2008.05.12
映画批評0059(番外編)ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」(その3)
■□映画批評と物語構成論0059□■
前回に引き続き・・・
ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」
Homicide: Life on the Street (93-99)
◇ ◇
テレビドラマは映画とはちがってパターンがあり、特に民放の場合はあい
だに数回CMを入ることを前提にして章立てを組んでいくことになりますか
ら、効率化を目指してそのパターンは次第に様式化され、結局どのドラマも
似たり寄ったりの構成になってしまいます。
犯罪ドラマ「CSI」(00-)シリーズの場合
●オープニング・・・1.事件発生
2.事件現場に捜査班到着
現場の刑事に状況を訊ね、
犯人への手がかりを見つけて、ひと言
3.テーマ曲
→CMへ
4.(CM明け)証拠集め開始
・
・
事件解決
犯罪ドラマ「ロー&オーダー」(90-)シリーズの場合
●オープニング・・・1.(事件はすでに発生済みで)
その事件現場に刑事到着
現場の警官に状況を訊ね、
やるせない気持ちになる
3.テーマ曲
→CMへ
4.(CM明け)聞き込み開始
・
・
事件解決
では「ホミサイド」の場合はどうであったというと、エミー賞脚本賞を受
賞した第1シーズン3話目(本国では8話目)の「灯火が揺れる夜」の構成
を書き出してみると……
●オープニング・・・1.夜シフトに交替
続々と刑事たちが出勤してくる
捜査課の冷房が壊れたまま
暑い、暑すぎる
修理屋に怒りの電話
2.テーマ曲
→CMへ
わざとパターンをハズしています。
それもこれもすべてはバリー・レヴィンソンの知名度と実力があってこそ
の荒技の連発だったのでしょうが、このドラマはたしかに1話完結型の事件
解決にはこだわってはいません。
事件が解決されないままフェードアウトするケースさえあります。
だからといって事件解決そのものにこだわっていないわけではありません
(1話目の事件は7年越しの最終話で感涙的に解決する)。
東海岸側を中心としたユニークな出演陣、
豪華なスタッフ、
刑事ドラマの枠にはこだわらないヒューマンなストーリー展開。
このドラマが(マニアックに)支持されるのは、これらが理由であり、そ
のスタンスは大手スタジオ映画に対するミニシアター系の独立映画にも似て、
熱狂的に支持されはするけど、大衆受けするほどではない──。
だからこそ視聴率不振に喘いで、最後には打ち切られた──。
先鋭的であったばっかりに時代には合わなかったわけですが、それがこう
して10年越しに日本でDVDが発売されるということは、いまいちど評価
される機会を得て、作品にとっては幸せなことのはずです。
今年の邦人某氏グアム拘留報道の際にロサンゼルス市警殺人捜査課のこと
を「ホーミサイド」とカタカナ表記しているスポーツ紙がありましたが、
suicideに対するhomicideでホーミサイドと表記したくなる気持ちは分かる
ものの、ここはやはり発音的にも「ホミサイド」と表記すべきであり、日本
国内においては所詮はその程度の知名度でしかないこのドラマが、果たして
どこまで再評価されるのか?──アメリカ本国では「ザ・シールド〜ルール
無用の警察バッジ〜」(02-)のように後継者を自認してオマージュを捧げる※
ドラマも多いだけに、国内での今後の展開にも期待がかかります。
※……同作品DVDーBOXシーズン1 第1話 音声解説参照
◆ ◆ ◆
折角なので、もう1回だけ(次週に)続けます。
ティム・ベイリスとジョン・カーター……
「ER/緊急救命室」(94-09?)との類似と比較、
そして「ER」に想定されうるべき結末
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