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2006.11.23

講道館杯戦評(女子48kg・52kg・57kg級)


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柔道情報サイト「eJudo」運営者の古田です。

eJudo携帯版では、11月21日より、講道館杯戦評を毎日2階級ずつ配信しています。

今回は、11月22日に配信が終了した女子3階級についてお送り致します。

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【48kg級】
優 勝 山岸絵美(三井住友海上火災保険)
準優勝 福見友子(筑波大学3年)
第3位 伊部尚子(筑波大学1年)
第3位 浅見八瑠奈(新田高校3年)

決勝は大方の予想どおり、山岸と福見、いずれもアジア大会代表になっていてもおかしくない2人の顔合わせとなった。

相四つで力も拮抗している2人。
一進一退の攻防が続き、大きな差をつけての勝利は難しいのではと思われた残り1分15秒、
福見が奥襟を取って前に出た所を、山岸が腰を抱え遠心力のある右浮腰で切り返す。
崩れた福見が隅返で返そうとするも、山岸がそのまま浴びせ倒し「技あり」。
福見が奥を持ったが引き付けきれず体が浮いた一瞬の隙のことだった。
山岸はポイント奪取後も主導権を渡さず、隙を見せずに講道館杯初優勝を飾った。

優勝した山岸は4月の選抜体重別でアジア大会代表の中村美里(渋谷教育学園渋谷高)を体落「一本」で破って優勝しており、
ポスト谷亮子を狙うトップ3のライバルである中村に一本勝ち、福見に技有優勢勝ちと共に「投げて」勝利したことになる。

単に結果を残すのみならず「投げて」勝つということは代表争いの観点からは非常にポイントが高く、今大会の優勝は山岸にとって非常に大きいものとなった。
山岸は来年の世界選手権、2年後の北京五輪へ向けて大きく前進したといえるだろう。

これでうかうかしていられなくなったのが中村だ。
山岸の活躍により、12月のアジア大会でははっきりとした結果が求められることとなってしまった。
最低でもベスト4に入り、対外国人選手の強さをアピールしたい。

過去の福岡国際で谷亮子を破った福見を含むポスト谷のトップ3は切磋琢磨して確実に成長している。若手選手が谷を越える日も近いであろう。

3位入賞は準々決勝でインターハイ2位の浅見を下した伊部尚子。
またここで敗退した浅見も敗者復活を勝ちあがり3位入賞。
インターハイ優勝の浅香は敗退したが、ベスト4全員が20歳前後と、この階級は若手の層が非常に厚い。
谷への挑戦権争いは今後も熾烈を極めそうだ。

【52kg級】
優 勝 君島奈津子(警視庁))
準優勝 西田優香(淑徳大学3年)
第3位 岡崎綾子(創電社)
第3位 吉村依子(セコム)

決勝は、西田優香と、選抜体重別覇者の宝寿栄−世界ジュニア覇者の川崎萌の勝者との戦いとなると誰しもが思っていたであろうが、ダークホースが出現。
昨年本大会3位の君島奈津子が準決勝で宝を破り決勝進出、そのまま西田にも勝利し優勝した。

決勝は西田左、君島右のケンカ四つ。
西田は長身の君島をものともせずに開始2分に小外刈からの朽木倒で「効果」。
対する君島は2分45秒に小内刈、西田は腹ばいに落ちたがこれで「効果」を奪った。西田は背負投を狙うが、懐の深い君島に読まれてしまい崩し切れない。
4分、一瞬奥襟を十分に持った君島が間髪入れずに思い切った内股に入れば西田崩れて「効果」。
結局この効果一つの差で君島が初優勝を飾った。
               
終始西田が受けにまわり、君島が思い切って前に出た印象。その差が結果に表れてしまった試合ではないだろうか。

ここまで各種国際大会・学生大会で結果を残してきた西田には手痛い敗戦となってしまった。
アジア大会代表の横澤がここ最近勢いがなくなっていただけに、西田は本大会でしっかり勝ってその差を埋めたいところであった。

長年横澤一人が背負ってきた感があるこの階級は若手の育成が急務である。
9月のW杯で中国のリ・エイに勝利して昇り調子と見られていた西田は期待の一番手であるだけに、コーチ陣にとっても頭の痛い敗戦ではないだろうか。

3位には実業団1位の吉村依子、昨年本大会優勝の岡崎綾子が名を連ねた。
両者は準々決勝で対戦し吉村が勝利したが、岡崎は敗者復活で選抜体重別覇者の宝寿栄に勝利しての入賞。

この階級は他の階級に比べ社会人選手活躍の印象が非常に強い。
西田以外にも若手選手の台頭を期待したいところだ。

【57kg級】
優 勝 宇高菜絵(帝京大学4年)
準優勝 宮本樹理(了徳寺学園)
第3位 野中未奈(山梨学院大学4年)
第3位 岩藤理恵(三井住友海上火災保険) 

実力者がひしめき合い、誰が優勝してもおかしくないこの階級を制したのはW杯代表の宇高菜絵であった。
大きな波乱もなく優勝候補が順当に勝ち進み、準々決勝で宇高は実業団63kg級を制すも1階級下げてエントリーした徳久瞳に競り勝ちベスト4に進出。

準決勝はその宇高と学生王者の野中未奈、もう一方は選抜体重別を制した岩藤理恵と実業団優勝の宮本樹理という顔合わせとなった。
宇高と野中は10月の全日本学生体重別決勝でも顔を合わせており、この時はGSでも決着がつかずに旗判定で野中が勝利。
今回も本戦・GS合わせて10分を戦い決着がつかない全く同じ展開だったが旗判定の末に宇高がリベンジを果たした。

もう一方では宮本が岩藤に完勝し決勝までオール一本勝ちという、実業団優勝の好調を維持してのファイナル進出となった。

決勝の宮本−宇高戦は高校(宇和島東高)、大学を通じたチームメート同士、お互い手の内を知り尽くした対戦。 

宮本左、宇高右のケンカ四つ。ここまでの対戦成績では宮本が大きく上回っていたが試合は一進一退。
宮本は再三大腰を繰り出すが、宇高はうまく引き手を切って対応し、足技で応戦する展開になる。
両者ポイントなく時間となり勝負はGSに持ち越された。
GSでも攻勢に出たのは宮本。小外刈から大腰、大腰から内股と大技を連発し、宇高に攻める隙を与えない。
2分過ぎ、尚も前に出る宮本に対し宇高は出ばなに何度か見せていた肩車で合せると一瞬止まるも技を継続し「有効」を奪った。
耐えに耐え、そして見事ワンチャンスを生かした宇高の優勝となり、勝負強さが光る一戦となった。

宇高は準決勝でGS合わせて10分を戦い抜いて判定勝利、決勝もGSにもつれこむ厳しい戦いを制したが、
これが示すようにこの階級は実力差が紙一重の選手が何名もいて非常な混戦になっている。

アジア大会には佐藤愛子(了徳寺学園)が選ばれているが、実力的には本大会ベスト4に入ったメンバーと横一線であると言えるだろう。
世界選手権・北京五輪への代表選考では予断を許さない階級になりそうだ。

[文責:高橋秀明・古田英毅]

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