2007.04.08
クラシック音楽夜話 Op.198
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クラシック音楽夜話 Op.198 2007年4月8日(日)
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アマデウス先生、よろしくご指導ください
Op.198 CONTENTS━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.作曲のまねごと
2.モーツァルト
セレナード 第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」
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1.作曲のまねごと
先日、BGMを作りました。
昔、シンガーソングライターを夢見て歌を書いていました。詩を書きコードと
メロディを適当に組み合わせます。かれこれ160曲ほどのがらくた同然の歌を、
アルバムと称して多重録音していました。だから、歌作りはそれなりに経験が
あります。しかし、器楽曲は全くありません。編曲は、遠い昔、友人の勤める
小学校の校歌を行進曲風にアレンジした経験があります。歌作りも、最後は、
15年前、友人の結婚に捧げた歌です。
ですから、15年ぶりの曲作りです。BGMなので歌にするわけにはいきません。
ギターを手放し、歌を歌わなくなった今、作る音楽は現在の嗜好によるでしょ
う。となれば、モーツァルト、ベートーヴェン、古典音楽調になります。ふた
りの楽聖のオリジナルメロディを変奏曲風にしようか、思い切り現代風にアレ
ンジするか、ワクワクドキドキの時間が始まりました。
ナレーション付き写真スライド的映像のBGMですから軽めのタッチで耳障りに
ならない曲。それが最優先の条件です。ギターがあれば、コード進行を決め、
アルペジオで簡単な伴奏を作り、メロディをあてはめる(逆でも良い)などの
やりようがあります。でも、ギターは今ここにありません。こりゃ、コンピュー
タでDTMしかありません。ただし、音源が貧弱なので弦楽器は使えません。ヴァ
イオリン、ヴィオラ、チェロなど音色の違いがなく面白みにかけます。ピアノ
の音源はそれなりに聞こえますが、コードのアルペジオだけだと様になりませ
ん。そもそも、ピアノはコード進行でしか弾けないので本格的ピアノ曲を書く
のは無理、無理。
いろいろ音源を試したところ、かろうじて、木管楽器の音色は、それっぽく聞
こえることに気がつきました。ということで、フルート、オーボエ、クラリネ
ット、ファゴットの四重奏曲にすることにしました。
テンポはアレグロ。まず、フルート用にメロディを8小節書きます。MIDIで、
すぐに再生し確認です。ありふれたメロディ、どこかで聞いたことがありそう
なアヤシゲな曲ですけど、癖もないのでこれでいきましょう。創作にあまり時
間をかけていられないので、同じメロディを二度繰り返すことにしました。サ
ビの部分用メロディも8小節。これも二度繰り返し。手抜きだらけです(笑)。
次は、オーボエとクラリネット。いずれも好きな音色の楽器なのでメロディを
担当させたいけれど、今回は伴奏に徹してもらうことにします。オーボエ用に
シンコペーション風フレーズを8小節書き、そのままクラリネットへコピーし、
音符を三度分動かして微調整。こういうところがコンピュータは楽です。昔は
手書きでやったんだよな〜、と思わず懐かしくなります。
最後は、ファゴット。つい、ベースギター風になるので注意しなければなりま
せん。でもどういうフレーズが良いのだろう、と悩みます。混声合唱のベース
パートを意識するか、それとも、室内楽のチェロ風か。この時ほど室内楽の譜
面を研究しておけばよかった、と後悔したことはありません。やはり、勉強は
しておくべきでしょう(笑)。
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ともあれ、なんとか形になり、再生しました。うーん、一本調子だけれど、少
しは音楽っぽくなりました。余計な不協和音が、ところどころ聞こえるけれど、
耳障りというほどでもありません。あえて言えば、シンコペーションの多用に
より、伴奏部が目立ち、やや、ししつこい印象もあります。
メインが完成したのでアダージョのオープニングを作りました。長めのトリル
で各パートが順番に入ってくるという演出。なんとなく朝の雰囲気に聞こえて
きます。映像の締めくくり、映画のエンディングクレジットシーン用に、短い
フレーズを書き加えました。そして、映像に音楽をのせてみます。いまどき、
こういうクラシック風音楽をBGM使用するケースはあまりないだろうな、と思
いつつも、「意外に映像とマッチしているじゃないか」という感想も密かに抱
きました。いえ…、単なる自己満足です…。
怖い物見たさ、ではなく聞きたさの好奇心旺盛な方限定対象で公開します(笑)。
素人の作曲のまねごとですので、その辺おふくみおきの上聴いてください。
皆さんで笑ってください。
★「習作」〜フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットのための四重奏曲
http://musiker21.seesaa.net/
※MP3で約5分の再生です。ADSLや光ファイバー回線以外の方は、
ダウンロードの上お聴きください。
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でも、思うのです。こんなテキトーな音楽の作り方ではいけない。きちんと、
ちゃんと音楽を書かねば。その思いが日に日に増してきました。きちんと学ぶ
には先生が必要ですね。やはり、あの人に教わるしかないでしょう。
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2.モーツァルト
セレナード 第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」
映画「アマデウス」でサリエリが感動し、いや、嫉妬するほど美しい音楽。
「他愛のない、ごくありふれた、ほぼお笑い(コミック)の前奏(サリエリの
言)の後、天から降り注ぐようなオーボエの美しい調べ。クラリネットがその
調べを引き受け、独特の世界を創り上げている作品。とても印象的なシーンに
流れた曲ですから忘れられません。あの曲はいったいなんという作品なのか?
気になって仕方がありませんね。
そう、セレナード第10番の第3楽章でした。
「セレナード」といえば、かの昔は恋人の窓の下で歌う「恋歌」でした。今こ
んなことをすると、近所迷惑で叱られそうですが、昔は風流なことをやってい
たんですね。セレナード=声楽曲。しかし時代の移り変わりと共に、この名称
は多様に使われるようになります。
モーツァルトの時代には、器楽曲催し物におけるいわば余興用音楽をセレナー
ドと呼ぶようになっていました。人々が食べて飲んで、会話を楽しんでいる中、
サービスとして演奏されたりもします。椅子に座りじっと、音楽に集中する、
というのではなく、ざわめいた中BGMのように扱われた、といってもよいでしょ
う。「セレナード第10番」は全7楽章の総演奏時間45分にも及ぶ大曲ですが、
余興音楽だとすれば、45分は決して長くはないかもしれません。もっとも、こ
の素晴らしい音楽が聞こえてくると、「ながら聞き」などできず、人々は、自
然と集中して聴き入ったでしょうね。
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「グラン・パルティータ」はその題名のとおり、大組曲(イタリア語)。演奏
時間の長さもさることながら、特に編成に注目です。オーボエ2、クラリネッ
ト2、バセット・ホルン2、ホルン4、ファゴット2、コントラバス(または
コントラファゴット)1、合計13名の演奏者が必要です。
バセットホルンという聴き慣れない楽器。金管楽器ホルンの仲間ではありませ
んのでご注意を。実は私も最初名前を聞いた時、「ありゃ?ホルンの仲間でバ
ス・ホルンという親玉があったっけ?」と勘違いしそうになりました。親玉は
親玉でもクラリネットの方の親玉(ようするにデカイということ)でした。
↓こちらにイラストが掲載されています。
http://etc.usf.edu/clipart/27800/27887/basset_horn_27887.htm
モーツァルトの親しい友人にこの楽器の名手がいました。シュタトラーです。
モーツァルトの「クラリネットと弦楽四重奏のための五重奏曲(K581)」に
は彼に敬意を払い「シュタトラー」というニックネームが付いています。シュ
タトラーはバセットホルン用の作品を何人かの作曲家に委嘱しており、その中
で最も重要な作曲家が他ならぬモーツァルトだったわけです。この「グラン・
パルティータ」もバセットホルンが編成に入る代表的作品のひとつなのです。
クラリネットよりも大きな楽器で、低い音を出すことができます。音色は、暖
かくて柔らか。普通のクラリネットより暗めの音、という感想をもつ人もいる
ようですが、私は、そのふくよかで包容力のある音が好きです。映画「アマデ
ウス」でクローズアップされた第三楽章では伴奏に徹しているため、目立ちま
せんが、伴奏群の中核を担っていて大きな存在感があります。バセットホルン
の音を楽しむには、第2楽章、そして第6楽章の変奏曲を聴くべきでしょう。
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セレナードということで「気楽に」聴ける音楽ではあるのですが、流して聴く
だけではもったいない、素晴らしい作品です。各楽章の色彩がそれぞれ違い、
明暗陰影すべてを兼ね備えています。楽器の特性を生かしたフレーズ、音色の
絡みあいによる心地良い響き。これ、絶品といわずなんと表現しましょうか。
私はここ2週間、こればっかり聴いています。
【第1楽章】 Largo〜Molto allegro
冒頭Largoの厚みのある音色に続くクラリネットの調べ。シンコペーションの
メロディと普通のリズムが絡み合う部分。アレグロに入ってからのシンプルな
フレーズでの各楽器の掛け合い。特に第二部分での、主旋律を担当するバセッ
トホルンと、小刻みでどこかユーモラスに動き回るファゴットのデュエットが
面白いです。おきまりのフレーズが七変化しつつ進む音楽を追うもよし。何も
考えず全体を聞き流すもよし。いろんな楽しみ方ができる楽章でしょう。
【第2楽章】Menuetto
ゆったりとした三拍子が気持ちがいい。メロディにトリルが効果的に使用され
ています。二種のトリオ(中間部)があります。最初はクラリネットとバセッ
トホルンのデュエットで、これが最高です。オススメ。二番目のトリオは、第
1オーボエと第1ファゴットの掛け合いで始まり、他の楽器が伴奏しつつ、メ
ロディラインを補う形で進む短調。ファゴットの三連符フレーズが聴きどころ
ですな。
【第3楽章】Adagio
もはや説明の必要もない名曲。オーボエとクラリネットのソロが主で他の楽器
は伴奏に徹しています。でも、伴奏といえ侮ってはいけません(サリエリの言
を信じてはいけない…笑)。細かいリズムの刻みと厚みある和音が、光差し込
むような細く美しいメロディラインをがっしりと支えます。
【第4楽章】Maenuetto
軽やかなメヌエット。美しい和音の響きに注目。一度目のトリオは寂しげな雰
囲気が徐々に怒へと変化していきます。二番目のトリオはオーボエ、バセット
ホルン、ファゴットのそれぞれ第一パート三者がユニゾンで奏でる流れるよう
な旋律に注目しましょう。
【第5楽章】Romance(Adagio〜Allegretto)
ゆっくりな三拍子によるアダージョ。和音を堪能しましょう。アレグレットで
は一転してスリリングな掛け合いとなります。バセットホルンとファゴットが
ソロで大活躍です。高音楽器と低音楽器の持ち味を生かしたアンサンブルも聴
きどころ。コーダのオーボエのメロディが美しく、いとおしむように音楽を締
めくくるところがなんとも憎い演出です。
【第6楽章】Andante
「クラリネット五重奏曲」か?と間違えそうな、冒頭クラリネットデュオをは
じめクラリネットが主役。続く第一変奏はオーボエがリード。三連符のメロデ
ィが微笑ましいです。第二変奏は前半バセットホルンとファゴットの活躍。裏
のオーボエが効果的。後半はクラリネットとバセットホルンのデュエット。第
三変奏は、ファゴットとコントラバスが細かい音形で存在を主張し始めます。
クラリネット 第一のメロディと第二の分散和音がユーモラス。第四変奏は、や
や哀愁帯びた雰囲気に。第五変奏はバセットホルンの二重奏にのり、オーボエ
がのどかなメロディを担当。後半クラリネットとバセットホルン群の調べはた
ちこめる霧のようで、そこにまたオーボエが姿を見せる、といった感じの雰囲
気。第六変奏はアレグロ。全楽器揃って快活なフレーズを奏でた後、にぎやか
に楽章を締めくくります。
【第7楽章】
前楽章のにぎやかさを受け継ぎ、更ににぎやかなフィナーレは、オーボエ、ク
ラリネットのユニゾンで始まります。スピーディなメロディ。行進曲といって
もよいキビキビとした曲想は気持ちが良いです。後半バセットホルンが高音で
ソロを奏でます。クラリネットとの音色の違いがはっきりとわかる部分です。
ファゴットのソロが登場した後、メインメロディをオーボエがソロで奏で、一
気にフィナーレに向かいます。
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アインシュタインが「このジャンルの頂点とみなされるべき。これに続くもの
は後生にも出ていない」と絶賛したといわれるモーツァルトの「セレナード 第
10番」。長いので最後まで聴くのをためらうかもしれませんが、そんな心配は
ご無用。聴けばあっという間に時が過ぎる、楽しくて楽しくてたまらない、そ
んな音楽です。まだ未体験の方はぜひどうぞ。
参考資料:※下記CD解説文(志島栄八郎さん著)
【私が聴いたCD】
PHILIPS 412-726-2
モーツァルト
セレナード第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
指揮:サー・ネヴィル・マリナー
↓こちらに情報を記載。
http://www.musiker21.com/cdinfo.html
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【あとがき】
三週間のご無沙汰です。春ですね、やっと。
私は何かを創ると誰かに聴いたり見てもらいたくなるたちです。曲ができると
夜中でも誰かに聞かせて感想を求めた小椋佳さんのように(小椋さんの犠牲に
なった人は主に弟さんだったそうです。興奮しながら曲について語る小椋さん
をよそに弟さんは「兄貴…、そんなに興奮するほどのものじゃないんじゃない?」
と、クールにいわれたとか)。
実は、私も親しい友人お二人に既に聴いていただきました(Iさん、Sさんあり
がとうございます!)。公開については、どうしようかと迷いましたが、公開
したくてウズウズし続けるにきまっているので、「エイヤッ!」と本日公開す
ることにします。本家のサーバーmusiker21.comは、転送容量の関係で問題
なので、急遽PODCAST可能なblogを申し込みました。無事再生できると良い
のですが。
「グラン・パルティータ」を取り上げると決めてすぐに、モーツァルテウム財
団の楽譜のサイトへ飛び、全楽章をダウンロードしました。プリントには時間
がかかりましたが、手元に楽譜があると音楽の特徴がよくわかるので、とても
有効です。作曲(のまねごと)の勉強にも役に立ちそうです。今度は、弦楽四
重奏曲をダウンロードしましょ。
では、op.199(←おお!もうすぐ大台だ!)をお楽しみに。
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