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明快!森羅万象と百家万説の系譜


2008.04.12

明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.30/4-


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明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.30/4-
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 引越や入学式などの活動を通じて、新しい社会に入っていくことになりまし
た。それぞれに出会いがあり、また、別れもあります。勤務先が変わっていない
ので、他の家族ほど、劇的な人間関係の変化はないわけですが、それでも新しい
体験が待ち受けていました。

 電車通勤になって、いろいろな人を見るようになりました。それにしても、多
くの人が様々な利害関係を持って生活していることに改めて感心します。人々に
とって、生きていくだけに必要な収入を得られる仕事を持つことが重要ですが、
ただ、食べて寝るだけでは人間として満足できません。何人かの仲間で構成され
る信頼できる共同体(家族に限らず)に属し、その中でプライドを持てる位置関
係に収まることが必要でしょう。安定した小さな活動の場=社会に帰属している
ことが満足の第一条件です。

 現代社会では、そんな小さなコミュニティの集合体であって、そのコミュニ
ティが利害関係、力関係で絡み合って複雑です。さまざまな利害が衝突します
が、衝突があることは健全な社会でしょう。争いのない状態や、争いが表に出な
い状態こそ病気です。そして、社会は日常生活のレベルから国家レベルまで衝突
や争いを調整する機能を持つことで健全と言えます。最近の政治家の活動とそれ
を批判するマスコミを見ているとちょっと心配になりますが。


◆◇ 生体防衛論 ◆◇

30、肺への旅

○今までは最初の侵入経路として消化器を取り上げました。2つ目の侵入経路は呼
吸器です。食が生きるのに必須であると同様に、呼吸も食べたものを酸化反応に
よってエネルギー源にするために必須な活動です。呼吸経路は鼻からのど、気管
支、肺へと続きます。

○呼吸器から感染する病原体はたくさんありますが、代表選手として、近年、大
流行が懸念されているインフルエンザ・ウイルスを例に取りましょう。大腸菌と
消化器のシリーズと同様に、話題はインフルエンザ・ウイルスに限定しません。
ウイルスは細菌より遺伝子が多様であること、ウイルスの一生は分子の活動その
ものであることから、話の内容はかなり専門的です。聞きなれない専門用語がた
くさん出てきますが、原則を中心に解説し、折に触れ、復習しながら話を進める
ことにしましょう。

+++ 鼻は迷路である +++

鼻は空気の通り道として考えて差し支えありませんが、口とは違ってかなり枝道
があります。空気と一緒に埃や菌が吸い込まれるので、まずは必要のない微粒子
を除去するために、粘液に覆われた表面積を大きくしていると考えられます。ま
た、臭いは敵を察知し、餌を見つけ出すために重要です(6を参照)ので、臭い
の分子を捕らえるために表面積が大きいほうが生存に有利であると考えられます。

鼻の内部(鼻腔)は2つの孔からスタートして奥はかなり縦長に広くなっていま
す。骨が2枚内側に突き出して内部を3つに分けています。臭いを感知する臭細胞
は上にあります。内部は口から腸までの消化器と同じように粘膜と粘液に覆われ
ています(11,12を参照)。粘膜は繊毛運動をして、粘液の流れを作り出し、鼻
の穴方向か、のどの方向に粘液と一緒にくっついた微粒子を送り出します。イン
フルエンザ・ウイルスも粘液にくっつくとどちらかに運ばれて最終的には体の外
に出されてしまいます。

鼻腔のあちこちに穴が開いていて、副鼻腔とつながっています。副鼻腔は頭蓋骨
を軽くするために開いている骨の内部の空間が鼻腔とつながったと思われるもの
で、行き止まりになっています。目の奥や顎の辺りにあります。内側はすべて鼻
腔と同じように粘膜と粘液に覆われています。

細菌が粘膜上に取り付いて繁殖すると炎症反応が起こります(23 を参照)。炎
症とは、粘膜に免疫細胞が集まってきて、粘膜の下、粘膜自体が膨れ上がること
です。免疫反応によって発熱し、毛細血管が膨れて充血します。菌は殺されます
が、免疫細胞側、粘膜側にも被害が出ます。鼻腔は狭い通路ですので、炎症が起
こると詰まりやすい。副鼻腔は出入り口がふさがって、中に膿(菌と免疫細胞の
死体)がたまることもあります(蓄膿症)。

+++ 扁桃腺 +++

口と鼻は消化器と呼吸器の入り口です。多くの感染病原体がここを通過します。
そこで、免疫細胞の駐屯地(リンパ節。24あたりを参照)もたくさんあります。
扁桃腺は粘膜の表面に顔を出したリンパ節のような存在です。扁桃腺の表面は粘
膜(重層扁平上皮)で覆われ、深い襞が刻まれ、表面積が大きくなっています。
上皮細胞の下に免疫細胞が集まっていて、侵入した来た病原体に反応します(19
を参照)。強い反応が起きると扁桃腺が腫れ、熱が出たり、飲み込むときの喉の
痛みの原因です。ひどい場合は呼吸が苦しくなったりします。

+++ 肺への道は線毛による粘液の流れで守られる +++

食物と空気は喉の奥では同じ通路を通りますが、咽頭で消化器と呼吸器に分かれ
ます。普段は呼吸をしているわけですが、食べ物を食べるときは呼吸器側(声
帯、気管)が蓋をされます。食物が通るときの一連の反応(嚥下反射)は自動的
に行われます。

空気は気管を通り、気管支に分かれて肺へと吸い込まれます。肺は袋状で、肋骨
の籠(胸腔)に収められています。肺の下にある横隔膜(筋肉です)が収縮し、
平らになると、肋骨で囲われた部分の容積が増し、空気が吸い込まれることにな
ります。肺自体は縮もうとする弾性があり、横隔膜が緩むと肺が縮んで息が吐き
出されます。胸腔に穴が開くと肺を膨らませる力がなくなり、肺が縮んでしまい
ます(気胸)。

空気は気管支を通って肺全体へ送られます。気管支の表面はたくさんの線毛を
持った上皮細胞で覆われています。線毛は常に波のような運動をして粘液の流れ
を作り出し、肺の奥から喉の方へ、さらに口や鼻の方へと異物を送り出します。
大量の粘液は杯細胞(形が杯状)や上皮細胞が分泌します。外から入った病原体
は気管支で増えることが多く、感染や付着により線毛運動を止めたり、線毛を破
壊したりします。

肺の終点は肺胞です。肺胞では毛細血管が網目状に流れています。血管は内皮細
胞の筒ですが、その筒をタンパク質(コラーゲン)と糖の膜(基底膜)が包みま
す。籠の間を埋めるような形で肺胞上皮細胞がサンドイッチして薄い膜を作り出
します。肺胞上皮の内側には毛細血管のほかに、基底膜を作り出す繊維芽細胞が
います。外側には吸気に混じって侵入した微生物の感染から肺胞を守っている肺
胞マクロファージがいます。

○ざっと呼吸器の様子を説明しました。消化器と違うのは空気と水の層が共存し
ていることです。水の層は粘膜として上皮細胞の表面に張り付いています。ウイ
ルスや細菌は空気層にいる限り、肺のおくまで入り込むことができます。次回は
インフルエンザ・ウイルスの感染のお話です。


◆◇ 森羅万象の系譜 ◆◇

24. カンブリア紀・・・進化の大爆発

カンブリア紀(5億4300万〜4億9000万年前)初期から大量の化石が発見される。
急激に生物が進化したように見えるのでカンブリア大爆発と呼ぶ。この頃の化石
にアノマロカリスやオパビニアなどの不思議な大型生物で有名なバージェス動物
群がある。バージェス頁岩に保存された化石では体の軟らかい部分がきれいに
残っているため、動物の体の構造や機能をくわしく調べることができた。また、
三葉虫など化石としてよく知られた動物が繁栄した。現在の生物の祖先も多く出
現した。節足動物(クモ、サソリ、カブトガニや三葉虫)、脊索動物(背骨の原型
である脊索を持つ)や脊椎動物である。我々の祖先となった背骨を持つ生物の原
型、脊椎動物は全長はわずか数cmで、原始的な魚類・無顎類に属する。

カンブリア紀の特徴は捕食者が明快な形で出現したこと。捕食に必要な器官があ
り、運動性能が備わっていたと予測できる。運動のためには酸素呼吸が利用され
たであろう。また、大型捕食動物の出現に合わせるように、多くの動物が鉱物質
の外骨格をまとうようになった。ほぼ同時に敵を察知するセンサー群も進化した
であろう。また、センサーの情報に基づいて、筋肉の運動へ統合する神経組織も
誕生したに違いない。

バージェス動物群の出現は化石のデータからみると、突然である。甲殻動物や節
足動物は幼生期は小さなプランクトンとして成長することが知られている。化石
として残る以前は小さなプランクトンとして、寒冷な時期を乗り越え、進化し
た、すなわち、遺伝子を改良し、多様化させたのではないか。その中で効率的に
酸素呼吸ができるような仕組みを備えたことが大きな要素であろう。大型化はす
なわち、体の中心部に酸素を運搬する仕組みがないとできない。

急激に見える進化はそれ以前の遺伝子変異の蓄積の賜物である。大型化を成し遂
げ、装甲を作り上げた契機については諸説あるが、海水中の酸素濃度がある一定
量まで増加したことと、温暖化を挙げておきたい。

三葉虫は、たくさんの肢を使って泥を巻き上げ、栄養分を泥といっしょに摂食し
ていたと考えられる。特徴的な掘削跡(生痕)がたくさん残されている。海底表
面をおおうバイオマットの下を掘り進みながら、そこにある腐食した古いバイオ
マットを食べていた動物もいて、トンネルも生痕化石として残されている。原生
代に繁栄したストロマトライトは10億年前がピークで、カンブリア紀には最盛期
の5分の1にまで減ってしまった。

バイオマットは生痕のキャンバスの役割をした。カンブリア紀後期またはオルド
ビス紀初期(約5億年前)の標本には、海に近い砂丘の堆積物の上に残された動
物の歩行跡がある。少なくとも4対の歩行肢をもつ大型の節足動物、おそらく、
ウミサソリによるもので、尾の跡も判別できた。

リン酸塩が大量にカンブリア期に堆積し、リン鉱石となった。これ以後、リン鉱
石といえば生物由来となった。鳥の糞であるグアノが代表例である。


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 2008/4/12 発行
 発行人 岩田
 HP: http://eco-evo.hp.infoseek.co.jp
 ご意見・お問い合わせ: a6iwata@infoseek.jp
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