2008.06.18
【情緒纒綿】【奸佞邪智】<四字熟語物語ー平成のたちくらみー>
《第九章》 アサミクレヨの過去(その18)
「なるほどね」
※371【情緒纒綿】としたユタカの話し振りに、ヒロキはしんみ
りとした気持ちになった。
「あいつは、男の心変わりが自分の※372【奸佞邪智】だった自分
の性格から来ていることに後悔し、ずっと自分を責め続けたんだ。
傷付いていたのは自分だけじゃなかったということを知ったからだ。
そしてそれから、自分の結婚に対しては、ずっと口を閉ざすように
なった。多分、自分はもう結婚できない女なんだと自分自身で決め
付けちまったんだ。敢えて結婚情報産業なんかに就職したのは、自
分と同じ失敗を人にもさせたくなかったんだろう」
「ババの中のババか」・・・ヒロキはふと呟いた。あれはきっと
彼女の励ましだったのだ。長い人生には二度と埋め合わせることが
出来ない失敗もある。そして、受けた傷が大きければ大きいほど、
他の人に同じ思いをさせたくないという気持ちが強く働いたとして
も不思議ではない。
(つづく)
【四字熟語解説】
371情緒纏綿(じょうしょてんめん)
喜怒哀楽といった感情が絡み合って離れない事。また愛情がこま
やかな事。
情緒は気分や雰囲気の事で、じょうちょと読むのは慣用読み。
纏綿とはまとわりついて離れない事。
怒ったり悲しんだりするのは人が生きていく上でごく当たり前の
感情なのだが、これが極端に出すぎると情緒不安定ということにな
る。
いつも能面にビー玉のような目玉を張り付けたような人間も気持
ち悪いが(こういう人たちは何を言われても感情の神経が機能しな
いんだろうね、道路公団や厚生労働省、社会保険庁になにを言って
も無駄なわけだ)、ついさっきまで笑っていたかと思うと、ある
ちょっとした一言で突然怒りだしたり、泣き出したりするような人
も扱いに困ってしまう。要するに人間、バランスですね。
372奸佞邪智(かんねいじゃち)
『奸』は心がひねくれて、正しくない状態を示し、『佞』は口先、
態度がうわべだけで、心はねじくれている事を意味する。
邪智はずるがしこい悪知恵のことで『智』は『知』とも書く。
この組み合わせから容易に想像できるように、心がひねくれ、
腐っていて、いつもずるがしこく立ちまわっていること、あるいは
その人を表す。
多分本人としてみれば、ねじ曲がっているというような自覚など
さらさらなく(ちびまるこちゃんの藤木君みたいに自分のことを卑
怯だと自覚している人間はまれである)、原理原則や、理念、哲学
など関係なしで、どう立ちまわったら自分(だけ、そのためには他
人がどうなっても構わない)にとって一番得になるかという価値観、
ただそれだけで生きているに過ぎないような気がするのだが、他人
からみて行動の軸がまるで見えないので、やがてはこのような評価
を受け、最後は軽くみられる羽目に陥ってしまう。
この社会的評価がある意味一番損であるような気がするのだが、
本人は分からないんだろうなあ、きっと。
卑怯でずるがしこくて、ひねくれている人間となんかだれもあん
まり付き合いたくないもんね。
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