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ほぼ日刊日々是映画


2008.06.11

[ほぼ日刊日々是映画] vol.2307 ★ 渚のシンドバッド


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================================================2008/6/11==
                        -vol.2307--
  ほぼ日刊 日々是映画         発行:cinema-today
                http://www.cinema-today.net/
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2307号です。

euro2008に、W杯予選に、水泳とスポーツの話題が多いですね。
まあ、スポーツの話題が多いほうが平和な気がしていいです。
日本代表にもがんばってほしいものですね。

さて、
『ぐるりのこと。』がよかったので、橋口亮輔特集。
今日は『渚のシンドバッド』です。

昨日の『ぐるりのこと。』のリンクが間違ってました。スミマセン
http://www.cinema-today.net/0806/04p.html


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-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 渚のシンドバッド

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 渚のシンドバッド


--cinema2231------------

 渚のシンドバッド

 1995年,日本,129分

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<キャスト&クルー>

監督 橋口亮輔
脚本 橋口亮輔
撮影 上野彰吾
音楽 高橋和也

キャスト 岡田義徳
     草野康太
     浜崎あゆみ
     高田久実
     山口耕史

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレビュー>

 高校2年の伊藤は同じブラスバンド部で仲のよい吉田にひそかに
思いを寄せている。そのことを転校生の相原に気づかれてしまい、
父親にもゲイであることがばれて精神科に連れて行かれるが、そこ
で相原とばったり出会う…
 橋口亮輔監督の長編第2作。少年から青年へと変貌しようとする
若者を描いたドラマ。歌手デビュー前の浜崎あゆみが出演している
ことでも有名。


<レビュー>

 この登場人物の中で一番目を引くのは実は一番普通に見える吉田
浩之である。主人公の伊藤修司はゲイでなおかつ同級生に恋心を抱
くという悩みを抱え、相原果沙音は心に大きなトラウマを抱えてい
るが、この吉田はみんなから好かれ、彼女もいるし、家族ともそれ
なりにうまくやっているごく普通の高校生である。
 この吉田が伊藤に告白されて混乱する。普通の高校生として“ま
とも”な生活を送ってきた吉田にとってそれはどう対処していいの
かわからない出来事である。吉田は伊藤に「好きにすればいい」と
いうが、それはまったく伊藤のことを理解していないのである。
 この吉田という少年は自分がこれまでに教えられたり刷り込まれ
たりしてきた価値観を無批判に信じ、それを周りにも何の疑いもな
く当てはめ、押し付ける。だから彼は誰にでも優しく、女の子から
付き合おうといわれれば付き合う。彼の行動は外見上は優しくてい
い人でちゃんとしているように見えるけれど、その優しさは相手を
思いやってのものではなく、自分なりの常識に基づいた行動に過ぎ
ないのだ。
 このように自分の価値観に疑問を持たずに過ごせるのはコドモ=
少年の間だけだ。青年といわれる年代になると、他人との価値観の
違いに気づき、自分の常識が当てはまらない出来事に遭遇する。そ
の出会いの中で相手を思いやる気持ちを育てていくことこそが大人
になるということである。吉田は“大人しい”少年だが、まったく
大人ではない。彼は伊藤に告白されることで、自分の常識からまっ
たく外れた出来事と遭遇する。彼は相手を思いやることができない
から、ただ混乱して自分の世界を守ろうとする。そして伊藤と友だ
ちでい続けようとするのだ。
 彼はそのようにしながらも、それが自己中心的な行動であるとは
まったく気づいていない。彼は彼なりに周囲に対して優しく振舞お
うとしているのだ。しかし彼の行動は自分という基準に基づいた優
しさの押し付けでしかなく、思いやりではない。
 しかし、高校生なんてのはそんなもので、この作品でもほとんど
のクラスメートがそうなのだ。伊藤と相原だけがすでに自分と社会
の間の齟齬を経験しており、彼らの一歩先を行っている。しかし、
他のクラスメートにはそれが理解できない。彼らは自分の価値観で
二人を判断し、彼らを排除する。
 これは大人になったからこそ理解できる青い時代の話である。高
校生が主人公ではあるが、高校生が見たら退屈な話だろう。大人に
なって振り返るからこそわかる青春の青臭さがそこにあるのだ。

 主人公の高校生たちを演じた岡田義徳、草野康太、浜崎あゆみら
は非常にいい演技をしていると思う。ぎこちなくたどたどしいが、
そのぎこちなさがリアルなのだ。うまく演じているというよりはナ
チュラルさが非常にいい。特に浜崎あゆみはこのまま女優としてやっ
ていっても面白かっただろうと思う。演技がうまいというわけでは
ないが、キャラクターにぶれがなく、本当に自然だ。
 橋口亮輔監督の演出はまだ荒削りな印象だ。せりふのないシーン
で長回しをしてみたり、やりたいことはわかるけれどまだこなれて
いない感じがする。岡田義徳と浜崎あゆみをそれぞれ真正面から撮っ
た精神科のシーンなんかも、もう少し心理が伝わりやすく、スムー
ズに展開する撮り方ができたように思う。登場人物もぎこちなく、
シーンの展開もぎこちなくなってしまったことで、全体が冗長なも
のに感じられてしまった。
 それでもいい映画だった。友情や恋や汗で彩られた美男美女たち
の青春映画ではない、本当の青春映画だ。




□ ヒビコレリンク

 『ぐるりのこと。』
  http://www.cinema-today.net/0806/04p.html


□ DVD今日の買い!

<今日の作品:渚のシンドバッド>

 『渚のシンドバッド』
  http://tinyurl.com/4fohox

  楽天でレンタルする→http://tinyurl.com/474ylf


<今日のお勧め>

 橋口亮輔

 『ハッシュ!』
  http://tinyurl.com/53oze4

 『二十才の微熱』
  http://tinyurl.com/3hxqnv

 『無限の荒野で君と出会う日』
  http://tinyurl.com/3nc2cg



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                     日々是映画第2307号
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                     発行:cinema-today
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