2008.01.29
語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 − 028号 −
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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による
語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 − 028号 −
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こちらです。
http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620
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■今週の本 「外国語の水曜日」
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買う??: ★★☆☆☆
一章、二章は、読み物として面白いです。メインの第三章「学習法としての
言語学入門」は、学問っぽくなって、やや難しいです。
ハードカバー 293 ページのしっかりした本で、重いし、2,520円もするし、
買う場合はかなりの覚悟が必要です。
他方、Amazonでの評価が好意的なことからもわかりますが、著者のエッセイは
とても魅力的です。
読んで頂きたい方:
複数言語の学習をされる方ですと、そのうち言語学にたどり着くでしょう。
第三章を言語学入門として読むのはいかがでしょう。
「外国語の水曜日」 黒田龍之介
現代書館 2000.07
アマゾンはこちらから
http://www.amazon.co.jp/dp/4768467849/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
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■エッセンス
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第一章「水曜日の外国語研究室」は、東京工業大学で理系の学生に外国語を
教える過程でのエピソード。
第二章「外国語幻想」は、世間での外国語学習に関する迷信についての
コメント。
第三章「学習法としての言語学入門」
これは本書の副題にもなっています。
前章まで軽く読み進められたのがここで急に難しくなります。
序論、世界の言語と始まって、記号論、音声学、音韻論、文字論と続いて
いきます。
第四章「本と映像に見る外国語」では、興味深い本、映画を紹介しています。
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■内容と感想
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一回目に読んだときの付箋がまだ20枚近くつけてあります。
「そのうち言語学をきちんと勉強したい」と思っていた私には当時は刺激的な
本でした。
私自身が複数言語を学んでいることから、外国語学習法の本も多言語を
学習されている人のものから、より刺激を受けるような気がします。
英語だけの人であれば、その学習の成果を次の外国語の学習の足がかりに
しようという発想は出てこないでしょう。
「大学における外国語の役割とは、新しい外国語を学ぶノウハウを身に
つけるためのシミュレーションなのだと考える。(中略) だったら英語を
きちんとやり直したほうが得ではないかと考えるかも知れない。ところが、
これはだめなのである。英語はすでに長年にわたって勉強しており、
『手垢』がついている状態である。知識もそれなりに蓄えてある。新たな
外国語学習のノウハウを学ぶためのシミュレーションには不向きなのだ」
(10ページ)
英語であれば中学・高校と段階を踏んで文法事項を覚えていくのですが、
大学の第二外国語は半年で文法事項を終わらせてしまいます。
逆に、実際に用いる文法知識は、半年で学べる範囲で十分であるという
ことで、学校英語でも同様なカリキュラムにならないものかと思います。
この、短期間で一通り終わらせてしまうやり方を身につければ、独学での
外国語習得もハードルが低くなる気がします。
そして本書の第一章の「『実験用モルモット』チュウの冒険」では、白水社の
『エキスプレス』シリーズを使っての五日間超短期入門コースの様子が
書かれています。
第一章で興味深かったものに、次のものがあります。
その外国語でダジャレを言おうと常に試みる。
-> リラックスする。クラスの雰囲気を良くする。相手を楽しませると
いうのはコミュニケーションの基本
日本の文学作品の(例えば)ロシア語訳を持ってきて、それを日本語訳させる。
(出典は明かさない)
種明かしで、もとの日本語と比較させることで、いろいろと考えさせられる。
その外国語の試験問題を作るという課題を生徒に与える。
-> その人の考える「語学力」が明らかになって面白そう。
会話クラスのロールプレイでは、全く違う人間になりきって行う。
-> 兄弟は? ご職業は? 結婚していますか?などと現実の質問で
やり取りをすると、プライバシーの侵害ともとらえられ、会話が盛り
上がらない。
いっそ自分はイタリア人だと思いこんで、なりきって会話を交わす。
第二章では、次のものが目に留まりました。
(外国人に道を聞かれて答えられなかったことから英語を勉強しようと
する人について)
「べつに悪いことではないが、しかしなんだか変だ。つまりはこの先、いつ
巡ってくるとも分からない『外国人から英語で道を聞かれる』という場面の
ために、金と時間をかけて努力しようと言うのである。なんだかずいぶんと
お人好しではないだろうか」(126ページ)
野口悠紀雄的には、消費の英語ということでしょうか。
最近の私は、人それぞれの英語があっても良いと思い始めていますが。
「どうしたら会話が出来るようになるか?まずは単語を覚えなければならない。
(中略) しかしそれだけではだめだ。単語を覚えるほかにさらにやるべき
こととして、わたしは次の二つのうち、どちらかをする必要があると考える。
1.基本的な例文を一万(!)ぐらい暗唱する
2.文法を学習する」 (134ページ)
これは文法の役割を上手く説明していると思いました。
外国語学習にとって最も大切なこと、それはやめないことである。
(150ページ)
どうせ完璧なんて無理なんだから、中途半端でも構わないじゃない
(151ページ)
第三章 いよいよメインです。
「外国語の習得にはコツがある。そのコツなるものを言語学に求めていく。
この章の目的はこの点にあるのだ」(160ページ)
・発音記号について
「かつての英語教育ではこの国際音声字母がたいへん重視され、世代に
よっては中学校の英語の時間に英単語のスペルを覚えるのと並行して、
この「発音記号」を学んだこともあった。......同じ記号を使っていたと
しても、たとえば英語とフランス語ではその表す音が微妙に違っていると
言うこともある。これだけの記号で世界中のことばの音を記述しようと
言うのだから、完璧というわけにはいかない。過信は禁物なので気をつける
必要がある」(180ページ)
過信するくらいしっかりやっている人がもっともっと増えて良いと思います。
一つの外国語しかやらなければ問題はさほど大きくないのですし。
私が中学の時は、学校の教科書にも、NHKの基礎英語のテキストにも
発音記号が使われていました。これをものすごく真剣にやったことで、英語の
発音が良くなったと思っています。
・語順
220ページに引用されている数字で、世界の言語においては、日本語のような
SOV(主語/目的語/動詞)の語順のものが、英語のようなSVO(主語/動詞/
目的語)のものより多いとされています。
「へぇー」という感じです。
・ことばの「間違え方」
母語に引っ張られて外国語を間違える、そのパターンを外国語教師はよく
知っておかねばならない(237ページ)
ネイティブなら外国語を上手に教えられる訳ではないということです。
ひっくり返せば、外国で日本語教師になりたいと思ったら、日本語と同様に
その国の言葉について深く知っている必要があるということです。
・国語文法(日本人向け)と日本語文法(外国人向け)
外国人が日本語を学ぶ場合は、日本人が文法を学ぶのとは順番が違う(245ページ)
外国人向けの日本語教科書を読みたくなりました。
・ネイティブ利用法(252ページ)
基礎知識のないネイティブを有効活用するポイントとして
1.文法に関する質問は絶対しないこと。
2.発音と作文を直してもらうこと
を上げています。非常に納得的です。
他にもいろいろありますが、この辺りにしておきましょう。
本書ではいくつかの本が紹介されていますが、その中から次のものを私は
購入しました。
いずれもお薦めです。
「英語の辞書を使いこなす」 笠島準一 講談社現代新書
(既にメルマガ009号でご紹介済み)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061488104/gogakunotoran-22
「英文翻訳術」 安西徹雄 ちくま学芸文庫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480081976/gogakunotoran-22
「外国語としての日本語―その教え方・学び方」佐々木瑞枝 講談社現代新書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061492004/gogakunotoran-22
「フィンランド語は猫の言葉」 稲垣美晴 講談社文庫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061859374/gogakunotoran-22
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■おまけ
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来週は遅い夏休みを取らせて頂きますので、メルマガも一回お休みです。
外国語学習法の本をたくさん抱えて旅に出ます。
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発行者略歴
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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)
1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン
2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠
(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。
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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法
発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)
発 行 : まぐまぐID= 0000238273
配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/
─著者ブログ 他─────────────────────────
『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)
http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/
『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)
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『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)
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