2008.06.23
カエルニュース 第310号
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社民党衆議院議員・小児科医・阿部知子のメールマガジン
\^o^/「カエルニュース」 第310号 2008/6/23 \^o^/
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★☆医療政策不在の後期高齢者医療制度☆★
<死蔵される健診データ、保険者機能をもたない広域連合>
後期高齢者医療制度をめぐっては、75歳という年齢によって
人間の一生を区切る制度設計や、今後とも上昇が見込まれる保
険料設定など、これまでも各方面から批判や懸念の声が寄せら
れてきた。国会でも会期末に福田首相に対する問責決議案が出
され可決されるなど、この制度に関連しての与野党の攻防が繰
り広げられた。
こうした中であるが、私が最も問題と考えるのは、そもそも
高齢期に必要な健康管理政策については全く論議されていない
ことである。ちなみにこの4月から、40歳から74歳までの人には
健康保険組合、国民健保など保険者ごとに特定健診(いわゆる
メタボ健診)が義務づけられているが、後期高齢者医療制度に
入る人はその枠外にある。もちろん各市町村では75歳以上の方
にも一応健診は行うが、その項目は自治体ごとにかなりのバラ
ツキがあり、おまけに受診の案内状も全員には送付されない市
町村すらある。
その理由は健診にかかる費用が、例えば神奈川県の場合、該
当者の約一割の受診分しか広域連合から手当されないので、受
診者が増えれば増えるほど、市町村の持ち出しになるためであ
る。しかも、健診の結果は広域連合に集められるが、広域連合
には健康政策や医療政策を企画・立案・実施する体制が全くな
いため、データはそっくりそのまま国保連合会に送られてしま
うのである。
すなわち、健診結果から浮かんでくる各地域・市町村の「後
期高齢者」の健康状態は、だれにも把握されないままに死蔵さ
れるのである。おまけに後期高齢者医療制度での診療報酬によ
る医療費の支払いは「包括払い」とされるケースが増えると思
うが、この場合、個々にどのような治療が行われていたのかの
記録もない。
こうやって同じ地域に暮らしているにもかかわらず、75歳以
上であることをもって市町村管理から外されていくばかりか、
健診結果も集計されず、行われた治療内容も点検されない。今
後の予防対策や必要な医療体制も明らかにならず、医療行政と
しての責任の所在がなくなってしまうのがこの制度である。
医学的に見て75歳以上の方に多い疾患で特に入院加療の必要
性が最も高いのは、脳血管障害である。ちなみに現在75歳以上
で脳血管障害を原因とする入院患者は約20万人であるが、高齢
社会のピークの2025年には50万人にものぼると推計されている。
日頃からの精度の高い健診、一刻も早い治療の開始、そして
急性期・回復期・維持期を通じた一連のリハビリなどをきちん
と政策化する必要がある。その結果、医療費が適正化されるの
であれば、それは願ってもないが、現在の後期高齢者医療制度
のようにまず「医療費の適正化」ありきでは、本末転倒、かつ
必要な医療をも制限していくものになりかねない。
少子高齢社会に必要な地域に密着した健康管理政策という観
点からも、75歳で区切り広域連合にゆだねる後期高齢者医療制
度の矛盾を明確にしなければならない。併せて出生時からの一
貫した予防・保健体制をどのように作っていくのかという問題
に答えを出す必要がある。そのためにも後期高齢者医療制度は
まず廃止されるべきである。
阿部 知子
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