2007.09.26
白保メール No.94 白保村に暮らして(その2)
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V..v 白 保 メ ー ル│\ Sep.25.2007
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//転載歓迎//
<白保村に暮らして 〜村づくりと風景づくりの今後〜(その2)>
柳田 千晶
今年6月に石垣市は風景計画を策定し、風景づくり条例を施行しました。そこで、
風景づくりという観点から、今の白保を見てみたいと思います。白保では条例施行を
待つまでもなく、ゆらてぃく憲章にこう謳われています――『石垣、赤瓦、福木を愛
し、きれいな街並みをつくります。』 しかし、この文言を盛り込むことへの根強い
抵抗があったことも確かです。石垣にはハブがくる、赤瓦の屋敷は維持費がかかる、
福木は実が落ちて掃除が大変、等々。しかしそれでもこの文言が残るべくして残った
のは、住民自身がそうした古くからの屋敷に強い愛着を持っているからであり、それ
を示すかのように、昨年の台風で被害があったときも、赤瓦の屋敷を自力で修復する
姿があちこちで見受けられました。私は石垣島の景観を考える市民会議のメンバーと
して、市の風景計画と風景づくり条例のガイドライン作りに携わりましたが、終わっ
てみて個人的に得た結論は、風景とは設計してできるものではなく、愛着から生みだ
されるものだ、ということでした。赤瓦が残る白保の街並みと、建築協定でできた名
蔵の獅子森*の赤瓦の街並みとは、本質的に違っているのです。
* 名蔵の獅子森:名蔵にある45区画の新興住宅地で、不動産会社が開発時に街並
建築の一人協定を結んだ上で分譲したため、赤瓦で統一されている。
そうした観点から今後の白保の風景づくりを考えると、一番大事なのは規制ではな
く、住んでいる人が、「白保に戻ってくると落ち着く」とか、「福木を通る風が涼し
い」とか、「与那岡(ユナムリィ*)からの景色はすばらしい」とか、あるいは「白
保で獲れる米はおいしい」「プーリン(豊年祭)でガーらんと気が済まない(ガーる
=ガリ踊り**をする)」と感じることであり、そこから「どうして落ち着くんだろ
う?」「この住環境を守りたい」「ずっとおいしいお米を食べ続けたい」「毎年、ガ
ーリたい」など、疑問や願いを持つことのように思えます。疑問を持つことから村を
見直したり、願いを持つことから村に愛着を感じたり――そうした心の働きが、白保
の風景を作っていくのでしょうし、あるいはだからこそ現に40名余りの方が、“白
保学講座”に来て、より深く白保を知ろうとされているのでしょう。1年間の講座が
終了したあかつきには、受講生のあいだでどのような感想がもたれ、次にどのような
村づくりのステップが踏めるのか、楽しみにしています。こうした村の中での新たな
芽生えを、憲章推進委員として、白保でのよりよい風景づくりに関わる者として、大
切にしていきたいと思います。
* ガリ踊り:豊年祭で旗頭を迎える時に、「ガリ、ガリ」という掛け声のもと、女
性達が旗頭を囲んで踊るシンプルな踊り。
**与那岡(ユナムリィ): 白保集落の後背地にある高台で、白保の農地や牧場、
新空港予定地、さらに水平線までが一望できる。明和の大津波(1771年)以降の一
時期、この近辺に村(上の村=ウイヌムラ)がつくられ、与那岡は村人が集会する
場所だったという。八重山古典民謡の真謝節には“与那岡に登って見下ろせば、稲
粟の稔りが豊かで泰平である”と謡われている。
今後、白保地区は、御嶽(オン)や戦跡など重要な史跡の指定や、伝統的な赤瓦の
屋敷の維持に補助金が出されるようなシステムの創出や、景観地区*の指定等が目指
されます。それは、白保に住む人たちの郷土への愛着の上に成り立つものでなくては
なりません。さらに、集落外の農地以外の地域は、風景づくり条例の規制はかかりま
すが、それさえクリアすれば何を建ててもかまわない白地地域**です。つまり新空
港建設にともなう変化にさらされる可能性がある地域が海沿いに広がっており、サン
ゴ礁の海や与那岡からの眺望に今後影響が出ないか心配です。まだまだ議論すべきこ
とは山積していますし、地域の決め事には時間がかかることも、これまでの活動の中
で学びました。でも、市の風景づくり条例、風景計画にしろ、白保ゆらてぃく憲章に
しろ、感情的には「もう手遅れ」と、諦め半分で始めたことです。それが今、同じよ
うな思いを持つ人たちの力で条例ができ、多くの市民の支持するところとなり、現に
市は、条例を盾に開発業者に対応しています。ゆらてぃく憲章が多くの村民の支持す
るところとなるのはまだまだこれからですが、「どんなに遅くともやらないよりはマ
シ!」と自分に言い聞かせながら、私はここ白保村での暮らしを愛し、愛し続けられ
るような村づくりに、これからも関わっていきたいと思います。 (完)
* 景観地区:景観計画区域(石垣島では全島とサンゴ礁海域)よりも、より積極的
に景観の形成や誘導を図りたい場合に都市計画として定められる区域のことで、建
築物の形態意匠等について制限できる。
**白地地域:都市計画区域(石垣市全域)のうち用途地域の指定のない地域。
<<白保ゆらてぃく憲章>>
与那岡(ゆなむりぃ)から見渡す田園風景、魚湧く海、
赤瓦、福木、石垣の残る集落
その中で受け継がれる伝統芸能、
白保村の先輩たちが守り伝えてきた
豊かな自然とともにある暮らしを守り、
若者たちが夢と誇りを持って次世代を担うことのできる、
海と緑と心をはぐくむ、
おおらかな白保
を目標とした ゆらてぃく白保村づくり を推進します。
* ゆらてぃくとは *
白保村を代表する民謡"白保節"に謡われる「ゆらてぃく」という言葉は、「寄って
らっしゃい」「ともに集おう」など、歓迎の意や村人の和を表すものと解釈できます。
「ゆらてぃく」は、白保節を最も印象づける歌詞であり、かつ、白保人気質(さぶ
ぴぃとぅかたぎ)を表した言葉でもあることから、本憲章の冠名として位置づけまし
た。
白保人は、古来より勤勉であり、村人の団結心は強く、様々な行事や村事(むらご
と)に一致結束して取り組み乗り越えてきた歴史があります。特に友人・同級生など
は固い絆と友情で結ばれています。
その一方で、白保人は、外来者や移住者を受け入れてきた寛容さや友好さを併せ持
っています。白保古来の文化風習を守りつつ、外来文化を取り入れ独自の文化へと昇
華させてきた進取の気質と文化的感性のある集落でもあります。
このように白保人は、勤勉・寛容さ・友好さ・文化的感性・団結心・友情心などに
富んだ特有の気質があり、この白保人気質はこれまで世代を超えて受け継がれており、
将来も守るべき精神的遺産といえます。
そこで、本憲章では、白保人の気質・精神性を白保節の歌詞に因んで「ゆらてぃく
の心」または「ゆらてぃく精神」と表現することとします。
《白保村づくり七箇条》
一、白保の文化を守り、未来につなげます
一、世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
一、石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
一、恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
一、地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
一、スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
一、ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります
《具体的な施策》(細目は省略)
一、白保の文化を守り、未来につなげます
◆白保固有の芸能の保存・継承
◆芸能の集落の継承・発展
◆白保の風習・祭事の保存・継承
◆白保の文化遺産の整備・保存
◆白保文化の創造・発信
一、世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
◆身近な自然環境の保全
◆環境の復元・改善
◆自然の持続的な利用
一、石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
◆景観の保全・創造
◆文化遺産としての家・屋敷の保全、
◆新築住宅と集落景観の調和
◆字白保の広域的な景観保全
一、恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
◆農村集落として農業の継承・発展
◆魚湧く海を活用した地域産業育成
◆あらたな地場産業と地域内での雇用創出
一、地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
◆地域の教育力の向上
◆青少年の健全な育成
一、スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
◆心と体の健康づくりの推進
◆命どぅ宝の精神の普及・啓発
一、ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります
◆ゆらてぃくの心の継承
◆新規住民の白保自治活動への参加
◆協力の仕組み構築
◆安心・安全な村づくり
◆防犯の推進
◆防災の推進、
◆交通安全の推進
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# 前号に続き、白保村の柳田千晶さんに書いていただきました。
『白保ゆらてぃく憲章』の全文は、近く白保魚湧く海保全協議会のホームページ
に掲載されるとのことです。
http://www.sa-bu.com/
♪ 『白保メール』ホームページ
http://www1.ocn.ne.jp/~shiraho/
♪♪このメールマガジンは、『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発行
しています。
配信中止は、http://www.mag2.com/m/0000141189.htm でお願いします。
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白保メール NO.94 07.9.25
発行者 鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
shiraho@estate.ocn.ne.jp
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