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ごかいの部屋〜不登校・引きこもりから社会へ〜


2008.01.10

◆ごかいの部屋 No.149 『対応する側の論理』


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| 最新号 |

   2008.1.9[No.149] 
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 :         ご か い の 部 屋          
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜  
──────────────────────────────────
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説     
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 あけましておめでとうございます。
 昨年は創刊5周年を迎え、読者や配信作業委託者の方々の存在の大き
さをあらためて感じました。
 今年もこのご恩を忘れず、12本のコラムに全力を傾ける所存です。
 ご愛読のほどよろしくお願いいたします。

 なお、都合により1日遅れましたことをお詫び申し上げます。

ヒューマン・スタジオ

── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ───────────────────

■ コラム:対応する側の論理
□ 来月のスタジオ:今年初の通信発行
■ ごあんない


━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                        対応する側の論理
─────────────────────────────────…

 前号で私は、福井市中央公民館での講座でやらせていただいたお話の
後半の一部を、修正のうえ収録しました。

 それは、不登校時代に周囲の人々から受けた対応について、学校復帰
させるだけの意味しかない「特別」「非日常的」な(不登校にならない
と経験しない)対応はやってほしくなかったが、誰のためにもなるし、
学校復帰以外のいろいろな意味を持っている「一般的」「日常的」な
(誰でも経験する機会がある)対応には支えられた、というものでした。

 さらに、私の場合そうだったように、対応する人の意図が「学校や社
会への復帰」だったとしても、対応じたいが後者に当たるものであれば、
それも適切な対応になる、と付け加えました。
 つまり「対応が適切かどうかは、対応する人の意図ではなく、実際に
行われた対応それじたいで決まる」ということです。

 しかしそうは言っても適切な対応が行われるためには、対応する人
の意図も適切なほうがよいことは言うまでもありません。
 多くの場合、周囲の人々が不登校児やひきこもり青年をどう捉え、ど
のような基本方針を立てるかで、対応が大きく違うわけですから。

 そこで今号では、ふたつの対照的な「不登校やひきこもりへの捉え方
・	見方」や「対応の基本方針」を比較してみたいと思います。

 第一点は、不登校・ひきこもりを「生きざま」と肯定的に捉えるか、
「異常」「病理」「悪事」「甘え・ひ弱」などと否定的に捉えるかの違
いです。

 「生きざま」とは「人生のある時期を歩んでいる姿」と理解してくだ
さい。そこで、不登校やひきこもりが本人の「生きざま」なら、そのプ
ロセス――トンネルの出口まで歩き通すこと――を支え続けるような対
応だけでいいことになります。

 つまり、前号で述べたような日常生活の範囲内での心がけや工夫を基
本とし、それ以上は本人の状態と希望に応じて考える、というわけです。

 反対に「異常」「病理」「悪事」「甘え・ひ弱」などなら、そのプロ
セスを否定し、違うプロセスに変更させる――トンネルの途中に穴を開
けて本人を引っ張り出す――ような対応をすることになります。

 つまり「異常」であれば、正常に“戻す”ための対応を、「病理」で
あれば“治療”を、「悪事」であれば“対決して正す”ための対応を、
「甘え・ひ弱」であれば“鍛える”ための対応を、というわけです。

 第二点は「学校や社会に出られない」という“今の本人”を直視する
のか「学校や社会に出るのが当然」という“あるべき人間像”を前提に、
そのレベルから逆算して本人を見おろすのか、という違いです。

 前者の見方は「本人の現状を認め、その時点で出来ることをさせる」
「本人の今が楽になるようにする」「本人と共に歩む」などという発想
で対応を考えることにつながります。

 一方後者の見方は「学校や社会に出ている人に比べ“どれだけ力不足
でどこが未熟で何が足りないか“を考え、前提とするレベルまで引き上
げる」という発想で対応を考えることにつながります。

 さて、上記二点の違いから「本人の意思に沿おうとする」のか「本人
の意思をくじこうとする」のかという、対応の基本方針の違いが自ずと
導き出されます。

 「しばらく休んでいたい」「家族以外の人と会いたくない」「授業に
は出られないけど行事には出たい」「進級できなくても退学したくない」
「仕事するのは無理だけど家事ならできる」等々、不登校児やひきこも
り青年が表明する意思はさまざまです。それらをどう解釈するかで、対
応の基本方針が違ってくるわけです。

 まず、不登校やひきこもりを「生きざま」と捉えれば、本人の意思は
彼らの「せめてもの願い」や「必死な気持ちの表れ」だと解釈できます。
また、今の本人を直視しているかぎり、本人の意思を軽く扱わずに、き
ちんと受け止めようという姿勢になります。

 このように本人の意思を受け取っていれば、当然「本人の意思を認め、
その実現に協力する」という基本方針になるはずです。

 逆に、不登校やひきこもりを「異常」「病理」「悪事」「甘え・ひ弱」
などと捉えれば、本人の意思はそれらの要因から出たもの、と解釈でき
ます。たとえば「病理」と捉えている人は「症状のひとつ」と、「悪事」
と捉えている人は「悪だくみ」とか「わがまま」と、「甘え・ひ弱」と
捉えている人は「逃げ口上」というふうに、本人の意思を解釈するわけ
です。

 また、本来あるべきレベルから逆算して本人を見おろしているかぎり、
本人の意思を軽く扱い、相手にしないという姿勢になります。

 このように本人の意思を受け取っていれば、当然「本人の意思を認め
てはいけない」という基本方針になるはずです。

 以上の観点から私の不登校時代を振り返ると、私の不登校を、両親は
「悪事」と、ほかの人は「甘え・ひ弱」と、カウンセラーは「病理」と、
それぞれ捉えて対応していたことがわかります。

 そのため、やってほしくない対応も少なくなかったのですが、その一
方で担任の先生は、学年末のたびに「退学したくない」という私の意思
を尊重して対応してくれた(4、5号参照)わけです。

 反面カウンセラーは「誓約書を本人に書かせてはいけない」という指示
を母にした(13号参照)ことからもわかるように「本人の意思を認め
てはいけない」という方針だったわけです。

 周囲の人はさまざま、対応もさまざまですね。次号では、精神医療や
支援団体などを利用するという「対応」へと話を進めます。

:筆者:丸山 康彦(まるさん)
 スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
 不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
 1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
 当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。

━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                        今年初の通信発行
─────────────────────────────────…

◎「ヒュースタ通信」18号を発行

 毎年、スタッフによる新年のご挨拶が載っている2月号。当メルマガ
のコラムのなかから「対応」をテーマに書かれたものを選んで収録して
いる連載記事は最終回を迎えます。どうぞご注文ください。


━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

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…─── ★ 次回発行は2007年 2月13日です。お楽しみに ★ ────…
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 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  
 :   2008/1/9 NO.149  (発行:第2水曜 月1回)
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