っていると、思います(少なくても僕はそうです)し、遅れたらまず謝ります。
ボブは遅刻苦々しく思っている雰囲気はありません。

こんなちぐはぐな調子で、車は一路ランパンを目指しました。雨はしばらくする
と上がり、早朝でもあるので道路は空いており、快適なドライブとなりました。
ボブの車は大人4人が乗るのに十分な大きさで、それにSUVで馬力もあり、県
境の峠をぐいぐいと登って行きます。昨年12月に僕も同じ道を走ってランパン
の陶器市に行きましたが、僕のホンダシビックでは何回もギアーをチェンジしな
ければならない峠の上り下りも、ボブはDギアーで上り下りしました。いやゴル
フ場に着くまで一回もギアーチェンジをしませんでした。

SUVがこんなに馬力があるとは想像もしませんでした。結構遠出をする機会が
あるチェンマイ生活ですので、次回はこんな車にチェンジしたいと思う気持ちが
強くなりました。家人も山に登れる車が欲しいなどといっていますので、検討の
余地はあるようです。この車は結構ガソリンを食うような感じがしますが。

ランパンからメーオーまでは、朝のラッシュ時間と重なったので(と、いっても
こんな田舎にどうしてこんなに沢山の車が走っているのが不思議です)
のろのろ運転になってしまいました。このあたりまでくると、道路標識はタイ語
オンリーで、英語表記は全くありません。かなり前に、チェンマイ周辺のゴルフ
場をすべて制覇する旅行をしましたが、そのときメーオーもその候補に入りました
が、道順がいますこし不案内なのと、道路標識のこともあり、それにゴルフで一緒
になった外国人(フアラン)が、わざわざ行くこともないコースだといっていま
したので、あきらめていました。家人はタイ語が少し読めますが、これではタイ人
と同行しなければちょっと不安な場所にゴルフ場はありました。

緩やかな上り坂をあがっていくと、突如、10本ばかりの煙突が見えてきます。そ
れも白煙を盛んに吐き出しています。こんな場所に火力発電所があるとは全く知
りませんでした。褐炭を露天掘りしていることも知りませンでした。ボブの奥さ
んがいうには、ここはタイ最大の火力発電所で、タイ北部と一部バンコクまで電
気を送っているということです。それも多少自慢げに、です。

褐炭の露天掘りは見渡す限りの場所で行われており、それを運ぶベルトコンベアー
が網の目のように張り巡らされています。ベルトコンベアーは天井付きですので、
何やら黒い色のチューブがあちこちを蛇行している感じにも、遠目には電車の線路
があるようにも見えます。

時々ダイナマイトを爆破させる音が遠く聞こえ、その方面を見ると長い一直線の
土煙が上がっています。そんなこんなやで、土埃があがっており、空はどんより
と
して、霞がかかっています。この状態では一年を通じて晴天は拝めないような、
そんな感じに見えます。これで褐炭を運ぶ大型トラックなどが走り回っていたら、
それこそ公害の集大成という感じになると思われ、この部分では最悪の事態を避
けられていると考えます。ベルトコンベアーはゴルフ場のフェアーウエーのすぐ
そばを走っています。公害の最大の元凶は、石炭を燃やすことだと物の本にはあ
りますが、褐炭もそれに準じる燃料ですので、この発電所は相当な公害源だと思
われます。

ゴルフ場はまさにその大きな穴の端に位置しています。この巨大な穴は20年以
上掘り続けられており、低いところは、ゴルフコースの一番高い場所からですと
約100メートルの高低差がある感じです。コースは20年の歴史を誇るといい
ますから、多分この発電所ができたとき、従業員用にゴルフ場を造ったようです。
そういえば、ランパンからもう少し南に下がった場所にあるプミポンダムゴルフ場
も、これは巨大な水力発電所のダムの下流にありました。ここも、ふるいタイス
タイルのゴルフ場で、タイ北部電力会社の所有でしたからこのメーモーゴルフ場
と同じです。

タイではこのほか、軍隊もゴルフ場を持っており、アーミー、エアーホースなど
のコースがバンコクにはあります。チェンマイにあるランナースポーツセンタのコ
ースがアーミーの経営しているようです。

コースはかなり前、フアランがいったように、特徴のない古いタイプのゴルフ場
でした。グリーンも芝目のきつい高麗が張ってあり、パットの調子がすっかり狂
ってしまいました。しかし、アウトの9番の打ち上げや、インの10番の30メ
ートルくらいの打ち下ろしのショートホールは普段平らなコースでやっている僕
たちにとってはチャレンジしがいのあるホールでした。そういえばタイ南部のプ
ーケットカントリークラブにも同じような打ち下ろしのショートホールがあるこ
とを思い出しまた。

ゴルフコースの緑と、露天掘りの赤茶けた埃っぽい対置との対比が非常にアンバラ
ンスなのが、強烈な印象になって記憶に残り、ゴルフそのものはそれほどエキサイ
トできませんでした。コースの高い場所から見下ろすと、視界全面に露天掘りの荒
涼とした大地と、のたうち回るように見えるベルトコンベアーの黒い線が印象的な、
そんなランパンのメーオーゴルフ場でした。

マルチナショナルでラウンドすると、国民性の違いが露わになっておもしろい体験
ができます。韓国人は少ししゃべりすぎ、タイ人は黙々と、フアランは英語を母国
語とする同国人と、僕はどっちも付かずに全方位で。




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