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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集


2007.10.16

FK


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* FK *          FK ――学校をめぐるコメント・コラム集          * FK *
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               第185号 2007年 10月 16日(毎月1・16日発行)

  目次

**学校をめぐるコメント**

        492.『いのちはなぜ大切なのか』


**日々雑感**

        583.読書・所感−2007年10月前半


**最近読んだ本から

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**学校をめぐるコメント**


        492.『いのちはなぜ大切なのか』

          (小澤竹俊 筑摩書房 2007年 \680)
                                           (2007年10月 7日 日曜)

 ちくまプリマー新書。新刊の棚で見つけて。やはりこの表題に惹かれて一応
目を通しておこうと思い。

 生徒の命が何らかの理由で奪われたとき・失われたとき、学校ではあれほど
「授業時数の確保」といわれるほど大事な授業がカットされ全校集会が開かれ
る。そして校長の話はお定まりの「命の大切さ」を生徒たちにこんこんと説
き・訴えることになるのだ。

 見事にどこの地域のどのレベルの学校も同じことを言う。異口同音である。
このことに茶々を入れるわけではないが、もっと他の言い方・考え方、つまり
オリジナルなものがないのかと思うのだ。もちろん、異口同音にやっておけば
無難にすむわけだが、ますます「命の大切さ」という話は稀薄なものとなり、
生徒たちの耳にも素通りしていくことになる。
 では、どうすれば内実が得られるのか。そのためにはまずこの「命の大切
さ」ということそのものについての思考から始めなければならないだろう。

                        *

 目次から抜粋。
 第1章 美しい話ばかりでは、いのちの大切さは伝えられない
 第3章 傷つける原因は「苦しみ」である
 第5章 苦しみをとり除き、自分を肯定するためには

                        *

 いのちはなぜ大切なのか、と問われたら。少し考えてみて、私ならそれは
「いのちは生きるために必要なものだから」と。次いで「生きているものはす
べてその生を尊重される権利があるから。そして、それらを尊重する必要・義
務が私たちにはあるから。何となれば自分のこと・自分が生きていること・生
きていくことを尊重してもらいたければ、他のそれを尊重しなければならない
から」と。

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「第1章 美しい話ばかりでは、いのちの大切さは伝えられない」では、いの
ちに限りがあることを実感する「非日常」、しかし「非日常」の美しさは、長
くは続かない、と。
 あるいは「いのちのバトン」のお話もなかなか誰にでも通用する話ではない、
との指摘。

                --------------------------------

「第5章 苦しみをとり除き、自分を肯定するためには」では very good と 
good enough という考え方が紹介されている。
 前者は申し分ない自己肯定だが、後者のような「ま、これでいいさ」とか
「自分はこれでいい」と思えることも必要だということ。私なりに言うと、
「私のような教師もいないと」といった具合だ。(P.93)

 また、「苦しみの中にいる人は、自分を外から見られない」(P.106)とも。
 確かにその通りで、それに気づかせてあげたりすることが大切。そのために
はじっくり話を聞くことだろう。


                         * FK * FK * FK *
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**日々雑感**


        583.読書・所感−2007年10月前半


2007/10/1(月)『やってられない月曜日』(柴田よしき 新潮社 2007年 \14
00)

 2004/12/31(金)に読んだ『ワーキングガール・ウォーズ』のシリーズ第2
作といった感じ。もちろん主人公も何もかも違ってはいるが、トーンは同じ。
 28才のOLが主人公で。7編からなるがそれぞれ「曜日」が入っている。

 表題の次の章が「誰にもないしょの火曜日」、以下「とびきりさびしい水曜
日」・「甘くてしょっぱい木曜日」・「それでもうれしい金曜日」・「命かけ
ます、週末です」・「またまた、やってられない月曜日〜エピローグ」。
 各曜日ごとにエピソードがあるわけだが、通奏低音としては1/150の模型が
ある。今はやりのジオラマ。この製作が彼女の趣味というわけで。

 相変わらず上手い。この手の作品がこの著者の真骨頂と言えるかもしれない。
そもそも佐野洋の推薦で初めて手にしたのが上記の『ワーキングガール・ウォ
ーズ』。当初、この著者はいったい男なのか女なのかすら知らなかった・分か
らなかったのだ。

 以後、集中的に読み出して、現在までにまだ読み残しているのは新刊(入手
済み)二冊、旧刊でも二冊くらいか。
 ともかくこのシリーズは面白いし、人生勉強にもなるし続巻に期待。

                --------------------------------

2007/10/1(月)『落下する緑 永見緋太郎の事件簿』(田中啓文 東京創元社
 2005年 \1800)

 若手ジャズテナー奏者が『笑酔亭梅寿謎解噺』の若き主人公と同様、謎解き
をしていく。7短編からなるがそれぞれに「色」がついている。
 まず表題は緑。以下、黄色・黒・青・赤・ピンク・褐色。

 絵画や音楽のことがふんだんに出てくる。楽しい・いい世界だ。そんな世界
に遊んでみたいと思わせられる。

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2007/10/ 2(火)『さくら草』(永井するみ 東京創元社 2006年 \1900)

 氏の小説はこれで2作目。2006/12/19(火)『大いなる聴衆』(新潮社 2000
年 \1800)に続いて。

 ジュニアブランド・ファッションという私は門外漢の内容。「プリムロー
ズ」というブランドをめぐり、その「統括責任者」が主人公といっていいか。
もちろん女性刑事も副主人公といっていいか。

 雇われるものの辛さとか、情けなさも描かれていて身につまされる。どんだ
け頑張っても所詮は「社長」によって切り捨てられていく社員なのだ。ゼネラ
ルマネージャーといっても。自分でやるしかない。起業するしかないのだろう。

 それともう一つアシスタントデザイナーという職種の人たちに自分のオリジ
ナルを発表するチャンスを与えようとしたときの、彼らアシスタントデザイナ
ーたちの反応。悲しいまで雇われ人であることを思い知らされる。
 つまり彼らにオリジナリティ・独創性はないということなのだ。ここでは社
長でもある若きデザイナーのデザインをもとに細部にわたって詰めていき、実
作に適するようにしていくのが、つまり下働きが(もちろん、いないと困るの
だが)彼らの仕事であり、それ以上は望んでいないという現実。自分の身にも
あてはめて考えてしまう。

 そういった意味で読んで良かった。服飾のことはあまり分からないがコサー
ジュくらいはかろうじて知っていたので。
 あとブランドというものについての考え方も面白かった。主人公のゼネラル
マネージャーはずっと長く続くブランドに育てたいと思っているが、デザイナ
ーでもあるその社長はほどほどで売り抜け、新しいブランドを、と考えている
のだった。また、ブランド志向する・熱狂する人たちの分析も。

                --------------------------------

2007/10/4(木)『酔いどれ小藤次留書 竜笛嫋々』(佐伯泰英 幻冬舎 2007
年 \571)

 若干、飽きてきた感あり。非現実性について行けなくなるときがある。どこ
まで現実っぽい嘘がつけるかということ。他の時代物がもう少しリアルなので
どうしても佐伯のものの非現実性にひたれなくなるのだ。難しいところ。

                --------------------------------

2007/10/ 8(月)『影目付仕置帳 われら亡者に候』(鳥羽 亮 幻冬舎 2004
年 \533)

 シリーズ第1作。やや型にはまった感じで......。要するに悪者は田沼であ
り、人物造形が型にはまっていてつまらない。要するに『必殺仕置人』のよう
なもので、その点の目新しさもないか。と、まあ酷評になってしまったが、第
1作なので。

                --------------------------------

2007/10/ 9(火)『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』(武田邦彦 洋泉
社 2007年 \1000)

 シリーズ第2作。基本的にはこれまでの著書と変わるところはない。勉強に
なる。ラストに池田清彦氏との対談が入っている。

                --------------------------------

2007/10/ 9(火)『からくり小僧 波之助推理日記』(鳥羽 亮 講談社 2007
年 \571)

 これもシリーズ第2作。実はそうと知らずに図書館から借り出す。あわてて
第1作を予約した。武家の三男で25才という主人公。釣りが好きで、しかしそ
れよりも「推理」がもっと好きということらしい。
 時代は江戸末期1830年代のようで、鼠小僧次郎吉の名前が出てくる。からく
り小僧は言うまでもなく盗人である。

                --------------------------------

2007/10/11(木)『影目付仕置帳 恋慕に狂いしか』(鳥羽 亮 幻冬舎 2005
年 \533)

 シリーズ第2作。第1作で心構えができているので、そう無茶苦茶嫌にはな
らなかった。しかしパターン化された人物造形には辟易させられる。それは分
かりやすいという意味では、読者にはいいことなのかもしれない。悪者はいか
にも悪者らしく描かれているということは。


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**最近読んだ本から

2007/10/ 1(月)『やってられない月曜日』(柴田よしき 新潮社 2007年 \1
400)
2007/10/ 1(月)『落下する緑』(田中啓文 東京創元社 2005年 \1800)
2007/10/ 2(火)『さくら草』(永井するみ 東京創元社 2006年 \1900)
2007/10/ 4(木)『酔いどれ小藤次留書 竜笛嫋々』(佐伯泰英 幻冬舎 2007
年 \571)
2007/10/ 8(月)『影目付仕置帳 われら亡者に候』(鳥羽 亮 幻冬舎 2004
年 \533)
2007/10/ 9(火)『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』(武田邦彦 洋泉
社 2007年 \1000)
2007/10/ 9(火)『からくり小僧 波之助推理日記』(鳥羽 亮 講談社 2007
年 \571)
2007/10/11(木)『影目付仕置帳 恋慕に狂いしか』(鳥羽 亮 幻冬舎 2005
年 \533)

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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集           マグマグID 26043
        (2000年 2月16日創刊)        kishidafumio@hotmail.com
発行者  KISHIDA Fumio          http://fkfk.infoseek.ne.jp
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  インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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