2008.04.26
★映画通信シネマッシモ Vol.059「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
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映画通信シネマッシモ http://cinemassimo.livedoor.biz/
プロの映画ライター渡まち子が仕事抜きの本音で贈る新作映画レビュー。
ほどよい長さと鋭い批評は映画を見る前と見た後と2度読んで楽しめます。
★5つが満点のシネマッシモ評価も参考にどうぞ。
☆〜〜〜 発行者のひとこと(^0^)/ 〜〜〜☆
ダニエル・デイ=ルイスが凝り性なのは有名な話。以前、役作りの
ために靴作りの修行に行ってハマッてしまい、俳優を休業して靴職
人になってしまったほどなんですよ。
◆◆◆GW休みのお知らせ◆◆◆
GWはお休みをいただきます。次回の配信は5月10日の予定です。
等幅フォントでお読みください。
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2008/04/26 Vol.059「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
◆プチレビュー◆
ダニエル・デイ=ルイスがド迫力の怪演。石油という権力を追い怪物になった
男を描く暗い力作。 【90点】
石油ブームに沸く20世紀初頭のカリフォルニア。一攫千金を狙うプレインビ
ューは、幼い息子を連れて採掘を行いながら土地を安く買い占めていた。やが
て石油を掘り当てるが、自らの欲望に囚われ常軌を逸していく…。
映画は、プレインビューの人間性をいきなり観客に叩きつける。冒頭、彼が
黙々と採掘作業をする場面がそれだ。この約20分のシークエンスにはいっさい
セリフがない。誰の助けも借りない。誰も信じない。暗い穴の底にいるプレイ
ンビューは狂気そのものだ。どす黒い血“石油”が「人に対して好意を抱けな
い」と言う彼を主人と決めたとき、油井で大火災が発生し、欲望の雄たけびが
響きわたる。毒にまみれながら破滅の道をいく男。それがプレインビューだ。
こんな怪物を演じられるのは、なりきり俳優ダニエル・デイ=ルイス以外に
いない。目つきからして完全にイッている。劇中で見せる笑顔や泣き顔が、こ
れまた怖い。この俳優の発するパワーは桁違いだ。さらに彼の気迫は、共演の
ポール・ダノにも波及した。本作で彼が優れた役者だと気付く人は多いだろう。
そのポール・ダノが演じる若きカリスマ牧師イーライとプレインビューは、
宿敵にして分かち難い分身だ。二人の確執が物語の核となる。イーライは福音
伝道師だが、根っこの部分は金で動く俗物。彼の権力欲はプレインビューのそ
れと少しも変わらない。土地買収のために屈辱的な洗礼さえ受けるプレインビ
ューは「私は罪人だ!」と何度も繰り返すが、彼にそう言わせる偽善者イーラ
イも、最後には神を裏切る言葉を吐くことになる。二人のあまりに破壊的な行
為に寒気がした。同時に宗教の欺瞞への糾弾にエキサイトする。
主人公の並外れた人間不信と神への憎悪の源は何だろう。私は彼の一風変わ
った肉親愛が気になって仕方ない。息子を道具として使い、邪魔になったらサ
ッサと遠ざけるのに、どこか屈折した愛情を感じる。それは弟と“決別”する
ときに流す涙にも混じっている。本能のレベルで血縁を求めた結果、裏切られ
たことが、彼を怪物にしたのではないかと思えるのだ。
意外なのは、このすさまじい欲望の物語の作り手が、ポール・トーマス・ア
ンダーソン監督ということ。今までのどこかポップな作風をがらりと変え、荒
々しく重厚な大河ドラマで絶望を描ききった。ただ、音へのこだわりは健在。
ノイズのような不穏なサウンドが革新的で、物語をグッと後押しする。
プレインビューは富と権力にとり付かれたモンスターだ。こんな人間が現在
のアメリカを創ったのかもしれない。強国アメリカは石油という黒い血で肥え
太ったが、物語は最後に赤い血を流して果てる。欲望の源流はまだ枯れてはい
ないようだ。口あたりのいいお気楽な物語を好む人には勧めない。だが、本物
の映画の迫力を感じたいなら、この作品だ。疾風怒濤の158分に魂が震える。
(シネマッシモ評価:★5つが満点)音響効果度:★★★★★
□2007年 アメリカ映画 原題「There Will Be Blood」
□監督:ポール・トーマス・アンダーソン
□出演:ダニエル・デイ=ルイス、ディロン・フレイジャー、ポール・ダノ、他
石油!アプトン・シンクレア
価格:¥ 2,520(定価:¥ 2,520)
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*〜* 最後までお読み頂き、有難うございます m(_ _)m 良い一日を! *〜*
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編集・発行:映画ライター・渡まち子 machiko watari
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