2006.07.05
■幕末マガジン■
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【幕末マガジン】 // 2006/7/5 // Published by RyoMaX
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マガジンの説明 幕末維新の人物や事件の紹介。龍馬はもちろん、幕末維新史、
明治維新政治外交史、全国の幕末史跡・イベント情報なども。歴史ファン必読。
┣【1】幕末英雄の素顔
┣【2】明治4年岩倉使節団と「米欧回覧実記」(2003/5/1 配信済み)
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【幕末英雄の素顔】
第5回 「西郷隆盛」 (執筆者:Mr.萌咲)
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読者のみなさん、こんにちは。
幕末は、後世に名を残す英雄が多く輩出されました。
ただし英雄といっても私たちと同じ人間です。失敗談や面白おかしいエピソードなど
も多く残されています。このコーナは、そんな幕末英雄の素顔をちょっと覗いてみた
いと思います。
その第5回は、薩摩のさごどん「西郷隆盛」。西郷には、幼少時代から西南戦争で
自刃するまで数多くのエピソードがありますが、今回はその一部にスポットを当て
たいと思います。
西郷隆盛と聞いて、多くの人が最初に思い出すのが、上野公園にある銅像ではな
いでしょうか。丈の短い浴衣着のような姿で、左横に犬を連れている姿は、一見
ユーモラスにも見えてしまいます。またこの銅像の除幕式のときに、夫人の糸子さ
んは「こんな姿は、西郷と違う。」と驚いたというエピソードが残されています。
(末裔の方へもまだその思いが伝えられているようですね。)しかし、この銅像に
西郷の素顔が隠されているかもしれません。
時は明治6年、征韓論をめぐる政変が勃発します。西郷は「征韓論者」だとか「征
韓論に敗れて西南戦争を始めた。」などといわれることがありますが、まったくそ
うではありません。征韓論とは、武力で朝鮮を開国させようとする主張を言います。
一方、西郷は武力による開国に反対し、自分自身が大使となって話し合いで開国
を求めることを主張しました。これを「遣韓大使論」などと呼びます。前者の征韓論
は、幕末当時は長州の吉田松陰らが唱えていたこともあってか木戸孝允らがそれ
を推していました。また朝鮮に外交交渉のために派遣されたものの冷たくあしらわ
れた佐田白芽らも征韓論を強く唱えた人物でした。征韓論争は、一時は西郷の主
張する遣韓大使論が認められたのですが、その後海外から帰国した岩倉具視や
大久保利通らに、「朝鮮より国内の政治安定が先決」と主張を退けられました。
その後、西郷は陸軍大将などの役職を辞任し、薩摩に下野したのです。
薩摩に戻った西郷は、西郷を慕って故郷に戻ってくる連中のために私学校を設立
するなどしました。また生活は主に自宅だった様ですが、時には鰻温泉(今の鹿
児島県山川町)で療養し、愛犬である薩摩犬「ツン」を連れてうさぎ狩りに出かけた
ようです。
話は銅像に戻ります。先に述べた上野公園の銅像は、このうさぎ狩りの時の西郷
をイメージして制作されたのだそうです。また、短い丈の着物は西郷の質素倹約の
姿勢をイメージしているのだそうです。
明治以降は武力行使を好まず、薩摩に戻ってからは故郷の人材を大切にして、
自然を堪能した。そんな西郷の素顔が集約された銅像が、上野公園の銅像なので
はないでしょうか。
ご意見、ご指摘などありましたら、よろしくお願いいたします。
moesaki1115@yahoo.co.jp
執筆者HP
http://www.sky.sannet.ne.jp/moesaki/
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■明治4年岩倉使節団と「米欧回覧実記」 (執筆者:松ノ落葉)
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(2003/6/1 配信済み)
■□■今回は伊藤博文による「日の丸演説」をお伝えします■□■
「日の丸演説」(伊藤博文)
吾等使節として(※1)当国に到着以来、至る処にて受けし慇懃(いんぎん)なる接
待、殊に今夕の特別なるもてなしに対し、深厚なる感銘の意を諸君並びに諸君を
通じてサンフランシスコ市民に表す。
惟う(おもう)に今夕は、日本に実施せられたる幾多の改良に就き、精確なる概要
を述べる好機会なるべし。蓋し我日本人以外には、我国内の状況に就き正確なる
知識を有する者稀れ(まれ)なればなり。
(※2)条約国との親交は維持せられ、我国民の理解に依り通商関係は増進せり。
本使節は、天皇陛下の特命に依り、彼我両国民の権利及び利益を保護するに努
むると同時に、将来に於いて内外国民の結合を一層親密ならしめんことを期する
ものなり。我等は互いに益々相知るに従い、双方の意思はいよいよ疎通するに至る
べしと確信す。
我国民は、読むこと、聞くこと並びに外国に於いて視察することに依り、大抵の諸外
国に現存する政体、風俗、習慣に就き、一般的知識を獲得したり。今や外国の風習
は日本全国を通じて諒解せらる。今日我国の政府及び人民の最も熱烈なる希望は、
先進諸国の享有する文明の最高点に到達せんとするに在り。この目的に鑑み、我
等は陸海軍、学術教育の諸制度を採用したるが、外国貿易の発展に伴って知識は
自由に流入せり。我国に於ける改良は物質的文明に於いて迅速なりと雖も、国民の
精神的改良は一層遙かに大なるものあり。我国の最も賢明なる人々は、精密なる
調査の結果、この見解に於いて相一致す。(※3)数千年来専制政治の下に絶対
服従せし間、我人民は思想の自由を知らざりき。物質的改良に伴って、彼等は長
歳月の間彼等に許されざりし所の特権あることを諒解するようになれり。尤もこれに
伴う内変は一時の現象に過ぎざりき。我国の諸侯は自発的にその(※4)版籍を
奉還し、その任意的行為は新政府の容れる所となり、数百年来強固に成立せし
(※5)封建制度は、一箇の弾丸を放たず、一滴の血を流さずして、一年以内に撤廃
せられたり。かくの如き驚くべき成績は政府と人民との合同行為に依り成就せられ
たるが、今や相一致して進歩の平和的道程を前進しつつあり。中世紀に於ける
いずれの国か戦争なくして封建制度を打破せしぞ。
此等の事実は、日本に於ける精神的進歩が物質的改良を凌駕するものなることを
立証す。(※6)又我が女子を教育することに依り、我等は将来の時代に於いて今
より一層優秀なる知能の涵養(かんよう)をこいねがうものなり。この目的を以て、
我国の(※7)少女等は既に勉学のため貴国に来つつあり。
日本は、なお未だ創造的能力を誇る能わずと雖も、経験を師範とせる文明諸国の
歴史に鑑み、他の長を採り誤を避け、以て実際的良知を獲得せんと欲す。一年足らず
以前に、(※8)予は合衆国の財政制度を精細に調査したることありしが、その時
ワシントン滞在中貴国大蔵省高官より貴重なる援助を受けたり。而して(しか又は
しこうして)予の学び得たる各種の事項は、誠実に我政府に報告せしが、その献策は
大抵採用せられ、既に実行に移されたるもの少なからず。現に予の管轄下にある
工部省に於いても、進歩の大いに見るべきものあり。(※9)鉄道は帝国東西両
方面に敷設せられ、(※10)電線は我領土の数百マイル(一マイルは約1.6キ
ロ)に亘って拡張せられ、数箇月中に殆ど一千マイルに及ばんとす。(※11)燈台
は今や我国の沿岸に設置せられ、我造船所も亦活動しつつあり。此等の施設は
総て我文明を助成するものにして、我等は貴国及び他の諸外国に対し深く感銘する
次第なり。
使節としても個人としても、我等の最大の希望は、我国に有益にして、その物的及び
知的状態の永久的進歩に貢献すべき資料をもたらして帰国するに在り。我等はもと
より我人民の権利及び利益を保護するの義務を負うと同時に、我通商を増進すること
を期し、且つこれに伴う我生産の増加を図り、その一層大なる活動を助長すべき健全
なる基礎を作らんことを望むものなり。
太平洋上に今将(まさ)に展開せんとする新通商時代に参加し、大いに為す所あらん
とする大通商国民として、日本は貴国に対し、熱心なる協力を捧げんとす。貴国の
現代的発明及び累積知識の成果に依り、諸君は我祖先が数年を要せし事業を数日
にて成就し得るならん。貴重なる機会の集中せる現時に於いて、我等は寸陰をも
惜しまざるべからず。故に日本は急進を望むや切なり。
(※12)我国旗の中央に点ぜる赤き丸形は、最早(もはや)帝国を封ぜし封蝋(ふ
うろう)の如くに見ゆることなく、将来は事実上その本来の意匠たる、昇る朝日の
尊き徽章(きしょう)となり、世界に於ける文明諸国の間に伍して前方に且つ上方に
動かんとす。
「伊藤博文伝」抄録『開国』日本近代思想大系1・田中彰著 岩波書店
(※1)当国とはアメリカのこと。
(※2)当時の条約締結国はアメリカをはじめ、オランダ、ロシア、イギリス、フラ
ンス、ポルトガル、プロシア、スイス、ベルギー、イタリア、デンマーク(ここまで
の11ケ国は旧幕府が締結)とスウェーデン=ノルウェー、スペイン、オーストリア
=ハンガリー、ハワイの合計15ケ国である。
(※3)数千年は大げさな表現であるが、実質的には摂関政治以降か?あるいは
鎌倉以降かもしれない。
(※4)版籍奉還とは明治2年6月17日から25日にかけて、かつて版籍奉還を願
い出た(佐賀藩など)藩主に沙汰書が下され、版籍奉還は実現する。
藩主の呼び名も「知藩事」と改められるが、実体は封建領主としての「知藩事」
でなく、単なる一地方行政官としての「知藩事」となり、藩士も上士・下士の区別を
なくし、全ての藩士を士族とし、旧藩主との封建的主従関係が否定されることにな
る。
領地(管轄地)こそ従来と同じ「藩」であるものの、肝心の領有権を没収された藩主
の権威は一気に弱体化され、実質上の廃藩(封建制の崩壊)とも呼べる非常に重要
な革命であったと言ってよい。
(※5)これは明治4年7月14日の廃藩置県を指す。戊辰戦争のことではない。
(※6)国家主導による国民教育は明治5年、文部卿大木喬任のもとで「学制」と
して体系化されたが、実はこれより3年前の明治2年、佐賀藩にて藩政改革に
携わっていた江藤新平が、その政策「民政仕組書」において「村中の子供男女、
筆算(読み書き・そろばん)は是非致すべく仕組を立つべし」とあり、すでに明治
2年の段階で、江藤は男女共学の教育実施を思案していたことが窺える。
ちなみに江藤新平は明治4年の一時期、文部大輔(実質的な長官)として全国民
教育の実現に取り組んでいた。江藤の理想はそのまま後任の大木喬任へと
引き継がれたのである。(江藤と大木は同じ佐賀藩出身で、長年の盟友である)
(※7)これは開拓使派遣の5人の女子留学生を指す。年齢順から吉益亮(よします
りょう)と上田悌(うえだてい)、山川捨松、永井繁、津田梅(のち梅子)
(※8)明治3年11月、当時民部少輔だった伊藤博文は文中にもある通り、主に
財政制度を学んで、明治4年5月に帰朝した。
(※9)新政府の鉄道建設の建議は佐賀藩から起こった。(佐賀藩ではすでに安政
2年に精煉方中村奇輔、石黒寛次、田中儀右衛門の3人が蒸気車ひな形を製作、
完成させている。安政元年にペリーが徳川幕府に献上した鉄道のひな形に周囲の
人々が驚愕の目を向けてから、たった1年後のことである。)
慶応4年2月11日、佐賀藩の大木喬任は当時副総裁の三条実美に建白書を提出
し、東西両京間に鉄道を建設するべきである、と主張し、翌明治2年に東西両京間
を幹線とし、東京横浜間を支線として、まず東京横浜間の支線から工事することが
決定した。鉄道建設における監督官庁は民部・大蔵両省とされていたので、民部
大輔兼大蔵大輔の大隈重信が主宰した。
(※10)日本での電信事業は明治2年に横浜裁判所と東京築地運上所の間に電信
線が架設されたのが最初である。
(※11)日本で最初の燈台は観音崎燈台である。
(※12)それまでは「赤い封蝋」と呼ばれ、日本の鎖国と重ね合わせて捉えられて
いた。封蝋とは、密封のために使用する蝋状のものである。国際社会の仲間入り
を果たそうとしている日本としては、「日の丸」を「赤い封蝋」などという悪い印象
を打ち消すために「日の丸」を「昇る朝日」と説明したのは、この時が最初である
と言われている。
■□■7月からイギリス編へと移ります■□■
参考文献
『開国』日本近代思想大系1 田中彰著 岩波書店
「江藤新平」 毛利敏彦著 中公新書
「百官履歴」(一) 日本史籍協会編
「岩倉使節団」 田中彰著 講談社現代新書
「年譜考 大木喬任」 島内嘉市著 アピアランス工房
「鍋島直正公伝」第四篇 久米・中野編 侯爵鍋島家編纂所
ご意見・ご感想はこちら saga@ace.ocn.ne.jp まで
下記はファイナンシャルプランナーの専門家で構成するファイナンシャル・プラン
ナーズLLPのHPです。金融資産運用、保険の見直し、住宅ローンの借り換えや
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