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白保メール


2006.08.20

白保メール No.84 5周年記念号(その2)


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                             //転載歓迎//


 <商業主義の餌食になった石垣島>          農民 小林 孝

 まだまだ内地のテレビや印刷メディア(雑誌など)では、八重山が異様なまでにも
てはやされているようです。向こう受けを狙うには、今は八重山を扱うのが手っ取り
早いのでしょう。しかしそれらは表層的な八重山の表情を伝えているに過ぎませんし、
あるいはJARO(社団法人日本広告審査機構)に諭されても不思議ではないような、過
剰な美辞麗句に飾られているものがたくさんあります。
 実態はどうかといえば、島々は相当酷いことになってきました。ひとつは、今後も
増加するであろう観光客を相手にする商売が増えたことでしょう。例えば、エコツア
ーと称するエコノミックツアーが、異常繁殖したツアーショップで催され、数多くの
自然との付き合い方に慣れていない人々をマングローブやサンゴ礁の海や山へ案内し
ています。エコツアーとは名ばかりの、環境に多大な負荷を与える行為が、「エコ」
の名のもとで行われているのです。また新規参入ホテルも次々建設され、営業を開始
しています。さらには沈静化していたリゾート施設開発の流れも活性化してきました。
 また内地のメディアによる「八重山への移住の勧め」広報活動が功を奏し、沖縄県
外からの八重山への移住者が、これまた常軌を逸脱したレベルで増加しています。そ
れがもたらす影響は、新築住宅建設の増加でしょう。市街地周辺だけではなく、街か
ら遠く離れた過疎地域にも、新たな住宅が増えています。それまで田畑が広がり、あ
るいは原野が広がっていたこの島々の緩やかな光景の中に、人工物が増殖しているこ
とで、かつての景観は相当損なわれてきました。
 これらがもたらすこの島々の負の影響については、改めて詳しく書く機会を作りた
いと思いますが、総じていえることは、異文化と異人種の大量移入によって、八重山
の土着の文化、風習、習慣が、圧迫を受けているということです。もっときつい表現
をするなら、内地の情け容赦無い資本主義者たちに、この島々と「素朴で純情な人た
ち」は食い物にされているとさえいえるでしょう。
 そうした事態になることは、ある意味時代の流れなのかもしれませんが、だからと
いって諦観する気にもなれません。また、新石垣空港建設が実現するとなった時点か
ら、こうした流れが加速されたことは事実でしょう。
 現在、こうした事態になっていることに、八重山のネイティブの人々の中には困惑
の空気が停滞しています。しかし、観光都市宣言をした石垣市をはじめ、八重山の行
政を司る方々にとっては、狙った通りにことが動いているわけですから、満足してい
らっしゃるのでしょう。
 私の持論は、石垣市に限っていえば、基幹産業はあくまで第一次産業であるべきで、
観光に頼っていてはいずれ破綻する、ということです。そのことに気が付いていらっ
しゃるネイティブの先輩たちも少なからずいらっしゃるのですが、なかなかことはう
まく運びません。
 また、よそ者がそうした問題に口出しをすることは、島の方々には喜ばれませんし、
白保メール前々号(No.81「盲動」)にあるようなリスクを背負うことも覚悟しなけれ
ばなりません。
 だからというわけでもないのですが、ネイティブの方々が、明確な将来ビジョンを
作り上げて、それに則った石垣市作りをするべきなのです。彼らが主体であるべきで
す。だから、彼らが声を上げることを期待していますが、それがなかなかできない土
地柄でもあり、いらいらさせられます。また、それが彼ら地元民の選択ならば、尊重
せざるを得ないでしょうが、本音は違うところにあることを知っていますから、これ
また「仕方が無い」で終わらせたくないのです。

 そこで私に今出来ることといえば、これをお読みいただいている内地の皆様に、少
なくとも私が生活している石垣島は、メディアの謳い文句のような麗しい島ではあり
ません、万が一この島への移住を考えておられるなら、相当な覚悟が求められますよ、
とお伝えすることだと思っています。自分自身が「内地からの移住者」であることを
棚に上げて、敢えて述べてみました。


 <この5年、これからの5年>              鷲尾 雅久

 この5年、八重山は変化の時代を経験しました。
 一見して分かるのは、開発の進行です。市街地やその周辺を中心に住宅やホテルが
競争のように建てられ、東シナ海側の地域などではリゾートの計画が進められていま
す。赤土流出防止を標榜して始まった農地の勾配修正事業では、元の地形が分からな
くなるほどの土地造成が行われています。道路建設も相変わらず盛んで、市街地でも
郊外でも、交通量が多いからではなく、ただ計画があるからという理由で整備が行わ
れているように見えます。この5年だけでも、島の風景は大きく変わってしまいまし
た。
 また、こうしたことの背景ともなっている社会の変化があります。
 一つは、新石垣空港が呼び起こしたバブルです。工事が始まればその関係者が大勢
島外からやってくるだろう、近くに空港ができればお客さんは増えるだろうといった、
どの程度根拠があるか分からない期待が人々を動かしているようです。もう一つは、
由来の分からない八重山ブームがもたらした人の動きです。一時減少していた観光客
は増加に転じ、それと共に、よその地域からの移住により人口が増えています。過疎
化しさびれつつある地方が多い中で、例外的な繁栄と言うべきかもしれません。
 これからの数年間、もし新空港事業が実施に移されるなら、建設業や不動産賃貸業、
飲食店などは繁盛することになるでしょう。団塊世代の退職を受け、移住者もさらに
増えるかもしれません。 
 しかし、一方で、石垣市では、市民税などの市税が伸び悩み、歳出抑制を続けてい
ます。住民は「繁栄」の恩恵に浴していないように見えます。人口増のかげで、学業
のため就職のため島を出て行った若者の多くは帰って来ていないようです。
 今でも、手放しで喜べる状態ではありません。そして、先行きはさらに憂慮すべき
ものです。
 観光客や移住者の増加は、むしろ過熱と言うべきです。どこかで反動が来るでしょ
う。新空港の工事は、やがて終り、一時の好況を謳歌した業界は、倒産、廃業が相次
ぐでしょう。国のサトウキビ政策の変更により、農業も現在の形を維持することは困
難です。さらには、石油価格の高騰は離島にとっては運送費を含めた二重の負担増を
意味し、生活と産業に影響を及ぼす恐れがあります。
 このまま進んでいったら、おそらく立ち行かなくなるでしょう。これまでの進路を
反省し、できる限り早く方向を変えることが必要です。
 例えば、外からできるだけ多くのものを手に入れようと腐心するのではなく、島で
何が作れるか試してみることです。リゾート施設を整えることより、訪れた人が豊か
に過ごせる時間を提供するにはどうすればいいか考えることです。車にとって便利な
道路を新しく作るより、緑陰があり歩きやすい道にすることを考えることです。ある
いは、道路などの施設が周囲の自然となじむようにするために、人手と時間をかける
ことです。
 多くの課題がありますし、多くの試みが可能でしょう。白保メールもその答を見出
すべく、次の5年に向けて歩き出します。


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# 前号に引き続き、白保メール発刊5周年に当たり、発行者が今思うことを書きま
した。

♪ 『白保メール』ホームページ
     http://www1.ocn.ne.jp/~shiraho/  

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白保メール NO.84  06.8.20
発行者   鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
      shiraho@estate.ocn.ne.jp


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