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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集


2008.02.01

FK


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* FK *          FK ――学校をめぐるコメント・コラム集          * FK *
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                第192号 2008年 2月 1日(毎月1・16日発行)

  目次

**学校をめぐるコメント**

        499.あらためて教育とは


**日々雑感**

        590.読書・所感−2008年1月後半


**最近読んだ本から

――――――――――――――――――――――――――――――――――
**学校をめぐるコメント**


        499.あらためて教育とは

                                        (2008年 1月26日 土曜)

 東京のある区立中学で塾の講師をよんできて生徒たちに補習を受けさせる、
というニュースが報じられていた。対象はもちろん成績の良い生徒たち。親の
願いは希望する高校への入試合格である。校長はこの成果が良い影響として他
の中クラス以下の生徒たちにも出るだろうとインタビューで答えていた。

 このニュースを見ながらあらためて教育って何だろう、と思ってしまった。
今さらなのではあるが。
 受験学力をつけることが「教育」なのだと、そんなにダイレクトに考えられ
るのかと、私など素朴な疑問を持つのだが、世の中はもうそんなことは吹っ飛
ばして平然としているのだ。教師にとってやりにくい世の中ではある。

                        *

 学校は生徒たちのものであって、教師の「職場」ではないということを第一
義にすべきだとは、この私でも思う。しかし、世の中のことはそれこそ理想論
だけで話を進めるわけにはいかないので、どこかで折り合いを付けなくてはな
らない。

 これまでの現状は生徒たちにとって必ずしも満足出来るような環境ではなか
ったとは思う。だから今回の東京のような事例が今後もてはやされ、各地でも
実施されていくのだ。

                        *

 根本的な解決策というのは一朝一夕で可能なものではない。ただ私が考える
のは教育に限らず、基本的な考え方としての「民主主義」というものが実現さ
れてないところにまず問題の根っ子があるということだ。民主主義は今の日本
社会では実現されていることになっている。しかし実態は形式的なそれであっ
て、本来あるべき民主主義の姿からは遠いものだという認識が私にはある。

 民主主義といっても観念論ではなく、実際のシステムとして実現していなく
てはならないのだ。そのシステム、つまり私たちの意見や考えが代表者として
の政治家や行政を担当する公務員たちに伝えられる方法・手段がきちんと確保
されていないのだ。昔ながらの「知らしむべからず」状態であり、聞く耳を持
たないシステムのまま来ているということ。

 ここに民主主義は実現しない。形式的に民主主義的にやってますよ、という
アリバイづくりだけがあるだけだ。

                        *

 そんな日本社会の現状にあって、今回のような塾講師による補習というのは
象徴的である。民主主義的なルートとは無縁な、ひたすら金さえ出せば何でも
できるという弱肉強食のあらわれというしかない。

 ますます格差社会への拍車が掛かり、日本は「格差絶望社会」と成り果てて
いく。国益という観念すらなく、ひたすら私益にひた走るしかない社会であり、
その行く先は真っ暗だと私など思うのだが、そういった人たちにはバラ色に見
えているのだろう。


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**日々雑感**


        590.読書・所感−2008年1月後半


2008/1/19(土)『著作権とは何か――文化と創造のゆくえ』(福井健策 集英
社 2005年 \680)

 「ライオンキング」やマッド・アマノのパロディ、シェークスピアの「ロメ
オとジュリエット」などを具体例としての説明。
 著作権法というのは法のなかではずいぶん曖昧な部分を残した不完全な法だ
ということらしい。そのせいなのか私たちにも分かりにくいのかも。

                --------------------------------

2008/1/24(木)『天平冥所図会』(山之口 洋 文芸春秋 2007年 \1571)

 昨年買った本。なかなか発想が面白い。主な登場人物は吉備真備・和気清麻
呂・孝謙天皇・藤原仲麻呂・道鏡。
 道鏡のことなど、ちょっと見なおしてやってもいいかというノリになる。そ
んな感じの小説。続編は難しいかも。

                --------------------------------

2008/1/26(土)『下っ引夏兵衛 闇の目』(鈴木英治 講談社 2008年 \61
9)

 新シリーズ。講談社からは初めての出版、文庫だがそれは今はやりの文庫書
き下ろし。このシリーズも期待できそうだ。やはり主人公たちの造型・設定が
良い。上手いものだ。

 主人公夏兵衛は25才くらいの男性。庭師ということなのだが、その後紆余曲
折を経て「下っ引」となっていくようだ。すでにいくつも伏線・ミステリーが
散りばめられておりこれからが楽しみ。

                --------------------------------

2008/1/29(火)『劇画ヒットラー』(水木しげる 実業之日本社 2003年 \15
00)

 生徒から勧められ貸してくれたもの。1971年の作品の復刻版。知ってはいた
が、全部を読むのは初めて。

 基本的なトーンとしてはやはり異常の人として描いている。現にそうだった
のだろうが。しかし理不尽な思いで多くの人が死んでいったことだろう。そし
てやはり思う。なぜ彼が政権を握れたのか、と。いったい誰がなぜ彼を支持し
ていったのか、と。

                --------------------------------

2008/1/30(水)『ちいさな王子』(サン=テグジュペリ 野崎歓・訳 光文社 
2006年 \552)

 言うまでもなく世上『星の王子さま』として有名な作品の新訳(?)である。
 出だしからなかなかいい感じで読み進めた。翻訳者自ら述べているように後
出しじゃんけん的な要素もないではないが、他人の訳を見てたら自分らしさは
発揮できないので、結局私たちが思うほどには参考にしていないとのこと。

 さて例の21節のキツネとの出会いとその言葉のやりとりである。
 氏は「だってぼく、まだなつかせてもらっていないもの」(P.103)とキツ
ネに言わせる。

 池澤夏樹氏は「おれは飼い慣らされていないから」(P.95 集英社文庫)。

 倉橋由美子氏は「おれはあんたとは遊べない。まだ仲良しになってないから
ね」(P.103 宝島社)。

 さて池澤氏の訳はかなり直訳的だと感じる。倉橋氏のはずいぶんと良い雰囲
気だと思う。ただそれでも「仲良し」だけではやや物足りない。
 さて野崎氏の訳はその点工夫されていてなかなかの出来だと思う。「なつか
せる」、なるほど。だが「なつかせてもらっていない」というのはやはり生硬
かな、と。「なつかせてもらう」という表現は日常使用ではまずしないし、な
じまない思いが残る。どうしても違和感を私は払拭できなかった。

 では、私はどうなんだろう。もちろんフランス語は知らないし、英語での翻
訳文も見てない。しかし私はつい今使ったばかりの「なじまない」の連想で
「なじみ」という言葉を使ったらどうかと。
 こうである。「だってまだ、なじみになってないからね」。

 と、考えてみたがもう一度倉橋氏の本の後書きを読むと、この言葉の意味に
はそもそも人が動物を「飼いならす」ということ、とある。そうすると私の案
もやはりダメかな、と。

 また題名にこだわると、この本が日本で売れるためには古くからの『星の王
子さま』で正解だったろう。しかしより原作に忠実たらんとしたら、もうそれ
は言うまでもなくこの『ちいさな王子』であろう。

 ――とまあこんなことを考えさせてくれた。久しぶりに読んだ『星の王子さ
ま』・『ちいさな王子』であった。


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**最近読んだ本から

2008/1/19(土)『著作権とは何か――文化と創造のゆくえ』(福井健策 集英
社 2005年 \680)
2008/1/24(木)『天平冥所図会』(山之口 洋 文芸春秋 2007年 \1571)
2008/1/26(土)『下っ引夏兵衛 闇の目』(鈴木英治 講談社 2008年 \61
9)
2008/1/29(火)『劇画ヒットラー』(水木しげる 実業之日本社 2003年 \15
00)
2008/1/30(水)『ちいさな王子』(サン=テグジュペリ 野崎歓・訳 光文社 
2006年 \552)

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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集           マグマグID 26043
        (2000年 2月16日創刊)        kishidafumio@hotmail.com
発行者  KISHIDA Fumio          http://fkfk.infoseek.ne.jp
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  インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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