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グルメの心理学


2008.04.17

グルメの心理学 「新店」が「人気店」になるための条件とは?


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             グルメの心理学
       
     ●第5号● 2008年4月17日発行 ● 
 
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■ 「新店」が「人気店」になるための条件とは?
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 前号は、「赤坂サカス」で発見した激辛「担々麺」の店、の話でした。

 前号を読み見逃した方は、バックナンバーをごらんください。
http://archive.mag2.com/0000257512/20080412130000000.html

 普通の人が食べられないほどの激辛メニューを
何の断りもなくメニューに加えてしまうという心意気(暴挙?)。

 これを「グルメの心理学」的に考察すると、どうなるのでしょうか?


 私も、かれこれ3,000軒ほど食べ歩いていますが、
これだけ個性的な一皿を平然と普通のメニューに加えて
出している店というのは、そうそうありません。

 でも、開店したばかりの店、いわゆる「新店」では、
こういう迷いのない直球勝負をすることが、時々あります。

 開店時は、食べたことのないような、「超個性的な味」で勝負します。
 ただ、その味を、3ケ月、6か月、そして長期にわたって
維持していくのはたいへん難しいことです。

 客のクレームというか、客の意見、要望などによって、
味が無難な方向に修正されてしまうからです。

 しかし、多種多様な嗜好を持ったいろいろな客の要望を聞き入れていくと、
「個性のない平凡な味」の店になってしまいます。


 私が、シカゴにいた時に、日本人がオーナーの、かなり本格的な
ラーメン屋がシカゴの老舗デパート「マーシャル・フィールズ」
(現在は買収され「メイシーズ」になっいる)にオープンしました。
 
 シカゴの日本人街には「山頭火」が出店していて、
本格的な日本のラーメンを楽しめますが、
これは日系や日本人在住者を相手にする店です。

「マーシャル・フィールズ」というのは、要するに東京でいえば、
「銀座三越」みたいなものです。

 客における日本人の割合はおそらく1%以下でしょうから、
「アメリカ人相手に日本のラーメンで勝負」という意気込みで
開店したことは間違いありません。


 開店当初は、かなり魚だしの効いた個性的なラーメン。
 日本で食べるラーメンにかなり近い味で出していて、
「これは凄いなあ」と思いました。
 
 「日本の本場の味をアメリカに伝えよう」という心意気が
その一皿から伝わってきたのです。

 しかしながら、アメリカ人は、カツオブシとか魚系のダシが大嫌いです。
 すぐ、「fishy」といいます。

 「fishy」というのは、「魚臭い」という意味ですが、
他にも「うさんくさい、いんちきくさい」という意味もある言葉です。

 アメリカ人の「魚臭さ」に対するネガティブなイメージの
現れです。

 そのラーメン屋、二ケ月ほどして、どうなっているか再訪したところ、
案の定というか、味が全く変わっていました。

 魚ダシはぜんぜん弱くなっていて、何の特徴もないラーメンです。
 まずくはないのですが、もう一度食べようとは思わない
平凡なラーメンに変貌していました。

 最初は、「日本の本格ラーメンをシカゴでも」という心意気で
オープンしたのだと思いますが、アメリカ人客の意見を聞き入れて、
魚ダシを弱めた結果、平凡なラーメンになってしまったのでしょう。

 よく言えば、「客の意見を聞き入れる店」「改良」「アレンジ」
 
 悪く言えば、「迎合」「妥協」。

 
 「客の意見を聞き入れない方がいい」ということではありません。

 「もう少し、客の意見を聞いて修正した方がいいんじゃないか?」という
店もたくさん存在しますからね(笑)。

 しかしながら、「ある程度の味レベル」で完成していて、
店主もその味に自信を持って出しているのであれば
味は変えるべきではないでしょう。

 少し、辛抱が必要です。

 店が折れるのか。客が折れるのか。
 一種の我慢比べ。

 店が折れて味を変えるのか?
 客が折れで、店の味のファンになっていくのか?
 
 客と店との心理戦。

 「こういう味もあるのか」と新しい味の魅力に気付く客。
 そして、「こういう個性的な味もいいものだ」という
客も必ず出て来るのです。

 そうした客がリピーターとしてついてくれれば、成功です。
 「個性的な味」が受け入れられた、という瞬間です。
 ただ、それには、時間が必要です。
 
 口コミ効果でリピーターが増えてくるには、3ケ月くらいはかかるものです。

 その「3ケ月」を辛抱できるかどうか。
 それが、「人気店」「行列店」になるかどうかの分かれ目。


 現在、行列ができる店、というのは、結構、こうした試練の時期を
辛抱して乗り切り、「個性を守り切った店」が多いのではないでしょうか?

 妥協した「平凡な味」の店は、特徴がないわけですから、
リピートする理由もなく、すぐに飽きられてしまいます。
 結局、閉店に追い込まれるでしょう。

「開店時」のコンセプト、意気込みを維持し続ける。

 安易に妥協せずにわが道を進む。


 これが、「新店」が「人気店」になるための条件といえるでしょう。
 

 さて、「ドラゴンデリ」の激辛メニューは、
3ケ月後にはどうなっているでしょうか。

「根気比べ」に勝って、人気店になっているのかどうか?

 激辛のまま続けられていれば成功です。
 もちろん、私は「激辛担々麺の店」として、繁盛していることを
期待しつつ、3ケ月後にもう一度食べに行きたいと思っています。


●DRAGON DELI(ドラゴンデリ)
「赤坂サカス」 地下1階

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