2008.04.28
映画批評0057(番外編)ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」
■□映画批評と物語構成論0057□■
番外編
ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」
Homicide: Life on the Street (93-99)
参照:日本盤DVD公式サイト──http://spo-x.com/homicide/
◇ ◇
「ER/緊急救命室」(94-)に先行すること1年──
職業群像ドラマの先駆けとして知られる本作ですが、実は「1時間内に同
時進行すべきエピソード数」を決定づけた作品でもあるのです。
ここで言う「エピソード」とは「第1話、第2話」のことではなく、劇中
で描かれる「イベント・事件」の数を「エピソード」として広く定義し、で
はこの「ホミサイド」ではどれほどの数のエピソードが1時間内に同時進行
していたのかといえば、それは「2」です。
しかしながら第1シーズンの最初期においては3つのエピソードが同時進
行しており、それが回を経て、中盤になると、2つに削減されているのです。
ヤフェット・コットー演じる殺人捜査課の課長と、2人1組の刑事が計8
人で総勢4組──やろうと思えば「4つのエピソード」を同時進行させるこ
とも可能なはずですが、実際には3つであり、そして2つであった、と。
それはなぜなのでしょうか?
本ドラマで製作と数話の演出を手掛けたバリー・レヴィンソンはDVDの
音声解説のなかで「3つのエピソードだったのを放送局のNBCに説得され
て2つに減らしたら、たしかに視聴率が良くなった」と述べています。
しかもレヴィンソンは局側のこの提案を頑なに拒みつづけていたそうで、
これはつまり、視聴者にとって最適な同時進行エピソード数の上限が「2」
であることを放送局側は94年当時すでに充分把握しており、しかし脚本家や
演出家としては「3つのエピソードを同時進行させて視聴者を納得させてみ
せる」だけの自信と自負があった、と。
すなわち映像の作り手と送り手と、そして受け手とのあいだにはギャップ
があったというわけですが、2つが最適のエピソード数であることを視聴率
が証明したことにより、この「ホミサイド」は以降2つのエピソードを基本
として物語が構成されるようになり、またそれは今日までつづく米ドラマの
スタンダードにもなりました。
現在放送されているすべての米ドラマが「ホミサイド」の強い影響下にあ
るのか、「ホミサイド」を意識しているのか、あるいは無意識なのかは分か
りませんが、ジェリー・ブラッカイマー製作の「CSI」シリーズ3作もま
た、頑ななまでに「2つの事件が同時進行するドラマ」であり、それらの事
件はほとんどの場合において最後まで絡み合うことがない──ただ2つのエ
ピソードが同時進行しているだけのシナリオ構成です。
それでもやはり「2つのエピソード」であることに意味があるのでしょう。
それもこれもすべてはそれが作品としてのボリューム感であり、スピード
感であり、受け手にとって最適な情報量の限界でもあるからなのです。
◆ ◆ ◆
次週も「ホミサイド/殺人捜査課」でつづけます!!
Point:群像ドラマのなかでのルーキーの存在
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