2008.02.02
●●関学COEメールマガジン [ 第64号 ] 2008/2/2
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■■□□ □ 関西学院大学 社会学研究科
■□■ □□□□ 21世紀COEプログラム
□□ □□□□□□ −「人類の幸福に資する社会調査」の研究−
□□ □□□□□□ http://coe.kgu-jp.com/
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■□■■ □ 関学COEメールマガジン
□■■□□□□□□ □■第64号■■2008/2/2■□
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−目 次−
■ エッセイ「幸福日記」(60) 「今日の科学行政のもとで「私たち」は、いかにして控え
めでありうるのだろうか」(阿部潔)
■ エッセイ「幸福日記」(61) 「幸福についてー回顧と展望」(荒木康代)
■ COE事務局の閉室について(2/2)
■ 災害復興制度研究所 関連研究会について
■ 研究会・イベント
・2/12 「村の日記」研究会
・2/14 COE/兵庫県プロジェクト 都市景観研究会
・3/21 COE国際比較調査についてのワークショップ(古川 彰・武田 丈)
■ 社会調査ニュースダイジェスト
■ 編集後記
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│ ■ エッセイ「幸福日記」(60) 「(「回顧」編)今日の科学行政のもとで「私たち」
│ は、いかにして控えめでありうるのだろうか」(阿部潔)
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COEプログラム最終年のこの時期を迎えると、日頃から物事をなんら顧みない私でも少し
ばかり回顧モードに入ることがある。そうした折に感じる/考えることを、この機会に少
しばかり述べてみようと思う。
「人類の幸福」という魅力的なタイトルは、これまで多くの人びとを惹き付け、さまざま
な共感を呼び起こしてきた。そのことは疑いようのない事実である。だが、5年間のCOEプ
ログラムの最終段階を迎えているいま、あるひとつの問いが私のなかで頭をもたげる。
プログラムに関わった私たち当人は、少しでも「幸福」になりえたのだろうか?
もちろんここで、私は研究に関わった個々人の私的な領域における幸福/不幸を問うてい
るのではない。5年もの長きにわたるプログラムの過程において、それに関わった多くの
人びとのなかには、大変に幸せな出来事に巡りあった人もいれば、災厄や困難に見舞われ
たものもいるだろう。それは世の常だ。ここで考えたいことは、それら個々人の次元での
幸福/不幸ではなく、大規模な社会科学の共同研究に携わった「私たち」は、「人類」と
いう集合次元での「幸福」に資する方向へと、ささやかながらも一歩を踏み出し得たのだ
ろうか、との自問にほかならない。プログラムの最後にあたり、「幸福になれたのか」と
の疑問とも後悔ともつかない思いが私を捕らえて離さないのである。
こうした思いを強くしたのには、キッカケがある。高坂拠点リーダーがある報告で「幸福
の在り方」の分類に関連して、膨張的/控えめの軸を援用しながら議論していた。報告趣
旨をきわめて乱暴に整理すれば、近代的な成長至上主義のもとで自明視されている「拡
張・膨張する」こと自体を見直すことのなかにこそ、これからの時代において「幸福であ
る」ための可能性やヒントが潜んでいるのではないか。そうした問題提起として、私は高
坂報告を受け止めた。「控えめ」な幸福の在り方を予感させるものとして、宮沢文学にお
ける動物と人間との共生関係をめぐる逸話や、そこから示唆を受けた民俗学者や文化人類
学者の議論が紹介されていたことを、今でも鮮明に覚えている。
たしかに、自分たちが辿ってきた近代という時代を「回顧」し、そこにおける膨張指向を
見直すことは重要な課題だ。そのうえで、未来に向けた「展望」のひとつとして「控え
め」を指向することは、魅力的な「これからの幸福の在り方」に思われる。敢えて私個人
の好みを言えば、「控えめ」であることに少なからぬ魅力を禁じ得ない(断るまでもない
が、これは「人柄」が控えめかどうかとは全く無関係)。
だが、今日私たちが研究者・調査者として共同研究を推し進めていくうえで大きな影響力
を発揮している科学行政の在り方は、果たして膨張的との誹りを免れうるのだろうか。改
めて言うまでもなく、COEに代表される今日の大規模科学プログラムの圧倒的多数は、そ
うした国家の科学行政のもとに成り立っている。そこに個人/グループ/機関として関与
している「私たち」には、「控えめ」であることの意義と価値を唱えるどのような資格が
あるのだろうか。そもそも拡張・膨張を指向しない科学・技術など、国家行政のもとで可
能なのだろうか。
「人類の幸福」をテーマに掲げたプログラムに自分なりのこだわりと目標を抱いて関わっ
てきたつもりだが、今こうして「回顧と展望」を試みても明確な展望がなかなか描けな
い。巷ではノーベル賞に匹敵する科学的な発見/発明が連日のように取り沙汰され、科学
者を含めた世間の多くの人びとが「人類の幸福」に向けた夢と希望をそれに託しているよ
うに見受けられる。果たしてそれは、科学技術に基づく膨張的な企てなのか、それとも個
々人が見舞われる不幸や災厄を軽減するための控えめな対処なのだろうか。門外漢の私に
は分かる由もない。しかしながら、生命科学における大発見・発明だけでは、「控えめな
幸せ」をはじめとする人類の多様な「幸福の在り方」を未来において実現するうえで決し
て十分ではないことだけは、5年間のプログラムを通してハッキリと認識できるように
なった気がする。(「展望」編に続く)
阿部潔(関西学院大学教授)
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│ ■ エッセイ「幸福日記」( 61) 「幸福についてー回顧と展望」(荒木康代)
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本COEプロジェクトでは、シンポジウムや研究会などを通じて「幸福」ということ、「調
査」ということについて教えられることが多かった。また、2007年度にはCOEリサーチア
シスタントとして、より積極的に関与させていただいた。そこで、最後に私が「幸福(し
あわせ)」を感じるのはどんなときだろうと考えてみた。
私(たち)が普段の生活の中で感じるのは、とても小さな幸せだ。たとえば、凍えそうに
寒い日に外出から帰って暖かいココア(コーヒーでもいい)を飲む幸せ、暖かい湯にひ
たって四肢をのばせる幸せ、土砂ぶりの雨の日に屋根の下にいられる幸せ、こたつで眠く
なってそのまま眠れる幸せなど・・・。
記憶そのものが幸せになることもある。幼いころに食べたお菓子の匂い、こどものころ遊
んだ製材所の木の匂い、祖父母の家の床柱の手触り。思い出すこと、そのことが人を幸せ
な気分にさせる。だからこそ、今、昭和30年代が当時子供だった人達にとってノスタル
ジーとともに喧伝されているのかもしれない。こんな幸せを感じるときの人は、目尻も口
元も下がり、緊張感ゼロになっているのだろう。動物で言えば、お腹を思い切り出して仰
向けに寝転がって昼寝をしている犬や猫のイメージだ。幸せは、人をほっとさせること、
脱力であり、緩和だ。
人間は衣食住などの生理的欲求や安全の欲求が充足されるとより高い欲求に向かい、最終
的には自己実現を求めるという説があるが、「自己実現」というたいそうな欲求に比べれ
ば、私たちがふだん感じる「幸福」は、何て小さいのだろう。食べたり、飲んだり、眠っ
たり、笑ったりというように、きわめて感覚的だ。そして、それはいつも日常のなかにある。
このような幸せは単なる個人的な嗜好のように見えるが、そうでもないと思う。凍えそう
な寒い日に暖かい飲み物で身体が温まることは誰にとっても幸せだろう。それは決して個
人的なことではなくて、共通の感覚だと思う。それは、「安心」の上に成り立っていると
いう点で、COEシンポジウムで聞いた「無事」という言葉に通じるものかもしれない。こ
んな共通の幸福感覚とそれを可能にするための「何か」を探すのが、幸福に資する社会調
査なのかなあと今思っている。
今後もCOEで学んだことを生かして研究を続けていきたいと考えている。
[業績]
荒木康代、2007、「戦前期の商家の『主婦』(女主人)についての考察―大阪船場の『ご
りょんさんの事例から』」ソシオロジ51-3
荒木康代、2008、「商店『経営』と『家族』生活―1950年代の大阪船場の『住み込み』
の事例から」関西学院大学社会学部紀要104号(3月刊行予定)
荒木康代(関西学院大学社会学研究科/COEリサーチ・アシスタント)
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│ ■ COE事務局の閉室について(2/2)
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入試期間中の2月2日(土)については、COE事務局を閉室いたします。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。
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│ ■ 災害復興制度研究所 関連研究会について
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COEプログラムが協力しております災害復興制度研究所の関連研究会は
以下のとおりです。 URL: http://www.fukkou.net/
問い合わせ先: 災害復興制度研究所・中阪
○ 第22回 全体研究会
日時: 2月16日(土) 10:30〜12:30
場所: 関西学院大学 災害復興制度研究所 会議室
演題: (未定)
ゲストスピーカー: (未定)
○ 第20回 東京ブランチ例会
日時: 2月26日(火) 17:30〜19:30
場所: 関西学院大学 東京丸の内キャンパス
演題: (未定)
ゲストスピーカー: 澤田 雅浩さん
(長岡造形大学 造形学部建築・環境デザイン学科 准教授)
◆日本災害復興学会 学会員募集中
学会員を募集します。
研究者、NPO、防災会社、コンサルタント、医師、看護士、臨床心理士、
メディア、行政職員、政治家など資格は問いません。
災害復興や被災者支援、災害関連の保険や共済制度、税制などに
関心がある方々の積極的な参加を求めます。
詳しくは、研究所HPをご覧ください。 http://www.fukkou.net/
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│ ■ 研究会・イベント
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各情報はCOEホームページ http://coe.kgu-jp.com/ にも掲載しています。
問い合わせ先は、指定がなければCOE事務局(tel:0798-54-6655)です。
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「村の日記」研究会 (COEモジュール 記憶・記録)
日時: 2月12日(火) 13:30〜
場所: 関西学院大学 COE研究会室2 (MR棟2階)
報告者:
高橋 大樹(佛教大学大学院 文学研究科)
「近世知内村の寺・檀那・信仰生活」
郡山 志保(神戸女子大学大学院 院生)
「近世における半の飛地領支配について―郡山藩近江領を事例として―」
コーディネータ: 鎌谷 かおる (関西学院大学COE・RA)
※一般参加を歓迎いたします。参加ご希望の方は事前にご連絡ください。
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COE/西宮市 都市景観研究会
日時: 2月14日(木) 13:30〜17:00
場所: 社会学部 第1会議室
※一般参加を歓迎いたします。ご希望の方は事前にCOE事務局までご連絡ください。
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COE国際比較調査についてのワークショップ
「調査における自己と他者―参加型調査と調査環境をめぐって―」
日時: 3月21日(金) 13:00〜18:00
場所: 上ケ原キャンパス 池内記念館 第1研究会室
内容:趣旨の説明
フィリピンからの報告
ネパールからの報告
ディスカッション
※一般参加を歓迎いたします。
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│ ■社会調査ニュースダイジェスト(1月下旬)
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カンボジアで2000年前の水の祭壇、日本調査団が発見
(2008年1月21日(月)22時54分配信 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20080121-OYT1T00699.htm
凸版、子育て支援サイト・地域の情報をママが調査
(2008年1月22日(火)配信 日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080122AT1D2103D21012008.html
特別支援教育で学力向上も…教師意識調査
(2008年1月24日(木)配信 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20080124ur01.htm
終末期医療で意識調査=1万4000人対象、来月実施−厚労省
(2008年1月24日(木)19時54分配信 時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008012401001
再生紙はがき 3種古紙配合ゼロ 日本郵政調査結果 新規分の表記中止
(2008年1月25日(金)朝刊配信 東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2008012502082172.html
参考 http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/01/27/2008012709013979002.html
格差是正へ過疎地で大型調査
(2008年1月26日(土)配信 中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200801260032.html
ネット利用、半数近くが「不安」・内閣府調査
(2008年1月26日(土)19時21分配信 日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080127AT1G2602326012008.html
外で遊ばない子ども…64% GPS使い滋賀で調査
(2008年1月27日(日)朝刊配信 中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008012702082701.html
放送局の下請けいじめ、総務省が実態調査へ
(2008年1月27日(日)3時4分配信 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080127-OYT1T00049.htm
調査捕鯨 悩む政府 反対国では環境シンボル 『合法』でも遠い国際理解
(2008年1月28日(月)朝刊配信 東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008012802082943.html
ウィキメディア財団、「ウィキペディア」の投稿者に関する調査を計画
(2008年1月28日(月)10時36分配信 CNET Japan)
http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20365876,00.htm
神戸市「高齢者見守り」 推進員「担当3年未満」7割
(2008年1月28日(月)配信 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20080128-OYT8T00034.htm
山本早苗(関西学院大学大学院社会学研究科/COEリサーチアシスタント)
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│ ■ 編集後記
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前号のメールマガジンの編集後記に、情報の間違いがありました。「2004年開設予定の先
端社会研究所」ではなく、正しくは「2008年4月開設予定の先端社会研究所」でした。読
者の方々および関係者各位にお詫びいたします。なお「先端社会研究所」の話が出たつ
いでに、研究所について一言。正式には近々告知があるかと思いますが、「先端社会研究
所」は、21世紀COEプログラム終了後の2008年4月に、関西学院大学に開設される研究所
です。先端的社会調査研究、社会調査に関するデータベースの構築、大学と社会の間の双
方向的な研究・情報交換の役割を担うソーシャル・サイエンス・ショップ(Sキュー
ブ)、若手研究者養成などを通じて、COEプログラムを継続・発展させた研究を行いま
す。COEプログラム終了後も、みなさまどうぞご支援のほど、よろしくお願いいた
します。
内海博文(関西学院大学COE専任研究員)
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□発行 関西学院大学大学院社会学研究科 21世紀COEプログラム
―「人類の幸福に資する社会調査」の研究―
拠点リーダー 高坂健次(関西学院大学大学院社会学研究科)
事務局 関西学院大学社会学部内COE研究推進室
〒662-8501 西宮市上ケ原一番町1-155
Tel:0798-54-6655、Fax:0798-51-0955
HP:http://coe.kgu-jp.com/
□メールアドレスの変更、その他のお問い合せ、配信停止の希望は
→ kgcoemm@gmail.com (担当 岡本)まで。
□尚,このメールマガジンの最初あるいは最後に挿入されている広告と
本COEプログラムは一切関係がありません。
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