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パラオ物語


2008.08.20

パラオ物語 Vol.084 「デザイン細部にもドラマ! −その3−」


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 パラオ物語  vol.084

    「 デザイン細部にもドラマ! −その3− 」

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 ☆この物語の舞台はスキューバダイバー憧れの南の楽園、パラオ諸島。
 ☆グアム島への観光客もまだまだ珍しかった昭和40年代後半、
 ☆更に800kmも南のパラオでリゾートホテル建設の命を受けた
 ☆新人企業戦士の新鮮な驚きに満ちた日々を綴る奮闘記です。
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[[[前回のあらすじ]]]

ホテル内に陳列するアートワークとして、戦前パラオに長年駐在していた
土方久功という画伯兼彫刻家の作品を採用することになった。
しかし予算が少なく、希望する作品数の半分も無理だろうと思っていたが、
土方夫人の好意で、破格の値段で全て譲り受けることが出来た。
その夜、都内のスイス・レストランで山田は矢野とピートそれにローザを加え
4人で酒盃を揚げた。

「パラオ物語」のブログ
http://blog.livedoor.jp/palaustory/


主な登場人物

三 島:東京の西南部に線路網を持つ西南急行電鉄グループの社長。
    山田の勤務する西南不動産の社長も兼務してたが、現在は会長。
    財界の若手リーダーの一人で太平洋各地での開発に情熱を注ぎ
    ニックネームは「ミスター・パシフィック」。
    
山 田:物語の主人公、西南不動産の若手の海外事業要員。
    パラオでのホテル開発を担当している。

嶋 田:山田の部下としてパラオに駐在し、プロジェクトの総合管理を担当。

杉 尾:三島の信任が厚く三島の後任として西南不動産の社長になった。
    ライオンのあだ名で部下に恐れられている。

宮 島:取締役開発本部長で海外事業も所管している。
    杉尾の忠実な参謀役。

長 崎:グアム時代の山田の上司で、その後ジャカルタに駐在し、
    12年ぶりで海外事業部長として国内に復帰した。

矢 野:西南ホテル・インターナショナル社(略称SHI)の企画部次長。
    パラオ開発のホテル側の担当となる。

吉 山:設計コンから派遣された工事監理チームのチーフの建築士

岡 田:吉山のアシスタントの建築士

吉 岡:工事監理チームの設備技士

原 口:西南建設の3代目のパラオ工事事務所所長

ピート:ホノルルの設計会社MFCのデザイン・チームの
    スイス人マネージャーでPRD社のホテル設計を担当

ローザ:MFCのチーフ・インテリア・デザイナー

クロ・エジソン:
    パラオ財界のドン。
    最初西南グループのホテル開発計画の反対派だったが、
    山田達が交渉してパートナーとなった。
    ホテル用地を買収する会社、パラオ・ディベロップメント社(PD社)
    の社長。

イナゴ・カツミ:
    クロ氏の幼友達。本業はウィスキー製造とポルノ映画館主。
    フェミニストでしかも右翼的。来日の際には必ず靖国神社に参拝。
    クロ氏の紹介でパートナーとなりPD社の副社長となる。

PRD社:パラオ・リゾート・ディヴェロップメント社の略称で、
    パラオでホテルを建設・所有する会社

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「パラオ物語」のブログ
http://blog.livedoor.jp/palaustory/
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[[[ デザイン細部にもドラマ! −その3− ]]]

多くの土方作品を夫人の好意で希望通り分けて貰う事が出来た山田は
矢野に加え、ピートとローザも一緒にパラオに向かった。

先に発注しておいた屋根瓦の試作品が、パラオに着いているとの報告を受け、
その決定の為の出張だった。又、前回のホノルルで決めた内装仕様で作った
客室のモックアップ(先行ルーム)も出来ている筈だった。

デザイナーのピートは何度かパラオに来ているが、ローザは今回が初めてだ。
飛行機が着陸の為、高度を落としロック・アイランド上空を旋回し始めると、
ローザはベルト着用の機内アナウンスを無視して、顔を窓に押し付け眼下の
真っ白な砂で縁取られた小島とそれを取り巻くサファイア・ブルーや
エメラルド・グリーンの海が作り出す楽園のようなパノラマ・ビューの
虜になった。

空港からホテルまでのジャングルに囲まれた道路を抜け、バベルダオブ島と
コロール島を結ぶKBブリッジを渡るときには、ローザの興奮はその極に
達した。

荷物をホテルのフロントに預け、一行は直ぐに建設現場に向かった。
山田は、西南建設の事務所で原口所長や西南設計の吉山達へのローザの紹介を
早々に済ませると、吉山の案内で瓦の見本を見るために、皆と事務所を出た。

それはビーチ・ラインから15mほど内陸に入ったところに置かれていて、
廻りには椰子やタガンタガンの木が手付かずの状態で残されていた。
4色の瓦は2m四方ほどのコンパネ4枚に張られ、立てられていた。

ピートとローザはその4枚のパネルを色々な角度から眺めた後、
原口所長に頼み、クレーンで椰子の木の葉の高さに吊り上げさせた。

結果、彼らの推薦した瓦は一番濃い色で、遠目には黒に見え、
しかも艶のないタイプだった。
山田は色が濃すぎるように感じたが、デザイナーの決定を尊重して、
異論を唱えなかった。

瓦が決まると、山田達はモックアップ・ルームに案内された。
モックアップとして作られたのは1階のダブル・ベッドルーム・タイプの
部屋で、入り口の前には日本風にスリッパがズラリと並んでいた。
ハワイに長年住んでいるピートとローザにはその意味が直ぐに判ったようで、
自然な素振で靴を脱ぎスリッパに履き替えて、室内に入って行った。

山田と矢野も二人に続いた。
山田は期待と不安が交差したが、部屋に入るや否や既視感を覚えた。
企画設計時に作らせた完成予想図通りの部屋が、目の前にあったのだ。

壁紙や木製の天井扇、窓辺の素焼きの大甕には葦のような細い木が
沢山入っている。甕はタコノキの葉で編んだバスケットに入れられ、
一層柔らかさとパラオらしさを醸し出している。

天井から床までのガラス窓には木製ブラインドが下がり、
その隙間から木々の緑とライト・ブルーの海面が見える。

床タイルは全てイタリア製の特注品で、裸足での接触感が大きな決定要素で
決められたものだった。ソックスを脱いで裸足になって歩いてみると、
タイルの凹凸と冷たさが快感となって伝わってきた。

ソファーとテーブルはフィリピンで作らせた籐製で、そのセットの下には
インドで織られた綿のエリア・ラグが敷かれている。
その模様は、パラオのストーリー・ボードの絵柄を単純化したデザインで、
インドで織られた後、ニューヨークへ運ばれて、防水加工されるのだ。
ハワイでデザインされ、それがインドで織られ、ニューヨークで防水加工後、
パラオに搬入されるのだから、地球を一回以上廻ったことになる。

ベッドのヘッド・ボードの枠も藤細工で、前面の布地はバーガンディー色だ。
その上の壁には、土方画伯のクロッキーの複写が2枚取り付けられる。

バスルームとトイレは別々で、それぞれのドアも木製で、ブラインド状の
デザインで統一されている。
洗面化粧台のカウンターも床タイル同様イタリア製の一枚物の大理石で、
洗面器部分が楕円形に刳り抜かれている。

西南設計の吉山が、部下の岡田が手にしたパネルを指差しながら言った。

「このパネルの絵の通りに作った積もりですが、
 細部で不明な点は想像を働かせました。
 何か設計意図と違う点や改善点がございましたら、
 お教え下さい。」

ピートが応えた。

「吉山さん、このベッド・カバーの材質とデザインが違いますね。
 この貝の模様のところは、柄だけではなくキルトのように盛り上げます。
 繊維ももっと柔らかくして下さい。
 ホノルルから見本を送りますので、それを参考にして下さい。
 それと入り口のニッチに飾る木彫の魚はもっとプリミティブな
 質感とデザインがいいですね。あれでは現代的過ぎます。」

「ベッド・カバーについてはメーカーが判れば教えて下さい。
 魚の木彫りはパラオの職人に彫らせたものですが、
 もう何点か彫ってもらいましょう。出来次第ハワイに送ります。」

吉山はこう言って、ピートの指示を原口に確認させたのだが、
木彫の魚には大変苦労させられることになった。

その後、原口は3人の木彫り職人に数点づつ彫らせてホノルルに送ったが、
全てローザに拒否されてしまったのだ。
西南建設が試作品に費やした千ドル以上のお金がふいになった。
しかもパラオの職人では全室分の100個を彫りあげるのには、
一年以上かかる、というのだ。それではホテルの竣工に間に合わない。

原口が困っていると、家具の下請け業者が助け舟を出したそうだ。
デザイン画があれば、フィリピンで半年以内に作れるというのだ。
機械で彫るから同じように作れるし、価格もパラオの三分の一以下になる
とのこと。見本を三つほど作ってローザに送ると、OKが出た。
これで何とか間に合う。

パラオの嶋田からの電話報告を受け、山田もホッとした。


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[[[編集後記]]]

北島康介の三冠は流石でしたね。

しかし体操の採点にはがっかりさせられました。
どう見ても中国人よりロシア人や日本人の演技の方が良かったのに、
結果は逆。
またバレーボール試合での中国人観客の外人チームへのブーイング。

共産中国でのオリンピック開催は100年早かった印象を受けました。

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