2008.05.31
瀬戸だより 104号 「瀬戸川の陶壁〜その1」という話
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瀬戸だより 〜せとものについて話しませんか〜
104号 「瀬戸川の陶壁〜その1」という話
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瀬戸川は瀬戸市の中心部を東西に流れる瀬戸のシンボルと言
ってもいい川です。
遠くから瀬戸に観光や買い物にいらした方は駅を降りればす
ぐ川が目に入ってきます。車で来ても川沿いの道を走ることな
く瀬戸を見学することは難しいでしょう。
その瀬戸川にかかる橋は織部や志野など瀬戸を代表するいろ
いろなせとものの技法や釉薬をテーマに飾りつけがなされ、橋
を巡るだけでも陶器好きの方は十分楽しめるのではないでしょ
うか。
瀬戸川にはまたところどころに地元作家や住民たちの手によ
る陶壁が設置されています。今回はその中の一つの話。
瀬戸駅を降りて川沿いに西(つまりは下流)に100メート
ルほど進むと瀬戸川の対岸に白い陶壁が見る事ができます(南
橋と瀬戸橋の間)。高さ3.4m、長さ48mといいますから
かなりの長さの作品です。これは地元瀬戸の陶芸作家・加藤清
之さんの制作によるもので「愛知 88’」というタイトルが
付けられています。タイトルにもあるように88’、つまり昭
和63年に作られたものです。もう20年間この場所を飾り続
けているという事ですね。
完成当時は尾張瀬戸駅の正面に位置していました。現在瀬戸
蔵ミュージアムにかつての尾張瀬戸駅が再現されていますが、
あの駅と陶壁が瀬戸川をはさんでありました。その後、駅は1
00mほど東に移動してしまったので、「駅前の陶壁」ではな
くなってしまい、なんとなく中途半端な位置になってしまって
います。
加藤清之さんといえば独特なスタイルを持つオブジェ作品で
ファンも多い作家さんです。この瀬戸川の陶壁は光沢を抑えた
白釉が施された810ピースからなる本当に大きな作品です。
モノクロームで都市や廃墟などをイメージするようなその作品
世界をそのまま巨大化したような印象ですね。
護岸に設置されていますがその作品の前は草の生い茂る、降
りることのできない川岸となっています。できればすぐ近くで
見たいのですが、それは残念ながらできません。そのせいか作
品には風雪や排気ガスなどで表面は薄汚れて、陶壁のピースと
ピースの間からは草も多く生えてきてしまっています。「せっ
かくの陶壁がもったいない」「草に埋もれてしまうようで手入
れをして欲しい」というような声もよくあるようです。
作家の意図はどうかわかりませんが、私個人は白い壁が汚れ、
草も作品の間から生えていることがこの作品の魅力を高めてい
るようにすら感じてしまうのです。作品から感じる廃墟や都市
などのイメージがさらに強調されているのではないでしょうか。
瀬戸川にある陶壁の中で私が最も好きな陶壁です。繰り返しに
なりますが残念なのは、駅前からずれてしまい非常に目立たな
い存在になってしまっていること。ぜひ、電車で瀬戸に訪れる
機会があればちょっとだけ川沿いに下って、この陶壁を見てく
ださい。南橋の上から見るのがお薦めです。
ちなみに加藤清之さんの陶壁は愛知県陶磁資料館にもありま
す。こちらは本館の吹き抜け部分ですので瀬戸川とは違い縦に
長いものです。色も黒となっています。比較して見るとより楽
しめるかと思います。
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