2008.05.26
【YAMAsan no Live_bibouroku/Exp:Report@Arc】vol.1911
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【YAMAsan no Live_bibouroku/Exp:Report@Arc】vol.1911
配信/5月26日
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ヤマさんの映画日誌 from 高知
美術館春の定期上映会“マレーシア映画祭”
1『霧』(Sanctuary)('04) 監督 ホー・ユーハン(何宇恆)
2『グッバイ・ボーイズ』(Goodbye Boys)('05) 監督 バーナード・チョーリー
3『鳥屋』(The Bird House)('06) 監督 クー・エンヨウ(邱涌輝)
4『愛は一切に勝つ』(Love Conquers All)('06) 監督 タン・チュイムイ(陳翠梅)
5『私たちがまた恋に落ちる前に』(Before We Fall In Love Again)('06)
監督 ジェームス・リー(李添興)
二日間で開催されたもののうち二日目の5作品のみを観て、一日目のヤスミン・アハマド監督
の4作品は観逃した。寄る年波を感じるのは、一日5本も用意されていると、特にまだ先の長い
午前のうちなど、これからの長丁場に怯んでか少々うんざり感が先立って、集中力を発揮できな
くなってきているのを実感してしまうからだ。おまけに初っ発から、ベータカムの安っぽい質感
画像で、アスファルトを引きずっている赤い傘のクローズアップの移動画面から始まる映画を見
せられると、もう如何にも自主製作といった個人映画の少々観飽きたようなイメージを連想させ
られて、いきなり辟易感から入ってしまうことになった。この『霧』は、釜山国際映画祭やロッ
テルダム国際映画祭で受賞もしている作品らしいが、「構成はあざとく、画面に魅力はなく」で、
僕にはサッパリの映画だった。
全作品が2006年の第19回東京国際映画祭での特集上映に招待された作品だったようだが、全
てベータカムの画像だったので、気持ちの上でも観ていて疲れてくるようなところがあった。
それでも、マレーシア映画などというものは、ふだん観る機会がないものだから、個々の作品
の出来や僕との相性以前のところで、マレーシアが窺える点で興味深い。もちろん僅か5作品に
表れているものがマレーシアの全てでないことは、翻って日本映画の5本で日本の全てを断じら
れても不本意なのと同様なわけで、僕にしたって百も承知のことだ。だが、『私たちがまた恋に
落ちる前に』での会話によって、日本だけでなくマレーシアでも韓流ドラマのブームが訪れてい
たらしいことを垣間見たりすると、やはり見知らぬ国の映画を観る楽しみを新たにする気分にな
れる。美術館の作ったチラシによれば、この国は、マレー系(約66%)、中国系(約26%)、インド系
(約8%)ということらしい。そう言えば、『鳥屋』のなかで、中国系の家の一間で怪しげな自動車
教習教室をやっていたのは確かにインド系だったように思う。勢力的に弱い分、社会での立場も
弱いのだろう。それで言えば、この民族系比率からすると、この日に観た5本のうち4本が中国
系であったことがマレーシアの映画状況を反映しているかどうか判らないながらも、かつてハリ
ウッドがアメリカ実業界の主流には乗れないユダヤ系人材の集積を受けて発展したことを思い起
こし、目を惹いた。
また、中国系の作品がいずれも中華色が前面に出てきていることに対し、マレー系と思われる
『グッバイ・ボーイズ』がマレー色ではなくて、強いアメリカ色の際立ちを感じさせていたこと
も目を惹いた。『アメリカン・グラフィティ』と『スタンド・バイ・ミー』を併せたような作品
で、使われる言語は基本的に英語だった。しかも、ボーイスカウトや高校卒業のダンスパーティ
が青春の一大イベントになっている。日本以上にアメリカナイズされていることに驚きつつ、中
国系のマレーシア映画との違いの大きさに戸惑った。こういう国のナショナル・アイデンティテ
ィというのは、どのようにして形成されるものなのだろう。世界最大の多民族国家とも言うべき
アメリカでは、伝統とか文化に立脚できなかった分、強さやタフさやら愛国心といったメンタリ
ティとアメリカン・ドリーム神話やアメリカン・デモクラシーといった社会理念に、その拠り所
を求めてきたような気がするが、もしかすると、マレーシアにもそれに相当するものがあるのか
もしれない。
'08. 5. 6. 県立美術館ホール
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