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「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。


2006.02.28

『オン・つれ』 第百九十四段 〜 「仏法のうそ」


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 [本の紹介・夏目書店]          2006.02.28.(火)
 http://www6.ocn.ne.jp/~natume/ _________________________



   「オンライン古本屋」にて、『徒然草』を読む。


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          第 百九十四 段


  達人の、人を見る眼は、少しも誤る所あるべからず。

  例へば、或人の、世に虚言(そらごと)を構へ出して、人

 を謀(はか)る事あらんに、素直に、実(まこと)と思ひて、

 言ふままに謀らるる人あり。 余りに深く信を起して、なほ

 煩(わづら)はしく、虚言を心得添ふる人あり。 また、何

 としも思はで、心をつけぬ人あり。 また、いささかおぼつ

 かなく覚えて、頼むにもあらず、頼まずもあらで、案じゐた

 る人あり。 また、実しくは覚えねども、人の言ふ事なれば、

 さもあらんとて止(や)みぬる人もあり。 また、さまざま

 に推(すゐ)し、心得たるよしして、賢げにうちうなづき、

 ほほ笑みてゐたれど、つやつや知らぬ人あり。 また、推し

 出して、「あはれ、さるめり」と思ひながら、なほ、誤りも

 こそあれと怪しむ人あり。 また、「異なるやうもなかりけ

 り」と、手を拍(う)ちて笑ふ人あり。 また、心得たれど

 も、知れりとも言はず、おぼつかなからぬは、とかくの事な

 く、知らぬ人と同じやうにて過ぐる人あり。 また、この虚

 言の本意を、初めより心得て、少しもあざむかず、構へ出し

 たる人と同じ心になりて、力を合はする人あり。

  愚者の中の戯(たはぶ)れだに、知りたる人の前にては、

 このさまざまの得たる所、詞(ことば)にても、顔にても、

 隠れなく知られぬべし。 まして、明らかならん人の、惑へ

 る我等を見んこと、掌(たなごころ)の上の物を見んが如し。

 但し、かやうの推し測りにて、仏法までをなずらへ言ふべき

 にはあらず。

                         (全文)

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 ● 訳 ○

  ものの道理のよくわかっている人が、他人を見抜く眼力は、
 少しも誤る所がない。

  例えば、ある人が世間にうそを作り出して、他人をだます
 ことがあるような場合に、素直に、本当のことと思って、言
 う通りにだまされる人がいる。 あまりに深く信用する気に
 なって、その上にうるさいくらい、うそを付け加える人がい
 る。 また、何とも思わないで、まったく関心を持たない人
 もいる。 また、ちょっと不確かに思われて、信用するでも
 なく、信用しないでもなく、思案している人がいる。 また、
 真実らしいとは思わないけれども、人の言うことなので、そ
 ういうこともあるだろうとそのままにしてしまう人もいる。
 また、いろいろと推測して、わかっているふりをして、利巧
 そうにうなずいて、ほほ笑んでいるけれども、まったく知ら
 ない人がいる。 また、推測してうそを見破り、「ああ、きっ
 とそうらしい」と思いながら、それでもなお、自分の推測に
 誤りがあるかもしれないと不安に思う人がいる。 また、
 「格別なこともなかったのだなあ」と、手を拍って笑う人が
 いる。 また、うその真意を分かっているけれども、それを
 知っているとも言わず、はっきり分かっていることには、あ
 れこれと口出しすることもなく、知らない人と同じふりをし
 て過ぎてしまう人がいる。 また、このうそを作り出した意
 図を、初めて聞いた時から分かっていて、少しも小馬鹿にし
 ないで、作り出した人と同じ考えになって、人をだますこと
 に協力する人がいる。

  愚かな人の間における、うそを作り出して人をだますとい
 うふざけた事についてさえも、それがうそだと分かっている
 人の前では、以上にあげた、うそを聞いた時の受け取り方は、
 言葉においても、表情においても、はっきりと知られるにち
 がいない。 まして、その上の明智・達識の人が、物の道理
 にくらく、混迷している、凡人のわれわれを観察するのは、
 手のひらの上の物を見るようなものである。 但し、このよ
 うな推測によって、仏法には、衆生(しゅじょう・人々)を
 道に導き入れるための、いわゆる“うそも方便”の説が多い
 けれども、それらを、「うそを作り出して、他人をだます」
 うそと同等に見なしてはならない。


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 ○ つれづれなるままに ●


  市場での仕事中に、左手の小指を突き指してしまった。

  湿布でも巻いておけばそのうち治るだろうと思っていたら、
 いつまでたっても治らない。

  近所のカフェに、鍼灸(しんきゅう)の学校に通っている
 女の子がいるので相談してみると、病院に行った方がいいと
 いう。 突き指の場合は、せめてアイスクリームの棒でもい
 いので、当て木した方がいいという。

  そうかなー そんな大げさなことかなー メンドくさいなー
 と思っていると…


  「青年海外協力隊、行けなくなっちゃいますよ!」


  これには参った。

  翌日、病院に行ってみると骨折していた。 そのまま放っ
 ておいたら、指が曲がりづらくなっていたかも、とのことだっ
 た。

  この“小指の恩人”の女の子、アメリカでの解剖の研修に
 参加するために、カフェで働いてお金を貯めているのだとい
 う。

  この話を聞いたとき、ちょうどその女の子が店のフロアー
 に落ちていた割りばしを拾い上げたところだった。


  「そのために、こうやって割りばし拾ってるンです。」


  こういう面白いことを言う。


                          (留)

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 ◎ 編集後記 ◎

  みなさん、バレンタインはいかがでしたでしょうか? 自
 慢するわけではないんですけど、私は30〜40個くらいだ
 と思います。

  あげた数ですけど…。

  あれ、チョコレートをもらおうという姿勢が間違っている
 と思います。 あれはあげるもんです。 老若男女を問わず、
 私はあげました。

  犬にもあげたかったんですけど、犬にチョコレートは良く
 ないらしいので、これは我慢しました。

  バレンタイン・デーにこだわる必要はないと思います。
 一月や二月過ぎたからって、「これ、バレンタインのチョコ
 あげてなかったから」と言ってあげたらきっと喜んでもらえ
 ますよ。

  “女が喜ぶ”→“嬉しい”ですから。

                         (店長)

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         『オン・つれ』、今年はがんばるります。
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 ◇参考文献◇
 『新訂・徒然草』岩波文庫 (西尾実・安良岡康作、校注) 
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 〔発行〕 夏目書店  http://www6.ocn.ne.jp/~natume/
 〔文章〕 松本留五郎
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