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映画通信シネマッシモ


2008.02.16

★映画通信シネマッシモ Vol.049「エリザベス:ゴールデン・エイジ」


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 映画通信シネマッシモ http://cinemassimo.livedoor.biz/

 プロの映画ライター渡まち子が仕事抜きの本音で贈る新作映画レビュー。
 ほどよい長さと鋭い批評は、映画を見る前と見た後と2度読んで楽しめます。
 ★5つが満点のシネマッシモ評価も参考にどうぞ。

       ☆〜〜〜 発行者のひとこと(^0^)/ 〜〜〜☆

  ハリウッドの脚本家組合のストがようやく終了。これでアカデミー賞の受賞
  式は間違いなく行われます。良かった〜!

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2008/02/16  Vol.049「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

◆プチレビュー◆
エリザベス1世の心の葛藤を描く華麗な歴史劇。存在感のある演技を披露するブラン
シェットが魅力的だ。 【75点】

 16世紀末の英国。プロテスタントの女王エリザベス1世は、カトリックの強国スペ
インとの勢力争いの渦中にいた。国内外の陰謀が渦巻く中、エリザベスは新大陸から
帰国した探検家ウォルター・ローリーに惹かれていく…。

 25歳で即位したエリザベスが、いかにして内憂外患を振り払いながら黄金時代(ゴ
ールデン・エイジ)の礎を築いたか。前作から9年後の続編である本作は、本物の歴
史建造物や華麗な衣装などで彩られた重厚な歴史劇だが、内容はラブストーリー寄り
の人間ドラマの色合いが濃い。一人の人間としてのエリザベスの心の揺れをきめ細か
く描いて、遠い中世英国の偉大な女王と、現代社会との共通項を探っている。

 時代は、カトリックVSプロテスタントの争いで大揺れだ。当時の弱小国英国のエ
リザベスは、女王に忠誠を誓うのなら信仰は自由という政教分離を謳う現代的な君主
として描かれている。対するのはカトリック原理主義的なスペインのフェリペ2世。
多くの観客が、スペイン王にイスラム原理主義の妄信を、エリザベスには寛容な自由
の空気を感じるはずだ。欧州は、新大陸への野望にあふれ、勢力地図が流動的な大変
革期である。命がけで生き抜くエリザベスは、大国スペイン相手にも大胆だった。

 フェリペ2世と対立した原因の一つに、英国がスペイン船への海賊行為を黙認した
ことがある。本作で女王の心をつかむのは、そんな海賊稼業も得意な冒険家ウォルタ
ー・ローリー卿だ。映画では、女王はストイックな姿で描かれるが、実際には何人か
の愛人がいた。中でもローリーは豪放かつ知的で、実に魅力がある。詩人でもあった
彼は、女王が歩く地面の水たまりに惜しげもなく自分のマントを置いてみせる、ちょ
っと粋な男だ。女はこういう行為に弱い。新世界を知る彼は、女王とは無縁の自由の
香りがしたのだろう。それは彼女が“こうありたい”と願う姿だったに違いない。

 ローリーをめぐって侍女のベスと微妙な三角関係になるが、このときのケイト・ブ
ランシェットの演技は必見だ。嫉妬や不安といった脆さを、気品を損なうことなく熱
演。やっぱりこの女優は上手い。さらにブランシェット演じるエリザベスには、ロー
リーになりたいと憧れる反面、彼に素直に愛されるベスでもありたいと願う複雑な感
情が透けて見えるのだ。女王の中には男女二人の人間がいて、それがどこか中性的な
ブランシェットの中でせめぎ合う。男の仕事である君主を務め、ジェンダーフリーの
存在だったこと。これがエリザベスという名君を今も輝かせている理由ではないか。

 ままならぬ恋愛で小さくなりかけたドラマに物足りなさを感じる頃、絶妙なタイミ
ングで無敵艦隊が攻めてくる。映画は、一気に壮大な歴史絵巻に突入し、中世の海原
へ。世界史でお馴染みのアルマダの海戦が物語のクライマックスだ。絶対に不利だっ
た英国艦隊の奇策には、まさしく歴史の風が吹く。私的な感情を封印し、君主の威厳
を取り戻したエリザベス。勝負服である甲冑に身を包む女王に、もう迷いはない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)絢爛豪華度:★★★★★

□2007年 イギリス映画 原題「ELIZABETH:THE GOLDEN AGE」
□監督:シェカール・カプール
□出演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン、他

◆お詫びと訂正◆
先号「潜水服は蝶の夢を見る」のレビュー内で、監督ジュリアン・シュナーベルの本職
を“写真家”と表記しましたが、正しくは“画家”です。お詫びして訂正します。

エリザベス
価格:(定価:¥ 5,565)
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005LMGN/ref=nosim/?tag=watari205-22

 *〜* 最後までお読み頂き、有難うございます m(_ _)m 良い一日を! *〜*

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     編集・発行:映画ライター・渡まち子 machiko watari
・ご意見をお待ちしています(^0^)/  cinemassimo555@jcom.home.ne.jp
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