2007.09.16
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* FK * FK ――学校をめぐるコメント・コラム集 * FK *
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第183号 2007年 9月 16日(毎月1・16日発行)
目次
**学校をめぐるコメント**
490.新任不採用教員
**日々雑感**
581.読書・所感−2007年 9月前半
**最近読んだ本から
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**学校をめぐるコメント**
490.新任不採用教員
(2007年 9月13日 木曜)
今日の新聞各紙には試用期間1年を経て正式採用にならなかった教員の数が
報じられている。全国で295人。前年度比86人増。
この内訳をみて驚いた。
依願退職281人・不採用4人・懲戒免職4人・死亡退職5人(内2人は自
殺)。
さらに依願退職のうち84人は精神性疾患などによる病気が原因、とのこと
(毎日新聞)。
*
小さな記事だが内容には空恐ろしさを感じる。もちろん、それは私が教師を
しているからであって、一般社会の人にはさほど奇異には見えないのかもしれ
ない。
まず「全国で295人」というのが多いか少ないかは全数が紹介されていな
いので今すぐには判断しかねる。ただ「前年度比86人増」というのは1.4倍で
ある。これが今回だけなのかどうかも分からないのだが、少なくとも新任教師
にとって学校が過酷な労働環境になってきてることを推測させるものともいえ
る。
依願退職については教師に向いていなかったという人たちや、企業の環境が
好転したことによる転職がいるとのこと。
教職に就くまで向いてなかったことに気がつかなかったとは、やや迂闊な気
もするがそれでも思い切って転職したのは英断だ。後者のようなもともと企業
向きの人がたまたま教師に合格してしまったというのはどうかなと思う。
そして問題はこの依願退職の内「84人は精神性疾患などによる病気が原因」
ということだ。これほどまでに教師の働く世界は息苦しいものになってしまっ
ているという現れであろう。彼らは他のどんな職に転職できたのだろうか。心
配になる。
「懲戒免職4人」というのは何ともドジな話だが、「不採用4人」というの
は中味が気になる。よほど教育委員会に嫌われるようなユニークな人だったの
かもしれない。
「死亡退職5人」については気の毒としか言いようがない。なかでも事故で
はなく「自殺」というのが痛ましい。もちろん教職に関わることでの自殺とは
限らないわけだが、おそらく教職という仕事が関わっていると私には推測され
る。有為な人たちを失うことは社会的にも損なことであり、言葉がない。
*
今後も新任のうち正式には採用されない教師の数は増加していくことだろう。
教員免許法の改悪もそれに輪をかける。教師受難の時代が続く。それは同時に
生徒やその親にとっても受難の時代なのだが。
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**日々雑感**
581.読書・所感−2007年 9月前半
2007/9/1(土)『木漏れ日に泳ぐ魚』(恩田 陸 中央公論新社 2007年 \140
0)
前作の『中庭の出来事』同様の手法を感じさせる。
若い男と女の主人公たちの話では『真夜中のピクニック』があり、本作はも
う少し歳がいった男女が主人公である。そして、家族のこと。――これ以上言
うと読む楽しみが減じてしまうだろう。中味については何も知らずに読みだす
のがいちばん良い。
この著者の感性が光る言葉がいくつも散見され、頷かされる。
現実の世界で、何かの終わりが劇的であることなどめったにない。大概はぼ
んやりとしてはっきりしない、冴えない結末が待っている。(P.243)
朝はいつも何かをあきらめさせる。私たちの逡巡に、迷いに、決められない
何かに引導を渡す。朝の光は、時間切れの合図だ。(P.254)
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2007/9/ 8(土)『論より詭弁 反論理的思考』(香西秀信 光文社 2007年 \
700)
題名に惹かれて図書館・新刊の棚から。パラパラと見て、世の中でいかに詭
弁に満ち満ちているかとあらためても思わされた。
*
議論に世の中を変える力などありはしない。もし本当に何かを変えたいのな
ら、議論などせずに、裏の根回しで数工作でもした方がよほど確実であろう。
実際に、本物のリアリストは、皆そうしている。世の中は、結局は数の多い方
が勝つのである。(P.8)
【序章でいきなりそれを否定するような言葉が出てくるが、現実はその通りで
言いたいものには言わせておいて無視すればいいということか。】
議論において、問いを出す側は、問いを構成する言葉を自分に都合よく選ぶ
ことができるという特権をもっている。(中略)だから、答える側は、よほど
用心しないと、相手が選んだその言葉に合わせて、問いに答えさせられる羽目
になってしまう。(P.60 第1章 言葉で何かを表現することは詭弁である)
【やはり質問というのは十分に考えておかねばならないということだ。】
論理的であろうとすることが、しばしば正直者が馬鹿を見る結果になる。
(中略)いつでも論理的に振る舞おうとする、論理を悪用する口先だけの人間
をのさばらせてしまうのだ。われわれが論理的であるのは、論理的でないこと
がわれわれにとって不利になるときだけでいい。(P.92 第3章 詭弁とは、
自分に反対する意見のこと)
【これもその通りで、私などもついつい論理的であろう努力してしまう。それ
が正しいことだと言わんばかりに。】
(ウェイトリー大司教は)議論において絶対にやってはならないミスは、相
手側に立証責任があるときに、勘違いしてこちらがそれを引き受けてしまうこ
とだ述べている。(P.174 第5章 問いは、どんなに偏っていてもかまわな
い)
【これも気をつけねば。お人好しではダメだと思う。しかし、ついやってしま
う。やられてしまうのだ。】
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2007/9/ 9(日)『アトピーは合成洗剤が原因だった!』(磯辺善成 メタモル
出版 2007年 \1400)
生徒たちの中にも重症なアトピーの生徒が何人かいる。そのこともあり新聞
広告で見つけすぐ購入した本。
要するに結論は界面活性剤のなせるわざということだ。天然の石けんもダメ、
言うまでもなく合成洗剤(洗濯用・ボディソープ・シャンプー・リンス)も絶
対ダメということ。
界面活性剤が皮膚の脂をはぎ落とし、皮脂膜を破壊してしまう(中略)皮脂
の膜をはぎ取ったら、さらには表皮の細胞にも取りつき、細胞内のタンパク質
を変性させながら、連鎖反応的に次々に細胞を破壊していきます。つまり、浸
透と乳化作用を次々にくり返しながら、どんどん体内に入り込んでいくわけで
す。(P.41)
つまり皮膚の表面を保護している脂分を界面活性剤が乳化作用で分離し、は
ぎ落としていくというわけだ。紫外線から守るためにメラニン色素がどんどん
できて皮膚が黒くなるのもそう。
分かってしまえば簡単なことなのだが、実はまだ医学界では定説ではないよ
うだ。やっかいな病気だと思っていたが、根本原因が合成洗剤だとすれば、こ
れはまだ歴史の浅い現代病、しかも作られた病気ということだ。
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2007/9/10(月)『おひとりさまの老後』(上野千鶴子 法研 2007年 \1400)
週刊金曜日の書評欄から。
専門的な本を除き、上野氏の本は読みやすく・考えさせられることが多い。
この本も切実な老後のことでいま読んでおいて良かったと思う。
はじめこの題名の「おひとりさま」というのが、どうにもなじまなかったの
だが、途中まで読んできてようやく、ああ、あの「おひとりさま」か、と気づ
いた。たとえば食事でお店に入ったとき人数を聞かれるあの「おひとりさま」
だ。
ということで私たちはみな、最後は「おひとりさま」になる可能性があると
いうこと。もちろんいまシングルの人は、まさしく「おひとりさま」なのだが、
配偶者やパートナーがいる人でもいずれ片方が死んでいき、「おひとりさま」
になるのだ。
そんなわけでこの本はけっしてシングルの人だけのための本ではないという
ことだった。
*
ひとり暮らしの基本のキは、ひとりでいることに耐性があること。(中略)
しーんとした、だれもいない空間で好きなことに集中できる時間ほど、至福の
時間はない。(P.103)
【世の中にはこの耐性がない人の方が多いような気がする。すぐに群れたがる。
最後はみんな孤独なのに。】
友人をつくるには努力もいるし、メンテナンスもいる。
ついでに言っておくと、メンテナンスのいらないのが家族、と思っている向
きもあるようだが、これは完全なカンちがい。家族のメンテナンスを怠ってき
たからこそ、男は家庭に居場所を失ったのだ。ほうっておいても保つような関
係は、関係とはいわない。無関係、というのだ。(P.106)
【これは耳が痛い。私はどちらも怠ってきたから。それにしても私には無関係
という関係が多いなとあらためて気づかされる。そんな生き方をしてきたとい
うことだ。】
「職場に友だちができません」と嘆くひとがいるが、職場には友人は求めない
ほうがよい。同僚のあいだに友人を求めるのは最後の選択肢。(P.107 職場
に友人はいなくてけっこう)
【これは読んでホッとした。実に実に私には職場での友だちがいないのだ。我
が道を行く、とか一匹狼みたいな生き方をしてきたのでいないのだ。】
「老いるとは、ほかのひとびとから忘れ去られていくということ」と言ったひ
とがいる。(P.125)
喪失の経験がつらいのは、同じ時間と経験を共有しただれかが、その死ごと
記憶をあちら側へ奪い去ってしまうから。(P.126)
【生きて共有できなくなるのが、辛い。そして淋しいのだ。】
二村ヒトシさんの『すべてはモテるためである』には、“居場所探し”をす
るさみしいひとに向けたきわめつきのせりふがある。いわく、“あなたの居場
所”とは「ひとりっきりでいても淋しくない場所」のこと。(P.131)
【どこにそれを見つけることができるだろうか。】
アウトドアの楽しみの理由のひとつは、わたしを受けいれてくれる大自然が
あること。もっと正確にいえば、人間を受けいれるでも受けいれないでもなく、
ただ自然がそこにある、という圧倒的な事実に接することだ。(中略)「自然
がいいのはね、わたしに関係なくそこにある、っていうことよ」(P.135)
【たしかに自然は何も言わない。ただ私たちがそのメッセージを感じ取れ・聞
き取れるかどうかだ。】
丁寧語は、相手とのあいだに距離を置く技法である。丁寧語を使いつづける
かぎり、「わたしはあなたとこの距離を詰めるつもりはありませんよ」という
メッセージが伝わる。これを社会学の用語で「儀礼的距離化」という。(P.20
6)
【私は生徒の名前を呼ぶときに――出席をとるときでも、廊下で出会ったとき
でも――、「くん」や「さん」を付けて呼ぶのは嫌いだ。その理由がはっきり
とこの一文を読んで分かった。これまでは単に生理的なものとのみ思っていた
のだが。】
介護には、どこまでやればじゅうぶんという制限のなさ、つまり「無限定
性」という性格がある。家族なら背負ってしまいかねないこの介護の「無限定
性」に、時間や内容で制限をかけているのが「仕事」としての介護だ。それを
利用者も介護者もきちんとわきまえる必要がある。(P.207)
【ここでの介護を教師の仕事に置き換えてみればいい。私たち教師の仕事もう
っかりするとその「無限定性」という罠に陥りがちだ。してはいけないことに
まで、手を出してはいけないことにまで介入してしまうのだ。】
ひとは死んで、残った者に記憶を残す。そして記憶というのは、それをもっ
たひとが生きているあいだは残るが、そのひとたちの死とともにかならず消え
てなくなる運命にある。(P.234)
【そして、それでいいのだ!】
不滅のモニュメントや歴史を超えて名を残したいと思うひとびとの気が知れ
ない。生きているあいだによほど不完全燃焼があったのだろうか、と同情して
しまう。(P.235)
【同感。私は自伝どころか、ほとんどの自分の人生の過去の事々に興味を持た
ない。ま、単に忘れてしまっているだけでもあるが。】
どうも世の中には「正しい死に方」と「正しくない死に方」というものがあ
るらしく、孤独死は「正しい死に方」には入っていないようだ。(P.236)
【「正しい死に方」をしようなどと、ゆめにも思わないようにしたい!】
「死はいつ襲ってくるかわからない。そのためあまりにも妥協して、自分自身
のない集団の中の人として人生を終わらせないように日頃から孤独を大切にし
て生きたいものです」(P.245 東京都監察医務院・小島原さんの講演録よ
り)
【その通りで、ずいぶんみんな無理して無駄しているようだ。自分だけの一回
きりの人生なのに。】
ひとは生きてきたように死ぬ(P.246)
【これはまだ分からないけど、そんなような気がするのだ。】
「人の死は常に偶然の手にゆだねなければならな」いというこのひと(前掲・
小島原さん)の死生観には全面的に同感だ。(P.247)
【ある意味、そう思う方が気楽だ。運命とか宿命とかと、ガタガタ考えたくな
い。】
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2007/9/12(水)『居眠り磐音 江戸双紙 万両ノ雪』(佐伯泰英 双葉社 200
7年 \648)
シリーズ第22作。最新作。
今回はおしまいに「あとがき」というのがあり、これが結構長い。氏の過去
を振り返るような内容で主にスペインでの闘牛を追っていたときの話。
どこが磐音と関係するかというと、闘牛で牛と闘牛士がぎりぎりの所ですれ
違うそのスリル満点の瞬間と、磐音が相手との闘いでの見切りとが似ていると
いうわけだ。そしてそのような表現のしかたを氏は小説でしているとのこと。
今後もまだまだ続くようで50巻くらいまで行くのかもしれない、と。
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2007/9/13(木)『オンナらしさ入門』(小倉千加子 理論社 2007年 \1200)
どうにもよく理解できなかった。それこそ私がオトコだからかもしれない。
男の子に上手に負けることが「女らしさ」であるということを、とても早い
時期に女の子は学びます。(P.61)
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2007/9/14(金)『ナンバ歩き 奇蹟のパワー』(大黒屋宏芳 さんが出版 200
3年 \1300)
なぜ、明治政府はわざわざ脳を無意識化させる「行進歩き」を教育に取り入
れたのでしょうか?
(中略)軍隊のようにひとりの指揮官が大勢の兵隊を号令一つで動かすには、
兵隊の脳が目覚めているよりも脳が眠っている状態のほうが扱いやすいのです。
(P.26)
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2007/9/15(土)『女形殺し 風烈廻り与力・青柳剣一郎』(小杉健治 祥伝社
2007年 \619)
シリーズ第7作。冤罪をテーマにしたもので、時代小説のなかでは異色かも
しれない。いまでも冤罪は後を絶たないが、まして江戸時代は大変だったろう。
もっとも事件の数自体が少なかったとは思うが。
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**最近読んだ本から
2007/9/ 1(土)『木漏れ日に泳ぐ魚』(恩田 陸 中央公論新社 2007年 \14
00)
2007/9/ 3(月)『猿曳遁兵衛 重蔵始末 三』(逢坂 剛 講談社 2004年 \
1700)
2007/9/ 3(月)『定廻り殺し 徒目付久岡勘兵衛』(鈴木英治 角川春樹事務
所 2007年 \660)
2007/9/ 4(火)『嫁盗み 重蔵始末 四 長崎扁』(逢坂 剛 講談社 2006
年 \1800)
2007/9/ 6(木)『父子十手捕物日記 結ぶ縁』(鈴木英治 徳間書店 2007年
\629)
2007/9/ 7(金)『父子十手捕物日記 地獄の釜』(鈴木英治 徳間書店 2007
年 \629)
2007/9/ 8(土)『論より詭弁 反論理的思考』(香西秀信 光文社 2007年 \
700)
2007/9/ 9(日)『アトピーは合成洗剤が原因だった!』(磯辺善成 メタモル
出版 2007年 \1400)
2007/9/10(月)『おひとりさまの老後』(上野千鶴子 法研 2007年 \1400)
2007/9/12(水)『居眠り磐音 江戸双紙 万両ノ雪』(佐伯泰英 双葉社 200
7年 \648)
2007/9/13(木)『オンナらしさ入門』(小倉千加子 理論社 2007年 \1200)
2007/9/14(金)『ナンバ歩き 奇蹟のパワー』(大黒屋宏芳 さんが出版 200
3年 \1300)
2007/9/15(土)『女形殺し 風烈廻り与力・青柳剣一郎』(小杉健治 祥伝社
2007年 \619)
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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集 マグマグID 26043
(2000年 2月16日創刊) kishidafumio@hotmail.com
発行者 KISHIDA Fumio http://fkfk.infoseek.ne.jp
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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