2008.02.23
★映画通信シネマッシモ Vol.050「いつか眠りにつく前に」
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映画通信シネマッシモ http://cinemassimo.livedoor.biz/
プロの映画ライター渡まち子が仕事抜きの本音で贈る新作映画レビュー。
ほどよい長さと鋭い批評は、映画を見る前と見た後と2度読んで楽しめます。
★5つが満点のシネマッシモ評価も参考にどうぞ。
☆〜〜〜 発行者のひとこと(^0^)/ 〜〜〜☆
ついに「AKIRA」の実写映画化が始動するという噂!この作品、随分前
にハリウッドが実写映画化権を買ってましたが、ようやく始まるのかとドキ
ドキ。でも、原作が名作だけに世界中のファンの目が厳しいでしょう。
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2008/02/23 Vol.050「いつか眠りにつく前に」
◆プチレビュー◆
死を目前にした母が胸に秘めていたのは娘たちが知らない悲恋。豪華キャストで描く
しっとりとした女性映画だ。 【65点】
人生の最期を迎えた老婦人アン。母の枕元の二人の娘が聞いたのは、自分たちが知
らない男性の名前だった。夢とも現実ともつかない意識の中で、若かった日々を振り
返るアンの脳裏によぎった過去の過ちとは…。
豪華女優競演で話題の徹底した女性視点の作品である。派手さはないが、人生を振
り返ることができる年齢の大人に、静かな感動を届けるドラマに仕上がった。見終わ
れば、入り江を染めて沈む美しい夕日のように、穏やかな余韻を残してくれる。
脚本は、原作者のスーザン・マイノットと、「めぐりあう時間たち」の作者マイケ
ル・カニンガムによる共同執筆だ。映画は回想形式で、現代と過去を頻繁に行き来す
る。どちらの時代の女性たちも悩みを抱えていて、人生の決断を迫られている。
老いたアンは、自分の過去を振り返り、死を前にしても心が休まらない。歌手にな
って成功したかった。愛する人と結ばれたかった。もっと良い妻、良い母でいたかっ
た。中でも親友ライラの結婚式で出会ったハリスとの短い恋は、アンの中で大きな傷
となった。ある青年の死を招いたこの悲恋は、老いてなおアンの悔恨の思いとして疼
いている。だが映画はその“過ち”を決して責めない。
ライラとアンは、この不幸な事件以来、疎遠になってしまう。終盤、封印されたも
同然だったライラがアンを見舞う場面は静かなクライマックスだ。出番は少ないが印
象的に現れるメリル・ストリープのオーラがすごい。老いたライラ役の彼女がアンの
ベッドにそっと横たわり、人生を悔やむ彼女を癒す。この場面は、若きアンが結婚を
迷うライラとベッドの中で語り合う場面と対になっていて、抜群の効果を上げている。
歳を重ね、顔にシワは刻まれたが、この時の二人の美しさは比類がない。アンの一生
分の胸のわだかまりを、短い会話と味わい深い演技で一気に昇華させる展開が見事だ。
映画の醍醐味とは、目を見張るアクションでも高度なCGでもなく、こんな風に、役
者の演技によって時間と空間を越え、人間の生きてきた姿を映し出すことだと思う。
俳優たちはみな丁寧な演技で好演だが、注目したいのは、二組の母娘の女優たちの
共演だ。ヴァネッサ・レッドグレイブとナターシャ・リチャードソン。メリル・スト
リープとメイミー・ガマー。それぞれが母と娘、若き日と老いた日という役柄を演じ、
物語に説得力を与えている。彼女たちが渡す演技のバトンは、映画の中でも、母娘二
代をつなぐ人生の線になった。
自分の選択を悔いることは人間なら誰でもあるだろう。過ちを含めて人生を肯定す
るには、勇気と経験が必要だ。人生の最期というシチュエーションは想像するしかな
いが、ある年齢に達すれば、つらく悲しい記憶は、時間という名の雪が降り積もって
浄化されるものなのか。もしそうなら思うようにならない人生も頑張って生きていけ
る気がする。幸せになろうと努力してと娘を励ますアンのような満ち足りた表情にな
れるなら、その人の一生は完璧なものと思えてくる。
(シネマッシモ評価:★5つが満点)女性映画度:★★★★★
□2007年 アメリカ・ドイツ合作映画 原題「EVENING」
□監督:ラホス・コルタイ
□出演:クレア・デインズ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、メリル・ストリープ、他
原作小説はこちら ↓
いつか眠りにつく前に スーザン・マイノット
価格:¥ 1,890(定価:¥ 1,890)
http://www.amazon.co.jp/dp/4309204899/ref=nosim/?tag=watari205-22
*〜* 最後までお読み頂き、有難うございます m(_ _)m 良い一日を! *〜*
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編集・発行:映画ライター・渡まち子 machiko watari
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