2007.08.20
学園改革支援の『開窓』−「法令順守の死角」−
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【 学園改革を支援する『開窓』 -067-】2007年8月号
私立学校の改革をお手伝いするメールマガジンです。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集。
改革をゴールにせず、スタートにしなければ意味がありません。
そのプロセスを実現するのは、あなたです!
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○○「法令順守の死角」○○
−お詫び−
読者の皆様、配信が遅れ、まことに申し訳ありませんでした。
長期出張が発行日に重なっていたため、事前に配信登録したのですが、
私の単純なミスで配信登録されていない状態となっておりました。
ただただお恥ずかしい限りです。本当に申し訳ありませんでした。
先ほど帰宅して気付いた次第です。深くお詫び申し上げます。
それでは本題に入ります。
今月の話題は「法令順守の死角」です。「落とし穴」とも言われます。
「法令さえ守っていれば安心だ。法令に従っていれば大丈夫。」
貴校のトップから、こんな声が聞こえてくることはありませんか?
こうした安直な発想でいると、いずれとんでもない落とし穴に嵌ります。
まじめなトップほど、いつの間にか失策に陥りやすいものです。
よく見かけるのは、結果的に「法令順守の押し付け」となっている組織。
システムに溺れた結果、実効が上がらず、現場が疲弊しているだけ。
しかも教職員は頑張っているのに、なぜか現場はトラブルだらけ。
そのまま放置すれば、いずれ重大な事態に発展する危険性があります。
研究を重ねた末に法令順守の仕組み・システムをひとたび構築してしまうと、
現場の精神的な負担を直視せずに、それを維持することに注力してしまう。
予想外の微細なルールに教職員の精神は疲弊し、抑圧されていきます。
勤務校の社会的存在意義への疑義、職務への負担感だけが急増していきます。
抑圧的な順守と罰則が一人歩きし始めている組織も見かけられますね。
以前にもお話したことがありますが、組織活動には重要な要素があります。
職場の風土、業務の仕組み、そこに関わる人間。この三者の関係維持です。
これらの要素はそれぞれが鼎(かなえ)の脚として他に関係します。
この中のどれか一つでも瑕疵を有すると、全てが崩れ始めてしまうのです。
仕組みやシステムの構築では、こうした点に注意しておく必要があります。
そもそも、「法令順守」とは何でしょうか。
辞書的には、文字通り法律や条例などを徹底して守り通し、違反しないこと。
しかしそれだけの解釈しかできない組織は、社会的な問題を有しています。
民間企業では法令順守を「コンプライアンス」と呼んでいます。
「コンプライアンス」は必ずしも法律や条令を守ることだけを意味しません。
「コンプライアンス」企業においては、法律や条令は言うに及ばず、
社会的規範(ルールやマナー)を厳守し、公明正大に業務を遂行します。
決してマニュアル通りのシステムに頼ることを意味するものではないのです。
本来、上司の命令によって守られるべき筋合いのものでもありません。
現場の一人一人の意識の在り方が、きわめて重要な意味を持つのです。
すでにお気づきのことと思いますが、法令には落ち度が必ずあります。
それは通常、「抜け穴」とも呼ばれる不備な解釈要素です。
解釈上のグレーゾーンと考えていただければ、わかりやすいかと思います。
情緒的にある程度まではモラルに任せて、そうでない面が法制化されます。
つまり法令を順守しているだけでは、情緒的社会的評価は得られないのです。
また、社会的に必要でありながらも法制化されていない案件も存在します。
法制化された当時とは、時代感覚的に錯誤や齟齬を生じている例もあります。
外来の法律や、国民性に合致していない外国模倣的な法令もあります。
つまり、社会一般の感覚や感情から遠ざかっている法令も存在するのです。
とかく裁判沙汰を恐れるあまり、国民感情に目が向かないケースが多い。
最たる例は個人情報保護法案に対する国民の感覚のあり方です。
マスコミの支離滅裂なバカ騒ぎのせいで、国内は過剰反応に満ちています。
「自分は有識者だ」と自負する評論家たちが、国民を煽り立てているのです。
「守られてしかるべき」という無責任な自己防衛を横行させてしまいます。
しかし現実がそうした現状である以上、これを無視することもできません。
結果として、弱気な組織長ほど裁判を恐れてシステム維持に躍起になります。
大切なのは、社会的規範の全てを考え、法令だけに目を奪われないことです。
また組織活動の要素と意義を損ねないようにルールを定めることです。
トップダウンではなく、現場の自発的な規範意識を促さなければなりません。
「コンプライアンス」(compliance)には、別の意味も存在します。
それは、外部から力が与えられた時の弾力性のことです。
突発的な事案が発生した際に、仕組みやシステムだけで対応できますか。
社会規範や国民感情を見誤ることなく、冷静かつ大胆に対応すべきですよね。
昨今、テレビを賑わしているコンプライアンス違反には、共通点があります。
特に食品業界の話題が多いようですが、社会保険庁の案件も同じです。
これらの事案の根底には、人間の弱さが根強い形で存在しているのです。
「ちょっとだけ」「まあいいや」「少しぐらいなら」「あとでやろう」
その場では法令違反にならず、また、大きな問題をも誘発しない。
業務に穴を開けるほどでもなく、周囲の人間も気にしない程度の手抜き。
現場の独自解釈で通用してしまうような組織規範の緩さ。
こうした微々たる問題が、集積化・複合化されて発覚してくるのです。
発覚した時には収拾のつかない大問題に発展してしまうことは必定です。
残念なことに教職員に関するニュースでは重大な案件が後を絶ちません。
教職員による淫行や買春、飲酒運転事故、窃盗や放火、殺人など。
なぜここまで突飛な結果を生んでしまうのでしょうか。
これもまた、人間の弱さが生み出すものだと私は考えています。
精神的に弱い人物は、自信を喪失すると社会(職務含む)から逃避します。
これはむしろ犯罪を犯すというよりも、現実を直視できない結果なのです。
何かを背負いきれなくなったその時、仮想社会や自己世界に逃避するのです。
多くの場合、犯罪意識が希薄であり、現実に帰った時に悲愴な後悔をします。
他者の人生を左右する教職の重責に耐えきれない弱い人間が増えています。
また、それとは反対に、思い上がった末の違法行為も目立つようです。
自身を優秀な教師と思い込み、自己理想の実現のために現実を無視する。
この種の教員はデータ改ざんや虚偽報告が日常化してきます。
内部への迷惑で終われば幸いですが、たいてい裁判沙汰に発展します。
自己過信型の教員については、厳しい監視の目を向けなければなりません。
違法行為に走る人間を職場から出したくないのなら、工夫が必要です。
それは簡単なことで、ただ彼らを親身になって見守るだけで良いのです。
時に助力し、時に助言を加えることで、彼らの多くは立ち直ります。
彼らに必要なのは「周囲に支えられている実感」そのものだからです。
これ以上の抑止効果は、仕組みやシステムに取り入れることはできません。
授業にしてもクラス管理にしても、教員には一定の裁量が認められています。
このことは、裏を返せば、孤立無援の状態に陥りやすいことを意味します。
教員の世界にも、行き過ぎた個人主義が横行し始めているとは思いませんか?
自己主張ばかり強くてチームワークやワークシェアのできない教員たち。
組織観がなく、まるで自分ひとりが学校を支えているかのような発言の数々。
そのくせ問題が発生すると、自分では処理ができずに愚痴をこぼすばかり。
「裁量」と「権限」の違いを明確化しておくことが効果的だと思われます。
逆に、現実の重さに押しつぶされ、誰にも相談できない人もいるはずです。
まじめな性格の人ほど、このようなマイナススパイラルにはまり込みます。
精神的な限界点を超えると、暴言暴挙に及んだり、犯罪に走ったりします。
したがって実直で努力遂行型の人物も、注視しておく必要がありますね。
いずれにしても、仕組みやシステムによって統制を強化するのではなく、
日常業務における小さなコミュニケーションが最大の抑止となり得ます。
学校の違法行為に関係するニュースを職員朝礼で確認するのも有効ですね。
個人の活動がいかに組織への大きな影響力を持っているかということを、
日々の業務の中で、全教職員に意識させておくことが最大の抑止なのです。
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