2006.05.18
白保メール No.80 白保魚湧く海保全協議会のこと(その2)
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//転載歓迎//
<白保魚湧く海保全協議会のこと>(その2)
小林 孝 農民、白保魚湧く海保全協議会副会長
[地元住民が主役の保全協議会の設立]
WWFジャパンのサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」は、2000年に開館し
てから(それ以前の準備期間も含め)、集落内の色々な場面に顔を出し、白保の人々
の海と密接にからんだ文化を大事にする活動を続けています。その「しらほサンゴ村」
が、先に書いたような集落内の状況を、やはり芳しくはないと思っていました。それ
で、何かのきっかけ作りができればとの狙いで、昨年2005年4月下旬に、「白保サン
ゴ礁の保全と利用に関する報告会」を開催しました。そこで報告されたことは、この
数年「しらほサンゴ村」が実施してきた赤土による海域の汚染被害調査結果、その結
果から推測できる、白保の海は健全なサンゴ礁環境を維持できる最低限のレベルにあ
るという結論、つまりは汚染レベルがあと一歩でも高まれば深刻な事態に陥る危機的
な状況であること、その一歩を踏み留めるために住民に何が出来るのかを真剣に議論
しなければならない局面に来ていること、などでした。
この報告会を機に、集落の人々の胸にくすぶっていた、「今の海の利用のあり方は
望ましいものではない、どうにかしなければ」とする思いが改めて明確になり、その
対応のための機運が高まりました。またこの報告会に参加した方々が発起人となった
「サンゴの保全を考えながら、自分たちの生活を守れるルール作りのための組織作り」
の基盤固めもできました。
「しらほサンゴ村」は集落ではまだまだ新参者ですが、住民からの信頼を積み重ね
てきていますし、また小さな共同体の中のしがらみに縛られきってもいません。こう
したデリケートな組織作りの場面で実務を担うには適任であるとみなされ、事務局を
務めることになりました。この活動はセンターの本来の業務とも全く一致します。さ
らに幸いなことに、「しらほサンゴ村」の上村職員にとっても、こうした仕事こそが
彼にとって最優先にしたい作業なのです。
この組織の設立について、白保公民館の公民館長、役員や委員(白保出身の石垣市
議会議員二名を含む)にも背景や目的を説明し、大いに賛同を得ました。相談をした
人々全員が、同様の問題意識を持っていらっしゃることが明らかになったのです。但
し、新石垣空港反対のための組織になってはいけないということを、公民館長から強
く言われました。当方は、はなからそのつもりは無いのですが、新空港問題はこのよ
うに、いつも絡みついてくるのです。まぁ、その件は置いておきましょう。
東の海のことは、ウミンチュだけの問題ではありませんから、この組織の幹事には、
先ず白保公民館長、そして公民館役員、農業関係の方々、それからウミンチュの方々、
その他の方々に就任して貰いました。白保集落のいろいろな立場の方々に関与してい
ただいたというわけです。会長には白保ハーリー組合(白保の漁民=ウミンチュで組
織された、地域の漁業協同組合。ウミンチュの祭事をハーリー祭と呼ぶ)の組合長・
山城氏が、副会長に私が、そして先述のように、事務局にはWWFジャパン「しらほサ
ンゴ村」が、それぞれ選出されました。そうして「白保魚湧く海保全協議会」が設立
したのが、2005年7月のことでした。
関係諸機関に設立の報告をしに行きました。その際、石垣市役所では市長以下市役
所の要職に就いておられる方々から、また沖縄県八重山支庁では支庁長から、この協
議会の設立を大いに歓迎されました。これからは、行政が住民サービスを充分にでき
る時代ではないのだから、地域が自分たちで自分たちの生活や環境を自主的に保全し
てゆく姿勢が求められるからです。とはいえ、自分たちの生活を守るべきは、住民自
身であるという考えは、行政改革の如何によらず、当然のことだとは思うのですが。
いずれにせよ、負の要素が表には出てこない状況の中で、この協議会はスタートし
たのでした。
[時間を掛けての改革を]
協議会の設立から、早くも10ケ月が経ちました。この間の活動実績は、協議会の規
約作り、それから観光客を海へ連れてゆく観光ツアー業者による、海の利用の自主ル
ール作りでした。協議会の規約作りは、論議を重ねて、ごく真っ当に成立しました。
問題含みは、観光業者による自主ルール作りです。観光による過剰利用を見直す、
客の安全を確保する、などの新たな規則を協議会としては求めたいのですが、従来通
りの営業を続けることが難しくなるわけですから、業者からの反発は当然のことなが
ら強いものがあります。
しかし、彼ら(に限らないが)は、白保以外の観光業者が白保の海に入り込んで営
業することを何としてでも排除したいと言います。その為にも、自らが自主的な規範
を作って自らを律する姿勢を示さなければ、わがままを主張しているだけになってし
まい、説得力を持ちません。しかし、その辺りの了解線が未だに解決されていません。
一方で、あまりに厳しい規則を設けて、ルールの遵守が実現不可能という事態にな
っても意味がありません。これからも、充分な吟味が必要だと考えています。
観光業者による自主ルール作りと並行して、住民が海との付き合いを回復するため
の手立ても考えています。かつて白保の浜に十数箇所あった魚垣のレプリカを作って、
魚網を持たない人間も、泳ぎができない人間も、魚を捕らえることができる漁を復活
させようというものです。魚垣は、浜辺に岩で囲んだトラップを設け、潮の干満差を
利用して漁をするというものです。この試みの詳細は改めてお伝えしたいと思います。
やろうとしていることが一筋縄で行かないことは、最初から覚悟の上です。「住民
皆が海への感謝と誇りを再び鮮明なものにする」ためには、時間がかかります。です
が、敢えて、理想論を理想論で終わらせないために、この協議会はしつこくこの活動
に取り組んでゆくことにしています。
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白保メール NO.80 06.5.18
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
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