2008.06.01
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* FK * FK ――学校をめぐるコメント・コラム集 * FK *
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第200号 2008年 6月 1日(毎月1・16日発行)
目次
**学校をめぐるコメント**
507.『砂場の少年』
**日々雑感**
603.読書・所感−2008年5月後半
604.映画・雑感−2008年5月後半
**最近読んだ本
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**学校をめぐるコメント**
507.『砂場の少年』
(灰谷健次郎 新潮社 1990年 \520)
(2008年 5月27日 火曜)
久しぶりに灰谷健次郎を読んだ。きっかけは補講会での生徒・Aさんによる
紹介。
主人公たちは中学3年生、そのあるクラスの担任として35才の男性が臨時採
用でやってくる。そして彼こそは先生らしくない先生であったわけだ。
学校のひどさ・えげつなさがしっかり書き込まれているので、読んでいて辛
いものがある。もちろん、生徒の側の視点からなのだが。
それにしてもしっかりした中学生たちだ。本当はみんな潜在的にそのような
力を持っているのだが、発揮させられることはない。非民主的なこの日本社会
では。だから彼らが痛々しい。
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Aさんへ(メール1)
さきほど『砂場の少年』読了しました。紹介してもらって良かった。何年ぶ
りの灰谷でしょう。
さて、何とも複雑な思いです。でもおそらく中学生たちの側から読んでいた
ろうと思います。まだまだ彼らの苦難はこの先も続くのでしょう。
最後に「先生らしくない先生」、というのは現代日本では誉め言葉のようで
すね。あなたもその一人になるのでしょうか。
*
Aさんへ(メール2)
返信、やや遅れがちですが、やはりいただいたメールを読んで、少し考え込
んでしまうからでしょう。
あなたは中学2年の頃、この小説を読んだとのこと。
私が今読むのと、あなたがその頃読んだのとではずいぶん違いがあるでしょ
う。少し痛々しくも思います。
"先生らしくない先生"という言い方が今は、ある種の誉め言葉だとは! こ
れは現代の不幸ですね。
またあなたは"教員"という人間が気に入らなかったとのことですが、私はお
そらく教師になってから「気に入らなく」なったと思います。自分も含めてお
かなければなりませんが。
私は、あなたによると、"先生らしくない先生"でもあり、"先生らしい(?)先
生"のような感じもするとのこと。つまり両方の顔を持っている、と。
なるほど、そうなんだろうなと私も思います。でも、おそらく本人は(私で
すが)本人なりに苦労しているところだとも思います。私はあの臨採の先生に
はなりきれませんので。
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**日々雑感**
603.読書・所感−2008年5月後半
2008/5/18(日)『借金取りの王子』(垣根涼介 新潮社 2007年 \1500)
2006/6/12(月)『君たちに明日はない』(垣根涼介 新潮社 2005年 \150
0)の続編。リストラ会社の社員・村上真介が主人公。であったはずが、今回
の作品を読んでいるとFile1-5までの5短編なのだが、彼・村上氏は結局狂言
回しであったことに気づかされる。だから単に辞めさせるだけの話ではなく、
なかなか良い感じの内容になっている。様々な人間がおり、人間模様があると
いうことだ。良い勉強になる。
続編に期待、といったところ。
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2008/5/19(月)『目付殺し 風烈廻り与力・青柳剣一郎』(小杉健治 祥伝社
2007年 \619)
読み飛ばしていたシリーズ第8作。そういえばここで登場する殺し屋が新し
い本でも出ていたのを思い出した。これで話が通じたようだ。
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2008/5/24(土)『墨攻』(酒見賢一 新潮社 1991年 \950)
生徒のB君からのお薦めで読む。これは驚いたことにあの・かの墨子の墨家
の人たちが主人公として登場してくる小説だ。
実際、城を守るためには派遣されるのはたった一人「革離」という男性だけ
なのだが、彼がその城を守る任を負ってやって来るところから話が始まる。
それにしても兼愛を説く墨子の流れが、たとえ守備・防御に徹するとはいえ
そのための戦闘集団でもあった、という説はもちろん初見・初耳で、それが事
実であったかどうか今の私には分からない。とりあえず小説として楽しむこと
とした。
それにしても世の中にはまだまだ知らないことがいっぱいあり、いろんな機
会・友人のお薦めなどを活用して触れていきたいものだとあらためて思う。
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2008/5/24(土)『信号機の壊れた「格差社会」』(佐高信・雨宮処凜・森岡孝
二 岩波書店 2008年 \480)
小泉内閣時代の一連の政策が現状をもたらし、さらに追い打ちをかけるよう
にいまその惨状が続いている。
どこまで日本の国力と国益の低下を招来したら気が済むのだろうか。アメリ
カの走狗としていずれ歴史上、審判が下るときが来るだろうが。
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2008/5/31(土)『はぐれ長屋の用心棒 瓜ふたつ』(鳥羽 亮 双葉社 2008
年 \581)
シリーズ第12作。久しぶりなのだが、若干、今回は乗らなかった。飽きてき
たのか、体調不良なのか。それは不明。
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604.映画・雑感−2008年5月後半
2008/5/21(水)[日本以外全部沈没]
今年に入ってから放映されていて観てなかった映画。パロディ作品として秀
逸だ、との評を読みあわてて観ることに。もちろん原典は小松左京の『日本沈
没』、これを筒井康隆が小説としたもの。
挿入されている「ニッポン音頭」が傑作だ。もちろん不愉快さも最高で、こ
の音楽だけでも授業で使えると思ってしまった。
日本人と外国人との図式は、いろいろと考えさせてくれるものがある。ただ
パロディ作品を読み解くのはなかなか難しそうだ。
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2008/5/24(土)[手紙]
東野圭吾原作の映画化。この小説は毎日新聞の日曜版に連載されたもので、
読んでいたので知っている。どころか、初めて接する東野がこの作品だったた
めに氏の作品を「知る」ことができるまでに時間がかかってしまった。
要するにこの「手紙」を読んでまったく感心しなかったわけで、以後、氏の
小説を読む機会は永遠になくなりそうであった。それくらい、私は陳腐な作品
を書く小説家だなと思ったわけだ。もちろん今は他の作品を読み、上手いなー
と思っているわけだが。
さて本来120分ほどの映画をテレビ放映のため広告入りで100分くらいにされ
ている。そんな映画を観てどうのこうのと言えるだろうか、とあらためて考え
させられる。だから従来、私はテレビで観て良ければ完全版をDVDで観ようと
思ってきたわけだ。とはいえ、けっして安いものではないので、そうそうはう
まくいかない。
氏は小説で犯罪者の家族、その被差別の問題などにスポットをあてようとし
たものだろうか。その意図は分からないが、結果としてそういうことだ。他の
類例を知らない私には画期的なテーマだと思える。
彼らは一体どのようにその人生を送っていけばいいのか。そもそも犯罪者の
家族だからといって個人主義的に考えたら、とやこうや言われる筋合いはない。
しかし、ここは日本社会なのであった。勤める会社の会長が差別を受けるの
は当然なんだよ、としてこんこんと説くシーンがあった。はたしてそれを肯ん
じられるだろうか。
手紙という題については、隔離された刑務所での人間にとっての手紙の重要
性・ありがたさがうかがえる。と、いまひとつは被害者家族に対する陳謝の手
紙であるが、これがかえってその家族をいつまでも苦しめる結果にもなり、加
害者の自らの慰藉のためだけのものになっている、という指摘も考えさせられ
る。
それにしても差別される加害者の家族、――それが犯罪の抑止力になるのだ
ろうか。
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2008/5/29(木)[椿山課長の七日間]
以前、テレビ放映されたのだが、ビデオテープが足りずにお終いまで観られ
なかったもの。そして最初の十分ほどを授業で使ったこと。今回、授業で使お
うと思ったらそのテープが見つからなかったこと。
といったわけでDVDを購入して、最初から最後まで、そしてメーキングな
ども観た次第。
やはり泣かせるのは上手い作家である。浅田次郎。
今度は授業で全部を見せたいなと思った。人生・幸せ・恋愛・子ども・やく
ざなどのテーマがある。いろいろと考えさせてくれるだろう。
西田敏行はあまり好きな俳優ではないが、この作品は良いのでは。何と言っ
ても良いのは伊東美咲だろう。なかなか上手いものだ。子役は言うまでもない。
この映画でも子役と動物にはかなわない、というのはそのとおりだろう。もっ
とも動物は出てなかったが。
*
人はこの世にいっぱい未練を残しながら死んでいくものだ。だって死は突然、
予告なしにやってくることが多いから。そんな無念さを癒やしてくれるシステ
ム(?)。もちろん、本当にはないだろう。そんな夢(?)をかなえてくれる
小説であり、映画だ。
もちろんもう一度現世に戻れるのが、吉と出るか凶と出るか。はたまた幸せ
なことか否かも難しいところだ。いや、はっきり言うとやはり戻らない方がみ
んなのためなのだろう、実際問題。しかし、未練が残る。残るから未練なのだ
が。
そんな私たちの希望(?)をかなえてくれるお話でもあったわけだ。観てお
いて良い映画だと思う。
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**最近読んだ本
2008/5/18(日)『借金取りの王子』(垣根涼介 新潮社 2007年 \1500)
2008/5/19(月)『目付殺し 風烈廻り与力・青柳剣一郎』(小杉健治 祥伝社
2007年 \619)
2008/5/22(木)『砂場の少年』(灰谷健次郎 新潮社 1990年 \520)
2008/5/24(土)『墨攻』(酒見賢一 新潮社 1991年 \950)
2008/5/24(土)『信号機の壊れた「格差社会」』(佐高信・雨宮処凜・森岡孝
二 岩波書店 2008年 \480)
2008/5/31(土)『はぐれ長屋の用心棒 瓜ふたつ』(鳥羽 亮 双葉社 2008
年 \581)
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(2000年 2月16日創刊) kishidafumio@hotmail.com
発行者 KISHIDA Fumio http://fkfk.infoseek.ne.jp
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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