2007.07.11
◆ごかいの部屋 No.143 『エネルギーはどこにある?』
2007.7.11[No.143]
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: ご か い の 部 屋
: 〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜
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元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る
体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説
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━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
エネルギーはどこにある?
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138号『角をためて牛を殺すな〔下〕エネルギーを保つことから』
で私は、不登校児やひきこもり青年が発するエネルギーのすごさと、そ
れに対処する周囲の心がまえについて考えました。
これを読んだある読者の方から「不登校児やひきこもり青年には、エ
ネルギーがないはずでは?」と質問を頂きました。
確かに「不登校やひきこもりはエネルギーが枯渇した状態」というの
が通説ですし、私も何度かそのようなお話をしています。
たとえば、対外的な活動ができなくなる(外出するのがおっくう、登
校する気力がわいてこない、等)ことはもちろん、日常生活上の活動さ
えできなくなる(風呂に入らない、歯を磨かない、等)ことがあります。
まさにこれらは、エネルギーが枯渇した状態に違いありません。
しかし、彼らが失っているのは「活動するエネルギー」であって「考
える(悩む)エネルギー」や「生命エネルギー」は健在なのです。
では、後者のふたつのエネルギーは、彼らのなかでどのように作用し
ているのでしょうか。
まず「考える(悩む)エネルギー」です。
『人生に意味はあるか』という本のなかで、著者の諸富祥彦氏が、人
生の意味や目的について考えようとしない人が多い理由の二番目として、
このような、なかなか答えの出ない問題を考え続けるのはすごくエネル
ギーが要ることなので「もうやめとこう」となるから、と指摘していま
す。
不登校が始まった頃「なぜ学校に行かなければならないのか」と周囲
に問いかける子がいます。登校するのが辛い現状からの逃避に聞こえま
すが、そうではなく、登校するのが辛くなったことをきっかけに「学校
に行く」ことの意味に目が向き、考え始めた、ということだと思います。
しかし、この疑問に普遍的な答えはありません。同様に、不登校児や
ひきこもり青年の多くが考える「なぜこうなったのか」「どうすれば脱
出できるのか」といった問いは、他者に答えてもらって納得できるもの
ではありません。彼らがそのようなことを延々と考え続けるのは、彼ら
が「考える(悩む)エネルギー」を持っているからです。
実際、彼らに会って話を聞いていると、本当によく考え、よく感じて
いることがわかります。彼らは、調子の波、最近の心理状態、不安や焦
りの原因、などといった自分の現状を、つぶさに説明してくれます。そ
して「どうしたらいいのか」を共に考える対話が繰り返されるのです。
次に「生命エネルギー」ですが、これについては、カゼをひいたとき
をイメージするとわかりやすいでしょう。
長い間の無理がたたり、疲れがたまって具合が悪くなり、発熱して寝
込んでしまった場合です。
このとき体のなかでは、疲れをとり、体力を回復させるための反応が
起きています。
ご存じの方が多いと思いますが、発熱とは病原菌を殺しやすい体の状
態をつくり出すための「生態防御反応」のひとつであって、治癒するた
めにはなくてはならない症状です。
つまり、体というのは、自らを強制的に休まなければならない状態に
し、その間に不具合を修復していく、という自然治癒力(自己治癒力)
を働かせています。それが達成されれば、症状がとれてエネルギーが回
復し、元気が戻るわけです。
しかも単に「治る」というだけではなく、体が同型の病原菌への耐性
を得るという効果をもたらします。
カゼをひいて寝込んでいる人は、外見的にはエネルギーが少なくなっ
ているように見えますし、自分でもそう感じられます。しかし体のなか
では、再調整し回復することにエネルギーが集中して使われている、と
いうことなのです。
このことを不登校やひきこもりに当てはめてみれば、138号で述べ
た不穏な状態――強烈な自責やそれが高じてのいわゆる二次症状(神経
症的行動・暴力・話し合い依存・退行など)、また他者への厳しい見方
――は、彼らが自己治癒力を働かせて、現状を打破しようとしている反
応(カゼでいえば発熱などの「症状」に相当するもの)である、と理解
することができるわけです。
したがって、不登校児やひきこもり青年には、自己治癒力を働かせる
「生命エネルギー」が躍動しているといえましょう。
ところで、138号では、不穏な状態のもう一つのパターンである、
一日中自室に閉じこもったきりで出てこない、あるいは親に口を開かな
い、という状態についてはふれませんでした。
しかし今お話ししたことから、このような状態の青少年にもエネルギ
ーがある、ということにお気づきいただけると思います。
すなわち、このような青少年の場合、エネルギーの出口がふさがって
いる、というのが正解なのではないかと思われるのです。
つまり、エネルギーが出ずに自分の中に溜まっているために、閉じこ
もったり沈黙を貫いたりするという方向にエネルギーが使われている、
と考えられるのです。
そして、何かのきっかけで自室を出るようになったり家族と会話でき
るようになると、劇的にエネルギーあふれる生活に変わる場合もありま
す。
今回は、人間の持つ「エネルギー」には種類があることをお話ししま
した。それに関連して次号では、人間の持つ「力」にも種類があること
をお話します。
:筆者:丸山 康彦(まるさん)
スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
「ヒューマン・スタジオ」は、
スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
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…─── ★ 次回発行は2007年8月 8日です。お楽しみに ★ ────…
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: ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜
: 2007/7/11 NO.143 (発行:第2水曜 月1回)
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