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出たっきり邦人【欧州編】


2008.06.10

【出たっきり邦人 欧州編】761 フランス


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                  ◇◆乙編◇◆

             〓フランス パリ郊外発〓
                移民への道
             〜人間性で勝負しようよ〜

みなさま、こんにちは。
ガエル・モンフィスくん、残念でした!(あ、テニスの話です)
いえいえ、世界ランキング1位のフェデラー選手に勝てるなどとは
お国びいきのフランス人でさえ、だれも期待してませんでしたけれど
ランキング3桁の彼がまさかの準決勝進出でしたから
そりゃもう大騒ぎ、パリ市役所前には巨大スクリーンが出て、
黒山の人だかり。(平日の昼なんですけど・・・仕事は?学校は?)

え、ワタクシ?もちろん職場のテレビでね、一応仕事をするふりをしながら
ちらちらと。はい。
じーっとテレビに集中できるほど暇ではないので
音量だけ巨大にしましてね。
取引先から電話がかかってきたときには、
ボスは大慌てでテレビのリモコンをつかんでおりましたね。ははは。

で、ガエル君の笑顔がかわいいとかいろいろ言いながら応援していたのですが
どうもワタクシ、あの肌の色の若い男性は誰でも、息子の友達のジョルダンくんに
見えちゃうんですよ。息子に言わせると「全然ちゃうがな!」なのですけれど。

さすがに白い人の区別はつきますよ。
白い人なら、フランス人、スペイン人、ドイツ人、アメリカ人、北欧系、の区別も
大体つきます。
だって18年もヨーロッパに住んでいますもの。目も慣れてくるというものです。

でも黒い肌、褐色肌は難しいですねー。
移民1世のアフリカ人はたち振る舞いでなんとなくわかります。
でもどこの国の人かといわれるとさっぱり・・・
褐色肌の人の見分けはほとんどできません。
子供は皆、息子の友達のパキスタン人アチックくんに見え
男性はアチックくんのパパで女性はアチックくんのママに見える・・・
イスラムの人になると、息子の友達の何々君、という見慣れたモデルさえいないので
もうお手上げ。
移民地区に住んでいてもこの程度です。
日本人のお年寄りが、ガイジンさんは全員アメリカ人だと信じているのも
致し方ないと思えてしまうのであります。

フランス人は、過去の(植民地時代)の名残か、
アフリカ人とカリブ海のフランス領に住む黒い肌の人との区別、
また、北アフリカのイスラム系と中近東の人の区別はつくようですが
東洋人の区別(中国、ベトナム、韓国、日本・・・)のつく人は珍しいです。
たとえば私の職場は韓国、日本人の多い地域ですので、
東洋人に慣れているフランス人も多いですが、
逆に私の住んでいるところはほとんど東洋人がいませんので
個人商店などで、この人には何語で話しかけたらいいんだろう・・・みたいな
日本人の、ガイジンに対する反応のようなものに出会うこともあります。

どちらもどっち。
東洋人に慣れているフランス人に、人懐っこく話しかけられるのはうれしいけれど
東洋人がおとなしくて文句を言わないことを知っていて、
腐りかけた果物を平気で売りつけようとする八百屋のおっさんがいたり、
(私は文句言いますよ。言うにきまってますがな。するとおっさんの態度は変わる)
逆に、東洋人に慣れていなくて、わけわからん人種と決めつけて
町の集まりに出かけても声をかけてもらえないこともあれば
東洋では肉を食うのか?どんな野菜を食べるんだ?チーズは存在するのか?と
興味しんしんで質問してくる地元の市場のおっちゃんもいたり。なかなかかわいい。

その人次第、なんですよね、結局は。

ただいずれにしても、こっちがフランス語を話すと距離は一気に縮まります。

一例。
5月の連休に、日本人の同僚がお嬢さん2人を連れてノルマンディーへ出かけました。
観光地からやや外れたところにあるレストランに入りました。
客はほとんどいなかったにもかかわらず、案内されたのは奥のほうの、いわば末席。
でも、早い時間だったしこの後混雑するから奥から詰めていこうという考えか、と
良心的解釈をして、席に着きました。
メニューを見て、何を食べるか決めました。
待てど暮らせど注文を取りに来ない。
手をあげて、ウエイトレスを呼びます。
お母さん(日本育ちなのでフランス語はあまり上手ではない)が注文するのを、
つん、とした顔のウエイトレスがめんどくさそうに書き込み、
わかりましたともありがとうございますとも言わず厨房へ去って行きました。
それを見た上のお嬢さんがキレました。
ウエイトレスを再び呼ぶと、ネイティブフランス語で
「お水を1ビン追加してください。
それから、前菜は3人で分けたいのでお皿を2枚余分にいただけますか?
あと、私たちはちょっと急いでいるので、メインを急いでいただけると
ありがたいんですけど。」と、まくし立てました。
するとウエイトレスの態度が豹変したそうです。
最終的には、こちらの希望通りの迅速なサービスを受けた上、料理もおいしかったから
終わりよければすべてよし、だったそうですが、
同僚(お母さん)が私に言うには
「娘たちが日本で育ったら、こんないやな目にあうこともなかったのに、と思うと、
フランスで産んで育てたことが(娘に)申し訳ないような気になったのよ」

そうでしょうか?
確かに、日本で育った子供は見た目で差別されることはないでしょう。
当たり前です、自国に住んでいるのだから。
子供に、理不尽な思いをさせたくない親心はよくわかりますが、
日本に住んでいたって理不尽な扱いを受ける可能性はいくらだってあるのです。
たぶんこのお嬢さんたちは、このような目に遭ったことは初めてではないでしょう。
学校でも、何度も、
「大げさに被害者面するほどではないけれど小さな差別とでもいえるような扱い」、を、
経験してきたはずです。
少なくとも、この子たちは、相手の外見を見て、自分の態度を変えるようなことは
決してしてはいけないことを、すでに体得しているでしょう。

わたしなら、本来(日本に住んでいたら)親が教えなくてはいけないことを
海外暮らしのおかげで、勝手に学んでくれている、ラッキー、と考えるわよ、と
わたしは同僚にそう答えました。

結局、国籍だ肌の色だ人種だ、に違いがあっても
(ここに宗教を入れなかったのは故意によるものです)
生まれ育った環境に違いがあっても
ベースは、その人の人間性、じゃないですか?
そう考えると、子供をしつけるのが怖くなってくるんですけどね・・・

さて、前述のお嬢さん、今年18になるのですが、先日フランス国籍を取得しました。
フランス生まれの子供は、親の国籍にかかわらず、16歳から20歳までの間に
フランス国籍を申請し、取得する権利があります。(出生時は父親の国籍に準じる)
で、わたしがびっくりしたのは、なぜ20歳直前まで待たなかったのか、
ということなのですが、
というのは、今後その子がフランスで永住することがほぼ間違いなかったとしても
一度捨ててしまった日本国籍を再び取得するのはものすごく難しいのだから
両方取れる可能性のある期間は、限界まで保持するべきだと認識していたのですが
聞いてみましたら、
実は、フランスでは18歳で成人扱いとなります。
未成年のうちに国籍を申請するのと、成人してから国籍を申請するのとでは、
もちろん、いずれにせよ取得できるのではありますが
手続きの煩雑さが天と地ほど違うのだそうです。
「だからさ、70パーセント以上の確率でフランスに永住するんだったら
未成年のうちに取らせるべきだわね。」と、同僚。

なるほど・・・、ということは、我が家のサルも2年後にはフランス国籍取得か。
たぶん。

ところが、それを聞いた別の日日家庭の友人は「信じられない!!」というご意見。
「うちもたぶんフランス永住だわよ、親はともかく子供はね、フランス生まれで
日本の教育を受けた経験がないのに、日本で就職することは考えにくいしね、
でも、フランス国籍は取ってほしくないわ!
本人が20歳になる前に、何が何でも、というなら取らせるかもしれないけれど、
そうでなければ日本国籍のままでいさせるわ!」

各家庭には各家庭の考え方があります。それに異論をはさむつもりはないので
彼女には何も言いませんでしたが
国籍を持っていないと、就職をはじめ、あらゆる面で不利なことが出てきます。
親は違う国(日本)で生まれ育って、わざわざ外国に移り住んできたのですから
永住権を持っていても不利な点が多々あるのはしかたのないこと、
でも、フランスで生まれ育った子供がそのままフランスに住み続けるのに
わざわざ、不利な道を選択しなくてもいいのではないかと。
日本国籍を保持することがそんなに重要か?

ご存じかどうか、わたしは在日(今では在仏ですが)韓国人なのですが
私の父は、わたしに日本国籍を取らせてくれませんでした。
私は日本生まれの日本育ち、
韓国語をほとんど理解しないし、今後韓国で暮らす気もまったくないのに、
日本国籍?ありえない。と、剣もほろろのお答えでした。
今はともかく、私の20歳代の時代にはまだ、特に就職面で大きく不利でした。
父の気持の背景には戦時の日韓摩擦のことがありますし、
わたしは父に逆らうことができませんでした。
でも、心の底では父を恨んでいましたよ。
最近になって父は「わしが死んだら日本国籍をとりなさい」と言いました。
遅すぎるっちゅうねん。
いまさら、わたしは、自分の国籍なんてどこでもいいです。
手続き上、時々面倒なことがあったりなかったりするだけの話です。
だから私個人は、息子が将来フランス人になっても別に何とも感じないでしょう。
息子は息子ですから。
それより、息子がもし、私の理解の範疇にない宗教に入信するほうが怖いです。
私の息子ではなくなってしまうからです。

話が、あらぬ方向に展開してしまいましたが
無理やりまとめますと
肌の色や国籍、人種の別とは、何億もいる人間を区別するものではあっても
それに優劣をつけるものではないでしょう?
のんきな平和主義者みたいですけど
どんな人とでも、仲良くできたらいいな、と思うのです。

ところで、最後に話は大きく飛ぶのですが
もうすぐ日本に旅行するフランス坊やが
「僕、日本語全然できないけれど、大丈夫?英語通じるかしら?」と聞くので
ぜーんぜーん大丈夫。フランス語のできる日本人はとても珍しいし、
流暢な英語をしゃべる日本人も少ないけどね、
でも、日本人ほど、外国人に(特に白人に)親切な国民はいないのよ・・・

なんとかしろよ、日本人のハクジンコンプレックス。

MAO@フランス


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◇◆次回6月13日(金)スペイン・バルセロナ郊外から配信予定です。◇◆
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