2007.07.29
クラシック音楽夜話 Op.205
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クラシック音楽夜話 Op.205 2007年7月29日(日)
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セイル(帆)は夏を待っている
Op.205 CONTENTS━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.こんな作曲のお勉強を真似してはいけない
2.久々の「ピアニスト」アシュケナージ
【今週のPODCAST】
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【はじめに…という名の言い訳】
先号あとがきで、次回(この号のこと)取り上げると宣言したブラームス「弦
楽五重奏曲第1番」は、音源制作が進まず、配信そのものも、のびのびになっ
てしまいました。気がつけば7月も最終週です。このまま月を超すのは忍びな
いので、恥も外聞も捨てて、不本意ながら別の話題でop.205をお届けします。
宣言すると、決まってこれですからやはり宣言しない方が良いかもしれません。
ということで(←何がということだ!)今号は楽曲解説はお休み。軽い読み物
として、お楽しみいただければ幸いです。
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1.こんな作曲のお勉強を真似してはいけない
ここのところハイドンの弦楽四重奏曲のスコアとにらめっこしています。いつ
買ったのかさえも忘れてしまった黄色いEulenburg版の楽譜。単行本ほどの大
きさでページ数は28ですから薄っぺらい冊子です。弦楽四重奏なので、第一
ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという四つの弦楽器のパ
ートがセットで、各ページ4段組です。
作品名は、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための四重奏曲ニ長調、
Hob:III:34、Op.20-4。弦楽四重奏曲第34番。
一度も聴いたことがありません。CDも持っていません。ましてラジオなどで
聴いた経験もない。それなのにスコアを買ったのですから、笑ってしまいます。
目的はふたつあるんですね。スコアリーディング訓練。そして作曲の研究です。
ギター、ホルン、合唱の経験はあるのですが、恥ずかしながら単音を追えても、
いまだに複数パートの動きを音楽としてイメージすることができません。これ
で合唱指揮者になることを夢見た時代もあったのですからお笑いです。
いまさら指揮者になろうと目論んでいるわけではありません(笑)。しかし、
スコアを読むことができれば、もう少し深く音楽と付き合えるのではないだろ
うか、と思うのです。オーケストラ・スコアはパートの数が多いので、まずは
4パートから、というわけです。
もうひとつの目的は、作曲の勉強のため。
(身の程知らずもいいかげんにしろ!という声が聞こえますが、聞こえないふり
をして…)
自己流でシンガーソングライターもどきの歌は作った経験はあります。でも、
あれは、コード進行に合わせてメロディのようなものを呪文のように謳っただ
けです。作曲と呼ぶのはおこがましい自己満足の世界でした。今は、クラシッ
ク風音楽を書きたいので、やはり勉強が必要だと思いました。勉強嫌いのこの
私が勉強宣言をするのですから、よほどのことです(爆笑)。
○○法という書物で勉強することも考えましたが、途中で投げ出すのは目に見
えています。だから、いきなりハイドンの弦楽四重奏曲スコアを教材用に買っ
てきたのです。もちろん見た目一番簡単そうなのを適当に選びました(よい子
はこういう勉強の仕方を真似してはいけません)。
でも、やはり難しい。4パート各々のメロディをなぞれても、4つのパートが
同時に聞こえてこないのです。鍵盤楽器を横に置きトレーニングするべきなの
でしょうが、今はイメージトレーニングに徹しています。時間がいくらあって
も足りませんな。
孤独なトレーニングに耐えきれず、先日、つい、Finaleで44小節目までスコ
ア化してみました。減量で苦しむ力石が葉子から差し出された水に手を出す時
の心境ですな(力石は手を出さなかったけれど…)。私は甲斐性なしです。
というわけで、初めて聴く実際の音。おお!ここはこんな響きだったのか!と
訳もなく感動しました。が、これではトレーニングの意味をなさないので、ほ
どほどにしておきます。さて、いつまで続きますやら。
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2.久々の「ピアニスト」アシュケナージ
最近は指揮者としての活躍が目立つウラジミール・アシュケナージ氏。NHK交
響楽団の音楽監督を8月で退くという記事を本日新聞で読みましたが、もう、3
年も経過していたのですね。就任前NHKの特集でアシュケナージ氏の指揮ぶり
を見たのを思い出します。あの完璧なテクニック、まるでサイボーグのような
敏腕ピアニストのイメージとはほど遠い、いいオッサン風感じの彼になんとな
くホッとさせられました。
指揮者はカリスマ性があればよい、人柄など二の次、という考えもあるけれど、
私は人当たりが柔らかい人の方が好きです。オーケストラ団員と時にはジョー
クを飛ばし笑い会える信頼関係というのは必要だと思います。もちろん、音楽
に取り組む姿勢は皆本気。時には火花がちる場面も必要でしょう。緊張感がな
い、「なーなーな」関係というのは論外ですが、緊張感ばかりというのも問題。
バランスが問題なんですね。何事も萎縮させられた状況で力が発揮できるとは
思えない。中には極度の緊張感の中で力を発揮する強靱な精神の強者もいるで
しょうが、そんな人間はほんの数パーセントでしょう。その点、アシュケナー
ジ氏はバランスがよさそうなイメージでした。ともあれ、彼が音楽監督を務め
た3年間のNHK交響楽団の演奏の評価はいったいどんなのでしょう。
「新撰組」以降、ここのところ毎年大河ドラマを見ています。オープニング主
題曲の演奏者クレジットに「指揮:アシュケナージ」とありましたが、それも
今年限りなのですね。大河はしばらく時代劇ばかりなので音楽もやや和風です。
西洋人の音楽スペシャリストが、こうい和風管弦楽をどのように解釈するのか、
興味がありましたが、なかなか名演です。音楽に国境はないから音楽家はそれ
ぞれの感性で立ち向かい、演奏をまとめていくのでしょう。聴いている側は指
揮者のお国なんか意識しませんし、逆に意識させないのが名指揮者といえると
思います。2009年からはシドニー交響楽団主席指揮者を務めるらしいので引
き続き頑張って頂きたいですね。
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そのアシュケナージ氏が、4月にベートーヴェン「ディアベッリ変奏曲」のCD
を出していたことを知りました。
彼の演奏によるベートーヴェンを初めて聴いたのはLP「ハンマークラヴィー
ア」でした。その後、ラフマニノフ、ショパン、シューベルトなどは買いまし
たが、ベートーヴェンの曲は買っていません。善し悪しではありません、ベー
トーヴェンをアシュケナージ氏で聴く習慣がないだけなんです(というより、例
のWB氏以外他のピアニストで聴かない偏屈ものです…笑)。たまたまベート
ーヴェン全集のピアノ・ソナタ7番〜13番がアシュケナージ氏の演奏でした。
所有の全集版では有名なピアニストがCD2枚分づつ担当しています。残念な
ことにあまり印象に残らなかっためしまいっぱなしです。ただ、アシュケナー
ジ氏の場合は比較的好感を持ったことを覚えています。1979年、1980年の演奏
ですから42〜43歳。脂ののった全盛期ともいえるかもしれませんが、ピアニス
トの場合必ずしも年齢では計れませんか。ベートーヴェン初期、中期ピアノ・
ソナタの演奏年齢としては、ちょうどよいかもしれませんが。
70歳になった彼の、「ディアベッリ変奏曲」は、さて、どんな演奏でしょう。
ベートーヴェン50歳の作品。間違いのない傑作。32番で、まるでピアノ・
ソナタというジャンルを卒業してしまった感のあるベートーヴェンが再び向か
ったピアノ曲が変奏曲だったのも、運命を感じます(13歳の時の処女出版作
も変奏曲だった)。70歳のアシュケナージ氏。はるかにベートーヴェンの年齢
を超えた年輪。数々のオーケストラを指揮した音楽経験。彼がこの傑作をどう
料理し弾いているか、とても興味深いです。
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★ディアベッリ変奏曲とは?
ベートーヴェン晩年の傑作ピアノ曲。ディアベッリという作曲家・出版商が作
ったワルツをテーマにベートーヴェンが書いた33の変奏曲。
ディアベッリの目的は、自分のワルツを主題としてウィーンで有名な作曲家た
ちに各々変奏曲をひとつ書かせ合作作品としての出版だった。現代にあてはめ
れば、敏腕プロデューサが複数アーチスト参加によるCDの企画みたいなものか。
ディアベッリの提案にのった作曲家は非常に多くて、シューベルト、リスト、
チェルニーなども名を連ね、当初ベートーヴェンもリストに入っていた。しか
し、企画が気に入らないベートーヴェン(たぶん単独ならまだしも、他の作曲
家たちと同列に扱われることが面白くなかったのでは?)は、この主題を「靴
やのボロ切れ」と呼び参加を断る。といいつつ、「単独ならばやってもよいぞ」
と6〜7曲の変奏曲を書くことを約束した。が、「つまらない主題」だと言っ
ていたにもかかわらず、のめり込んでしまったベートーヴェンは33曲の変奏曲
(演奏時間約50分)による大作を書いてしまったのである。
ベートーヴェン作品として、あまりポピュラーな曲ではないが、まぎれもなく
彼の傑作のひとつ。陳腐なテーマも、ベートーヴェンに料理されると、こんな
に緻密で、アイデア豊富な、ユーモラスで楽しい音楽に生まれ変わることが、
わかる最たる例。演奏が難しいことも有名。
ディアベッリは、ベートーヴェンの作曲が遅いため、しばしば催促したらしい。
第21変奏を書いた後も督促があり、ベートーヴェンは自分の立場を、こき使わ
れる召使いに例え、モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」幕開き直後のアリア
「夜も昼も休む間なしに」のメロディを借用して第22変奏を書いた。この部分
ホントに笑ってしまう(笑)。
テーマはテーマとしてベートーヴェンの頭の中に常に鳴っていただろう。が、
変奏が進む毎に音楽が豊かに展開し、聴き手はテーマの存在さえも忘れてしま
うかも。それでもところどころで再現するので、テーマ曲探しながらで聴くの
も楽しい。
※この曲は4年前、op.92で「変奏曲」の話題と共に取り上げましたので、よろ
しければこちらをどうぞ↓
http://www.musiker21.com/yawa_op92.html
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【今週のPODCAST】
ー最新配信番組ー
◆7月29日配信
メルマガの言い訳と雑多な話題のつもりが、話の流れでブラームス「弦楽五重
奏第1番」について解説めいたお話をしています。次号内容の予告?(笑)。
◆7月24日配信
ショパン 練習曲第8番
※長男が6年ほど前に作ったmidiをコンサート会場での演奏風に音源アレンジ
しました。ややスピード狂の感がありますし、ところどころミス入力もあるか
もしれませんが、よろしければどうぞ。
(でも、やっぱり実際のCDや演奏会の方がいいです…)
※iPODやiTUNESをご利用でない方も、次のURLでお楽しみいただけます。
ぜひどうぞ。
http://musiker21.seesaa.net
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【私の聴いたCDや本】
http://www.musiker21.com/cdinfo.html
※本誌で取り上げた作品のCDや書籍などを掲載しています。
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【演奏会情報】
「神童」でピアノの吹き替え演奏を担当した12歳の天才少女和久井冬麦さんの
演奏会が長野で実現。チケット販売中。
期日:8月24日(金)19:00開演
会場:長野県県民文化会館中ホール
★音楽の都"ウィーン"が認めた天才ピアニスト!★
日本初のクラシック音楽映画「神童」で主人公"うた"の吹き替え演奏を担当し、
その驚くべき才能で大注目の12歳の少女。正に「音楽の神様から愛された少女」
のプラチナ・リサイタル!詳細、プロフィールは
http://www.avis.ne.jp/~tes-ota/nagano-classical-info/
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【あとがき】
台風、地震と、天災で大変な一ケ月でした。被災された皆様には、一日も早く
通常生活に戻れる日が来ることを心よりお祈りいたします。
梅雨明けになった地域の皆さん、本格的夏の到来ですね。お体には充分ご注意
ください。私のところはまだでして、夕刻などは意外に涼しいです。でもあと
一週間後にはここも夏。セイル(帆)も、夏を待っているのでしょうね。
少し太り気味なので、食事と運動に気を配った「正しい生活(?)」を送って
います。いろいろな事を節制するのは精神修行にもなるものですね(笑)。
では、op.206まで、皆さん、ごきげんよう。
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メールマガジン「クラシック音楽夜話」
構成・文:musiker
◆webサイト「musikerの音楽夜話」
http://www.musiker21.com
◆PODCAST「クラシック音楽夜話 音声版」
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