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鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】


2008.05.26

映画批評0061「少林少女」


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■□映画批評と物語構成論0061□■


       『少林少女』
         Shaolin Girl (08) 


◇ ◇

 チャウ・シンチーが主演・監督・脚本の3役をつとめた『少林サッカー』
(01)の世界的ヒット以降、2匹目のドジョウをねらうべく数多くの亜流映画
&ドラマが製作されましたが、チャウ・シンチー自身が『少林サッカー』の
続編を手掛けることはなく、チャウ・シンチーは次作として『カンフーハッ
スル』(04)を発表しました。

 この『カンフーハッスル』は、チャウ・シンチー自身の、長年のカンフー
に対する思い入れ、あるいはブルース・リーに対する思い入れが、文字どお
りに「神の領域」にまで達して昇華される作品で、チャウ・シンチー自身が
昇華されたように、『少林サッカー』の続編を待望していたファンも、この
『カンフーハッスル』を観れば、その思いの丈は昇華(消化)されるという、
まるで「憑き物が落ちる」ような作品でした。

 事実、その後チャウ・シンチーは噂されていた『カンフーハッスル2』の
企画を凍結させ、最新作として『ミラクル7号』(08)を選びました。

 そしてこの作品においてチャウ・シンチーは「家族愛」という次のテーマ
へとシフトしています。

 憑き物は完全に落ちているのです。

 それなのに、いまなぜ『少林少女』なのか? と。

 それでも、初のオフィシャル外伝であるのは間違いなく、チャウ・シンチー
の代わりに柴咲コウが主役を張り、『少女』の名をタイトルに冠した、とい
う1点においてこの作品の価値はあります。

 もしこの『少林少女』をチャウ・シンチーが監督していたとしたら、美人
女優に不細工メイクをほどこすのがチャウ・シンチー監督の性癖ですから、
きっとトンデモないことになっていたに違いない……そうは想像できますが、
すでにチャウ・シンチー自身はカンフーに対する憑き物が落ちていますから、
チャウ・シンチーが監督を手掛けることは絶対にないわけです。

   ●チャウ・シンチーは憑き物が落ちているし、
   ●『カンフーハッスル』を経験した観客の多くも憑き物が落ちている

 いまさら作られた、という点において、この作品は非常に分が悪いのです。

 しかも『少林サッカー』の外伝でありながら、『カンフーハッスル』のラ
スト──神の領域──をも意識しないと「『カンフーハッスル』のあとに作
られた」という意味がない。

 そうなるとチャウ・シンチーが2作かけて手掛けたことを『少林少女』と
いう1作=2時間以内に消化しないといけないわけで、しかも『少林サッカー』
はコメディでしたが、『カンフーハッスル』はアクションに比重が置かれて
いた、いわば別物であったわけで、ではこの『少林少女』をどちらに近づけ
ようかと考えた場合に、題名は『少林ラクロス』ではなくて『少林少女』な
のですから、製作者は『少林【サッカー】』のほうではなくて、『カンフー
ハッスル』のほうに作品を近づけようと目論んだと、そう推測できます※。

                ※CGの鷹が出てくる
                ※主人公の功夫衣装が(ほぼ)同じ
                ※ザコ敵の黒服集団が同じ


◆ ◆ ◆


  次週も『少林少女』──
    そのストーリー展開を徹底的に検証します……
   

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■□                              □■


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