2008.05.19
★★断熱・気密・防湿 快適・健康・省エネの技術★★ 第76号 (通算100号)小満編
★★★★★★断熱・気密・防湿 快適・健康・省エネの技術★★★★★★
第76号 (通算100号)小満編 2008年 5月19日発行
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┃断┃熱┃・┃気┃密┃・┃防┃湿┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
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┃快┃適┃・┃健┃康┃・┃省┃エ┃ネ┃の┃技┃術┃ ┃ ┃
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●● 皆様こんにちは。
暑い日があると思えば冬の寒さを思い出させる日も混じり、不安定な気候が
続きます。また暑い日々が近づいています。
それでは、「局所間歇空調と全館連続空調」の第二回です。
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全館空調と局所空調 (その2)
間歇空調をすれば空調機を切ったあと室温が下がります。この室温低下の大きさに
よって建物からの熱損失が減ることになります。
室温低下はエネルギー消費の観点から見れば、省エネの原動力になりますが、ここ
には二つの問題が隠れています。
ひとつは室温低下がどこまで進むかを制御できないこと、もうひとつは暖房を再開
したときにすぐに室温を元通りに回復できないことです。
通常、熱容量の小さい建物で連続空調するときに必要とされる空調機の能力は
暖房時
Q値×床面積×(暖房設定温度−最低外気温度)
で、
冷房時
Q値×床面積×(最高外気温度−暖房設定温度)
で、計算します。
熱容量の大きい建物では最低外気温度に日平均気温の最低値を、最高外気温度に日
平均気温の最高値を採用し、熱容量の小さい建物では厳寒期の日最低気温と、酷暑気
の日最高気温を採用します。
ところが、これらの建物で間歇空調するときには、空調をきっていた時間に低下
(あるいは上昇)した室温を元に戻すために追加的な空調設備の能力が必要になります。
例えば、冷暖房負荷がピークになる時期に空調を6時間切ったあと、スイッチを入
れてから1時間で空調設定温度に戻したいとすれば、熱容量の大きな建物では約6.8
倍の能力を持つ空調機が必要になり、木造のような熱容量の小さい建物でも5.6倍の
能力を持つ空調機が必要になります。
この計算はすべての熱容量が室温途同様に変化する前提で計算したものですが、実
際には空気は暖まっていても床はまだ暖まらないなど均等に建物に熱を加えることが
できないために、熱容量の小さい建物が必要とする空調気はもう少し小さくなります
が、その分床の寒さなどを感じることにもなります。
間歇空調を好む日本の住宅で、短時間しか使わない床暖房が好まれる理由のひとつ
に暖房開始後の床の冷たさがあります。
間歇空調するために連続空調の時に比べて数倍の空調機を設置して、一日に必要と
する空調エネルギーの5%(RC外)〜40%(木造)を節約するのが間歇空調による
省エネの実態です。
空調を切ったあとに室温が低下すること
蓄熱・放熱に熱容量がどのように関わっていくか? 建物内での熱伝達がどのよう
なメカニズムで進むかを忠実にシミュレートするには多くの変数が絡み、躯体や仕上
げ材が少し変わっただけでも大きな違いになります。例えば天井板があるかないかに
よっても建物の上下の熱伝達や蓄熱には大きな差が現れます。
軸組み壁の空洞に気流止めがあるかないかによっても熱の伝わり方には大きな違い
が現れます。
こういった、個別的な差異を配慮しようとすると「木を見て、森を見ない」ことに
なるかもしれません。室温を推定する式は建物内の温度が常に一定であるという前提
に基づいていますが、建物の構造体の温度は外周部では室内から屋外に向かって温度
勾配を持っています。また間仕切壁や界床は隣接する部屋の温度差に応じた温度差を
持ちます。
さらに、室内温度の変動が起きると部材表面から放熱・蓄熱が始まり、次第に部材
の欧の部分に温度変化が伝達します。
推計に用いる数式は幼稚なものですが、ある程度空調ON−OFF後の室内温度変
化の傾向を表わしていると考え、「ドン・キ・ホーテ」のごとくロバに跨って蓄熱の
牙城を攻めることにします。
蓄熱体と熱容量
建物を構成する素材の断熱ラインの内側にある素材の重量と単位重量の素材の温度
を1℃上昇させるエネルギーの積の累計を熱容量と定義します。
この定義によれば、RC外断熱工法のコンクリート躯体はほぼすべてが熱容量とな
り、RC内断熱工法の外壁や屋根スラブは熱容量となりません。RC無断熱工法の外
壁や屋根スラブは半分が熱容量に計算されます。
木造の建物では、外張り断熱工法の構造材や内装材はすべて熱容量に加算しますが、
充填断熱工法では外壁や屋根の断熱材の中間より内側にある素材だけをカウントしま
す。
外壁や屋根、そして基礎など建物の室内と屋外を分ける部分(エンビロップ)には、
暖房中は室内から屋外への熱の流れがあり、室内から屋外に温度勾配を持ちながら、
外気温度室内温度の変化に対応して温度変化しています。
部屋を仕切る間仕切壁や階を仕切る床は、それぞれの接する部屋の温度に同調しつ
つ、隣接する室温に差があるときには熱貫流率に従って部屋間で熱エネルギーを再配
分します。
このメカニズムを正確に追跡するためのモデルを考えられないわけではありません
が、ここに切り込むと罠に嵌る恐れもあるので、概算的な考察に基づいて話を進めます。
室温を20℃に維持していた建物の空調を切ったあと室温が2.5℃ずつ下がる時間を
常用式で計算し、表にしました。
計算式は 熱損失量=(室温−外気温度)×Q値×床面積×計算周期(時間)
計算周期の温度変化=熱損失量/熱容量
です。
まず、外気温度が5℃のとき、これは東京などの1月の平均気温に相当します。
┌───┬────┬────┬────┬────┬────┬────┐
│室温度│RC外 │RC外 │RC内 │RC内 │木造 │木造 │
│ │Q=1.5 │Q=3.0 │Q=3.0 │Q=5.0 │Q=1.5 │Q=3.0 │
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│17.5℃│ 25h00m│ 11h20m│ 2h40m│ 1h40m│ 3h00m│ 1h20m│
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│15.0℃│ 57h20m│ 25h20m│ 6h20m│ 3h40m│ 7h00m│ 2h40m│
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│12.5℃│ │ 44h00m│ 11h00m│ 6h20m│ 12h40m│ 5h20m│
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│10.0℃│ │ 72h40m│ 18h00m│ 10h00m│ 22h40m│ 9h00m│
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│ 7.5℃│ │ │ 33h20m│ 17h20m│ │ 16h40m│
└───┴────┴────┴────┴────┴────┴────┘
次に、外気温度が10℃のとき、これは東京などの3月中旬の平均気温に相当します。
┌───┬────┬────┬────┬────┬────┬────┐
│室温度│RC外 │RC外 │RC内 │RC内 │木造 │木造 │
│ │Q=1.5 │Q=3.0 │Q=3.0 │Q=5.0 │Q=1.5 │Q=3.0 │
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│17.5℃│ 46h00m│ 18h40m│ 4h40m│ 2h40m│ 5h40m│ 2h20m│
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│15.0℃│ │ 47h20m│ 11h40m│ 6h20m│ 15h20m│ 5h40m│
├───┼────┼────┼────┼────┼────┼────┤
│12.5℃│ │ │ 27h20m│ 13h40m│ │ 13h20m│
└───┴────┴────┴────┴────┴────┴────┘
これらの表で室温が12.5℃を切るような時間連続して空調OFFを続けることは望
ましくありません。この表の室温が所定の温度までに下がる時間は全館空調を前提に
していますから、局所空調の場合はさらにずっと短い時間で室温低下が起きることに
なります。
ただし、この数値はあくまでもシミュレーションの結果です。実際の建物の温度低
下に必要な時間がこれよりも長ければ空調停止時間を長くすることができますし、短
ければ空調停止時間を短縮しなければなりません。
さらに、「室内温度の低下をどこまで許容するか」についても大きな個人差がある
と思います。欧米の暮らし方では夜中でも室温を下げないのが普通ですから、暖房温
度を20℃に設定すれば間歇空調はありえないのかもしれません。最低室温を15℃、
あるいは18℃と考える人にとっても厳寒期に間歇空調することは空調機器を大型化す
るだけでそれほどメリットがあるようには思えません。
間歇空調による省エネルギー効果に着目すると、その副作用としての「室温の低下」
を見落とす、あるいは「気に掛けない」ことになりかねません。
日本の家は長いこと温度バリアとしての機能を持っていませんでしたから、高断熱
の家を造っても夜中の室温を下げて厚い布団に潜って寝る習慣から抜け出せない方も
まだいらっしゃることでしょう。
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今週は連続空調と間歇空調の第2回です。
今後さらに全館空調と局所空調の比較にも歩を薦めたいと考えています。
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サイトリニューアル情報
特にリニューアルはありません。
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第77号 (通算101号)芒種編 は 2008年 6月 2日に発行予定です。
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