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メルマガで完全マスター! 宅建過去問一問一答


2008.06.28

メルマガで完全マスター! 宅建過去問一問一答


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○●○ メルマガで完全マスター! 宅建過去問一問一答 ○●○



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【2008年第18号】2008/06/28(通算第31号) 【創刊 2007/07/01】
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 こんにちは,宅建キャリア協会メルマガ担当の井上成人です。



 季節は梅雨。でも,晴れた日はまるで夏空のようですね。

 すぐその先には熱い夏が待っています ♪




 さて,いよいよ民法の最終回《不法行為》《相続》です。

 平成1年から19年までの出題数は,

 《不法行為》 10問
 《相続》   18問 となっています。


 《不法行為》は,17,18,19年と3年連続で出題されてい
ます。

 今回も,形を変えた出題がないとも断言できませんので,やはり
確認しておいたほうが無難でしょう。

 それほど難しい項目ではありませんしね。


 《相続》は,例年必ず1問出題されます(平成3年は出題なし)。



 今回は,問題数が多くなっていますので,うまく時間を分担して
挑戦するといいでしょう。




 ┏━━━┓
 ┃\_/┃ 配信スケジュールのくわしい日程は
 ┗━━━┛
            「 2008/03/01号(通算第18号)」をご覧ください。



  ■ 配信済み/週1回土曜日 ■

 (第1回)3/22号(通算第19号) 権利能力・行為能力等
 (第2回)3/29号(通算第20号) 意思表示
 (第3回)4/05号(通算第21号) 代 理
 (第4回)4/12号(通算第22号) 時 効
 (第5回)4/19号(通算第23号) 物権変動・占有権 
 (第6回)4/26号(通算第24号) 所有権・地上権・地役権
 (第7回)5/03号(通算第25号) 担保物権・抵当権
 (第8回)5/17号(通算第26号) 債務不履行・連帯債務等
 (第9回)5/24号(通算第27号) 債権譲渡・弁済・相殺
 (第10回)5/31号(通算第28号) 危険負担・契約解除ほか
 (第11回)6/14号(通算第29号) 贈与・売買
 (第12回)6/21号(通算第30号) 賃貸借・請負・委任
 (今 回)6/28号(通算第31号) 不法行為・相続

  第14回7/05号は,《借地借家法》の予定です。



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◇◆ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 第13回 【権利関係編──民法(不法行為・相続)】


  1 不法行為(1)/問題編  同/解答解説編

  2 不法行為(2)/問題編  同/解答解説編

  3 相続(1)/問題編    同/解答解説編

  4 相続(2)/問題編    同/解答解説編  

  5 相続(3)/問題編    同/解答解説編



◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




□■ 1 不法行為(1)/問題編 ━━━━━━━━━━━━━




【問 1】 

 Aが,その過失によってB所有の建物を取り壊し,Bに対して不
法行為による損害賠償債務を負担した場合に,Aの不法行為に関し,
Bにも過失があったときでも,Aから過失相殺の主張がなければ,
裁判所は,賠償額の算定に当たって,賠償金額を減額することがで
きない。
                         (12-8-1)




【問 2】 

 不法行為による損害賠償の支払債務は,催告を待たず,損害発生
と同時に遅滞に陥るので,その時以降完済に至るまでの遅延損害金
を支払わなければならない。
                         (19-5-1)




【問 3】 

 不法行為の被害者は,損害賠償債権を自働債権として,加害者に
対する金銭返還債務と相殺することができない。

                          (4-9-1)




【問 4】 

 事業者Aが雇用している従業員Bが行った不法行為について,B
の不法行為がAの事業の執行につき行われたものであり,Aに使用
者としての損害賠償責任が発生する場合,Aが被害者に対して売買
代金債権を有していれば,被害者は不法行為に基づく損害賠償債権
で売買代金債務を相殺することができる。
                         (18-11-3)




【問 5】 

 不法行為による損害賠償の請求権の消滅時効の期間は,権利を行
使することができることとなった時から10年である。
 
                         (19-5-4)




【問 6】 

 Aの被用者Bが,Aの事業の執行につきCとの間の取引において
不法行為をした場合,Bの行為が,Bの職務行為そのものには属し
ない場合でも,その行為の外形から判断して,Bの職務の範囲内に
属すると認められるとき,Aは,Cに対して使用者責任を負うこと
がある。
                         (11-9-1)




【問 7】 

 事業者Aが雇用している従業員Bが,営業時間中にA所有の自動
車を運転して取引先に行く途中に,前方不注意で人身事故を発生さ
せても,Aに無断で自動車を運転していた場合,Aに使用者として
の損害賠償責任は発生しない。
                         (18-11-2)




【問 8】 

 Aは,宅地建物取引業者Bに媒介を依頼して,土地を買ったが,
Bの社員Cの虚偽の説明によって,損害を受けた。
 この場合,Aは,Cの不法行為責任が成立しなければ,Bに対し
て損害の賠償を求めることはできない。
                          (6-7-1)




【問 9】 

 Aは,宅地建物取引業者Bに媒介を依頼して,土地を買ったが,
Bの社員Cの虚偽の説明によって,損害を受けた。
 この場合,Aは,Cの虚偽の説明がBの指示によるものでないと
きは,Cに対して損害の賠償を求めることができるが,Bに対して
は求めることができない。
                          (6-7-3)




【問 10】 

 従業員Aが,宅地建物取引業者Bの業務を遂行中に第三者Cに不
法行為による損害を与えた場合,Bは,その損害を賠償しなければ
ならないが,Aに対してその求償をすることはできない。
                      
                          (4-9-4)




【問 11】 

 Aは,宅地建物取引業者Bに媒介を依頼して,土地を買ったが,
Bの社員Cの虚偽の説明によって,損害を受けた。
 この場合,Aは,Bに対して不法行為に基づく損害の賠償を請求
したときは,Cに対して請求することはできない。

                          (6-7-2)




【問 12】 

 Aの被用者Bが,Aの事業の執行につきCとの間の取引において
不法行為をし,CからAに対し損害賠償の請求がされた場合で,A
が,Bの行為につきCに使用者責任を負う場合は,CのBに対する
損害賠償請求権が消滅時効にかかったときでも,そのことによって
AのCに対する損害賠償の義務が消滅することはない。
            
                         (11-9-3)





≡≡≡≡ 1 不法行為(1)/解答解説編 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡




【問 1】 ×  [損害賠償の過失相殺]

 不法行為があった場合に,被害者にも不注意・過失があったとき
は,この点は考慮されないのでしょうか。

 なんだか不公平ですね。

 たとえ加害者からの主張がなくても,被害者にも過失が認められ
るのであれば,考慮するのが公平ではないでしょうか。


 現に,被害者の過失を考慮するかどうかは,裁判所の自由裁量と
されていますから,被害者Bに過失があったときは,加害者Aから
「過失相殺の主張」がなくても,裁判所はこれを考慮して,職権に
より賠償額を定め,減額することができるとされています。





【問 2】 ○  [不法行為債務の履行期限]

 不法行為による損害賠償請求権は,いつから履行遅滞になるのか,
という問題ですね。

 不法行為による損害賠償債務は,被害者からの催告がなくても,
〈損害発生と同時〉に当然に履行遅滞となります。

 したがって,加害者は,不法行為成立時以後,完済に至るまでの
遅延損害金を支払わなければなりません。

 〈被害者の利益〉を考えてのことだということはおわかりですね。





【問 3】 ×  [不法行為債権による相殺]

 不法行為の被害者が,加害者に対して,たとえば金銭を借りてい
たというような場合ですね。

 この場合,被害者は自分の損害賠償債権を〈自働債権〉として,
加害者に対する債務と相殺することができます。

 もともと民法は,被害者の損害賠償債権を〈受働債権〉にはでき
ないとしていますが,これは被害者に〈現実の弁済〉を受けさせる
ためです。

 この場合に,相殺を許してしまうと,損害賠償債権は対当額で消
滅してしまうため,被害者は現実の救済(治療費,入院費など)を
受けられなくなってしまいます。

 反対に,被害者のほうから損害賠償債権を〈自働債権〉として,
不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権として相殺する
ことまでは,禁止する必要はないといえるのです。





【問 4】 ○  [不法行為債権による相殺]

 前問と同じですが,こちらのほうが少し具体的になっていますね。

 こうして,過去問は形を変えて出題されるのです。


 被害者は,不法行為に基づく損害賠償債権を〈自働債権〉として,
使用者Aに対する売買代金債務と相殺できます。

 被害者の損害賠償債権を〈受働債権〉にできないとされるのは,
被害者に〈現実の弁済を受けさせる〉ことにありますから,被害者
のほうから損害賠償債権を〈自働債権〉として相殺することは許さ
れるのです。





【問 5】 ×  [損害賠償請求権の時効期間]

 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間は,権利行使でき
ることとなった時,つまり被害者が損害および加害者を〈知った時〉
から3年間です。

 民法で3年というのはあまりありませんから,かえって覚えやす
いでしょう。

 なお,不法行為の時から20年を経過したときも,同じです。





【問 6】 ○  [事業執行の範囲──外形理論]

 使用者責任を説明した記述で,そのまま覚えましょう。


 使用者責任については,その根拠についていろいろ議論がありま
すが,要するに,事業のために他人を使用する者は,被用者がその
事業の執行について,第三者に加えた損害の賠償責任を負わなけれ
ばならないのです。

 〈事業の執行について〉というのは,被用者の職務行為そのもの
には属さなくても,〈行為の外形〉から判断して,広く被用者の職
務の範囲内に属するものと認められる場合を含みます。





【問 7】 ×  [事業執行の範囲──外形理論]

 前問の具体例ですね。

 従業員が無断で自動車を運転して人身事故を起こしたんです。

 事業者はその責任を負うのでしょうか。

 「営業時間中」「A所有の自動車」「取引先に行く途中」が,ポ
イントです。

 使用者は,事業の執行について,被用者が第三者に損害を加えた
場合,賠償責任を負わなければなりませんが,〈事業の執行につい
て〉というのは,必ずしも担当業務を〈適正に執行〉する場合だけ
を指すものではありません。

 つまり,従業員Bが,事業者Aに「無断」で運転していたとして
も,Bの行為は「事業の執行について」といえるため,Aに使用者
責任が発生することになるのです。





【問 8】 ○  [被用者の不法行為]

 使用者責任が成立するためには,被用者自身について不法行為が
成立することが要件です。

 使用者責任は,〈被用者の起こした不法行為〉について,使用者
としての責任を負うものですから,被用者Cの不法行為責任が成立
しない場合には,そもそも使用者Bの使用者責任は成立せず,その
場合には,被害者Aは,Bに損害賠償を求めることはできないので
す。





【問 9】 ×  [使用者責任の免責]

 いつも使用者に責任があるわけではありません。

 使用者責任については,2つの免責事由があって──

 a 被用者の選任・監督につき〈相当の注意〉をしたこと

  または,

 b 〈相当の注意〉をしても損害が生じたこと

 を〈証明〉すれば,責任を負わなくてもいいのです。


 本問の場合,社員Cの虚偽の説明が「Bの指示によるものでない」
というだけでは,Bに〈相当の注意〉があったとはいえず,いずれ
の免責事由にも該当しないため,Bは使用者責任を免れることはで
きません。




 
【問 10】 ×  [使用者の求償権]

 従業員が,業務遂行中に第三者に不法行為による損害を与えた場
合には,使用者は,その損害を賠償しなければなりませんが,その
従業員に対して,求償することができます。

 使用者Bが使用者責任を負うとしても,加害者である被用者Aの
本来の不法行為責任が免除されるわけではないからです。

 ただし,全額を求償できるものではありません。

 この点について,判例は──

 『損害の公平な分担という見地から,信義側上相当と認められる
限度』で求償できるとして,使用者の求償権を〈制限〉しています。 


 被用者は企業活動の一部として活動しており,それを通して使用
者が多大な利益を上げていることや,企業活動に伴う危険性を考慮
したのです。





【問 11】 ×  [不真正連帯債務]

 被害者Aは,使用者B・被用者Cの双方に対して,損害賠償請求
ができます。

 使用者責任が成立する場合には,常に被用者にも不法行為が成立
しており,この場合,使用者と被用者の双方が,全額の賠償義務を
負うことになります(不真正連帯債務)。





【問 12】 ○  [不真正連帯債務]

 使用者責任が認められる場合は,使用者Aと被用者Bの双方は,
被害者Cに対して〈不真正連帯債務〉を負います。

 この場合には,〈弁済〉に相当する事由を除いて,一方に生じた
事由は,他方に影響を及ぼしません。

 つまり,Bの損害賠償債務が消滅時効にかかっても,Aの損害賠
償債務はその影響を受けませんから,消滅することはないのです。

 このほうが,被害者の権利をより強く保護することができるでし
ょう。



 ☆☆★ 不真正連帯債務の意味

 民法719条は,数人が共同不法行為によって他人に損害を加
えたときは,各人が「連帯して」損害賠償責任を負うと定めてい
ますが,この『連帯して』というのは,いわゆる連帯債務ではなく,
〈不真正連帯債務〉とされています。


 連帯債務だと,債務者の1人について生じた絶対的効力事由(請
求とか,相殺,免除,時効など)は,ほかの債務者にもその効力が
及びますから,債権としては効力が弱くなり,債権者(被害者)に
不利となります。

 そのため,とくに不法行為などの〈被害者〉をしっかり救済する
必要から,その損害賠償債権の効力を強め,〈弁済〉に相当する事
由以外には,〈絶対的効力を認めない連帯債務〉が考えられたので
す。

 民法が定める真正の連帯債務ではないという意味で,これを〈不
真正連帯債務〉と呼ぶのです。





□■ 2 不法行為(2)/問題編 ━━━━━━━━━━━━━




【問 13】 

 Aの被用者Bが,Aの事業の執行につきCとの間の取引において
不法行為をし,CからAに対し損害賠償の請求がされた場合で,A
がBの行為につきCに対して使用者責任を負う場合は,AがCに損
害賠償金を支払ったときでも,Bに故意又は重大な過失があったと
きでなければ,Aは,Bに対して求償権を行使することができない。

                         (11-9-4)
                            



【問 14】 

 AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者とな
り,その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し,Dが建物を
占有していたところ,この建物の建築の際におけるBの過失により
生じた瑕疵により,その外壁の一部が剥離して落下し,通行人Eが
重傷を負った。
 この場合,Bは,Aに対してこの建物の建築の請負契約に基づく
債務不履行責任を負うことがあっても,Eに対して不法行為責任を
負うことはない。
                          (8-6-2)




【問 15】 

 甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは,甲建物の壁が
今にも剥離(はくり)しそうであると分かっていたのに,甲建物の
所有者に通知せず,そのまま放置するなど,損害発生の防止のため
法律上要求される注意を行わなかった。そのために,壁が剥離して
通行人Bが死亡した。
 この場合,Bの相続人は,Aに対しては損害賠償請求ができるが,
甲建物の所有者に対しては,損害賠償請求ができない。

                         (13-10-3)




【問 16】 

 Aは,所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせた
が,Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後
この塀を含む家屋全部をCに賃貸し,Cが占有使用しているときに,
この瑕疵により塀が崩れ,脇に駐車中のD所有の車を破損させた。
 A,B及びCは,この瑕疵があることを過失なく知らない。この
場合に,Cは,損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば,
Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
                         (17-11-3)




【問 17】 

 Aは,所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせた
が,Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後
この塀を含む家屋全部をCに賃貸し,Cが占有使用しているときに,
この瑕疵により塀が崩れ,脇に駐車中のD所有の車を破損させた。
 A,B及びCは,この瑕疵があることを過失なく知らない。この
場合に,Aは,損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば,
Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
                         (17-11-1)




【問 18】 

 甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは,甲建物の壁が
今にも剥離(はくり)しそうであると分かっていたのに,甲建物の
所有者に通知せず,そのまま放置するなど,損害発生の防止のため
法律上要求される注意を行わなかった。そのために,壁が剥離して
通行人Bが死亡した。
 この場合,Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に対
して,壁の剥離につき,壁の施工業者にも一部責任がある場合には,
Aは,その施工業者に対して求償権を行使することができる。

                         (13-10-4)




【問 19】 

 Aが,その過失によってB所有の建物を取り壊し,Bに対して不
法行為による損害賠償債務を負担した場合に,不法行為がAの過失
とCの過失による共同不法行為であった場合,Aの過失がCより軽
微なときでも,Bは,Aに対して損害の全額について賠償を請求す
ることができる。
                         (12-8-2)




【問 20】 

 Aの被用者Bと,Cの被用者Dが,A及びCの事業の執行につき,
共同してEに対し不法行為をし,A,B,C及びDが,Eに対し損
害賠償債務を負担した場合に,Aは,Eに対するBとDの加害割合
が6対4であるときは,Eの損害全額の賠償請求に対して,損害の
6割に相当する金額について賠償の支払をする責任を負う。

                         (14-11-1)




【問 21】 

 Aの被用者Bと,Cの被用者Dが,A及びCの事業の執行につき,
共同してEに対し不法行為をし,A,B,C及びDが,Eに対し損
害賠償債務を負担した場合に,Dが,自己の負担部分を超えて,E
に対し損害を賠償したときは,その超える部分につき,Aに対し,
Aの負担部分の限度で求償することができる。
                         (14-11-4)




【問 22】 

 加害者数人が,共同不法行為として民法第719条により各自連帯
して損害賠償の責任を負う場合,その1人に対する履行の請求は,
他の加害者に対してはその効力を有しない。
                         (19-5-3)





≡≡≡≡ 2 不法行為(2)/解答解説編 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡




【問 13】 ×  [使用者の求償権──被用者の故意・過失]

 被用者Bに「故意又は重大な過失」がなくても,過失(軽過失)
があれば,使用者Aは,Bに求償できます。

 使用者責任は,被用者の不法行為を基礎として成立していますか
ら,被用者に不法行為の成立要件としての故意・過失があればよく,
その過失は重過失である必要はないのです。
 




【問 14】 ×  [請負人の責任]

 常識的に考えてどうですか。

 請負人Bの不注意な工事が原因で人が重傷を負ったのです。

 もうおわかりですね。

 請負人Bの過失により生じた瑕疵が原因で,通行人Eが負傷した
場合には,B自身の不法行為が成立し,Eに対して不法行為責任を
負わなければなりません。





【問 15】 ○  [占有者の不法行為責任]

 占有者Aは「損害発生の防止のため法律上要求される注意」をし
なかったのですから,不法行為が成立し,Bの相続人は,Aに対し
て損害賠償請求ができまう。

 この場合には,建物所有者に対しては責任を問うことはできませ
ん。
  
 所有者は,占有者が必要な注意をして免責されるときに,最終的
に責任を負うのです。

 土地工作物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたときは,
第1次的に工作物の〈占有者〉が責任を負いますが,占有者が損害
の発生防止のため必要な注意をしたときは,第2次的に〈所有者〉
が,損害賠償責任を負うことになっているのです。





【問 16】 ○  [占有者の不法行為責任]

 建物の占有者は,「損害の発生を防止するのに必要な注意」をし
ていれば免責され,被害者に対する損害賠償責任を免れることがで
きます。





【問 17】 ×  [所有者の責任]

 建物などの土地工作物の設置・保存を原因とする不法行為責任に
ついては,第1次的に〈占有者〉が責任を負いますが,占有者が免
責されたときには,最終的に〈所有者〉が責任を負うことになって
います。


 つまり,占有者には免責が認められるのですが,所有者は「損害
の発生を防止するのに必要な注意」を怠らなかったことを立証して
も免責されないのです(無過失の免責は認められません)。

 所有者のこの責任は,土地工作物自体のもつ危険性がその根拠と
されているのです。

 法律というのは,いろんな理屈を考え出すものですね。





【問 18】 ○  [占有者・所有者の求償権]
 
 壁の施工業者にも一部責任があるなど,瑕疵について占有者・所
有者以外に直接の責任者があるときは,損害を賠償した占有者また
は所有者は,この者に対して求償することができます。

 対外的には占有者・所有者が責任を負い,対内的には求償により
責任を分担することが公平といえるでしょう。





【問 19】 ○  [共同不法行為]

 共同不法行為があった場合,各人は,過失の軽重に関係なく,連
帯して損害賠償責任を負います。

 被害者Bは,過失の軽微なAに対しても,損害全額について賠償
請求することができるのです。





【問 20】 ×  [全額の連帯責任]

 使用者Aは,加害者「BとDの加害割合が6対4」であっても,
被害者Eに対し〈全額〉の賠償責任を負わなければなりません。

 数人の共同不法行為の場合には,各人が連帯して損害全額の賠償
責任を負いますから,被用者Bは,Eに対し損害全額の責任を負い,
使用者Aは,指揮監督下にある被用者Bと一体をなすものとして,
Bと同じ内容の使用者責任を負うのです。

 加害割合6対4は,内部的な負担部分として考慮されるだけなの
です。





【問 21】 ○  [被用者の求償権]

 Dが,自分の負担部分を超えて賠償したときには,その超える部
分について,Aの負担部分の限度で求償することができます。

 被害者Eに対しては,使用者Aと被用者Bは一体をなしています
から,Aは,Bと同じ内容の責任を負うのです。
                                          




【問 22】 ○  [共同不法行為における不真正連帯債務]

 共同不法行為における各人の損害賠償債務は,不真正連帯債務で
したね。

  不真正連帯債務は,弁済に相当する事由以外には絶対的効力を認
めない連帯債務ですから,履行の請求など,1人に生じた事由は,
他の共同不法行為者には効力を生じません。






□■ 3 相続(1)/問題編 ━━━━━━━━━━━━━━━




【問 23】

 15歳に達した者は,父母の同意を得なくても,遺言をすることが
できる。
                         (11-1-4)




【問 24】 

 被相続人Aの相続人の法定相続分に関して,AとBが婚姻中に生
まれたAの子Cは,AとBの離婚の際,親権者をBと定められたが,
Aがその後再婚して,再婚にかかる配偶者がいる状態で死亡したと
きは,Cには法定相続分はない。
                         (13-11-1)




【問 25】 

 居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続で,Aに,配偶者
B,母G,兄Hがいる場合,Hは相続人とならず,BとGが相続人
となり,Gの法定相続分は1/4となる。
                         (8-10-2)




【問 26】 

 被相続人Aの相続人の法定相続分に関して,Aが死亡し,配偶者
D及びその2人の子供E,Fで遺産分割及びそれに伴う処分を終え
た後,認知の訴えの確定により,さらに嫡出でない子Gが1人いる
ことが判明した。Gの法定相続分は1/6である。
                         (13-11-3)




【問 27】 

 居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続で,Aに,配偶者
B,Bとの婚姻前に縁組した養子C,Bとの間の実子D(Aの死亡
より前に死亡),Dの実子E及びFがいる場合,BとCとEとFが
相続人となり,EとFの法定相続分はいずれも1/8となる。

                          (8-10-1)




【問 28】 

 被相続人Aの相続人の法定相続分に関して,Aに子が3人あり,
Aの死亡の際,2人は存命であったが,1人は既に死亡していた。
その死亡した子には2人の嫡出子H,Iがいた。A死亡の際,配偶
者もいなかった場合,Hの法定相続分は1/6である。

                         (13-11-4)
                             



【問 29】 

 自己所有の建物に妻Bと同居していたAが,遺言を残さないまま
死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。
 この場合に,A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していたときは,
Eは相続人とみなされ,法定相続分は,Bが1/2,C・D・Eは
各1/6ずつとなる。
                         (16-12-3)




【問 30】 

 自己所有の建物に妻Bと同居していたAが,遺言を残さないまま
死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。
 この場合に,Cの子FがAの遺言書を偽造した場合には,CはA
を相続することができない。
                         (16-12-4)




【問 31】 

 居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続で,Aに法律上の
相続人がない場合で,10年以上Aと同居して生計を同じくし,Aの
療養看護に努めた内縁の妻Iがいるとき,Iは,承継の意思表示を
すれば当該建物を取得する。
                         (8-10-3)




【問 32】 

 相続開始の時において相続人が数人あるとき,遺産としての不動
産は,相続人全員の共有に属する。
                         (11-3-1)




【問 33】 

 Aが死亡し,それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B,C及び
D(他に相続人はいない。)が,全員,単純承認し,これを共同相
続した。
 この場合に,相続財産である土地につき,遺産分割協議前に,B
が,CとDの同意なくB名義への所有権移転登記をし,これを第三
者に譲渡し,所有権移転登記をしても,CとDは,自己の持分を登
記なくして,その第三者に対抗できる。
                         (15-12-1)





≡≡≡≡ 3 相続(1)/解答解説編 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡




【問 23】 ○  [遺言能力]

 人は何歳になったら遺言できるのでしょうか。


 民法は,〈15歳に達した者〉は,父母の同意を得なくても,自
分1人の単独意思で遺言をすることができると定めました。

 中学3年生くらいでしょうか。

 15歳に達すれば,法定代理人の同意は不要で,同意がなくても
その遺言は完全に有効なのです。

 つまり,同意がないことを理由に取り消すことのできる遺言とな
るのではありません。

 遺言は財産行為ではなく,〈身分行為〉であると考えられてきた
歴史的な背景もあり,また,とくに〈遺言者の意思を尊重〉すべき
とされているのです。





【問 24】 ×  [子の相続権]
 
 被相続人の子は相続人となります。だれでも知っていますね。

 したがって,被相続人Aの子Cには,当然に法定相続分があるの
です。

 子であれば,親権者の別,男女の別,実子・養子の別,嫡出・非
嫡出の別,戸籍の異同,国籍の有無は,まったく関係がありません。





【問 25】 ×  [直系尊属の相続分]

 相続分の問題では,まずはじめに相続人を確定し,それから相続
分を計算する,というのが定法です。

 法定相続人の相続分は,確実に覚えておきましょう。

 簡単な数値だからといって,軽くみていると足下をすくわれます
よ。うっかりミスをやってしまうのが,本試験の怖さです。


 さて,本問の場合,相続人は,配偶者Bと直系尊属Gであって,
兄弟姉妹は相続人とはなりません。

 この場合,配偶者の相続分は2/3,直系尊属は1/3 です。

 母Gの相続分は1/3であり,「1/4」ではありません。 





【問 26】 ×  [非嫡出子の相続割合]

 相続分の簡単な基本問題です。

 非嫡出子の法定相続分は,嫡出子の1/2ですから,嫡出子E・
Fと,非嫡出子Gの相続割合は,E:F:G=2:2:1 です。

 したがって,Gの法定相続分は,子全員の相続分1/2の1/5
=1/10となります。





【問 27】 ○  [養子等の相続分]

 相続人は,配偶者B,養子C,そしてDを代襲相続するE・Fで
す。

 したがって,各人の相続分は──

 ・配偶者Bが1/2,

 ・子全体(C・D2人)で1/2を相続しますから,

  C・Dはそれぞれ,1/2×1/2=1/4 となります。

  ただし,すでに死亡しているDの1/4は,その子E・Fが代
 襲相続しますから,

  E・Fそれぞれ 1/4×1/2=1/8 となります。

  なお,養子縁組の時期は,婚姻の前後を問いません。





【問 28】 ○  [代襲相続人とその相続分]

 「A死亡の際,配偶者もいなかった」のですから,3人の子が相
続人となります。

 また,Aの死亡以前に,子の1人はすでに死亡していますから,
その嫡出子H,Iが,代襲相続をすることになります。

 その法定相続分は,死亡した子(直系尊属)の受けるべき相続分
1/3と同じですから,H,Iの法定相続分はそれぞれ,

 1/3×1/2=1/6 となります。





【問 29】 ○  [胎児の権利能力]

 ポイントは胎児Eですね。

 まだ出生していない胎児Eも,〈相続〉については,すでに〈生
まれた〉ものとみなされますから,1人の相続人として扱われます。

 したがって,法定相続分は,妻Bが1/2,子C・D,胎児Eが,
それぞれ,1/2×1/3=1/6ずつとなります。


 人は〈出生〉によって,平等に〈権利能力〉を取得しますから,
〈出生以前〉の母親の胎内にある〈胎児〉に権利能力はありません。

 これが大原則でしたね。

 しかし,胎児の利益のために,相続や遺贈,そして不法行為に基
づく損害賠償請求権に関しては,胎児も,すでに〈出生〉したもの
とみなされるのです。




                            
【問 30】 ×  [相続欠格]

 〈相続人〉が遺言書を偽造した場合に,その相続人自身が相続欠
格となるのであって,相続人Cの子Fが,被相続人Aの遺言書を偽
造しても,Cが相続権を失うことはありません。





【問 31】 ×  [特別縁故者への相続財産分与]
 
 本肢の内縁の妻Iは,特別縁故者にあたると考えられますが,単
に承継の〈意思表示〉をしただけで建物を取得することはできず,
家庭裁判所に相続財産分与の請求申立てをしなければなりません。

 親族関係や相続関係は,裁判所の関与が大きくなるのですね。

 さて,相続人が不存在の場合,家庭裁判所は──

 ・被相続人と〈生計〉を同じくしていた者

 ・被相続人の〈療養看護〉に努めた者

 ・その他,被相続人と〈特別の縁故〉があった者

 などの〈請求〉があれば,清算後残存する相続財産の全部または
一部を与えることができます。

 こうすることが,被相続人の意思に近いのではないでしょうか。





【問 32】 ○  [共同相続と共有]

 基本中の基本で,記述のとおりですね。

 相続人が数人あるときは,相続開始から具体的に遺産分割がなさ
れるまでは,不動産・債権債務などの相続財産は,ひとまず全員の
〈共有〉に属します。





【問 33】 ○  [共同相続と登記]

 共同相続した土地を,Bが勝手に自分の単独名義にして処分しち
ゃったんですね。


 この場合,土地を共同相続したC・Dは,それを取り戻せすこと
ができます。

 
 共同相続人Bが,土地所有権の単独名義をし,これを第三者に譲
渡・登記しても,共同相続人C・Dは,〈登記なし〉に,自己の持
分を第三者に対抗できるのです。


 遺産分割する前の相続財産は,全員の〈共有〉に属しますから,
Bの登記は,C・Dの持分に関する限り無権利の登記となります。

 勝手にC・Dの土地を処分したのです。

 そして,登記に公信力がない以上,第三者もその権利を取得する
ことはできません。






□■ 4 相続(2)/問題編 ━━━━━━━━━━━━━━━




【問 34】 

 相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から
3カ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に,
限定承認又は放棄をしなかったときは,単純承認をしたものとみな
される。
                         (14-12-3)




【問 35】 

 AがBに対して 1,000万円の貸金債権を有していたところ,Bが
相続人C及びDを残して死亡した。
 この場合に,C及びDが相続開始の事実を知りながら,Bが所有
していた財産の一部を売却したときには,C及びDは相続の単純承
認をしたものとみなされる。
                         (19-12-2)




【問 36】 

 相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同
してのみこれをすることができる。
                         (14-12-2)




【問 37】 

 相続人が,被相続人の妻Aと子Bのみである場合(被相続人の遺
言はないものとする)に,相続の承認又は放棄をすべき3カ月の期
間の始期は,AとBとで異なることがある。

                         (10-10-1)




【問 38】 

 相続の放棄をする場合,その旨を家庭裁判所に申述しなければな
らない。
                         (14-12-1)




【問 39】 

 被相続人の子が,相続の開始後に相続放棄をした場合,その者の
子がこれを代襲して相続人となる。
                         (14-12-4)




【問 40】 

 相続人が,被相続人の妻Aと子Bのみである場合(被相続人の遺
言はないものとする)に,Aが,Bの詐欺によって相続の放棄をし
たときは,Bに対して取消しの意思表示をして,遺産の分割を請求
することができる。
                         (10-10-4)
                            



【問 41】

 自筆証書による遺言をする場合,証人二人以上の立会いが必要で
ある。
                         (17-12-1)




【問 42】

 遺言の証人には,遺言者の長女の夫も,なることができる。

                         (6-13-3)




【問 43】 

 遺言は,家庭裁判所の検認の手続を経なければ,効力を生じない。
 
                         (6-13-2)




【問 44】
 
 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても,遺言
者が死亡する前に受遺者が死亡したときは,その遺贈は効力を生じ
ない。
                         (4-13-3)





≡≡≡≡ 4 相続(2)/解答解説編 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡




【問 34】 ○  [法定単純承認]

 記述のとおりです。

 相続人は,自己のために相続の開始があったことを〈知った時〉
から3カ月以内(または,家庭裁判所が伸長した期間以内)に,単
純承認か限定承認,または相続の放棄をしなければなりません。

 この期間内に,限定承認または相続の放棄をしなかったときは,
単純承認をしたものとみなされます。

 これを〈法定単純承認〉といいますが,相続関係を早く確定させ
るためであることは,もうおわかりでしょう。





【問 35】 ○  [法定単純承認]

 遺産を売却する,物品を壊すなど,相続人が相続財産の全部また
は一部を処分したときは,相続人は単純承認をしたものとみなされ
ます。 
  
 ただし,保存行為は処分にはあたりません。





【問 36】 ○  [限定承認]

 相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の〈全員〉が
共同してのみこれをすることができます。 





【問 37】 ○  [承認・放棄をする期間]

 相続人は,自己のために相続の開始があったことを〈知った時〉
から原則3カ月以内に,単純承認,限定承認,相続放棄のいずれか
をしなければなりません。
 
 したがって,3カ月の期間の始期は,AとBとで異なることがあ
るのは当然といえるでしょう。





【問 38】 ○  [相続放棄の方式]
 
 記述のとおりです。

 相続の放棄をしようとする者は,その旨を家庭裁判所に申述しな
ければなりません。
 
 裁判所を関与させて,放棄の意思を明確に確認することにしたの
です。





【問 39】 ×  [相続放棄の効力]

 いかにも正しい記述のようですね。

 しかし,〈相続放棄〉した者の子が,代襲相続人となることはあ
りません。

 というのも,相続放棄をした者は,その相続に関しては,〈はじ
めから相続人とならなかった〉ものとみなされますから,相続権そ
のものが発生しなかったことになるからです。

 発生しない相続権を代襲相続することは,ありえないでしょう。





【問 40】 ×  [承認・放棄の取消し]

 詐欺によって相続の放棄をしたときは,これを取り消すことがで
きるのは当然ですが,放棄の取消しは,家庭裁判所に申述しなけれ
ばなりません。
 
  Bに対する取消しの意思表示によって行うのではないのです。





【問 41】 ×  [自筆証書]

 自筆証書遺言には,証人2人以上の立会いは不要です。

 「証人二人以上の立会いが必要」なのは,公正証書遺言の場合で
す。

 こういう簡単な基本問題で,得点できないと悔しいですね。





【問 42】 ×  [証人,立会人の欠格事由]

 遺言者の長女(推定相続人)の夫は,遺言の証人となることはで
きません。

 (1) 推定相続人と受遺者,および,

 (2) これらの配偶者・直系血族は,

 遺言の内容に〈直接の利害関係〉を有していて,遺言者に不当な
影響を及ぼしますから,遺言の証人・立会人となることはできない
のです。





【問 43】 ×  [遺言書の検認]
  
 遺言は,遺言者の死亡の時から直ちに効力を生じます。

 そのために「家庭裁判所の検認の手続」は関係ありません。


 遺言の執行を円滑に実施するためには,遺言書の保管者にこれを
提出させ,遺言書の現状を確認したり明らかにする必要があります
から,保管者は,相続開始を知った後は,遅滞なく,これを家庭裁
判所に提出して,その検認を受けなければらないとされています。

 しかし検認は,遺言執行の準備手続としての証拠保全手続であっ
て,内容の真偽や有効・無効を判定するものではないのです。 





【問 44】 ○  [受遺者の死亡による遺贈の失効]

 遺贈は,遺言者が死亡する前に受遺者が死亡したときは,その効
力を生じません。

 遺贈に関する受贈者の権利は,相続されないのですね。






□■ 5 相続(3)/問題編 ━━━━━━━━━━━━━━━

 


【問 45】

 被相続人は,遺言で,遺産の分割の方法を定めることができ,ま
た相続開始の時から5年を超えない期間内で遺産の分割を禁ずるこ
ともできる。
                         (11-3-2)




【問 46】

 遺産の分割について共同相続人間に協議が調わないとき,各共同
相続人は,その分割を,相続開始地の地方裁判所に請求することが
できる。
                         (11-3-3)




【問 47】

 相続開始の時から3年以上経過した後に遺産の分割をしたときで
も,その効力は,第三者の権利を害しない範囲で,相続開始の時に
さかのぼって生ずる。
                         (11-3-4)
                            



【問 48】 

 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても,被相
続人の兄弟姉妹は,遺留分の保全に必要な限度で,遺贈の減殺を請
求することができる。
                         (4-13-2)




【問 49】 

 成年Aには将来相続人となるB及びC(いずれも法定相続分は2
分の1)がいる。Aが「相続財産全部をBに相続させる」旨の有効
な遺言をして死亡した場合,BがAの配偶者で,CがAの子である
ときは,Cには相続財産の4分の1の遺留分があるのに対し,B及
びCがAの兄弟であるときはCには遺留分がない。

                         (18-12-2)




【問 50】 

 Aが死亡し,相続人として,妻Bと嫡出子C・D・Eがいる。こ
の場合,Eの遺留分は,被相続人Aの財産の1/12の額である。
 
                         (2-11-3)




【問 51】 

 被相続人Aの生前に,Aの子Bが家庭裁判所の許可を得て遺留分
の放棄をした場合でも,Bは,Aが死亡したとき,その遺産を相続
する権利を失わない。
                         (9-10-4)
                             



【問 52】 

 被相続人A,相続人B及びC(いずれもAの子)として,Aが遺
言をしようとする場合に,Aは,「Aの財産をすべてBに遺贈する。
CはBに対して遺留分の減殺請求をしてはならない」旨の遺言をし
て,CをAの相続から排除することができる。
                         (12-10-2)




【問 53】 

 Aには,妻B,子C・Dがあり,A及びBは,CにA所有の資産
全部を相続させAの事業も承継させたいと考えているが,Cは賛成
し,Dは反対している。
 この場合,Aが遺産の全部をCに遺贈した場合も,DからCに対
して遺留分の減殺をすれば,Cは,その部分を除外した部分を承継
するほかない。
                         (7-11-2)




【問 54】 

 相続が開始して9年6カ月経過する日に,はじめて相続の開始と
遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は,6カ月
以内であれば,遺留分の減殺請求をすることができる。

                         (9-10-3)





≡≡≡≡ 5 相続(3)/解答解説編 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡




【問 45】 ○  [遺言による指定分割と分割禁止]
      
 記述のとおりです。

 被相続人は,遺言で,遺産分割の方法を定めることができ,また,
相続開始の時から〈5年〉を超えない期間を定めて,遺産分割を禁
じることができます。





【問 46】 × [遺産分割の審判]
 
 「地方裁判所」が誤りです。

 分割について協議が調わないときは,各共同相続人は,その分割
を,相続開始地の〈家庭裁判所〉に請求できます。





【問 47】 ○  [遺産分割の効力]
 
 共同相続人は,被相続人が遺言で禁じた場合を除いて,いつでも,
その協議で遺産分割をすることができます。

 そして,遺産の分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を
生じますが,〈第三者の権利〉を害することはできません。

 「3年以上経過した後」の遺産分割でも,このことに変わりはあ
りません。 





【問 48】 ×  [兄弟姉妹の遺留分]
 
 被相続人の兄弟姉妹には,そもそも遺留分がありませんから,遺
留分を保全するための減殺請求権もありません。

 遺留分が認められているのは,配偶者,子,直系尊属です。





【問 49】 ○  [遺留分]

 問題文は長いのですが,遺留分と遺留分権利者に関する基本問題
ですね。


 「相続財産全部をBに相続させる」旨の遺言があっても,相続人
が配偶者Bと子Cであるときは,Cには,1/2×(Cの法定相続
分1/2)=1/4 の遺留分があります。

 相続人B・Cが,Aの〈兄弟姉妹〉であるときには,この2人に
遺留分はありませんでしたよね。





【問 50】 ○  [遺留分の計算]

 遺留分権利者の遺留分割合については,a,bの順で計算します。


 a まず,遺留分権利者〈全体の割合〉を出します。

  ☆[相続人が直系尊属だけの場合] 被相続人の財産の1/3
  
  ★[相続人が上記以外の場合]    被相続人の財産の1/2

       (例)・配偶者だけのとき
          ・子だけのとき ・子と配偶者のとき 
          ・直系尊属と配偶者のとき
          ・兄弟姉妹と配偶者のとき 


 b 次に,遺留分権利者の〈個別割合〉を求めます。         

 本問の場合,相続人が,配偶者と子ですから,遺留分は,★の被
相続人の財産の1/2 で計算します。つまり──

 ★の遺留分割合に,遺留分権利者の〈法定相続分〉を乗じたもの
となります。

  ・妻Bの遺留分=〈遺留分割合×相続分〉 
       
     1/2×1/2=1/4

  ・子C・D・Eの遺留分=〈遺留分割合×相続分〉
 
     1/2×1/6=1/12


 Eの遺留分は,被相続人Aの財産の1/12 の額になります。





【問 51】 ○  [遺留分の放棄]
 
 初心者の人がよく誤解をするのですが,遺留分の放棄は,相続権
の放棄ではありません。

 遺留分を放棄したBも相続権を失うことはなく,ただ遺留分を侵
害されたときに,減殺請求権を行使できなくなり,遺留分の保護を
受けられないだけなのです。





【問 52】 ×  [減殺請求権]

 普通に考えてどうですか。こういう遺言ができるのでしょうか。

 そもそも民法が,減殺請求権を認めている趣旨を考えれば,結論
も自然に出てくるのではないでしょうか。

 
 Aは,相続人Cの減殺請求権を奪うような遺言をして,Cを相続
から排除することはできません。

 被相続人は,相続分を指定したり,遺産の一部を遺言で処分でき
ますが,〈相続人のために最小限度の財産〉だけは遺留分として残
さなければならず,これを確保するために,固有の権利として減殺
請求権が保障されているのです。

 遺言によっても,この権利を侵害することはできないのです。





【問 53】 ○  [遺贈の減殺請求]

 Dが,Cに対し遺留分の減殺請求をすれば,遺贈は,遺留分を侵
害する限度で失効し,Cが取得した権利は,その限度で当然にDに
帰属することになります。

 結局,Cは,遺留分の侵害部分を除外した部分を承継することに
なります。





【問 54】 ○  [減殺請求権の消滅時効]

 記述のとおりです。

 減殺請求権は,遺留分権利者が──

 ・相続開始および減殺すべき贈与・遺贈を〈知った時〉から1年
  間行使しないとき,

  または,

 ・〈相続開始の時〉から10年経過したときは,時効消滅します。







 お疲れさまでした。今回はここまでです。





□ ご意見・ご要望について ■  ━━━━━━━━━━━━━━━


 解説は,できるだけ初心者の人にわかりやすく書いたつもりです
が,読む人によってはよくわからない記述があるかもしれません。

 そんなときは,遠慮しないで質問してください。

 質問大歓迎です!

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