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鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】


2008.04.21

映画批評0056「バンテージ・ポイント」(その4)


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■□映画批評と物語構成論0056□■


 ふたたび……

    『バンテージ・ポイント』
              Vantage Point (2008) 


◇ ◇

 8人視点が目まぐるしく展開される本作ですが、その開幕を飾るのはシガ
ニー・ウィーバーであり、ウィーバー演じるニュースディレクター篇ほど
『バンテージ・ポイント』の名に相応しいオープニングは無いでしょう。
 中継車の椅子に座ったまま複数台のカメラ映像をモニタ越しに矢継ぎ早に
切り替えていくその姿は、たしかに「見晴らしの良いポイント」であるはず
です。
 
 しなしながら彼女は序盤でフェードアウトしてしまいます。

 米大統領狙撃のその瞬間を、複数台のカメラで押さえ、真実という情報を
見つけ出せる可能性を秘めているのも関わらず、彼女は真相究明に参加する
ことなく途中退場してしまう。

 これはシガニー・ウィーバーという大女優が演じていたからこそ不審に思
うポイントなのかもしれません。
 けれどそのいっぽうで「シガニー・ウィーバーなのになぜフェードアウ
ト?」と疑問に感じるのも当然でしょう。

 ひょっとしたらシガニー・ウィーバーのシーンは完成版からはゴッソリ削
られてしまっただけなのかもしれません。そしてDVDには特典映像として
「別エンディング」なり「未公開シーン」なりとして収録されるのかもしれ
ません。

 それはそうとして、ではなぜシガニー・ウィーバーは途中退場してしまっ
たのでしょうか?

 スタジオ撮影のみでロケ地撮影には参加しなかったから、というのは答え
にはなりません。「すべての情報を握っているかもしれないキャラクターを
みすみすフェードアウトさせてしまっている」──そのもったいなさこそを
検証すべきであり、その答えは完成作を見れば一目瞭然です。
 
 事件の真相を究明すべく劇中で翻弄するのは、デニス・クエイド演じるボ
ディーガードとフォレスト・ウィテカー演じる観光客の2人だけであり、8
つあったはずの視点は終盤に向けて2つのエピソードへと収束していきます。

 これにシガニー・ウィーバーが加わっていたとしたら、事件の真相を究明
するキャラクターは計3人ということになり、ではなぜ3人ではいけなかっ
たのか?

 それは「2人」である必要があったからです。


◆ ◆ ◆


 この話つづきます……
   ということで次回は番外編!
     レンタル&日本版DVD-BOX 発売開始を記念して
       ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」(93-99)を題材に
         〈1ドラマ内に同時展開すべきエピソード数〉
           その限界と起源を検証します。


Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


■□                              □■


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