2008.04.16
<国際派時事コラム>杉原千畝(ちうね)を描いたミュージカル
ほぼ週3回更新の「ブログ」。
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杉原千畝(ちうね)を描いたミュージカル
■■■■第222号■■平成20年4月16日発行■■■◆
ヒトラーの迫害を逃れてポーランドからリトアニアにたど
りついたユダヤ人避難民が、日本領事館前に集まった。
昭和15年7月18日のことだ。
行き場を失ったユダヤ人避難民の明日への希望は、シベリ
ア鉄道でウラジオストクまで行き、敦賀に上陸し、神戸にあ
るユダヤ人組織の助力で第三国へ逃れることだった。
日本へ渡航したあと第三国へ向う目途が立っているから、
通過ビザを出すことは法的にはOKだった。
(だから有効なビザが出せた。)
ただ、大量のビザ発給が政治的にみてどうなのか。
外務省本庁に問い合わせると、このような大量のビザ発給
は許されないとの訓電が来るが、 悩みぬいた末に 杉原千畝
(すぎはら・ちうね)領事代理は法と良心に従ってビザの発
給を開始する。
「敦賀上陸、 滞在拾日限(10日かぎり)」とペンを走らせ
た。
そして救った6千人のいのち。
■ センポとは? ■
その時代背景から杉原千畝の懊悩と決意までを感動的に描
いたミュージカルの秀作が4月22日まで東京で公演中だ。
(そのあと名古屋と神戸でも。)
「SEMPO 日本のシンドラー 杉原千畝物語」
http://www.rise-produce.com/sempo/
センポとは、なかなか「ちうね」と発音しにくい人たちに
杉原が自分のことを呼ばせた呼称。
(ユダヤ人たちは杉原千畝のことを“センポ・スギハラ”と
記憶した。)
この公演をコラム子も 4月12日と15日に 2度にわたり見
て、胸から脳までぐいとわしづかみにされた。
センポ・スギハラの揺れ惑いつつ収斂する心境の再現に存
分な説得力がある。
脚本・プロデューサーの川崎 登さんは、 いい仕事をされ
た。
史実から緻密に構成しつつミュージカルらしい遊びもいれ
てバランスのいい脚本だ。
今(こん)拓哉さん、彩輝(あやき)なおさん、泉見(い
ずみ)洋平さん、そしてベテランの 沢木 順さんなど、ミュ
ージカル俳優の一流どころが起用されていて、安心して見て
いられた。
■ 絶唱、ダンス ■
杉原千畝役はロックの吉川晃司(きっかわ・こうじ)さん
が演じたが、たとえていえば鹿賀丈史(かが・たけし)さん
の真摯(しんし)が皮膚の奥まで沁み込んだような出来映え
だった。
演出・脚色の大谷美智浩さんがパンフレットで思いを吐露
している:
≪稽古を進めていたある日、吉川「千畝」の中に正義の光が
宿った。キャストもスタッフも、その場に居合わせた誰もが
泣いた。≫
そういう瞬間があったこと、よくわかる。
のちに逃避行の途中で命を落とすことになるエリーゼ(井
料瑠美さん)が
「いつの日か帰ろう 遥かなエルサレム」
と絶唱して幕が開く舞台は、ヴェトナム戦争時代のニューヨ
ークのダンスホールの快活な舞踏に一転する。
全編にわたり、ダンスがうまい。役者さんの粒が揃ってい
る。
ダンスホールの男たちのやりとりからやがて、なぜ杉原千
畝が「命のビザ」の発給のために文字通り自らの命もかけた
のか? という問いかけが提示される。
その答えを、説得力をこめて見せてくれた。
■ 歴史のモーション ■
昭和14年の 在ヘルシンキ日本公使館の 華やいだ舞踏会か
ら、歴史の叙述がはじまる。
日本・ドイツ・ソ連をそれぞれ、あでやかな女性たちに擬
人して演じさせ歴史の流れを語らせる。
時代の闇は深まり、第2幕冒頭のヒトラーと親衛隊の歌は
やがて近衛文麿政権の陸軍軍人の歌へと転調する。
≪……日の丸よ永遠なれ 立ち上がるのだ 今すぐ
お国のため戦おう いざ勝ち取れ大東亜共栄圏……≫
という歌詞は文字にすると安っぽいのだが、
7名の軍服姿に能面をつけさせスローモーションで腕を揺
らせる演出は効果的で、扱いにくいテーマをミュージカルと
しては上手に処理してある。
杉原千畝を演じる吉川晃司さんが最初に登場するのは、顔
を帽子で隠したままポーランド人のエージェントとの密談の
場。
顔を見せずに声と振舞いで杉原千畝をつくったところで、
すでにして杉原千畝となった男が顔を見せる。
この演出にしびれる。
■ 台本、DVD…… ■
中島みゆきさんが音楽を担当ということで、中島ミュージ
カルとはどんなものだろうかと期待した。
仕上がりは昨年の傑作ミュージカル「マリー・アントワネ
ット」を思わせた。
あとでパンフレットを見たら、中島さんが詞・曲を担当し
たのは全34曲中の8曲ほどで、他の大部分は Peter Yarin
さんの作曲だった。
中島さんの作のうち、千畝のうたう「掌」という曲がとり
わけ心をとらえたし、Peter Yarin さんがユダヤの旋律をと
りいれた曲も印象深かった。
会場では主な俳優さんのサイン入りの台本を売っていて、
わたしは 彩輝なおさんと沢木 順さんのサイン入りのを1冊
ずつ買った。
1枚6,000円のDVDも7月に出る予定。
市販されず、公演期間中しか申し込めぬそうだ。
親しい友人たちにも贈ろうと思って5枚予約した。
公演に行けないかたもDVDでご覧になれる。
お申込みは興行主の株式会社ライズ・プロデュースまでお
問合せください(電話 03-3589-5115)。
http://www.rise-produce.com/
海を越えての上演の実現を祈りたい作品だ。
国内でも必ず再演があるだろう。
■ 愛華みれさんのご回復をお祈りします ■
東京であと8回公演がある。まだ席が残っている。
(4月22日まで、新宿ちかくの「新国立劇場」で。)
そのあと4月26〜27日に名古屋の「名鉄ホール」。
5月2〜8日に「新神戸オリエンタル劇場」で。
さいごに、この作品に出演予定だったが病いに倒れて降板
となった愛華みれさんの一日も早いご回復をお祈りして、本
日のコラムを終えたいと思います。
===
▲ 後記 ▼
ここ2年間、ほぼ週に1度は劇場に行っています。
観劇後の感想はブログに書いていますが、
今回の「SEMPO」は昨日の会場の後ろのほうの空席が、
なんとももったいなく、ブログへの書き込みに加筆して配信
することにしました。
日本人として、話の中身も演劇の出来も全て誇れる作品だ
と思います。
さいきんのコラム子のブログ記事から ――
ことわざパロディー 「鬼の犬 魔の選択」
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200803290000/
何だい、鬼の犬 魔の選択 って?
おにの いぬ まの せんたく、ですよ。
それってどういう意味?
たまにはお笑いを。
==
<泉 幸男 著>
『中国人に会う前に読もう 第一線商社マンの目』
『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』
通 信 販 売 も 受 付 中
http://homepage2.nifty.com/sai/mart/
==
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(週に3回ほど更新しているブログ)
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