まぐまぐメルマガアーカイブ

3分で読める!「落語に見るオモシロ江戸風俗」


2008.08.12

「落語に見るオモシロ江戸風俗」 ●三年目(夏のお化け噺シリーズ五年目の通算第拾漆段)


メルマガトップ(記事一覧)へ
| 最新号 |



━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━

 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」

   平成弐拾戊子年葉月拾弐日 其の弐佰拾捌號 (2008/08/12 No218)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━

 そのいじらしい女心・・・
  分かる気がします

●三年目(夏のお化け噺シリーズ五年目の通算第拾漆段)

 相思相愛の若夫婦が、あまり仲がよすぎたせいか、おかみさんの方が具合
が悪くなり、床についた。亭主は枕元もはなれずに看病、ほうぼうの医者に
も診てもらったが、病は重くなるばかり。

女房「私は存じております。」
亭主「存じてる?何を?」
女「この間、お医者様が、あなたを屏風の陰へ呼んで、『この病人は、とて
 も見込みが無い』とおっしゃいましたが、一日も早くあなたのご苦労を除
 き、私も楽になりたいと思っておりますが、一つ気にかかって臨終出来な
 いことがございます。」
亭「あればかりが医者じゃないよ。他にいくらでも上手なお医者様はいるの
 だから、どんな手を尽くしても、お前の病気を治すから。それに、気にな
 る事を言ったね、気にかかって臨終できない?何か思う事があるなら、そ
 れを話してごらん。お前のは気病みと言うやつなんだから。」

女「でもきまりが悪いから・・・」
亭「夫婦の間できまりが悪いなんて事はないよ。」
女「おほほほ・・・あなた、お笑いになるから。」
亭「笑っているのは、お前の方だよ。」
女「私のもしもの事がございました時、あなたもお若いから、後へまたお嫁
 さんをおもらい遊ばして、その方を、私の様に大事にとてあげるだろうと
 思うと、それが気になって、どうしても死にきれません。」
亭「もしもの事があったら、私は後添えを持たない、生涯独身で通すから。」
女「半年や一年はともかく、だんだん日がたてば・・・」
亭「万一お前に間違いがあって、断りきれなければ、嫁をもらいます。けど、
 お前がそれ程に思ってくれるなら、いよいよ婚礼と言う晩に、幽霊になっ
 て出ておいで。たいていの嫁なら、目を回して実家へ逃げるよ。そうすれ
 ば、誰も嫁の来てはなくなる。」

 夫婦で約束をかわした。それで安心したものと見え、おかみさんは容態が
変わって、とうとう亡くなってしまう。泣く泣く野辺の送りを済ませて、百
か日もすまないうちに、親類が『いつまでも抜き身でおいていてはあぶない
から、いい鞘があったら収めさせよう』なんてんで、後添えを世話する。私
は後添えは持たない、と断ったが、そうそう断りきれるものではない。これ
ならば、と言う娘さんがいて、話しがまとまる。いよいよ婚礼の晩。

亭「今何時(なんどき)だい?早くお休みなさい。」
後添え「あなた、お休みに・・・」
亭「今何時だい?九つか。そろそろお出でになるな。」
 枕についたが、目はぱっちりと開いている。今か今かと待っているうちに、
夜が明けた。幽霊も十万億土と言う遠い所から来るんだから、初日には間に
合わなかったのかもしれない、と、二日目も待ったが幽霊は出ない。三日待
っても、七日待ってもとうとう出ない。亭主も二度目の嫁もまんざらではな
かったので、しだいに仲むつまじくなって、間もなく、男の子も産まれる。
その年は過ぎ、翌年も過ぎて三年目。先妻の三回忌の法事をして、昼間の疲
れで、ぐっすりと寝込んだ。真夜中に亭主がひょいと目を覚ますと、どこや
らで打ち出す八つの鐘がぼーーん。枕元の行灯が暗くなると、生臭い風が吹
き込んで、障子へ髪の毛がサラサラと当たる音。亭主がキセルの雁首で、枕
屏風を引き寄せてみると、先妻の幽霊が、緑の髪の毛をおどろに乱して、枕
元へピタッと座っている。

女「(手を七三にかまえて)あなたは、うらめしいお方です。私が死んで、
 百か日も過ぎないうちに、後添えをお持ちになて、子供までこしらえて・
 ・・それではお約束が違います。」
亭「ちょいと待ちな、俺は幽霊にかけあうよ。どうにも断りきれないで、後
 添えをもらったけど、お前が婚礼の晩に出るってぇから、待っていたが出
 やしないじゃないか。十万億土ってぇ遠い所じゃ、初日は間に合わないだ
 ろう、二日目は出るか、三日目は出るかと、昼間寝て、夜は起きて待って
 いたんだ。それが、今時分出てきて、気のきいた幽霊なら引っ込む時分だ。」
女「後添えをおもらいになり、子供ができたのも分かっております。」
亭「じゃあ、なぜもっと早く出ないんだ。」
女「それは無理でございます。私が死んだ時、ご親類をはじめ、みなさんで、
 私を坊主になすったでしょう。」
亭「そりゃあ、葬式の習わしだからね。みんなで、ひとカミソリずつ当てて、
 お前を坊主にして、お棺へ収めましたよ。」
女「それだから、坊主頭で出たら、愛想をつかされると思って、髪の毛が伸
 びるまで待っておりました。」



●能書き

 元ネタは、享和三年(1803)刊の桜川慈悲成作の「遊子珍学問」。古くは明
治期の名人・橘家円喬師の得意ネタで、戦後では、昭和の三大名人・六代目
円生師や五代目・志ん生師なども盛んに高座にかけた噺です。

 古くは、死者を棺に入れる前に、お髪剃(おこうぞり)と言って、死者の
髪の毛を剃りました。これは、品川心中・下06/09/05でも少し触れましたが、
人は死後、仏門に帰依し、仏様の弟子となり、仏様の定めた戒め(いましめ)
を守るとされました。そのため、死者の頭をお坊さんの様に丸めるのです。
今でも、死者の事を「仏さん」って呼びますし、戒めを守るとして、いただ
く仏門での名前を「戒名(かいみょう)」と言うのです。

 今回は、江戸の日本髪事情についてお話しします。現代では、日本髪と言
うと、みんな同じ髪型の様な感じがしますが、江戸時代は、身分・年令など
に応じて違いがあり、それぞれの範囲内でみんなが個性を出そうとして、い
ろいろな髪型がありました。

 当時の女性の髪は、額の上を前髪、頭頂部が髷(まげ)、左右両側を鬢
(びん)、後頭部、うなじの上が髱(たぼ・つと)の五つの部分に分かれま
す。代表的なのが、島田髷で現代でも、花嫁さんの文金高島田でお馴染みで
す。この髪型は、江戸時代では、主に武家の未婚女性の髪型。髷が三味線を
弾く撥(ばち)の形で、髪の毛を頭頂部で二回折り重ねて結ぶ形のもので、
東海道の島田宿の遊女さんが結い始めた髪型がルーツと言われます。高島田
があるくらいですから、高く結い上げない、つぶし島田と言う形もあります
し、投げ島田、奴島田などのバリエーションもあります。

 また、頭頂部の髷ではなく、左右の鬢で自己をアピールする、灯籠鬢、雀
鬢。後頭部の髱を強調した、かもめ髱、セキレイ髱。吉原の花魁さんが結っ
た、髪を頂後に集め高く輪に結って根元をねじ巻いて頂上に突き出させたも
の兵庫髷、それを発展させた縦兵庫、横兵庫。吉原の一大スターだった勝山
さんと言う花魁が結い始めたと言う、勝山髷。この勝山髷を発展させたのが、
楕円形でやや平たい髷をつけた丸髷で、後には、既婚女性のポピュラーな髪
型となります。

 このように、前髪、髷、鬢、後頭部、髱をさまざまな形にし、さらにそれ
らを組み合わせる事により、幕末期には、三百種類近くの髪型がありました。




●跋

 笑助お勧めのメルマガです。落語、お笑い、なぞかけに興味がおありの方、
どうぞクリックしてください。
【笑いながら脳を鍛える】なぞかけめ〜る♪
http://www.mag2.com/m/0000159712.html

 三蔵法師の弟子となったお猿さんは、名前に「悟」の一字をいただき、孫
(苗字)悟空(名前)と名乗るようになります。河童さんも同じく「悟」の
一字をいただき、沙(苗字)悟浄(名前)となります。で、豚さんですけれ
ども、豚さんも「悟」の一字をいただき、正式な名前は、猪(苗字)悟能
(ごのう・名前)と言います。ただ、過ちを犯し、豚の姿になって、地上に
落とされた後も、仏様の定めた八つの戒めはずっと守っていた(本人談)た
め、あだ名で「八戒」と呼ばれるのです。ですから、西遊記で豚さんの事を、
八戒と呼ぶのはかまいませんし、猪悟能と呼ぶのもまちがいではありません
が、猪八戒(ちょはっかい)と呼んでしまうのは、本名の苗字に、あだ名を
付けているので、間違った呼び方になります。ご意見・ご感想、お待ちして
おります。頂いたメールは、お断りのない限り、メルマガの中で紹介させて
いただく場合がありますので、よろしければ、HNを。江戸時代、あこがれ
ます・・・

━━は━ん━も━と━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■お話:千葉落語同好会 福々亭 笑助
■ご意見・ご感想は syosuke@mbn.nifty.com
■千葉落語同好会ホームページ http://www.ii-park.net/?chibaraku/

■発行元 :マンモス通信 info@manmos.tv
■HP  : http://www.manmos.tv/magazine/rakugo/
■発行協力:まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000107654.htm  (解除)
■バックナンバー≫ http://blog.mag2.com/m/log/0000107654/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━じ━ご━う━ご━き━た━い━━






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
テレビ番組でも多数取り上げられた
京都発 和柄デニムブランド mizra(ミズラ)
人気の剣道着×和柄ジーンズ!
http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=1C06UG+6JSFM+18C4+BY643
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

----------------------------------------------------------------
普段着感覚で気軽に着られる着物ブランド、「風香」のオンラインショップ。
現代の空気に溶け込む、カジュアルなポリステルの洗える着物を販売しています。
http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=165SRS+BGLF02+190U+601S3
----------------------------------------------------------------


メルマガトップ(記事一覧)へ
| 最新号 |

このページのURL
友達にメールで教える
まぐまぐアーカイブ検索

Web Services by Yahoo! JAPAN

エンターテイメントランキングトップ
まぐまぐアーカイブトップ
sお問い合わせ

姉妹サイト
携帯メルマガ:ミニまぐ
ニュース・芸能:いつもば
ショッピング:まぐギャザ
簡単レシピ:3分クッキング
無料RPG:もりもりクエスト
クサイせりふジェネレータ
まぐまぐ自費出版

(C)まぐまぐ