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競馬の文化村「もきち倶楽部」


2008.08.15

競馬の文化村「もきち倶楽部」   No.899


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競馬の文化を発信するメール・マガジン       2008 年08月13日発行
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    競馬の文化村「もきち倶楽部」          No. 899

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▼目 次▼

■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第27回         飯田正美

   生きているうちにもう一度ぐらい見てもいいかな


■ 馬の名前に文化を読む 第325回            森本 健  

   アメリカン オークス:Pure Clan  牝3歳


■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第566回   編:山本一生  

   競馬ノート15:競馬切抜帳(66)

     競走馬に養老院


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■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第27回         飯田正美   
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   生きているうちにもう一度ぐらい見てもいいかな
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 前回は夏の福島開幕週の話題だったから、実に2ケ月近い夏休みをいただいた
ことになる。
 この間、当社・日刊ダークホースの対外試合参戦 ( 1打数1安打2打点の活
躍 ) 、銀座のママさんが勢ぞろいした、友人・國安輪「二軍監督」( 講談社 ) 
の出版記念パーティーなど面白い話題がいくつかあるが、タイトルがタイトルだ
けにそれは自重し、春後半は不振続きだった馬券のことを簡単に自慢しておきた
い。
 なんと、福島2週目から先週の2回新潟最終週までの7週間、週単位の収支決
算は6週プラス。といっても何人かで飲んで歌えば消えてしまう程度のプラスだ
が、食事会など夜の街に飲みに出ることの多いローカル出張では、負けないこと
が大事。断り切れない誘いも多く、肝心の競馬で負けると貧困を極めることにな
る。
 某著名競馬人のお手伝いを昨年1月から1年4か月も続け、アテにしていたそ
の原稿料を払ってもらえず、経済的にはピンチの状態だっただけに本当に助かっ
た。もちろん予想と馬券は微妙に違うが、予想家は予想を当ててこそ、馬券を取
ってこそと改めて思ったしだい。ちなみに、当方の馬券は、本命1着固定の三連
単が主力で、馬連が押さえ。越後S 67260 円、新潟日報賞 40510 円、秋吉台特
別 62690 円など、三連単にはずいぶん助けられた。
 
 先々週は休みを取り、山口県の田舎に帰省。金曜日まではいつもの仕事をし、
土曜日朝に宇部空港に到着、その足で小郡のウインズに向かい、場外馬券を満喫
した。日曜日は、自宅から車で2時間弱の小倉競馬場に遠征。小倉記念の行なわ
れる週ならまだお盆の帰省ラッシュとは重ならないし、何より重賞を実際にこの
目で観られるのがうれしい。新潟は重賞レースが組まれていない。

 日刊競馬に入社して以来、函館競馬出張の新人の頃を除いて、夏は毎年必ず田
舎に帰省している。親父が元気だったときは、いつも一緒に小倉に遠征していた。
 もう十年以上前になるが、一度だけ夏、田舎に帰らなかった年がある。
 その年の秋は、作家の石川喬司氏、翻訳家の平尾圭吾氏との三人でブリーダー
ズ・カップ観戦旅行の予定を組んでいた。結局、カナダの天候状況、ホテル事情
が悪く、ラスベガスのスポーツ・ボックスでの観戦に変更したが、秋に休みを取
るなら夏の休暇は遠慮しようという思惑が働いた。
 当時、親父はガンで闘病中。しかし、付きっ切りで看病していた妹に聞けば、
まだまだ大丈夫だろうとのことで、暮れに早めに帰ればいいかなと勝手に決めて、
夏は帰省しなかった。しかし、それが判断間違い。その秋、12 月を前にして親
父は亡くなった。あの年、夏に帰って最後の顔を見ていれば良かったと悔やまれ
た。

 山口の実家では、明治生まれの母が健在で、やはり妹が付きっ切りで面倒を見
ているが、親父のときの苦い経験があり、可能な限り帰省することにしている。
 母親のこともあるが、東京で暮らしている三人の兄に代わり、一人で苦労を背
負い込んでいる妹をねぎらう意味もある。土曜日は夜遅くまで一緒に飲んで愚痴
を聞いてやり、最後は二人で家庭カラオケを楽しんだ。そして、翌日は妹も小倉
に同行、小額の馬券を買って一喜一憂し、少しは憂さ晴らしになったかもしれな
い。

 月曜、火曜は炎天下でゴルフに興じ、夜は飲み会。月曜日は、楽しいメンバー
が集まった。学生時代、東京で一緒に飲んだり、マージャンをしたり、競馬にも
何度か一緒に行ったことのある仲間五人だ。今は当方以外みんな田舎に戻ってい
る。個別にはちょくちょく会っているが、全員がそろって会うのは初めてで、も
う三十数年がたっているというのに、当時と同じ価値観をみんなが持ち続けてい
るのが不思議な気がする。それぞれの記憶が微妙にズレていて、新たな発見とい
うか、それは始めて知ったみたいな話もいくつか出てきた。楽しかったが、話し
の端々に今の現実の生活も嗅ぎ取れ、醒めていく自分を感じたりもした。こんな
形で会うのは、おそらく最後となるだろう。

 一週休んだ新潟でいいことがあった。先週の新潟の記者席で、元、馬社のKト
ラックマンにいきなり声をかけられたのだ。予想上手の馬券上手だったが、当方
といくらも違わない年齢がネックになってどこからもお声がかからなかったのだ。
 しかし、K社に欠員ができ、急遽雇用されたという。
「良かった…」
 両の二の腕を軽く掴みながら小声でそういう当方に、グッと口を引き締め、無
言で小さくうなずく。本当に、良かった…。

 Kトラックマンとは、新潟で何度か一緒に飲んだことがある。
 もう店を閉めて永いが、古町の外れにちょっとだけ行きつけだった「K」とい
うクラブがあった。その店で知り合った女性に、「私のマンションの部屋からは
花火がとてもきれいよ」と誘われたことがある。一緒にKトラックマンを誘い、
三人でお酒を飲みつつ、花火観賞。ちょっと奇妙な時間をすごした。

 そのマンションから、二人の泊まっている新潟グランドホテルは歩いて数分の
距離。「越の寒梅」を土産の帰り道、Kトラックマンが当方に尋ねた。
「なんで、ボクを誘ったの?」
 一人で行って、いいことをすればよかったのにという意味だ。
 なんでだろう? 今も分からない。
 もし、当時の話をKトラックマンに聞けば、おそらく当方の記憶と微妙にズレ
ていることだろう。しかし、あの夜のことは、自分でも不思議な感覚で懐かしく
思い出される。

 Kトラックマンと久々に再会した日の2日後が、新潟祭りの花火大会。新潟の
花火は、あの夜以来一度も見ていないが、生きているうちにもう一度ぐらい見て
もいいかな…。


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■ 馬の名前に文化を読む 第325回            森本 健  
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   アメリカン オークス:Pure Clan  牝3歳
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 日本で夏は牝馬の季節と言われるが、アメリカでも牝馬のレースが目立つ時期
である。西海岸で今世紀に入って始まったアメリカンオークスは、国際招待レー
スでもあり、歴史の浅い割には世界の優れた名牝たちが勝ち馬に名を連ねている。
 今年のアメリカン オークス(G1 芝 10F)は、アメリカ独立記念日の週末 7 
月 5 日ハリウッド・パーク競馬場で行われ、Pure Clan が勝った。


  Pure Clan (牝 3 歳 父 Pure Prize 母 Gather the Clan)

  Pure Clan とは「純粋な一族」という意味である。サラブレッド自体が「純
血種」の意味であるから、ほぼ同じことを言っているのであるが、まあそれほど
大それた考えではなくて、単に父母の組み合わせからの命名ということだろう。

 父親 Pure Prize は「純粋な賞(品)」、これでは何だか分りにくいが、この
馬の母親がGIで8勝を上げた名牝 Heavenly Prize であることから考えると見
えてくる。
  Heavenly Prize の父親が Seeking the Gold で、これからすると、本当に賞
金や商品と思われそうだが、母親のほうが Oh What a Dance 「おお、なんとい
う(素晴らしい)踊り」 であるところを見ると、Heavenly Prize は金鉱掘りが
見つけた「黄金」よりも「天からの贈り物、授かり物、天賦の才」という訳がふ
さわしい。蛇足ながら Oh What a Dance の父親は不世出の天才 Nijinsky であ
る。
 そうなると、金鉱掘りのほうも見つけた「黄金」が贈り物なのではなくて、金
を見つける才能に恵まれた人という具合に感じられるから面白い。
 したがって Pure Prize の意味も、見つかった「純度の高い黄金」よりも「実
に優れた天賦の才」と解釈し、さらにその娘 Pure Clan もそうした才能を持っ
た「一族」と考えればすっきりする。

 母親 Gather the Clan はそうした「一族の集まり」の意味で、これはその父 
General Assembly「(国連などの)総会」から来ている。これまた蛇足ながらそ
の父は言わずもがな Secretariat である。
  Gather the Clan の母親は、What a Summer「なんと素敵な夏」だから関係な
さそうでいて、実際一族が集まるのはなにもサンクスギヴィングやクリスマスだ
けでなく、夏休みを利用して一族大集合した野外バーベキューなどをすることも
多いことからだろう。

  What a Summer は両親の組み合わせで、父親が What a Luck「何たる幸運」、
母親が Summer Classic「夏のクラシック」とこのアメリカン オークスやサラト
ガのトラヴァースを思わせる名前なのだが、単に父親が Summer Tan「夏の日焼
け」と Classic Music「クラシック音楽」の組み合わせだった。
 ニューヨークのセントラル・パークやボストン交響楽団が行うタングルウッド
音楽祭のように、夏に無料で野外コンサートを行うところも多いから、まあバー
ベキューの連想もそう離れているわけではない。

  Pure Clan の成績はこれで 9 戦 6 勝 2 着 1 回 3 着 2 回、芝は 4 戦 4 
勝、2 歳では芝でデビューして 2 連勝、その後ダートの重賞を 2 連勝してシー
ズンを終えた。
  3 歳に入りダートを 2 戦、ケンタッキー・オークスでは 3 着と頑張ったが
勝ちきれず、前走芝の重賞に出て快勝すると、続けてアメリカン オークスも勝
った。おそらくは今後牝馬の芝路線でいくのであろう。

 アメリカン オークスは国際招待であり、今回はアメリカの馬が勝ったが、2 
着にはフランス調教馬、4 着にはアイルランド 1000 ギニー馬が入るなど、その
国際競走としての位置づけはすっかり定着した感がある。
 日本調教馬もレースが G1 となった 2004 年から昨年まで出走していたが、今
年は参加がなかった。毎回好成績を残している日本馬なので、今後とも参加する
ことを期待したい。



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■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第566回   編:山本一生  
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   競馬ノート15:競馬切抜帳(66)
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 競走馬に養老院 
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 産経新聞(91/1/12)に、標題と同じ見出しの外に、「引退後も活躍の場を北
海道白老町の牧場 観光用で“第2の人生”」といった見出しの記事がのった。
次に全文を紹介する。


 引退した競走馬を預かり、余生の面倒をみる“馬の養老院”がこの春、馬産地
として知られる北海道白老町にオープンする。競馬の歴史が長い欧州ではこうし
た施設は多いが、日本では本格的なものとしては初めてで、将来北馬と人との触
れ合いを売り物にして観光事業化する計画も進んでいる。
 日本中央競馬会によると、一線から引退するサラブレッドやアラブなどの競走
馬は年間約4千頭。レースで活躍すれば種牡馬や繁殖用として重宝がられるが、
これは一握りの“エリート”の話。大半は乗馬や観光用の使役馬として余生を送
り、食肉用やペットのえさになる馬も少なくないという。
 競走馬のための“養老院”建設計画は、欧州の施設を視察した羽田改元農水相
が「ぜひ日本にも」と提唱。賛同した東京の倉庫会社や不動産会社の経営者らが
資金を出し合って計画が具体化した。
 馬主から預託料を受け取って運営する方式で、建設予定地として白老町石山の
阿部牧場(阿部春雄代表)の敷地内に90アールの用地を確保。3月ごろから馬
房やパドック、管理棟、たい肥場の建設に着手し、5月ごろには完成の予定とい
う。
 オープン当初の収容頭数は24頭前後に上る見通し。牧場名は、宮沢賢治
が名付けた理想郷「イーハトヴ」とすることが決まっている。
 白老町の佐々木芳孝農林水産課長は「競馬ブームのなかで競走馬の老後のため
の施設ができることは動物愛護からも喜ばしい。競馬プアンにとっても朗報だろ
う。町としてもできる限りバックアップしたい」と話している。


 羽田元農水相が欧州で見た施設とは、どこの国のどんな施設かは知らないが、
どこの国でも、競馬から引退したすべての競走馬を収容する施設を作ることなど
不可能であろう。だから、これはいわゆる功労馬に限ることになるのじゃないか
と思う。

 しかし、この記事によると、馬主は預託料を出せばどんな馬でも、余生の面倒
を見るということのようだが、収容頭数に限りがあるし、結局は功労馬というか、
相当成績をあげた馬に限られることになるのであろう。私は、それで充分だと思
っている。引退した競走馬を全部死ぬまで面倒を見る施設なんて不可能だし、そ
んなものは世界中どこにもない。

                             (9/26)

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  日本競馬史に永久に残るだろう『競馬研究ノート』シリーズのどのページ 
  を開いても、未踏の時代を先駆者として生き抜いた温厚な教養人の魅惑的 
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  ぼくらはそれに育てられた

                             石川喬司

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  競馬の文化村「もきち倶楽部」              No. 899 
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  BACK NUMBER http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000042700
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【発行者】     安部俊彦 
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【編集人】     山本一生 
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【WEB】     http://www.bunkamura.ne.jp/mokichi-club
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【MAIL】     mokichiclub@bunkamura.ne.jp
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【制 作】     (有)ケーズオフィス 
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【WEB】     http://www.kz-office.co.jp
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