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2008.08.06

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今週のもくじ
 ・YMコラム
  ・ヒューストンレポート
 ・ホットトピックス
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☆☆ YMコラム ☆☆  (NO.436)

   アメリカの「ファルコン1」ロケット、3度目の打ち上げ失敗

   1 ハワイの南西4000 km、中部太平洋のクウァジャレイン環礁に
     オムレックという島があります。
     この島のアメリカ陸軍レーガン発射基地から、さる8月3日午
     後11時34分(米国中部時間、国際標準時午前3時34分)に、
     「ファルコン1」ロケットが打ち上げられました。1段目は完
     璧な飛翔を見せ、管制室が沸きましたが、発射後2分39分、段
     間の分離がうまくいかず、2段目は1段目をくっつけたまま海
     上に落下してしまいました。このロケットには、国防総省の
     衛星トレイルブレイザー、NASAの小型実験室プリーサット、
     同じくNASAのソーラーセイル実験機ナノセイルDが搭載されて
     いましたが、すべて海の藻屑となりました。

   2 「ファルコン1」ロケットは、アメリカが民間ロケットとして
     財政援助をしているものの一つで、IT長者エロン・マスクが
     2002年に設立した「スペースX社」が開発を進めています。
     2006年8月、「ロケットプレーン・キスラー社」とともに、100
     社を越す候補の中なら商業用ロケットの開発担当会社に選定さ
     れた「スペースX社」は、現在この小型の「ファルコン1」と
     同時並行で中型の「ファルコン5」と大型の「ファルコン9」
     というロケットも開発中で、いずれも2段式液体ロケット。燃
     料には液体酸素とケロシンを使用しています。1段目をパラシ
     ュートを使って海上で回収するため、大幅なコストダウンが望
     めます。

   3 ファルコン1とファルコン5は小型衛星の打ち上げ市場に殴り
     込みをかけ、ファルコン9は、「デルタ」や「アトラス」など、
     ボーイング社やロッキード・マーティン社などの大企業とつば
     ぜり合いをしていこうというものです。その志やよしというと
     ころです。ところで、空軍士官学校の衛星ファルコンサットを
     乗せてファルコン1が最初に打ち上げられたのは2006年3月25
     日のこと。発射後29秒後、ファルコン1ロケットは燃料漏れが
     原因エンジンが停止し、失敗。次いで2007年3月に発射された
     2号機は、2段目の燃料のスロッシングが起きてスピンに以上
     を来し、衛星軌道に到達せず。満を持して打ち上げた今回の打
     ち上げも失敗してしまいました。スペースX社のCEOであるマ
     スクさんは、「大丈夫、大丈夫、金はいくらでもある」と胸を
     張っていますが、「着眼大局、着手小局」で乗り切ってほしい
     ものです。

   4 現在国際宇宙ステーションという馬鹿でかい宇宙建造物を組み
     立てている最中であることは、みなさん御存知でしょう。これ
     は2010年の完成をめざしているものですが、このために人員や
     ら物資やらを運んでいるのが、アメリカのスペースシャトルと
     ロシアのソユーズ・ロケットです。そしてスペースシャトルの
     方は、何と言っても老朽化をしているので、2010年にISSを完
     成させたら引退することになっています。その後はアメリカの
     宇宙輸送はどうなるのでしょうか。まず、スペースシャトルの
     後の宇宙輸送を担わせようとNASAが考えているのが「オライオ
     ン・プロジェクト」です。オライオン・プロジェクトは、
  
     Ares I(アレース1):中型ロケット。人間を運ぶ。使い捨て。
     Ares V(アレース5):大型。貨物運搬用。使い捨て。
     Orion(オライオン): CEVの愛称。有人宇宙船。ISSへ、さら
                に月・火星への飛行。

     の3つから成ります。当初、このうちの有人宇宙船CEV(Crew
      Exploration Vehicle)のことをアンタレスとかアルテミスと
     呼んでいたこともありましたが、いまではOrion(オライオンま
     たはオリオン)が、プロジェクトの名前と有人宇宙船の名前の
     両方に使われています。ちょうど1960年代にApollo(アポロ)
     という名が、プロジェクトと有人宇宙船の両方に使われていた
     のと同じですね。なお、「オライオン計画」または「オリオン
     計画」というのは、オリオン計画またはオライオン計画 
     (Project Orion) は、アメリカで1950年代から60 年代にかけ
     て行われた、核パルス推進を動力源とする宇宙船の最初の工学
     的な研究開発計画の名でもありますので、混同されないように。

   5 というわけでNASAは「オライオン・プロジェクト」の完成を急
     いでいるわけですが、その本格運用は2015年をめざしているの
     です。となると、ISSの完成する2010年から5年間の空白期間が
     生じますね。今のままだと、この空白期間はロシアのソユーズ
     が人間を運んでくれなければ、アメリカは月に行くための乗員
     の輸送手段を失うわけです。上に書いた「アレース」ロケット
     が本格始動するまでは、何とか我慢しなければ……。そのどさ
     くさに割って入ろうとしているのが「スペースX社」です。ア
     メリカ政府がスペースX社に期待するのは、?「オライオン」
     のように、月や火星をめざすビッグでリスキーなプロジェクト
     は国がやるので、地球周回の小型衛星などは民間で取り組んで
     ほしい(2)空白の5年間のISSへの物資輸送を受け持ってほしい、
     (3)宇宙旅行についての人々の欲求を満たすための事業をリード
     してほしい、などです。

   6 今回のフライトで1段目に使った「マーリン1C」というメイン
     エンジンは、ファルコン9にも用いるもので、この新型エンジ
     ンが極めて立派に働いたので、スペースX社では「大きな前進」
     と考えているでしょう。それにしても段間分離などという最近
     はあまり耳にしない事故で軌道に届かなかったとは、ちょっと
     残念ですね。まあ、初めから順調よりも色々と苦労する幕開け
     のほうがいいとは思いますがね。NASAが援助している会社のロ
     ケットが、初号機から3つ続けて打ち上げに失敗したとなると、
     ライバルだったボーイングやロッキード・マーティンなどは強
     い批判を浴びせるでしょうし、スペースX社のロケットによる
     宇宙旅行に不安を抱く人も多くなるでしょう。民間の開発は信
     用第一ですから、早く事故の分析結果を見たいものですね。                (YM)
  
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matogawa@planetary.or.jp
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☆☆ ヒューストンレポート ☆☆  (369号)

   元宇宙飛行士ジョン・グレン氏、シャトル運行を延長するための
   予算を追及

   ステュワート・パウエル
   著作権 2008 ヒューストン・クロニクル
   2008年7月30日

   要約:伝説的なNASAの元宇宙飛行士ジョン・グレン氏は、シャトル
      引退後、5年間もロシアのソユーズに依頼するようなことは、
      米国のやるべきことではない。NASAに充分な予算をつけて、
      宇宙プログラムで米国がリーダーシップを発揮しなければな
      らいと主張。

   ワシントン発  伝説的なNASAの元宇宙飛行士ジョン・グレン氏は
   水曜日(7月30日)次期大統領の宇宙関連項目の概要をまとめ、ホ
   ワイト・ハウスと議会に、有人の新しい宇宙船が就航するまでの5
   年間、シャトルの運行を継続するための予算を確保するように働き
   かけた。

   グレン氏(87歳)は、米国の有人フライトを停止する期間、宇宙飛
   行士を国際宇宙ステーションへ運ぶのに、ロシアのソユーズ・プロ
   グラムに依存するリスクをとるべきではないと語った。

   「わたしはロシアのシステムに頼って、われわれの人員をわれわれ
   の宇宙ステーションに運ぶ日が来るとは思わなかった。」と、グレ
   ン氏は上院がNASAの50周年記念を祝った日に、議会の科学および技
   術委員会で述べた。「それは世界で最も宇宙に旅している国がやる
   ことではないと思う。」

   地球を周回した最初のアメリカ人としての名声を博するグレン氏は、
   オハイオ出身の上院議員であり、有人のオリオン宇宙船が就航する
   までの期間として予測されている5年間のギャップは、オリオン開
   発途上、あるいは製造過程で何らかの問題が発生すれば、さらに広
   がる可能性があることも警告した。

   「その5年間は新しい宇宙船の開発が問題なく完成して、決められた
   期日に納入されることを前提としている。納入が遅れれば、ロシア
   へ依存する期間はもっと長くなる。」とグレン氏。

   上院議員として、1998年シャトルで9日間宇宙を飛行したグレン氏は、
   現在使用しているシャトル3台の運行を延期すれば、その5年間にか
   かる毎年のコストは30億ドルであると言う。

   2010年にシャトルが引退した後、宇宙ステーションに宇宙飛行士を
   運ぶロシアとの契約は、最初部分が7億5000万ドルで、NASAはすで
   に署名済みである。次の契約は2011年から米国の有人飛行が始まる
   2016年までをカバーするもので、現在交渉中である。

   グレン氏は民主党員で、1962年3回の軌道ミッションの後、故ケネデ
   ィ大統領と親密となった。グレン氏は、次期大統領に立候補してい
   るバラック・オバマ上院議員およびジョン・マケイン上院議員にも
   かれの声明を送っている。

   1958年にアイゼンハワー大統領により、宇宙局を設置する法案が署
   名されてから、50周年を記念して出された声明のなかで、オバマ氏
   もマケイン氏も、ブッシュ大統領の指導、すなわちNASAの方向付け
   については、なにもふれていない。

   オバマ氏は、宇宙局の政策について、いまだ具体的なものをもって
   いないが、ワシントンの匿名の高官に「NASAには健全でバランスが
   とれた充分な予算をつけていない。」と語ったとされている。

   オバマ氏はもし、大統領に当選したら、NASAを活性化し、アメリカ
   のリーダーシップを維持し、宇宙プログラムを約束するリーダーシ
   ップをとると語った。

   マケイン氏は有人宇宙飛行の5年間のギャップに注目してはいるが、
   解決策はなんら提示していない。大統領は「宇宙における米国のリ
   ーダーシップを確保することについては毅然と構えている。」とマ
   ケイン氏は述べたが、これはシャトル引退後の米国の有人宇宙飛行
   の能力は後れをとるかもしれないことをほのめかしている。

   マケイン氏は「宇宙飛行士が継続して宇宙探検ができるように行動
   する。他の国に乗せてもらうのではない。そして新しい時代の人類
   の競争を始めることができるように、NASAの有人宇宙プログラムが
   必要にして充分な資源をもつようにしたいと思っている。」と述べ
   ている。

   長年にわたりシャトルのプログラムを擁護してきたグレン氏は、ブ
   ッシュ大統領が2004年にNASAの予算をばっさりと削減したことをあ
   からさまに批判している。ブッシュ大統領は宇宙局の2020年に人間
   を再び月へ送るプログラムや、2030年に宇宙飛行士を火星に送るプ
   ログラムを無視して、単にギヤチェンジをするように命じたのであ
   る。

   その結果、グレン氏によれば、ホワイト・ハウスの青写真を実現する
   新しい方向に資金を使うため、NASAはシャトルのような既存のプログ
   ラムの予算を削減せざるを得なくなった。

   NASAの高官であるクリス・シャンク氏は、電話でのインタビュウで
   NASAには大統領の青写真のための追加予算はないと答えている。
   NASAはまた、シャトル・コロンビアの事故の後、長い空白期間を経
   てシャトルを再開したことで発生した、目に見えないコストも負担
   してきた。

   シャンク氏はグレン氏の追加予算のアピールにたいするNASAの反応、
   あるいは、次期政府に宇宙のプログラムの方向付けをせまるグレン
   氏の努力にたいするNASAの反応については、返事を避けた。

   「それはNASAがコメントする問題ではありません。」と宇宙局の元
   戦略的投資ディレクターのシャンク氏はいう。「われわれはホワイ
   ト・ハウスあるいは議会の住人が誰になろうと、大統領と議会が命
   ずる方向に従うだけです。」

   しかし、下院議員で、議会の科学パネルのメンバーであるニック・
   ランプソン氏(テキサス州スタッフォード出身民主党)は、グレン
   氏の発言は立法府の議員がシャトル・フライトの予算の獲得をしや
   すくすると言う。

   「グレン氏はいまや宇宙プログラムの象徴としてこれ以上の人はい
   ません。」と、自分の選挙区のなかにジョンソン宇宙センターをも
   つランプソン氏。「かれはとても尊敬されています。かれが言って
   いることは、われわれが強調すべきことであり、予算を使うべきこ
   とであるので、下院および上院の議員に影響をあたえるでしょう。」

   NASAはヒューストン近辺に約20,000人の従業員をかかえ、地域の経
   済にかなり貢献している。

Glen pushes for money to extend shuttle operations

By Stewart M. Powell
Copyright 2008 Houston Chronicle Washington Bureau
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☆☆ ホットトピックス ☆☆

   ● タイタンの南極地域に液体エタンの湖

     探査機カッシニの観測により、土星の衛星タイタンに液体
     エタンの湖が存在することが初めて確認された。米アリゾ
     ナ大学の研究チームが、2007年12月のタイタン・フライバ
     イで得られた画像データを分析した結果明らかになった。

   ● 8月1日に皆既日食

     8月1日早朝、北半球の一部で皆既日食が観測された。

   ● 8月9日(土)にJAXAの一般公開

     8月9日(土)、神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究本部で、
     今年の一般公開が開催される。

各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。
http://www.planetary.or.jp/
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■タイトル  :TPS/Jメール
■発行元   :NPO法人 日本惑星協会
         http://www.planetary.or.jp/
■発行日   :毎週水曜日
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
         http://www.mag2.com/
■マガジンID:0000022732

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