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「ちょっと一言」こころの栄養


2007.09.24

「ちょっと一言」厳しさに隠された優しさがある


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     「ちょっと一言」 こころの栄養       2007/9/24
                               第87号
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■皆さん、こんにちは。
 
 いつもお読みいただきありがとうございます。  

 今日は「厳しさと優しさ」についてお話しします。


■私は学生時代に配管工事のアルバイトをやっていました。

 小さな設備工事会社をゼミの教官に紹介されたことがきっかけで

 す。

 その教官も日曜日にはその会社で配管工事をやっていました。

 教官の給料では食べていけなかったのだと思います。

■その会社に一人変わり者の社員さんがいました。

 技術的な指導が厳しく手抜きを許さないので、アルバイト仲間か

 らは敬遠されていました。

 誰もが、その人とコンビを組んで助手をやらされるのを避けてい

 たのです。
 
 その結果、いつも私がその人とコンビを組まされました。

 天井に配管を支持するために、天井のコンクリートに穴を開けて、

 アンカーボルトを打ち込む作業が主な仕事でしたが、最初はこれ
 
 がうまくいかずに

 「何をやっとるんや。このぼけ。工事はミスしたら命とりになる

 んやで」

 「税金で大学に行かせてもらっているくせに、役にたたん奴やな。

 この税金どろぼう」

 と何回も、怒鳴られ続けました。

 私は、事実なので、仕方なく、ただ失敗しないように技術を身に

 付けていくしかありませんでした。
 

■幸い私は生まれつき手先が器用だったこともあり、1週間もすれ

 ば正確にアンカーボルトを打てるようになりました。

 やがて、その社員さんは、何も言わずに仕事を任せてくれるよう

 になりました。

 おまけに、私を引っ張って行っては、次々と新しい仕事を教えて

 くれました。

 配管とは直接関係のない、鉄筋と鉄筋とを針金で結わえるハッカ

 ーという道具の使い方まで教えてくれたのです。

 私の家には今でもハッカーがあります。


■あるとき、その会社の社長さんにトイレの帰りにばったりと会い

 ました。

 「○○さんは、仕事に厳しいので、皆から敬遠されていますが、

  どういう人なのですか。私にはただ厳しいだけの人には見えま

  せんが?」

 私は、無意識に社長に質問していました。

 「ああ、あれは、わしの兄貴や」

 意外な答えが返ってきました。

 「兄貴は、電力会社に勤めとったんやけど、後輩が工事でミスを

  して辞めさせられたんや」

 「兄貴は、そのミスは上司の指示が曖昧だったために起こった

  もので、後輩を辞めさせるのは納得がいかないと、会社に抗

  議して、自分も辞めてしまったんや。それでここで働いとる」

 「そうでしたか。それで工事には厳しいんですね」

  そのとき私の疑問は一気に解けました。

 「ああ、そうそう、兄貴は君のことを気にいっとるみたいやで」

 「君が、社会に出たときに少しでも役に立つように、いろんな

  現場の技術を教えたるんや。あいつは大卒やから、会社に入

  っても現場の技術を教えてもらう機会がないし、現場の誰も

  すき好んで、大卒に技術なんか教えん。そこで、現場の技術

  を知っとったら、現場の連中は一目置くんや。兄貴はそう言

  うとったで」



■さて、

□□□  今日の「ちょっと一言」です。  □□□

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【 厳しさに隠された優しさがある 】
────────────────────────────────

■この話、皆さんはどう思われますか?

 厳しくして嫌われるだけ損。

 そう、社長が、言わなければ私のために厳しくしていることは分

 らなかったと思います。

 でも、いつかはそのときのありがたみは分るものです。

■例えば、建設現場の工事長になったときに、

 現場の若い衆に、ただ漠然と

 「アンカーボルトの穴は正確に空けなさい」

 と言っても

 「何も経験ないくせに。口だけやったら何でも言える」

 と聞き流されます。

 しかし、

 「こうして、ドリルに穴の深さ分のしるしを付けておけば、正

  確な深さの穴が空けられ、アンカーがしっかり効くでしょう」

 と自分で見本を示せば、部下の見る目が変ります。



■さて、いつものように、ここから私の学生時代の経験をモデルに
 脚色を加えた青春物語
 
   【うしのフットボール】です。

 今回は87回目です。参考のために86回目も掲載しておきます。
  
 決して、フットボールの技術指導ではありません。

 田舎で若者がフットボール部を作って、僅か2年で関西大会出場
 を果たした物語です。

 (脚色を加えていますので、登場人物等は架空のものです)

■この物語の中にも生き方のヒントが、たくさんでてきます。
 がまんして読み続けてください。
 
 ではどうぞ。

───────────────────────────────
      【 うしのフットボール 】 第87回
───────────────────────────────

【 前回分 】

  後半開始。

 三木高校の攻撃が回ってきたところで、ハドルの中でダッコが

 いった。

 「もう引き分けは許されん。そろそろ、全開するで」

 「ロングパスで先制する。左プロビアで、フランカーの45度

  からコーナーや。ぜん、フランカーにはいってえな。カウン

  ト・ツー、ブレイク」


 「フォー・フォー、フォー・フォー、レディ、セット、ダウン、

  ワン、ツー」

 ダッコは、ボールを受けると同時にその場でボールを投げるふ

 りをした。

 ぜんは、45度クイックのコースをたどるように斜め右に走り

 こんだ。

 守備のコーナーバックはぜんについて中にはいってきた。

 そして、コーナーバックがぜんの先回りをしようと前にでた瞬

 間、ぜんはくるりと向きを変えて外側へ走り出した。

 絶妙のタイミング。

 いままでの努力を無駄にしてたまるか。

 そんな気持ちを表しているかのように、ぜんが小さなからだで、

 足をフル回転させて独走している。

 すでに後ろに下がって、ボールを投げる体勢になっていたダッ

 コは、それを見とどけるとすばやく斜め前方にボールを投げ上
 
 げた。

 ダッコの投げたボールは、大きな弧をえがき、やがて大きく伸

 ばしたぜんの手のなかにスッポリと納まった。

 ぜんはスピードを緩めることなく、そのまま走りこんでタッチ

 ダウン。

 その後は、これに勢いづいた三木高校の攻撃は止まらず、結果

 的には、28対0の大差で勝った。

 市立西宮は、引き分け後、まだ1週間も受験勉強を放棄するこ

 とにがまんできずに、3年生は全員引退していたのである。

 
 ついに、関西大会。創部から2年での快挙である。


【 87回 】
 
 いよいよ関西大会である。

 あるとき、学校の廊下で、3年生の学年主任の安井先生がうし

 にいった。

 「悪かったなあ。野球部は、県大会に出るときに全校で激励会

  をやったのに、おまえらにはしてやれんかったなあ」

 「先生、ええで。うちは野球部と違って歴史ないし」

 「後輩がまた関西大会に出たらそのときにはしたってな」
 
 うしは、本当にそう思っていた。

 関西大会の日がやってきた。
 
 試合前の練習をしていると、大阪代表の箕面自由学園の選手が

 サイドラインへ応援に来てくれた。

 ボールを拭いてくれたのには、三木高校の連中は驚いた。よほ

 ど教育ができていたのだろう。

 箕面自由学園の顧問の先生は、浦島先生の大学時代の後輩だっ

 た。

 その関係で応援に行って、お手伝いをしてこいという指示が出

 ていたのだろう。
 
 対戦高は、滋賀の彦根東高校。

 試合結果は、完封負けである。

 相手校のクォーターバックにいいようにあしらわれた。

 三木高校の連中は、初めての関西大会で浮き足だっており、実

 力を出せないまま、気が付いたら試合が終わっていた。という

 感じであった。

 これが、歴史の重みということだろうか。

 浦島先生がいつか、体育教官室で言ったことがうしには思い出

 された。

 「三木の子は、のんびりとしとる。いいとこもあるけど、これ

  では、大きな試合では勝てん。都会の子は、反則すれすれの

  ことをしてでも勝ったるという気持ちがある。気持ちが走っ

  とるんや」

 「うしよ。おもえらもこうならな大きな試合では勝てんで」

  ストーブにあたりながら体育教官室でそういった。



  (次回に続く)

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 最後までお読みいただきありがとうございました。

  

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