2008.06.14
[ほぼ日刊日々是映画] vol.2309 ★ 二十才の微熱
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-vol.2309--
ほぼ日刊 日々是映画 発行:cinema-today
http://www.cinema-today.net/
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2309号です。
また地震ですね。
やはり地震は怖い。備えあれば憂いなし。
地震に驚いて飛び出して轢かれてしまったという方がいたとか。
轢かれてしまった人にも轢いてしまった人にも悲劇です。
地震の際の心構えをもう一度、肝に銘じておきましょう。
あわてず、あせらず、まずは出口の確保と火の始末です。
防災セットはお手元に。
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水の備蓄は怠りなく。
http://tinyurl.com/45m8tg
今日は橋口亮輔特集『二十才の微熱』です。
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-------- 目次 --------
■ 今日の映画
二十才の微熱
□ ヒビコレリンク
□ DVD今日の買い!
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■ 今日の映画 − 二十才の微熱
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二十才の微熱
1993年,日本,114分
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<キャスト&クルー>
監督 橋口亮輔
脚本 橋口亮輔
撮影 戸澤潤一
音楽 篠崎耕平
磯野晃
村山竜二
助監督 篠原哲雄
キャスト 袴田吉彦
片岡礼子
遠藤雅
山田純世
橋口亮輔
<評価>
☆☆☆(満点=5)
<プレビュー>
大学生の島森はゲイバーで男相手の売春をしていた。彼はゲイと
いうわけではなかったが、無感動にその好意を受け入れていた。そ
んな彼にバイト仲間の高校生信一郎とサークルの先輩である頼子が
思いを寄せていたが、島森はそれも冷静に捉えていた…
橋口亮輔監督がPFFスカラシップによって撮った劇場デビュー
作。袴田吉彦や片岡礼子にとってもデビュー作でぎこちなくもある
が、みずみずしくもある。
<レビュー>
アマチュア映画作家の登竜門であるピア・フィルム・フェスティ
バルで89年にグランプリを取った橋口亮輔監督がその賞として与え
られるスカラシップによって撮り上げたデビュー作。このPFFス
カラシップ作品には、園子音の『自転車吐息』、矢口史靖の『裸足
のピクニック』、熊切和嘉の『空の穴』、荻上直子の『バーバー吉
野』、内田けんじの『運命じゃない人』などなど秀逸な作品が数多
くある。
なかにはデビュー作とは思えない完成度の作品もあるが、橋口亮
輔のこの『二十才の微熱』は出演者もデビュー作ということもあっ
てかデビュー作らしいみずみずしさと危なっかしさがある。
この作品で監督が描こうとしたことははっきりとしている。それ
は、男が好きでもないのに男相手に体を売る主人公の島森の無感動
さである。何に対してもいやとは言わず、誰に対しても優しく、し
かし心を開かない。彼の行動からは何も見えてこない。いったい何
を求めているのか、あるいは何を待っているのか、それはまったく
見えてこない。彼はただ周りを見回し、周りの人たちが彼に求めて
いることをやろうとする。そこには喜びも怒りも何もない。ただ無
感動に過ぎ行く日々、それが相手を傷つける。
このキャラクターは『渚のシンドバッド』の吉田に受け継がれる。
島森はただ無感動なだけだが、吉田にはそこに思い込みとも言える
価値観が加わる。その思い込みがさらに相手を気づける度合いを増
すわけで、ある意味ではキャラクターとして洗練されていく。
『渚のシンドバッド』とこの『二十才の微熱』は連続もののよう
に似通っている。描かれている題材は違っているが、未成熟な若者
の心を描き、それが無自覚に周囲を傷つけていくさまを描く。これ
は高校生ですでにゲイである自分を自覚し、周りに比べると成熟し
てしまった橋口亮輔が見つめた若者の姿なのだろう。彼自身、そん
な無自覚な男たちに傷つけられたのかもしれない。
このような若者は、時代を超えて存在するし、あるいはこれは少
年から青年へと成長する若者が常にぶつかる壁なのかもしれない。
その壁を意識しないまま大人になってしまった少年がいまさまざま
な事件を起こしてしまっているのかもしれないなどとも思う。
しかし、まあこの作品自体は社会的な視座に立ったというよりは、
身近なことを見つめた映画だ。誰もが通る青年という時期をひとつ
の視点から見る、そこから浮かび上がってくる今というものがある
のだ。
片岡礼子がとてもいい。前半は地味な存在なのだが、ひそかに想
いを寄せるというキャラクター設定をリアルに演じているし、少し
男っぽい(おやじっぽい?)性格もしっかりと出ている。
終盤、島森が家にやってくるシーンではとにかく喋りまくる母親
をうるさがりながらも、島森がやってきたことがうれしいという感
じをうまく演じているし、母親とのやり取りのスピード感もすごい。
橋口監督は『ハッシュ!』で再びこの片岡礼子を使うわけだが、
ここでも非常にいい存在感を示していた。
橋口亮輔監督の作品では女性は常に現実的で、男性はどこか浮世
離れしているところがある。まあ現実にもそういう面はあると思う
が、この監督の作品では常にそれが顕著だ。この『二十才の微熱』
と『ハッシュ!』の片岡礼子、『渚のシンドバッド』の浜崎あゆみ。
橋口亮輔は(ゲイだからということもあると思うが)その現実的
な女性よりも男性のほうに思い入れがあるように思える。普通に見
ると現実的な女性たちのほうが魅力的なキャラクターだと思うのだ
が、監督は浮世離れした男性のほうに執着する。この作品では終盤
に自ら客として登場し、嫌なやつの役を演じる。この監督自身の熱
演は若者たちの未来を暗示し、さらに先へと物語をつなげていく。
橋口亮輔監督はデビューから15年間でわずか4本の作品しか撮って
いないが、一本ずつ確実にレベルアップして行っている。この『二
十才の微熱』は一本の作品としてはまあまあというレベルではある
が、彼がすばらしい監督になっていく第一歩らしい作品でもある。
役者のいい演技を引き出し、自分なりのメッセージをこめ、それを
観客の問題意識や、われわれを取り巻く社会とつなげる。
他の作品を見てからデビュー作に立ち返ると、彼のそんな変わら
ぬ姿勢が見えてくるのだ。
□ ヒビコレリンク
『渚のシンドバッド』
http://www.eigablog.com/article/100158109.html
『ハッシュ!』
http://www.cinema-today.net/0112/28p.html
『ぐるりのこと。』
http://www.cinema-today.net/0806/04p.html
『裸のピクニック』
http://www.cinema-today.net/0110/25p.html
『空の穴』
http://www.cinema-today.net/0111/23p.html
『バーバー吉野』
http://www.cinema-today.net/0508/21p.html
『運命じゃない人』
http://www.cinema-today.net/0610/27p.html
□ DVD今日の買い!
<今日の作品:二十才の微熱>
『二十才の微熱』
http://tinyurl.com/43otl3
<今日のお勧め>
橋口亮輔
『ハッシュ!』
http://tinyurl.com/53oze4
『渚のシンドバッド』
http://tinyurl.com/4fohox
PFFスカラシップ
『裸のピクニック』
http://tinyurl.com/436lrn
『空の穴』
http://tinyurl.com/3j457e
『バーバー吉野』
http://tinyurl.com/5z65br
『運命じゃない人』
http://tinyurl.com/yhjdsz
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日々是映画第2309号
2007年6月14日発行
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