2007.07.24
白保メール No.92 サンゴ礁の持続的な利用と地域の活性化に向けて2
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//転載歓迎//
<サンゴ礁の持続的な利用と地域の活性化に向けて(その2)>
白保魚湧く海保全協議会 事務局長 上村 真仁
2.垣の復元と地域での体験学習への取り組み
(1)垣の復元完成
白保で40年ぶりに復元作業を開始した垣は、昨年9月の台風13号により大きく
崩されました。そこで、何とか年内に完成させようと10月に入ってすぐに、地域の
石工の皆さんや小中学生、PTAの皆さんの動員を図り修復作業を行い、10月7日
に完成しました。協議会では完成を祝い、記念式典と祝賀会を開催しました。記念式
典では、魚湧く海への回復を祈りながら白保小学校1年生と復元作業に参加した白保
中学生によるマクブ(シロクラベラ)の稚魚の放流を行いました。また、祝賀会には
多くの地域住民の皆さんにお集まりいただき、完成の喜びを分かち合いました。
(2)体験学習での利用
11月20日復元された垣において白保小学校の全校児童が参加する体験漁が計画
されました。朝6時に浜にPTAの有志が集合し、まだ夜が明けきらない内にPTA
会長の操船する船で、垣の開口部に網をかける作業を行いました。朝8時半、第1校
時には体育館に全校児童が集合し、垣漁についての講義を受けました。あいにく講義
の途中から激しい雷雨となりました。講義終了後、雨は上がっていましたが、雷が鳴
り響いていたことから体験漁は中止となりました。結局、網を外しにいったPTA役
員の皆で魚を追い込み9匹の魚を捕まえました。石積みが終了したばかりで石に海苔
がついていなかったために魚があまり入っていなかったようです。
今年4月19日には白保中学校の全校生徒が参加する体験漁が行われました。この
日はサニズ(浜下り)ということもあり、白保のおじぃやおばぁも大勢竿原(ソーバ
リ)の浜に集まり、垣で捕れた海の恵みを味わいました。この日捕れた魚は19匹で
した。
また、6月1日には白保小学校が体験漁を行いました。昨年度、雷雨で中止になっ
たことから小学生が垣漁を体験するのはこれが初めてです。早朝5時から協議会と学
校の先生で網を仕掛け午後の干潮に備えます。1年生から6年生までおよそ100名
あまりが魚を追いかけ捕まえて64匹の魚が捕れました。
復元後、時間が経つに従いだんだん魚が寄り付くようになってきました。協議会で
は、子どもたちの体験学習として漁を実施する他、捕れた魚の種類や体長、重量など
を記録しモニタリングを行っています。
※ サニズ(浜下り):白保ではサンゴチサニチとも言われる旧暦3月3日の女の節
句。一年で日中最も潮が引く日といわれ、古くはこの日に女性は海に下りて海水で身
を清めた。現在は、家族や友人同士で浜に出て貝や魚などをとり海の恵みを楽しむ日
となっている。
(3)垣の復元効果
サニズに浜に訪れたお年よりたちから、垣を見て昔の記憶と重ね合わせて様々なア
ドバイスをいただきました。その多くが、石積みの構造についてでした。まだまだ、
復元した垣では石の間の隙間が多いようです。また、垣の高さが揃っていないために
魚が逃げ出すのではないかとの指摘もいただきました。
しかし、何よりも白保の海で魚捕りを楽しむ多くの中学生と一緒に浜で魚汁を炊い
て食べるおじぃやおばぁの顔はみんな笑顔で楽しそうでした。
日頃あまり海で遊ぶことの無い中学生達もこの日は白保の海を満喫したようでした。
多くの生徒達が感想文で、浜で食べた魚汁のおいしかったことを書いていたそうです。
垣を復元することで集落の人々が海と接する機会を増やし、海への愛着を更に深めて
もらいたいという復元の目的の一つは充分に達成されたようです。
海での体験を行った児童や生徒達が白保のサンゴ礁を守る担い手になることを期待
しています。
3.サンゴ礁保護に向けた新しい挑戦
平成19年度白保魚湧く海保全協議会では、新しい事業に着手しました。それは赤
土流出対策としての月桃のグリーンベルト植栽を行うというものです。名付けて“グ
リーンベルト大作戦”です。白保は石垣島一番の農村集落です。サンゴ礁の保全と農
地にとって大切な土を守る事業として、白保中学校の生徒達と協力しながらできるだ
け多くの白保の農地へ月桃のグリーンベルト植栽を行おうというものです。
農地も海もともに白保の人々の誇りです。地域を挙げて海も陸も守りたい。そうし
た地道な活動を続けていくこととしています。
5月12日に第1回として白保ヤモレの農地に700本の苗を植えつけました。今
後徐々に農地を拡大していく予定です。
※ 白保ヤモレ:カラ岳の西方にある。この畑は、宮良川上流のアラカチカーラ(河
川の名称)流域にあたる。
4.活動上の課題
白保魚湧く海保全協議会は、地域の有志の集まる任意団体です。こうした団体が策
定する自主ルールは、法的な拘束力ももたずその実効性は未知数です。今後、外部か
ら白保サンゴ礁域での観光へ参入する事業者が出てきた場合、法に基づく権利を主張
されたりしてトラブルになる可能性もあります。
しかし、法的な規制が無いからと言って無制限に事業を拡大することは環境保全上
好ましくないことは明らかです。また、行政が規制を行わないのであれば、このサン
ゴ礁海域と長い歴史をともにして来た地域コミュニティが取り組みを行うしかないの
ではないでしょうか。
今、何らかの規制や利用者間の調整を行っていかなければいずれは取り返しのつか
ない状況になることは容易に予想されます。このルールを広く皆さんに周知し、認め
てもらうとともに、理解と協力を得る必要があります。また、多くの皆さんに賛同し
ていただくためには、協議会加盟事業者自らがルールを厳しく遵守し、率先した保全
活動や地域への貢献活動をしていかなければならないでしょう。まずは、協議会が中
心となり白保地域が結束してサンゴ礁保全と持続的な利用に取り組んでいくことが必
要だと言えます。まだまだ活動は始まったばかりですが、地域の理解を深め、一歩ず
つ取り組みが進んでいくことと思いますので温かく見守っていただければ幸いです。
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# 白保魚湧く海保全協議会の活動についての事務局長上村真仁さんの報告、後半を
お届けします。前号からひと月あまりも経ってしまいました。お詫び申し上げます。
垣の復元の経緯については、白保メール No.82「石垣島白保での海と人との新た
な関係―垣の復元事業―」)をご覧ください。
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白保メール NO.92 07.7.23
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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