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鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】


2008.07.07

映画批評0067「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」


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■□映画批評と物語構成論0067□■


   『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
     Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull (08)


◇ ◇

 19年ぶりの『インディ』シリーズ第4弾となる本作ですが、実制作年数の
経過に合わせて時代設定も戦後になり、今回の相手はナチスではなくてソ連
軍。前作『最後の聖戦』(89)においてナチス兵を容赦なくマシンガンで撃ち
殺しまくっていたのにくらべると、今回のインディは暴発を狙って足をケガ
させたり、中盤の大男との闘いも、トドメをさすのは蟻の大群であってイン
ディではありません。
 そのいっぽうでインディ親子に襲いかかる謎の原住民には毒矢を引き返し
て応戦し、あっさりと相手を死に至らしめているのですから、ファミリー映
画として「丸くなった」というわけでもない。
 これが冷戦時代に作られた映画であったとしたら状況はまたちがっていた
のでしょうが、現在のロシアへと地続きでつながるソ連軍に、キチンと配慮
した丁寧な映画になっています。
 ですからこのフレンドリーな展開を論拠にして、この映画は(制作年を伏
せた状態で観賞しても)「冷戦後に作られた冷戦時代の映画」だと客観的に
判断できます。

 問題となるのは、序盤の、唐突に始まる「核実験」のシーンで、日本国内
においてはこのシーンに対して徹底的に批判的な新聞記事もあれば、好意的
な雑誌もあり、はたまたカンヌ映画祭でのジョージ・ルーカスの発言をその
ままトレースしてその正当性に言及してみせる雑誌もあるという状況で、い
ずれにせよ、どうしても敏感にならざるをえないのはたしかでしょう。

 その、プロデューサーであるジョージ・ルーカスが発言しているように、
このシーンは「時代の象徴」──『最後の聖戦』でインディが(本編とはあ
まり関係なく)唐突にヒトラーに遭遇したように、インディには「歴史の目
撃者」としての役割を担わせており、だからといって歴史を変えるようなこ
とは絶対にしない。ヒトラーを倒そうとはしない。遺跡や遺物も「目撃」は
するけど、崩れてしまうので、考古学者として本来するべき「回収」ができ
ない。
 このように製作者はあくまでも「目撃者」としてのインディ像にこだわっ
ているようですから、今回もその「歴史の目撃」の1つとしてネバダの核実
験を本編に盛り込んだ。たぶんそれ以上の意味はないのでしょう。

 しかしながら唐突にはじまり、「本当に必要なシーンだったのだろうか」
と、これが説明不足である感は否めません。
 
 この映画の上映時間は当初140分強を予定していたといわれています。
  ※参照:http://hollywood-elsewhere.com/2008/04/140_minutes_plu.php
 もし当初の予定どおりに140分強のままで完成していたら、シリーズ最
長の上映時間ということになっていました。

 しかしこれがカンヌ映画祭でプレミア上映される直前の段階で「スピード
感」をめざすべく徹底的に刈り込まれ、実際の上映時間は122分。
 唐突にはじまる核実験のシーンには(本来であれば)ひょっとしたら前後
関係が存在したのかもしれません。

 ですが、我々は完成して世に御披露目になったかたちのもののみを観賞し、
それを評価をするわけですから、だとすれば、これが「2008年いま現在のア
メリカ」の「ファミリー映画(PG-13)としての深刻にならない程度の適度な
バランス感覚」ということになるのでしょう(ソ連軍への配慮をも含めて)。


◆ ◆ ◆                        ◆ ◆ ◆


  次回は全世界注目のreworking-title『攻殻機動隊2.0』
      ──声優を変更する意味──
                  を理詰めで検証します!!


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