2008.05.15
カエルニュース 第306号
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社民党衆議院議員・小児科医・阿部知子のメールマガジン
\^o^/「カエルニュース」 第306号 2008/5/15 \^o^/
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★☆生命軽視の時代に改めて脳死移植を問う☆★
1997年に現行の臓器移植法が成立してから10年余が経過し、
この間日本では臓器移植を前提とした脳死判定が71例、その
うち実際にドナーとして脳死状態からの臓器提供に至った方は
70人となっている。
こうした状況に対して、臓器提供が少なく脳死移植が進まな
い、あるいは現行法の「ドナー本人の生前の意思」に基づく臓
器提供では子どもの臓器移植が進まないという理由から、3年
近く前に2つの改正案が提案された。
それぞれ河野・福島案(A案)、斉藤案(B案)とメディア等
では呼ばれているが、A案の脳死判定は医師の専権事項(すなわ
ち医師が判断して実施)として、本人があらかじめ拒否の意思
を表明していなければ家族の同意でドナーとすることが出来る
とするもので、これまでの書面による本人同意という法体系を
全く覆すものである。また臓器移植を前提としない脳死判定も
可能となる。
一方B案では生前の本人同意という法の枠は維持しながらも、
臓器提供が可能となる年齢を12歳まで引き下げるとするもので、
小児科学会の一部もこうした考えを是認していると言われる。
私も含む数十名の国会議員は「脳死を人の死としない」立場
から2002年以来、勉強会を国会内で開催し、脳死移植だけでな
く生体からの移植や組織の移植も含めた移植医療全体をもっと
きちんとしたルールの下に置くべきと考えてきた。こうした経
緯の中で、もちろん現実の脳死移植のドナー治療や判定が年を
追うごとにずさんになってきているという懸念も抱き、また脳
死判定後も長期にわたり生存されているケースも国内外で数多
く知るところとなった。さらには移植を受けた患者さんのその
後もほとんど個人情報保護という理由で国民に知らされていな
いこと、移植後の経過のデーターベースは、ドナー、レシピエ
ント共に全くなく、医療としての検証の場がないことなども大
きな問題ではないかと思われた。そこで昨年12月に臓器移植法
改正の第三の案(C案)を金田誠一さんはじめ3人の提案者、20
人の賛同者で提案したのである。
脳死移植の検証や改正点をめぐっては、本来の厚生労働委員
会がたくさんの法案を抱えており審議が出来ない状況であるか
らという理由で、昨年の参議院選挙前に与党の単独採決で小委
員会が設けられており、以来2国会にわたって継続されている。
生命をめぐる大事な審議が小委員会というごく一部の限られ
たメンバーだけで行われてよいとは決して思えない。私たちC案
の提案者は本来の厚生労働委員会の場をはじめ法務委員会や内
閣委員会、文科委員会等との連合での審査が必要と考えている
が、その前提としてまずA案のように法の根幹それ自身を変える
のであれば、再度脳死臨調を開き広く社会・文化・宗教的観点
からこの十年余を論ずるべきであると思う。
A案の提案者が言うような「脳死を人の死とする」ということ
は、社会的な合意が出来ているのか、「人の死」を国会が決め
てよいのかなどが、そもそも問われている。私たちが考える国
会の仕事とは、人間の尊厳を損なうことや人権侵害が起こらぬ
ような現実的な法や制度の整備こそ、その役割と考えている。
ちなみにこの間大きな国民的批判の的となっている後期高齢
者医療制度では、医師による終末期の治療中止の書面作成に診
療報酬が払われることになっているが、これこそ瀕死の病人の
生存権や人権を侵害する行為ともなりかねず、きわめて問題が
大きい。
もう一度立法の役割を原点に立ち返らせるためにも、臓器移
植法の審議のあり方を含めて検討される必要があるだろう。
阿部 知子
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