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歴史好きの素人が語る歴史


2008.06.04

■第396回 清朝との決戦前夜(チベット史入門その10)


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■第396回 清朝との決戦前夜(チベット史入門その10)

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  『銅像は引き倒すために建てられる。条約は破るために結ばれる』といわ
れています。

 これまでの歴史で、最後まで守られた条約は、ごくわずかだそうです。

  今回の話は『すぐ破られた条約』を結ぶための会議が原因となっています。


 第1回から第221回までのバックナンバー一覧は、下記をごらんください。
            http://blog.mag2.com/m/log/0000183170/108501028.html

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●モンゴルの内紛

  18年のチベット留学から戻ったガルダンは、ズンガル部族長となりまし
た。

 部族長であった兄が暗殺されたのです。


 モンゴル高原では、主たる部族であるハルハ部族に紛争が起きていました。

  当時のモンゴルの制度では、部族は左翼と右翼に分かれていました。

 東に住む部族が左翼、西が右翼です。

 現代の政治思想での左翼、右翼とはまったく関係ありません。

 そのハルハ部族と左翼と右翼の間で、人民、家畜の争奪の争いが頻発して
いました。


●ガルダン、怒る

 清朝の康熙帝は、この紛争を仲裁するため、チベットから一人の高僧をモ
ンゴルに招きました。

  その高僧とはチベット仏教ゲルクパ派の総本山の座主であり、『第五世ダ
ライ・ラマ』の代表です。

 1686年、康熙帝はモンゴルのクレーン・ベルチルという地で和解のた
めの大会議を開きました。

 その大会議には、康熙帝の代理、チベットの高僧、そして当事者であるハ
ルハ部族の有力者が出席しました。

 ハルハ部族の出席者の中に新たな問題を巻き起こす人物がいました。

 それはツェブツンダンバ一世という高僧で、ハルハ部族の左翼のハーンの
弟です。

 生まれてすぐに、チベット仏教サキャ派の分派であるチョナン派の高僧の
生まれ変わりであると認定されました。

 チョナン派はゲルクパ派とは仇敵の間柄です。

 ツェブツンダンバ一世は康熙帝が開催した大会議で、チベットから出席し
たゲルクパ派の高僧と対等に振舞いました。

 この様子を聞いたガルダンは、怒り心頭に発したでしょう。

 ゲルクパ派の最高指導者である『第五世ダライ・ラマ』は自分の師です。

 その『第五世ダライ・ラマ』を代表する高僧と対等に振舞うことは、大変
な侮辱であったにちがいありません。


●ガルダンの進撃

 この大会議での和解は一時的なものに終わり、戦いが始まりました。

 この戦いにガルダンの弟が参加し、ハルハ部族の左翼軍に殺されました。

 1688年春、ガルダンは弟の復讐のため、3万の精鋭部隊を率いて、ハ
ルハ部族の地に進攻しました。


 ガルダン軍はハルハ左翼軍を撃破しました。

 さらにガルダン軍の一部隊は、大会議に出席したツェブツンダンバ一世が
座主をつとめるエルデニ・ジョー寺を破壊しました。

 ツェブツンダンバ一世は、現在の内モンゴル自治区へ逃れて、康熙帝に保
護を求めました。


 ガルダンは本隊を率いて東へ向かい、ハルハ軍と三日間におよぶ激戦を展
開し、これを撃破しました。

 ハルハの20万といわれる部族民も現在の内モンゴル自治区へ避難しまし
た。


●清軍、敗れる

 康熙帝は、これらのハルハ部族民に食糧、家畜を与えて救済しました。

 1690年、ガルダンは現在の内モンゴル自治区の赤峰市に近くにあたる
ウラン・プトゥンまで進撃しました。

 この地から南西350キロに清朝の都・北京があります。

 康熙帝に対して、保護しているツェブツンダンバ一世を引き渡せと要求し
ました。

 康熙帝は、この要求を拒否し、大軍を送りました。

 しかし、清軍はガルダン軍の野砲、大砲、火縄銃の火力の前に惨敗しまし
た。

 北方へ引き揚げるガルダン軍を追撃できないほどの大損害を受けました。


 当初、康熙帝はモンゴルの内紛に深入りするつもりはありませんでした。

 しかし、ウラン・プトゥンの敗北という事実の前には、もはや『対岸の火
事』ではなくなってきました。

 康熙帝とガルダンの対決は避けられなくなったのです。


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■ 歴史好きの素人が語る歴史(第396回)(2008年06月04日号)
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